身体が喜ぶ ごはんのこと、料理家 中島芙美枝さんとのフードプロジェクト。

6月4日小満「梅雨時期のお弁当」

今日も雨。ずっと雨。雨が止まない東京から中島さんのアトリエに朝一番の電車で向かいました。私は料理を撮る写真家をしています。時々、人も撮ります。
朝のお弁当の準備はきっと慌ただしいだろう。邪魔にならない様にと離れてカメラを構えました。中島さんは静かに淡々と料理を進めていきます。途中、手を動かしながら、素材の話をしてくれました。「ゴボウの皮は剥かないんです。陰と陽の考え方でね、皮と身にはきちんと関係があるんですよ。」初めて知りました。ただのゴボウが何だかちょっと偉く見えました。
「丁寧ですね。」そう伝えると、ふみえさんが驚いて言いました。「えー本当?そうかな。だけど、一つ一つきちんと作りたいから、沢山の量は請けないようにしてます。」
料理家の仕事はご飯を作る仕事です。だけど、中島さんの目的は、ご飯だけじゃない、胃袋の先まで考えて料理をしていました。美味しいよりもっとずっと先の先のことのようでした。
歳を重ねるのと一緒に苦しい事や哀しい事を沢山経験しました。離婚では、とんでもない酷い世界を見たりもしました。だけど、不思議なことに、痛みを知れば知るほどに誰かに優しくなれる自分を見つけました。
もしかしたら、中島さんも沢山の辛い経験、体のことだとか、女として生きる色々な問題に向き合ってきたから、美味しいの先まで見えるのかな。そんな気がしました。私にはまだまだ見えない世界です。なんだかちょっと高揚しています。大人の女性って素敵だな。
お土産に持たせて戴いたお弁当。帰ってお茶を淹れて、あっという間に平らげました。午後もずっと雨みたいです。だけど、何だか胸のあたりがじんわりしています。

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身体が喜ぶ ごはんのこと。 ///  creating now – from 2021.6
料理家 中島芙美枝さんとのフードプロジェクト。

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