トマトのポトフ

洋食 20.8,2024


今日も私は照明の話ばっかりしてる。朝から、横で聞かされてる周ちゃんだけど、ちょっと嬉しそうに見える。私は別に、誰でもよかった。そもそも、結婚なんて考えていなかったし、周ちゃんのことは、そう好きではないままに結婚した。

多分、周ちゃんも同じだと思う。それに、もう全部なんだって良かった。ただ、今よりも苦しいことが起きなければ、いや、私が知ってる苦しいことを越えることなんて、そう日常で出会うことはないって信じ切っていたし、周ちゃんがもし暴力を振るったり、暴れたりしたとしても、対処の方法は知ってる。人が壊れることを見るのは、慣れっこだったし、嫌ならまた別れたらいいだけだ。

けど、思いの外、。たまたま街角で出会ったような私達だったのに、最近、周ちゃんじゃなきゃ嫌だと思うようになった。梃子が好いてるからとか、怒らないからとか、私の我儘を聞いてくれるから、じゃなくて、顔が好きだっていう理由も間違ってはいないけれど、違う。

くだらない事で喧嘩したりもするけれど、なんだかいいなと思う。それに、最近、周ちゃんが私に似てきた。早起きなところや、物はすぐ捨てるとか、照明や椅子が好きとか、
寿司は赤身の鮪から食べるところもそうだ。けど多分、私も周ちゃんに似てきたと思う、気づいていないだけで。

なんだか、今日は勉強や仕事をサボって、午前は久しぶりにぼーっとしてた。なんだか、暮らしっていいなって、家族っていいなって、リビングで考えてた。

新しい家は、古い。ボロボロだ。だけど、同じものを長く使うって、同じであるって、すごくいいなって思った。どうか、今日がこのまま今日を繰り返して、繰り返して、ずっとここにいてくれますように。