Journal 01.1,2017

食卓が好き、イートニューミー は私が作った料理の写真です。

母は料理がとても上手でした。
うちでしか食べた事がないような料理が沢山あって、だけどなんか恥ずかしくていつも秘密にしていました。キャビアのことも、ラザニアのことも、土瓶蒸しに、テリーヌに、ピンク色の寿司飯、ミートローフのことも。きらきらとひかる食卓がとても美しくてその光景が大好きでした。

パンケーキ

Journal 18.5,2022

4時くらいにパッと目が覚めて部屋で作業を始めた。なんだかもやもやする。気持ちが落ち着かなくて時間ばかりが追いかけてくるみたい。それに今日はいつもよりもずっと身体がどんどん冷えていく。6時過ぎ、梃子が周ちゃんを起こした。「ごめんね。周ちゃん。」「大丈夫だよ。」「お腹が好きすぎて気持ちが悪いよ。パンケーキが食べたい。」「うん。じゃあ、俺が焼くよ。」最近ハマってるパンケーキ。今日はちょっとスペシャルだった。チョコレートシロップと蜂蜜を交互にかけて、パンケーキを切る手とパンケーキを食べる口は忙しく一緒に動いて、あっという間に完食。「ああ、お腹一杯。」お腹は一旦満たされたけれど不安がまだ続いてる。直ぐに部屋に戻って納品作業をした。周ちゃんは仕事へ出かけて、コーヒーを入れ直してまた仕事。不安は未だ続いてる。spotifyでいつもなら聞かない感じのアユルベーダーのラジオを流しながら作業を淡々と終わらせた。不安はやっぱり続いてる。

午後は茅ヶ崎で一本取材。うちから茅ヶ崎だなんて小旅行じゃなくて、ちょっとした旅行だ。電車で2時間半。殆どが居眠りしたり、目を閉じたりした。不安はまだ電車と一緒に移動した。昔もよくあった。不安になってしまう日。気づいたら無くなってた。不安な日は話したくない。だけど、1度目の結婚をしてから無くなったような気もする。だけど、それはそれで、また別の、私のじゃない大きな不安がやってきた。やっぱりPMSなのだろうか。それとも更年期?30代から始まる人もいるって言われてる。どちらにせよ、ホルモンバランスが原因な気はしてる。

現場で久しぶりになおきさんに会った。あまりに突然でビックリして、ビックリしすぎて不安がそのまま飛んでいった。撮影はさっと終わって、さっと帰った。帰りに少しお喋りをしてなんだかすごく楽しかった。料理家さんの取材だったからか、フミエさんとの料理本の事だとか、フミエさんって素敵だよなとか、なんだか頭の中に色々がぐるぐると回った。フミエさんとお喋りがしたい。

麻婆春雨

お気に入り, 中華 18.5,2022

最近、毎日が毎日の連続みたいで調子が出ない。あっという間に夜がやってきて、あっという間にまた今日がくる。どうしたんだろうか。まるでPMSみたい。先月は2回生理が来て、今月はまだ来ない。先週は糠漬けの古漬けのせいで1週間くらいお腹の調子が悪かった。それ以外は良好。なはずなのに、やっぱり何だかしっくりとこない。

麻婆春雨
春雨 湯がいておく
ひき肉 200gほど
ニンニク・生姜 大さじ1くらいの量をみじん切り
ピーマン 2個 ざく切り
ネギ 1/2本 みじん切り
[ 調味料 ]
ごま油
豆板醤 お好み
鶏ガラスープの素 小さじ1をカップ1の湯で溶いておく
醤油 大さじ1〜2
砂糖 小さじ1〜2
ホワジャオ 包丁で細かく刻む

フライパンに油をひいて、ニンニク、生姜を入れて香りをだしたら、肉を入れて放置。肉汁が出て火が通ったら、ネギ、ピーマンを入れて火を通す。端で豆板醤を炒めて全体を絡める。鶏がらスープ、醤油、砂糖を入れて煮立たせる。春雨を入れて火を通す。ごま油をひとまわし。皿に盛ってからホワジャオをかける。

しらすトースト

朝食 13.5,2022

今朝はしらすトーストと、こないだの残りのカレースープ。撮影の日は周ちゃんが朝食を作ってくれるのがルーティンとなってる。周ちゃんのしらすトーストは丁寧で美味しい。しらすの置き方は均一だし、チーズやマヨネーズも丁寧に隅まできれいに塗られてる。私のとは大違い。だけど、実は私はいびつを好んでる。成り行きのある自然な感じ、例えば出過ぎてしまったマヨネーズとか、塗り忘れてるのか面倒だから塗らなかったのか、余白を残されたようなトーストの端っこなんかに愛を感じたりする。ロボットにお願いしたら上手にやってくれそうなものはタイプじゃない。だけど、周ちゃんのは特別。トーストの隅まできちっとしているのは周ちゃんらしい。

青山のスタジオで撮影を終えて急いでタクシーに乗って駅に向かった。池袋で行きたい眼鏡屋がある。どうゆうわけか疲れていても買い物はしたいし出来る。お店を二往復くらいしてから店員さんと色々と話をした。幾つか気になっていたブランドがあったけれど、結局またayameにした。4本目のayame。そして、今回こそ黒いフレームにしようと決めていたのにブラウン。でもとっても気に入ってる。眼鏡を新調するって、美容院へ行くみたいな気分。まるで新しい人生が始まるような気持ちになる。

パンケーキ

朝食 12.5,2022

朝食に周ちゃんがパンケーキを焼いてくれた。黒磯で一緒に仕事をしたワカナさんから連絡があって先日の映像の仕事が決まったとのこと。嬉しい!それから、久しぶりに高木さんから料理の仕事が入った。引っ越す間際にギャランティーの事で断った仕事がある。交通費や移動費が東京で暮らしていた時のようにはいかない事を心配してしまったことが理由だけど、なんだか胸に引っかかってたから嬉しかった。

引っ越してから、より一層に心理学を勉強したいと思ったり、もう作品は作らなくてもいいんじゃないかと、今は新しい生活や家庭の中で生きていく事だけで十分なのかもしれないっていう気持ちになったり、だけどやっぱり、すごく料理が撮りたかった。フミエさんとの本づくりのリサーチで本屋に通ってはいるけど、前のように左上から右下まで片っ端まで舐めるように本を漁らなくなった。闇雲に頑張るのはもういいんじゃ無い?って気持ちとか、いい歳だし今更やってもさとか、もう十分かもよ?っていうよくわからない自分への言い訳がましい諦めとか、なんだろう。毎日や新しい生活に甘えていく自分がいた。そうじゃなくて、きっとこの生活はこれから私を支えてくれるはず。もう、夜中のタクシーに怯えなくていいし、ベッドサイドにあるデジタル時計の数字だけがどんどん増えていくのを数えなくていい。朝は綺麗にやってきて、行ってきますを聞いてくれる人がいて、今にも泣き出してしまいそうな気持ちを押し殺しながらシャッターをきらなくていい。もう、私は自由なんだった。急いで家に帰らなくてもいい。急いでスーパーに寄って帰ってご飯を作らなくてもいい。ポッケの中で鳴り続ける電話を無視しなくてもいい。右を向いても左を向いても何処にいても自由なんだ。

夜は自転車でスーパー銭湯へ行って、帰りに山田うどんに寄って帰った。早く車が欲しい。

朝のポークカレー

Journal 11.5,2022

「卵は?」「いる〜。」カレーをもった茶碗に生卵を落とした。私の方の茶碗は黄身が割れて茶碗の下へと垂れ落ちてゆく。カレーの次の日はカレー。これは私のルール。何度か言い続けて朝にカレーを出したら、周ちゃんも「朝はカレーだね。」って言うようになった。今日は数日ぶりに裏山に散歩へでた。森の朝はやっぱり深々としてる。すぅーっと全身が吸い込まれていくみたい。ああ、気持ちがいい。

昼は黙々と仕事。時々、新しい携帯でインスタとかLINEを見た。新しい携帯の操作がまだよくわからない。音が鳴るたびに気になって見てしまう。午後は駅前に睫毛パーマをかけに行って、ママの誕生日プレゼントを買って、OKストアで買い物をして帰宅。こないだ派手に自転車で転んでから少し自転車が怖い。左足のすねには青とか紫とか黄色とかマーブル模様みたいな大きな痣がずっとある。右足はその前の週に自転車置き場で強くサドルが皮膚に食い込んで血が出てかさぶたになった傷もまだある。東京で生活していた時は自転車が大好きだったのに、この街での自転車はなんだか好きじゃない。道路はボコボコしていて走りづらいし、駐輪場がとにかく停めずらくて、絶対に誰かの自転車に身体のどこかがぶつかる。もう、なんだよ。なんだか帰りは少し落ち込んだ。東京での暮らし、こっちにきて初めて松陰神社のあの家が恋しくて少し寂しくなった。

裏山は大好きだけど、この街は好きになれるんだろうか。お気に入りの喫茶店やカフェはgoogle mapを何度見たって見つからないし、好みのパンやスィーツを買える店も無い。家だって前の方がずっとずっと住みやすかった。それに、新しすぎる感じの内装は正直好みじゃない。食材を買うのもすごく不便で、野菜は最高だけど、それ以外のものは駅前に行かないとない。歩いて7分の所にあるスーパーは買って納豆だとかお酒。肉も魚も心が踊らないものばかり。上町のオオゼキみたいに全国から集められた季節の色々な野菜や魚や肉や調味料を思い立った時に買える店が近所にある事はすごく貴重なんだって事に今更気づいた。当たり前にあった東京での生活は十分過ぎるほどに物に溢れてて、右を向いても左を向いても私の欲望は満たされてたみたい。

帰って庭の野菜に水をあげて、みっちゃんに昨年もらった蜜柑のお酒を飲んだ。飲みながら夕飯の支度をして、お風呂にはいって、請求書の整理をした。夕飯は素麺。今夜も少し遅く帰宅した周ちゃんは満面の笑みでご飯を食べてる。「今日は元気が無い。」と伝えたけど何も聞いてこなかった。少しだけ飲みすぎた。早々にベッドへ入って抱き合って寝た。ここにあるのは、裏山と採りたての野菜。あとは、愛くらい。L.Aの姉の所に住むように暮らしていた数週間の事を思い出した。あの場所もここと少し似てる。だけど、すごく楽しかった。生活を変えたい。せっかくの田舎暮らし、東京を想って生活するなんていや。

ポークカレー

カレー 10.5,2022

今日はポークカレー。おかずはレタスのサラダ、胡瓜とチキンの台湾風和え物、納豆、大根のおしんこと、ぬか漬け。レタスのサラダは最近むちゃくちゃハマっていて、近所の畑で採れたてのものが手に入ると、塩とオリーブオイル、塩と海苔と胡麻油とか、シンプルな味付けにして半玉くらいペロッと二人で食べる。少しいつもより遅く帰宅した周ちゃん。「家庭の匂いがする〜。」って嬉しそうに何度も言ってたけど、ここは私たちの家庭だよ。

食卓

Journal 09.5,2022

朝は東京で取材が一本。2年ぶりの編集の田中さん。名前が変わった事とか、元気だった?とか色々な話をした。それから、クライアント先の担当の子が産休に入ったとの朗報も聞いた。びっくりしすぎて嬉しくて胸がドキドキした。最近いいニュースばかりを耳にしてる。L.Aのアミちゃんはお父さんが亡くなった事を新しい携帯のニュースで知ったけど、再婚をしていることも知った。もう10年くらい前、ヘレナと一緒によく写真を撮らせてもらってた下の娘がコロナが起きる少し前に病気で他界して、だから、だからというか心から良かったと思ったし嬉しかった。あと、女の子のカップルの友人が養子縁組をして結婚をするし、それに、友人が結婚を決めて、夜には成田さんから “彼女が出来ました!”との報告。「周ちゃん!成田さん彼女が出来たって!!!」ベッドで開いたLINEからの朗報を周ちゃんに伝えると目を丸くして喜んでる。「最近、周りが愛で溢れてるんだよ。すごいよ!すごくない?」「本当だね。それってよしみのが伝染してるんじゃない?」「それは申し訳ないくらいないよ。私からは何も溢れてない。」「だって、よしみだって周りの友人に彼氏が出来た時に俺と出会ったわけでしょ。」「えー。確かに、行動を起こすキッカケにはなったね。だけど、そんなめっそうもない。違うよ。」ただ言えることは、みんなはみんなの人生を今を愛してるってことだ。嬉しいとか楽しいと思う気持ちがここにあって、私の友人たちの場所にもそういう気持ちがふわふわと泳いでいるんだとひとり勝手に感じるだけで胸がじんわりとした。

先日、リリさんといつもの通りで成田さんがどれだけ素晴らしい子かっていう話をした。これはもうルーティーンみたいなもので、だけど心から互いに成田さんへの愛を話した。成田さんへの愛情がたっぷりの私達だからこそ、この朗報に乾杯したい。ハートを沢山いれて “おめでとう。” ってメッセージを返した。早く成田さんの新しい彼女とみんなで一緒にわいわいと食卓を囲みたい。食べる音や笑い声だとか引っ切り無しに美味しい時間が食卓の上で鳴り続ける夜。きっといい夜。いや、絶対に素敵な夜。もしかしたら少し飲み過ぎてしまうかもしれない。ああ、恋しいや。まだ来ない食卓が恋しい。

トマトとモッツアレラのスパゲッティー

洋食 08.5,2022

朝から二日酔い。昨晩そんなに飲んでないのに身体が重い。電話を切ってから直ぐに寝たと思う。時間は深夜12時ちょっと過ぎ。結婚についてリリさんと話した。結婚だけじゃなくて、どうパートナーと生きていくかみたいなことも。隣にいた周ちゃんはリスクヘッジの話をしてた。私は相手じゃなくて自分を信じていけば、どんなことがあろうときっと後悔はないと思うし、不安なのはお互いに一緒だからみたいな話をした。もし、万が一、彼が他の誰かを愛してしまうような日がきても、それは苦しいけれど、もしかしたら自分の愛が足らなかったのかもしれないし、彼の人生にとって大切な人に出会ってしまったのかもしれない。もしくは、ただの馬鹿。どれをとっても理解がいく。

リリさんは途中なんども目を赤くしながら話を続けた。自分の言葉で私に伝える気持ちの色々は、きちんとしっかりと答えは決まっているようだったし、私が知っている大半のリリさんよりも、ずっとずっとまたひとつ強くなったようだった。いつだったか忘れたけど、出会ってそんなに時間が経ってなかったと思う。撮影の後に入ったタリーズで急にポロポロと泣き出した。それから、私は何度もリリさんの涙を知ってる。直ぐに泣いてしまう彼女はとても魅力的に見えたし、それでいいと思った。歳が10こ以上離れてるリリさん。20代の彼女にはこれからきっと沢山の出来事が起きる。流せるのならどんどん悲しみは流していけばいいし、弱くあることは決して悪く無い。それに、強くなんてならなくても、いつかはそうなっていく。人生に慣れてしまう日がいつかくるから。

昼を過ぎてもずっと気だるい。天気も肌寒くてどんよりしてる。心から幸せになって欲しいと思った。それに、今のリリさんならきっと幸せになっていく気がした。私の知っている限り、幸せって突然降ってくるようなものじゃない。毎日のその先にきちんと繋がってるもの。だから、今日想うことがあるとしたら、大丈夫。涙がいつかの今日をびちょびちょにしたとしても、大丈夫。

オムレツサンド

朝食 05.5,2022

私みたいに怒るフリをする周ちゃん、すごく不恰好ですごくブサイクだった。すこし怖くも見えた。周ちゃんの目には私があんな風に映ってるんだと思ったら哀しくて恥ずかしくて言い訳の為にずっと拗ねていたいような、もうこのままそんなブサイクな人になってしまえばいいやと自分に嘘をつきたくなるような、エスカレーターに乗りながら頭が猛スピードで混乱した。本当にいや。すごく嫌だ。

一昨日にトイレに水没した携帯。結局、今日になっても電源はうまくつかず、駅前の楽天モバイルで新しい携帯の契約をしに出かけた。昨日、店へ行ったとき、店員さんが契約に関する持ち物を丁寧に教えてくれたけれど、そこに楽天IDは無かった。いざ今日契約をしようと行くとまず楽天IDがないと出来ないと言う。もしくは新規で作りますとのこと。楽天銀行も楽天クレジットも持っているのに、どうしてまた別のIDを作らなきゃいけないんだろう。直ぐに自転車で帰宅して三度目の楽天モバイルショップへ。店では怒らなかったけど、契約が終わり店を出たあとに私の堪忍袋の尾が切れ始めた。

怒るってゆう感情を止めるのはよくないと思う。喜んだりわくわくしたりと同じ、様々な感情と一緒に肩を並べている仲間でいい。今回だって、店員さんが事前に教えてくれたら夏みたいに暑い日差しの下を自転車で急勾配な坂を上がったり下がったりハァハァと登らずに済んだ。そりゃ怒りたくもなるよ。だけど、。あんな周ちゃん。声を荒げたり、否定的な話し方、そして意地悪い顔をした周ちゃん。あんな顔、いや。だけど、周ちゃんは私のそんな顔をきっと見てたんだろう。なんて醜いんだろう。周ちゃんはふざけて私の怒る真似をしたのだろうけれど、そんなのは全く冗談なんかには見えなかった。だって、それは周ちゃんであり私なのだから。

私の内側と、私の内側を外側から見る景色。それは似ているようで全然違う。私達が同じ景色を見る時間が増えれば増えるほどに同じものに感じるような錯覚に陥ってしまう。本当は全然違うし、全然わからないのに。側にいるのに寂しい。手を伸ばしたところに背中があるのに寂しい。そんな気持ちになった過去がある。あの時の元夫と私はあまりに近くてあまりに遠いい場所にいたのかもしれない。私達は愛し合っていたんじゃなくて、きっと私は愛して欲しかった。

失うことを恐れるよりも、どうか私の隣にいる間は笑っていてほしいと思えば、もうあんな醜い私にはならないですむ。きっと。

マグロ丼とワイン

和食 04.5,2022

いつもの通り4時半に起きて作業。今日は周ちゃんとピクニック。昨日の残り物の塩豚と大根の煮物に味噌をいれてスープジャーに入れた。後は残ったファラフェル、夜に茹でておいたゆで卵、それから周ちゃんが朝に握ってくれたこぶしみたいなおにぎりと温かいをお茶を持って9時ちょっと前に家を出た。雨の所為でまだ土はところどころがぬかってる。周ちゃんは何度も大きな声深呼吸を両手を広げた。「屋久島とまでは行かないけど、屋久島を思い出す景色だよ。」「へぇ。屋久島、行った事がないよ。」「九州最高峰の山があって、そもそも屋久島自体が噴火によって出来たところだからね。」「へぇ。」周ちゃんと話しているといつのまにか学芸員が登場する。そのうちに話は私の右耳から左耳へと流れでてゆく。ああ、気持ちがいい。声のさえずりも周ちゃんの声と同じように音楽みたいに聞こえる。なんて穏やかな休日なんだろう。だけど、最近ちょっとだけ怖くなる。こんな穏やかな日常で大丈夫なんだろうか。また、日常が襲われるような事が起きるんじゃないか。ただ電車に乗っているだけで、ただ家でご飯を作ってるだけで、ただ誰かの帰りを待っているだけで、夜中が悪魔になるような日常はもう本当にやってこないんだろうか。幸福になったり不幸になるのは権利でも資格でもないのに、安心で穏やかな生活を送るわたしの日常がある事にときどき不安になる。周ちゃんが自転車で出かける度に「ヘルメットをかぶって。」とひつこく言うのは祈りみたいなものなんだと思う。ある日突然に大切なものが壊れてしまいそうで怖い。事故で死んじゃうなんて事は簡単には起こらないとは思うけれど、絶対にないことなんてないから。

「周ちゃんデートしようよ。」「えーこれってデートじゃないの?」家までの帰り道、夏みたいな太陽がじりじりと暑くてマスクが少し苦しい。「お弁当持ってピクニックってデートだよ〜。」「うーん。確かに。けどさお洒落してないよ。」いつもの散歩の格好。レギンスに大きなシャツを羽織って泥だらけになってもいいようにと履き潰したアシックスのスニーカー。これでデートは嫌だ。「よしみはどんなデートがしたいの?」「舞台見て、ディナー行って、夜の街を歩きたい!大人でしょ。」「いいねぇ。じゃあ、ホテルに泊まろうか。それでホテルの朝食なんか食べて帰ろうよ。」「えー!それはエロいよ。」二人で笑いあった。履き潰したスニーカーじゃなくて、底がまだ綺麗な時々しか履かないようなサンダルを履きたい。少し色の濃いリップをつけてグラスにつく口紅を気にしながら食事をしたい。いつもよりも丁寧に話したりいつもよりも丁寧に隣を歩きたい。いつかはどちらかが先に死んでしまうのだろうけれど、あと何回も何十回もデートしてから死にたい。

ファラフェル

エスニック 03.5,2022

朝起きてしばらく書斎で作業。7時過ぎにパジャマの上にスウェットを着て梃子と周ちゃんと朝の散歩へ出かけた。今朝の山は昨日の雨でぬかるんでて歩きづらいし、いつもよりも冷んやりしてる。だけど、みずみずしくて気持ちがいい。全部が洗い流されたみたい。

「今日は色々と作業をしようと思うよ。」「うん。わかった。俺は都内の美術館へ行くよ。」周ちゃんが出かけたのは10時頃。休みの日に家で一人でいるのは結婚してから初めて。何だかわくわくした。色々と溜まってる作業がある。フミエさんと山若くんとの氷見のプロジェクトの作品をだとか、フミエさんの作るからだにいいご飯の料理本を出す為に出版社への営業用のポートフォリオもまだ途中、それに私の写真集の日記や写真のデーターの整理も。請求書もやらなきゃ。色々が山の様に溜まってる。

「周ちゃんと一緒にいる時間は好きだし、新しい生活には満足してる。だけど、私の時間をどう作っていいのか。ずっと考えてる。」昨日、郵便局の帰りに寄った駅前のインドカレー屋さんで話した。すごくしょっぱいカレー。塩とカレーが別々に入ってるみたいにしょっぱかった。「うん。そうだね。」周ちゃんは仕事一本の生活を結婚を機に変えた。朝から夜中まで仕事をして、休日も調査の為に自転車でフィールドワークに出る。展示が始まる前には食事の時間も忘れて仕事をするから5kgぐらい体重が落ちてしまうのだとか。私とは真逆の生活。私は私、仕事、生活が一律。寝ないで仕事はしないし、生活の為に仕事を減らしたりもしないし、私の時間もしっかりと取りたい。全部がバランスよく足並みを揃えていないとダメ。全く違う環境の全く違う生き方の二人が一緒に暮らそうというのだから、アンバランスになるのは当たり前の事なんだけど、結婚生活が始まって1ヶ月ちょっと。中々その答えは見つからなかった。

黙々と作業を進める。昼が過ぎて午後がやってきて、夕方の冷たい風が吹き始めた頃にふと寂しくなった。”周ちゃん、いつ帰る?” PCからメールを打った。携帯電話は朝トイレに水没してからずっと真っ暗い画面のまま。”6時半には着くよ。” “わかった。お風呂入れておくね!” 残ってる作業を急いで進めた。一人っきりの家。最高だったな。周ちゃんが帰ってくる、 冷蔵庫に数日前に茹でた豆がどっさりと残ってる。今夜はファラフェルにしよう。

ファラフェル
フミエさんにいただいた青大豆を一晩水に浸して茹でたもの

ニンニクの摩り下ろし
クミン
揚げるようの小麦粉
揚げ油

水餃子

中華 01.5,2022

「今夜はもうちゃちゃっと冷蔵庫にあるものにしよう。」料理が面倒になる夜は週に1度か2度やってくる。だけど結局あれやこれやと冷蔵庫の色々を並べているうちに食卓は賑やかになってゆく。「今夜も立派になっちゃったね。」周ちゃんが言った。

みっちゃんが昼頃に帰ってから駅前におつかいに行って、そのままインドカレーを食べて帰った。帰りがけに雨が降ってきてずぶ濡れ。温かいお茶を飲んで温まってからベッドへ入って簡単なセックスをして裸のまま寝た。周ちゃんとは出会ってあっという間に結婚してしまったけれど、周ちゃんが今でも彼氏だったらと憧れる事がある。こうして二人以外の時間を過ごすと尚更に思う。結婚したからと言って周ちゃんは私の物じゃないけれど、いつサヨナラをしてもいい関係の男がいるのは自由だし魅力的。そして相手も同じ様に自由な筈なのにひとり時々寂しさを覚えたりして不安になりながらもバイバイしてまた会う。そんな日々を重ねてみたかった。夜の奥渋なんかをほろ酔いで肩を並べて歩いたり、帰ってしまう背中を、見知らぬ洋服を見知らぬ靴を履いている姿をもっともっと知りたかった。ああ、この人を私の物にしたい。いや、やっぱり要らない。そんな欲望を抱いたり捨てたりを繰りかえしたりしたかった。

水餃子をつつきながら、みっちゃんと昨晩に話した恋の話を続けた。「結婚は別にいいもんじゃないし、結婚はしなくてもいいし。ごめんね。新婚なのにこんな事言って。結婚は魅力的では無いって話ね。周ちゃんの事は大好きだよ。」「うん。わかるよ。」「結婚に憧れる気持ちはわかるけど、私だって憧れて結婚したし。だから結婚がしたくてするのもいいのだけど、、。離婚はさ。大変でしょ。」「…。うん。よしみが言うと染みる言葉だね。」「そうかな。」結婚も離婚も、どちらでなくても、一直線上の自分の人生の上に立ってるのは同じ。結婚に憧れるのは子供の時にいつか素敵な恋がしたいと夢見た気持ちと似ている気がする。同世代の独身の友人達は子供が欲しいとか結婚がしたいとか同じセリフをもう何年も続けて、しまいにはいつかの彼氏の話ばかりしてるけれど、夢よりも現実の方がずっとずっと楽しい事も薄々気づいているとも思う。結婚してもしなくても離婚しても、結局どれも大差ないよ。要するに楽しければ。楽しめれば。

餃子

中華 30.4,2022

家を出たのは9時40分過ぎ。途中で右折しちゃいけない所で周ちゃんが右折しちゃったみたいで角の通りではっていた警察に捕まった。罰金7000円。”みっちゃん。ごめんね、周ちゃんが違反で捕まっちゃって少し遅れるよ。” 着いたのは10時半過ぎ。ミュージアムの前で緑色のチェックのワンピースを着たみっちゃんが待っていた。そうして周ちゃんのアテンドでミュージアムを回ってから東村山の美味しい饂飩屋さんへ向かった。地元の人がいく古汚くて美味しそうな饂飩屋さん。この辺りでは人気らしく、店の活気に注文するのも食べるのも何だか忙しなくて、カウンター横のみっちゃんと「美味しいね!」って顔を何度も見合わせてはまた饂飩をすすった。それからジョイフルへ行って夏野菜の苗を買ったり、温泉に立ち寄ってから多摩湖を散歩したり。GWらしいGWをキラキラと木々の中を車で走りぬけた。「ああ、気持ちがいい。」最高な午後。最高の休日。あっという間に私は埼玉の人になって、近所に住んでたみっちゃんは東京からのお客様となったGW初め。

夕飯は昨日から炊いてた鶏のスープに、朝に買った採りたてレタスのサラダ、青梗菜の醤油麹炒め、焼き餃子、奈々子の家で前に食べて美味しかった海老の中華ソースがけ、フミエさんに頂いた青大豆を炊いたもの、ジョイフルの中の地元野菜で買った立派な大根をおろしたものを作った。朝採れのレタスはレタスじゃないみたいにパリパリで、食べる前に手で割いてるのがすごく気持ちよくて、食べて美味しいのもそうだけど、手の感触に残るパリパリが食べてるパリパリとシンクロしてへんな気分。みっちゃんは何度も「こんな美味しいレタス東京にはないよ。」とむしゃむしゃと、周ちゃんも私も三人で馬みたいにレタスをむしゃむしゃと食べた。ああ、楽しい。食卓ってどうしてこんなに楽しいんだろう。だからやっぱり食卓が好き。大好き。

午後、昨晩にエビのレシピを聞いた奈々子から “私も結婚をするよ。”ってメールが入った。私の離婚と結婚の事をすごく驚いてたけど、私もすごく驚いた。それに、すごく嬉しい。 “ご飯でもしよう。” 予定がすんなりとあって月末に会う約束をした。奈々子のパートナーから奈々子から別れを告げられたと連絡がきたのが2年前。その頃に一度、新橋あたりで二人だけで会って少し話をした以来。元夫の病は始まっていたけれど、またいつものアレだと思っていた私に離婚の気配なんて全く無かった。たったの2年。私達の時はあそこで止まっているのだろうけど、現実はものすごい勢いで進んでる。エビの中華ソースがけは奈々子が一人で借りた二人の新居だという家で食べたもの。あの夜もすごくいい夜で美味しくて奈々子は飲みすぎた事をパートナーに少し怒られてた。最近飲みすぎてるとも聞いた。あの時、奈々子はきっと一人で悩んでたんだと思う。今はどんな人を愛してどんな毎日を過ごしているんだろう。まだあの家に住んでるんだろうか。エビの中華ソースがけ。今夜は少し失敗しちゃったから、会った時にまた作り方を聞こう。

夕飯

夕飯 29.4,2022

朝はゆっくりと起きてダラダラと過ごした。昼頃、駅前のOKストアに明日の買い出しをしようと外に出ると雨がポツポツ。あーあ。帰りにインドカレーでも食べて帰ろうなんて話してたのにな。「どうする?」「うーん。近所の饂飩屋に電話してみるよ。」こんな事を考えるのは良くないって思うけど、前の旦那さんはそんな事してくれなかった。「行けば何とかなるよ。」とか、「スーちゃん電話してよ。」って言った。私は電話が苦手だからよっぽどじゃないと電話しない方を選んだ。だってずっと頑張るのは疲れるから。家から歩いて5分。店らしからぬ感じの店。こんな場所?住宅街の中に砂利の駐車場、店内は綺麗そうだけど入りたいとはあまり思わないかも。「いらっしゃいませ。さっき電話してくれた方?」年配の女性の方が席へと案内してくれた。隣は60代の夫婦、その隣も同じ世代の夫婦がお酒を飲んでいた。何だかいい感じの店。お昼から日本酒と板わさなんか食べたくなる。

周ちゃんは蕎麦と天丼のセット、私は野菜の天麩羅饂飩にした。天麩羅は長い間苦手な食べ物だったけれど、こないだ周ちゃんと高橋くんとサボテンを買いに行った時にすごい久しぶりに食べたら美味しくて食べれる事がわかった。それにしたってなんて美味しいんだろう。手打ちの形が不揃いの饂飩。つるつると口の中に綺麗に入っていく饂飩も好きだけど、不揃いってどうしてこんなに魅力的なのかな。ざるからどんどん失くなっていく饂飩、少し寂しかった。あっという間に食べ終わって、雨がしとしとと降っている中を傘を並べて歩いて帰った。美味しくて機嫌が良かったのかな、鼻歌を歌う私に周ちゃんが笑いながら言った。「お腹が一杯って歌だね。」「え、うん。そうだよ。」私、そんな鼻歌歌うんだ。歌とか歌うんだ。どっちがどうとかじゃないけど、誰といるかで私って変わるんだ。同じ私なのに私は頑張るのをやめたら変わった。鼻歌を歌うのをいつも聞いている方だったのに。

帰ってお茶をしたらすごく眠くなって、周ちゃんと梃子とみんなでベッドで昼寝をした。雨はどんどん強くなっていく。気持ちがいい。またぐんと気温が下がったけれど、それもいい。ひとりでそっと起きて書斎でお茶をすすりながらマユミちゃんからの手紙をもう一度読み返した。最近、藤井風さんっていうミュージュシャンが気になってるらしく、Taylorのshake it offっていう曲のカバーがすごくいいよって書いてある。youtubeで流しながらまた手紙の続きを読んだ。こんな風に音楽を聴くのはすごく久しぶり。女の子が誰になんて言われようと私は私らしく生きていくっていう曲。音楽ってやっぱりいい。少しだけ泣きそうになった。音楽は離婚してから聞かなくなったけれど、音楽が悪くない事くらいわかってる。嫌なのは元夫が歌を歌ってたっていう私の思い出。音楽の力みたいなのを感じるのが怖かったんだと思う。そしてそれをまた感じてしまったら戻されてしまう気がして避けてた。だけど、聞けた。そして、すごく良かった。

マユミちゃんは離婚の色々が落ち着いてきた頃に少しだけ離婚の事を話して、生活を立て直し始めるのと同時に文通も始まった。だからか一人勝手にこの文通が私の生活をちょっと見守っていてくれてるような感じがしてる。それに、たったの数ヶ月でも、この1年でも、お互いの生活がガラリと変わって、送ってくるポストカードも、送るレターセットも、その時々で色々と思い出が詰まってる。また今年もこれからも文通を続けよう。この文通がやっぱり好き。それから、日記の写真集を作るのをやめようかなって考えていたけど、なんだかもういいやって想う気持ちも考え直そうと思った。本当に作りたいのかどうか、本当が何かわからないけれど少し考えてみよう。パリで生きるマユミちゃんを想うと私も頑張たい。写真集を作ることがそれに値するかはわからないけど、このまま今にお腹を満たすだけで今日が終わるのは何かをやり残してるみたい。苦しかった事は未来になっても苦しいけれど、だからってそれを忘れようとするのも違う。生きることに少し余裕が出てきたらか、今だけじゃなくても、今や過去を行ったり来たりしてみるのもいいのかもしれない。いつか死んじゃうのだし、そうやって色々を忘れちゃうのだから。

しそトースト

Journal 28.4,2022

四時半過ぎに起きて支度。周ちゃんんも梃子も直ぐに起きてきた。周ちゃんが朝食をさっと作ってくれた。紫蘇のトースト、一昨日の残り物のハヤシライスをお湯で薄めたスープ、それからいつものバナナジュース。スタジオに着いたのは8時。家に着いたのは20時過ぎ。今日もよく働いた。いい1日だったな。周ちゃんはGW前の仕事で色々と忙しいみたいで帰ってきてからもずっとスマホで仕事をしてた。昼のお弁当は鰻だった。

麺線

Journal 28.4,2022

梃子の病院から帰宅したのは18時前。ポストにごっそりと郵便物が入っていた。あ、パリのマユミちゃんからだ!パリにあるようなカフェの絵が描いてあるポストカードと深い緑色の封筒。タイムラグで2通まとめてきたんだ。昼に作った麺線がよっぽど美味しかったのか、周ちゃんは夜も麺がいいって言ったから夕飯は拉麺を一緒に作った。私は美味しいサーモンか美味しい鰻が食べたかったけど、どう考えても今からは買えないから想像だけして諦めた。明日は四時半起き。ベッドに入ったのは20時半頃。周ちゃんはいつも通り難しい本を読んでる。私はマユミちゃんへ手紙を読んで返信を書いた。戦争が始まって中々手紙が送れない時期が続いていたからなんだかすごく新鮮な感じがする。マユミちゃんの手紙には日々のパリでの暮らしが日付ごとに記してあった。手紙の中には数ヶ月前の私の話も書いてあって、自分のことなのに誰かの話みたい。たったの数ヶ月でお互いにまた色々が変わった。そうしてもう春は過ぎようとしてる。”日本の桜がみたい。” 4月のいつかの手紙の一文。マユミちゃんはもう何年日本に帰ってないんだろう。会いたいな。遠いいのに近い、だけど遠くにいるマユミちゃん。今年こそ会えるかな。

返信手紙に引っ越しはようやく落ち着いたけれど私の生活がまだ上手く言ってないことを書いた。上手くいってないっていうか、一人の暮らしのようには暮らせないことが少し苦しいんだと思う。どうやったって時間が足らない。梃子との時間だって減ってる。日記をゆっくりと書く時間だとか、英語の勉強も、あと作品を作る時間も。色々。瞑想とか朝の散歩も出来てない。一人の晩酌も無くなった。だけど、周ちゃんとの時間を選んだのは私だし、一緒にいる時間も惜しいくらいに過ぎていく。

赤魚の干物

Journal 25.4,2022

目覚ましと同時くらいに起きたと思う。スッキリと目覚めた。静かにゆっくりと起き上がってみると、腰がすっとベッドから離れた。あ、大分良くなってる。恐る恐る階段を降りて支度を始める。ちょっとまだ痛いけれど、昨日よりはずっといい。窓から登り始めた陽がうっすらとピンクオレンジに廊下を染めている。今日は天気が良さそうだな。

それから30分くらいして周ちゃんが梃子と一緒に起きてたきた。「おはよう。まだ5時だよ。大丈夫?」「うん。パンと卵でいい?」「うん。ありがとう。」周ちゃんのトーストは今日もたっぷりのマーガリンが塗ってある。スクランブルエッグもいつものとおり甘くて美味しい。たっぷり塗るのはバターで、マーガリンは少しでいいんだけどなといつも思うけれど、いつも言わない。私がパリで覚えたパンの食べ方ではバターは食べるものだと教えたから。バターとマーガリンは周ちゃんの中では同じみたいだった。

「遅くなってすみません。」「いえいえ、道路混んでましたから。それに8時に着きたかったからピッタリですよ!」新宿から乗ったタクシー。メーター横にある時計を見たドライバーさんと目を見合わせて笑いあった。時計は8時00分。家を出たのは6時。前だったら考えられないような移動時間。だけど、田舎暮らしの不便にも段々と慣れてきた。世田谷の空は青々しくて綺麗。陽が強くなりそうだな。幸先がいい。とりあえず無事到着したからきっと何とかなる。午前は殆ど屋外での撮影。帽子、持って来れば良かった。クラクラしてくる。腰の事を朝に相談しておいたので、編集の本郷さんも野崎さんも気を使ってくれた。腰のことを考えて、とにかく調子に乗らないようにと途中途中で言い聞かせた。撮影は順調に進んで、さっと片付けてタクシーに乗った。特急列車にたまたま乗れてあっという間に駅に到着。予定よりも1時間早く帰ってきた。なんだか今日は面白いくらい移動がスムーズ。駅ビルで赤魚の干物とホタルイカの刺身を買ってタクシーに乗った。腰の様子は思いの外順調。どうしちゃったんだろう。帰れなくなったらどうしよう。そんな心配までしてたのに。夕飯は周ちゃんが買っておいてくれたインドなんとかっていうIPAのビールを飲んだ。本郷さんが帰り際に「よしみさん忘れ物!」とスタジオの外まで走って持ってきてくれたお土産のビールは明日の楽しみにした。本当はこっちが飲みたい気分だった。だけど周ちゃんが体調が悪いみたいで元気が無かったからそうした。「なにか嫌なことがあった?」何度か聞いたけど、お腹と頭が痛いのだそう。何でもないといい。

チーズトーストとソーセージ

朝食 24.4,2022

今日も朝から腰痛。「じっとしてるより適度な運動がいいんだよ。」先日にぎっくりをやった周ちゃんが言った。「歩ける?」「うん。頑張る。歩いてる方が楽だよ。」梃子と裏山へ散歩へ出た。雨がポツポツと降り出した頃だった。腰痛はどんどん酷くなっていく。何をしても痛くて仕方がない。家の中での生活がままならない。トイレに座るのも痛いし、食事をする為に椅子に腰掛けても痛い。階段は両手両足を使っていつもの3倍くらい時間をかけて上って、下るのも手すりに這いつくばりながら降りた。ああ、どうなっちゃうんだろう。心配ばかりが募る。仕事の合間に夕飯のハヤシライスを作った。こないだスーパーで特価だったスペアリブを水で1時間くらい煮込んで、軽く痛めた玉ねぎと合わせて1時間くらい煮込んで、人参と最初の方に入れる予定だったトマト缶を入れて30分、ハヤシライスのルー、きのこをいれて20分。ソースで少しだけ調味して火を止めた。ご飯は周ちゃんが炊いてくれた。お米用の無水鍋だって持つのが辛かったから本当に助かる。

夕飯はいつも通りの時間に食べた。周ちゃんはハヤシライスを目をまん丸くしながら食べてる。「すごい美味しいよ!えーすごい美味しい!!」「ただ煮込んだだけで大したことは何もしてないよ。」「すごいよ〜!」「腰痛が治ったらもっといいものを作ってあげるから。」と約束した。腰痛が始まってから家事も料理も殆どを周ちゃんがやってくれてる。親以外でこんなに世話を焼いてもらったのはきっと初めて。元夫なんて高熱の私に忙しいからとポカリだって買ってきてくれなかった。そういえば、先日ドライブ中に周ちゃんと歴代の彼氏彼女の甘えん坊ワースト合戦をやった。「いつもは几帳面でキビキビしてる子なんだけど、朝とか赤ちゃん言葉で喋る彼氏がいてさ。パンツ一丁で 私の腕をさすりながら “なんでベッドにいないのぉ、ぼくぅさびしかったよぅ” って。」「えー!!本当にそういうのいるの!?」「全然いるよ。彼は中々だったけれど。長男だし、もしかしたら家の環境で親に甘えられなかったんじゃないかなって思うんだよね。」「あとは靴下履かせてと言う男とかかな。」「えー!靴下って自分で履くもんじゃないの?なんで?え、なんで??」「何でと言われても、履かせてと言うんだもの。え?って思ったけど履かせたよ。」それは彼氏ではなく元夫の話。周ちゃんには言わなかった。私が寝込んでも頼んだポカリを忘れたと嘘をつく元夫のこと。

朝の4時40分にアラームをかけてベッドに横になった。横になるのも一苦労。だけど、横になったらなったで体が固まって寝返りがうてない。「周ちゃん、くるっと横に押してくれない。」「いいよ。介護みたいだね。」と周ちゃんが笑ってる。笑い事じゃないよと思いながらも散々と甘えさせてもらった今日も心から感謝感謝と思いながら寝床についた。明日の撮影、本当に大丈夫なんだろうか。とりあえず雨予報は無くなって天気だそう。天気はいいけど、撮れなかったらせっかくの天気も台無し。とにかく寝よう。今は寝るしか出来ない。

お好み焼き

Journal 23.4,2022

朝にSONYのデジコンが届いた。最近また日常を撮ろうと昔みたいにフィルムでとも思ったけれど、忙しい毎日の中でフィルムを現像、印刷するのも、高額になったネガフィルムをばかすか買うのは日常が撮りたい私にとっては非日常的過ぎる。どんどんと消化されていくものが日常なのに、カメラが嗜好品みたいに時々だけ手にとっては愛でる様な物になったら、大事な何かをきっと平気で見逃していくと思う。とりあえず首にぶら下げて周ちゃんと梃子を撮ってみる。使い慣れないズーム機能、「すごい、すごい。」と驚いてると周ちゃんが遠くで笑ってた。

木曜日の夜に痛めた腰がどんどん悪化していく。昨日は大分楽だったのに笑っても痛いし、座っても痛いし、なんだか腰を超えて足だとか内臓だとかも痛く感じてくる。立ってるだけでもそわそわしてくる。なんなんだろうこの感じ。午後に結婚ノートを持って近くの喫茶店に自転車で行った。まるで夏日の午後。周ちゃんは短パンにTシャツ。私も帽子を深く被って日焼けしないように大きめの薄手のシャツを羽織った。宮崎駿さんご夫婦がよく来られるという喫茶店。店内ではネゴンボ監修のカレーも食べれる。のんびりした午後みたいですごく良かった。私の腰痛を除いては。落ち着いたフリをしていたけどずっと何とも言えない痛さだけが続いた。ああ、痛い。時折走る激痛に「痛っ」と声が出る度に眉間に皺を寄せて心配する周ちゃん。「今夜は俺がお好み焼きを作るよ。」納豆とシーフードと豚肉とってバラエティーに富んだラインナップ。腰痛の為に夫が晩御飯を作ってくれる。夢見たいなシュチュエーションだった。それに、今日のお好み焼きも最高に美味しかった。周ちゃんは張り切って何枚も何枚も焼いてて、楽しそう。腰はどんどん悪化していくけど、周ちゃんが嬉しそうで良かった。

月曜は長丁場の撮影。大丈夫なんだろうか、この腰痛。東京まで電車に乗れるのか、荷物を持って歩けるのか、家中を這いつくばって歩いてるのに、大丈夫なんだろうか。不安ばっかりが募っていった。

焼き筍

Journal 22.4,2022

「愛してるから!」夕方の16時。周ちゃんが饂飩を茹でながら珍しくちょっとだけ大きな声でキッチンから叫んだ。周ちゃんの言葉に思わず笑ってしまった。周ちゃんってもしかしてもうすぐ死んじゃうのかな。よく思う。本当によく思う。しきりに思う。それって最期に言うような言葉だよね。恥ずかしくて嬉しくてどうしていいのかわからなかった。

今日は朝から診断書を病院へ取りに行ったり、皮膚科へ行ったり、銀行の名義変更。ためていた細かい用事を済ませた。駅を出たのが朝の9時過ぎ。帰宅したのは16時。途中に暑くて強い日差しにクラクラしてコーラを飲んだだけ。お腹もすっかりペコペコを通り越していた。「お昼食べてないの、こんな時間だし冷たい饂飩でもさっと食べようかな。」何も言わずに饂飩を茹で始めた周ちゃん。私は末っ子だから甘えるのは得意な方だと思う。だけど、まだ甘えてないよ、周ちゃん。今日会った色々を話した。うんうんと聞きながら饂飩を茹でる周ちゃん。「ねぇ、周ちゃん。どうしてそんなに優しくしてくれるの?」毎日ありがとう、ばっかり言ってる。きっと梃子はありがとうって言葉に意味もわからず飽き飽きしてるんじゃないかってくらい。いつもいつも。本当にありがとう、だ。だからって、「愛してるから!」だなんて返さないでほしいよ。困るよ。標本にでもしたいよ。ぺたっと時間を止めておきたい。夜の夜までずっと「愛してるから!」がリフレインした。

東京、楽しかったな。池袋なんて都会過ぎてビックリした。いつも遊ぶのは渋谷、青山ばかりだったからかな。世田谷区とか目黒区の事はよく知ってるけど思ってるより東京の色々を知らないかもしれない。帰りに駅ビルにあるロフトでジェットストリームのボールペンを買いに寄った。ジェットストリームはほぼ日の仕事をしてから使ってるお気に入りのボールペン。2016年からジェットストリーム一択。柔らかいタッチのペン先がスラスラと文字を泳がせてくれなきゃいやだ。銀行だとかホテルで丸くて太いボールペンに出会った時の私の萎え度は半端ない。あまりにがっかりして私の名前は最低最悪なぐちゃぐちゃのミノムシみたいな形となる。ロフトのペンコーナー。ジェットストリーム。探しても探してもない。あれ。おかしいな。絶対にないわけがないのに。あ!ジェットストリームコーナーが特設されてる。え!!あれだけ私言ったよね。ジェットストリームはカラーデザインを見なした方がいいって。なんとピカチュウとスヌーピーのコラボレーションペンが売ってる!!正直ピカチュウが誰なのかは知らないけれど、ものすごく可愛い。ああ、良かった。ようやく来た。しかるべき日が来たよ。ボールペンに600円。高い。だけど、買う。ピカチュウは誰だか知らないけど買う。

「なんとピカチュウのジェットストリーム!梃子みたいでかわいいよね。」「そうだね。」冷たい饂飩をすすりながら周ちゃんにペンを見せた。今日はリモートで家で作業していた周ちゃん。肌が助けた薄いTシャツに白いシャツを羽織ってる。家着にしてはかっこよ過ぎてないかな。色っぽいじゃないか。若い男には申し訳ないくらい興味がないのは周ちゃんの所為だ。中年男子の周ちゃんの色気。どうしようもない。

今日の献立
念願の焼き筍
春菊とハムのサラダ
ねぎと砂肝のナンプラー炒め
焼キャベツと黒豆の味噌
新玉ねぎのドレッシング
素麺
納豆

フレンチトースト

Journal 21.4,2022

今朝の梃子は飛び切り元気だった。可笑しいくらいに梃子は日に日に明るくなっていく。私と二人の生活に戻った時も気づいたら兎みたいにぴょんぴょん飛び跳ねていたのに、最近じゃ手の平サイズの赤ちゃんだった時みたいに世界に安心しきってる。「梃子はね、100語くらい言語がわかるんだよ。だから何でも言葉で話すようにしてるの。」周ちゃんは梃子の目を真っ直ぐ見てよく話をしてる。あの話しは嘘じゃなかったんだけど、周ちゃんは律儀にも人と話すみたいに梃子と会話してる。周ちゃんの前に座り静かにその話を聞く梃子。大体の話はわかっていそう。梃子とはもう10年以上一緒に暮らしてるけど、今の生活が気に入ってるのがわかる。周ちゃんの横で寝て、周ちゃんの膝の上に座って、周ちゃんにお気に入りのねずみや赤ちゃんの時からずっと一緒のグレーの猫の人形を毎朝、毎晩、ひつこく周ちゃんの元に持っていっては遊んでよと尻尾を振って吠える。そしてまた朝が来て、「周ちゃん、朝だよ起きて。」人間の言葉で言うならそんなフレーズで嬉しそうに吠え、周ちゃんと一緒に今日を始める。

「なんか今日の梃子はすごい元気だね、どうしちゃったの?」ちょっとはにかみながら困った顔の周ちゃんが梃子と一緒に起きてきた。周ちゃんのまいったなぁ〜って顔が私は大好き。寝ている周ちゃんを起こすのは止めて欲しいけど、あの顔の周ちゃんを見るとニヤニヤしてしまうから複雑。もし取っておけるならば箱にでもしまっておきたい。そして時々開いてはニヤニヤして楽しみたい。

今日は家で仕事。あっという間に夕方になって周ちゃんが帰ってきた。そのままお互いの書斎でまた夜まで仕事。18時を過ぎた頃に周ちゃんが部屋をノックした。「ちょっとご相談で。新宿テアトルで前に話してたデザイナーの平野くん。クウネルとかやってた。出てる映画が今日最終日らしくて。」「うん。行っておいでよ。トマトスープ作ってあるから食べてから行ったら?」

最高に美味しかった。こんなに美味しいスープパスタは人生で一番かもしれないってくらいに最高だった。昨日の塩だけで煮たポトフにトマト缶を入れて少し煮た後にナンプラーで調味してオレガノを少々。ラザニアのパスタをちぎって湯でボイルしたものをトマト味のポトフ鍋に入れひと煮立ちさせてからお皿に盛る。オリーブオイルを垂らして出来上がり。「あと2杯は食べれるよ。」「ほんと美味しい!」

周ちゃんが帰宅したのは23時。雨に振られてずぶ濡れだった。「おかえり〜!」「おめでとうございます〜。」丁度その頃にヤフオクで近藤昭作さんのヤマギワの照明を落札した事をLINEで伝えていた。ずっと気になっていた照明。畳の部屋の照明をどうするかずっとずっと迷っていたけどやっと決まった。外はまだ雨が強く打つ音がしてる。数時間だったけどひとりの夜、最高だったな。人の気配がしない部屋、私が暴れようが喚こうが誰にも何にも言われない空間。麦酒を1缶だけ書斎で飲んだ。どうせ私達は別々の形の中にいるのだから、同じ屋根の下にいなくたっていい。離れたら離れたでより一層に愛しくなったりもする。そんな気分に浸れた夜だった。

塩ポトフのトマトスープ
スペアリブ
ソーセージ
春キャベツ
新玉葱
人参

トマト缶
ナンプラー
オレガノ
オリーブオイル

塩以外の調味料は最後に入れる。スペアリブと玉ねぎは1時間程煮込んで、キャベツと人参を入れて30分程、ソーセージを入れて30分。翌日にトマト缶を入れて30分、調味してひと煮立ちさせる。器にもってからオリーブオイルをかける。リーブオイルをかける。

醤油ラーメン

中華 20.4,2022

ここ最近、元夫の夢を見る。昨晩もまた元夫は私をいつもの様に困らせていた。何がどうなのかは忘れたけど、どこにも逃げ場の無いようなもの。あっちに行ってもこっちに行っても嫌なことが起こる。じゃあどうすればいいの!と怒る自分にも嫌気がさしてきて。だけど、結局、元夫は私を愛していると何事も無かったように言い、私は全部を知っているのに綺麗に塗りつぶして愛のある場所へと戻ってくる。そう、誰かの愛とうちのそれは違うんだ。どれが良くてどれが悪いのかなんてみんなそれぞれ。これが私達の愛の形。だって暖かい。きちんと温もりを感じる。だから、多分大丈夫。きっといい。これが愛。そんな夢の中で、私の胸をプスプスと鋭利なもので刺す元夫に「ああ、またか。」と、途方に暮れかけた時、”もう嫌。こんな酷いこと、私は好きじゃない。” それは、元夫にじゃなくて私に強く言った言葉で目が覚めた。

暗闇の中の先で寝る周ちゃん。その脇に梃子がくっついて寝てる。周ちゃんも梃子もまとめて大きく抱きついた。有難い。本当に有難い。世界は狭いよ。だって自分の目でしか見れないのだから。誰かの目を借りれたらどれほど優しくなれたり悲しんだり出来るだろうか。もっと早くに大切な事にも気づけたかもしれない。私が当たり前だと思っていた愛の世界は、全くもって当たり前じゃなくなった。たったの二年前の話。コロナが置きて、合わせたように元夫の病も色々も酷くなってからの事。

どうして元夫の夢ばかり見るのかわからないけど、夢の中の私は過去にいるのに今にいた。未だ始まったばかりの生活はどこか地に足がついていないような毎日が連続してる。私の居場所は何処なんだろう。安全な生活、周ちゃん、心地よい時間だけがここにはある。梃子は驚くほど穏やかになって、野山を走り回ってる。最近私の体重はまた増えた。どんどんむくむくと大きくなっていく。これから、一体どうなるんだろう。どうなったらいいんだろう。もしかして、ようやく荷が降りたのかな。右へ行くも左へ行くも、我儘言える時がきたのかな。

料理写真を始めたのはどういうわけか元夫がおかしくなってきた頃。私がひとりで前へ進み始めたら、寂しそうにしてた。だけど、そんなのは愛じゃないよ。私には私の人生があるもの。会社を突然やめてきた時も、暴れた時も、嘘をついた時も、どんな時も決まって言うのは私が悪いから。だけど、私がお願いしたのは一つ。「歌って、歌が嫌になったのなら何でもいいから好きなことをして。」私はいつだって応援できるけど、あなたの夢は叶えられないし、叶えたくない。すっかり軽くなった。春みたい。そういえばフミエさんが筍だとか春の山菜を食べすぎると吹き出物がどっと出るよと言ってたけど、私の色々も出てきたのかな。そして新しい何かをするために栄養をまた蓄えてる気がする。春がもうすぐ終わる。

鯵の干物

夕飯 19.4,2022

特急列車に乗って東京へ向かった。車中で昨日フミエさんと話してたインスタのリールを早速あげてみた。なるほど。これがリールか。夢中になって携帯をいじっていたら少し電車に酔った。今日は目黒のハウススタジオ。ちょっと駄目なエリア。嫌いというか、あまり立ち入りたくない場所。別にいいけど、すごく厭。中目黒だったらきっと息を止めて歩くけど、目黒の先だし、まぁいっか。好きじゃないだけ。

今日は天気がすごくいい。目黒駅でタクシーに乗った。ああ、やっぱり東京はいい。東京のタクシー最高。本当に好き。ありがとう、タクシーの運転手さん。直ぐに来てくれるし、直ぐに思いの場所へ連れてってくれるし、私が好きなジャパンタクシーがいっぱい走ってる。タクシーはジャパンタクシーしか乗りたくない。じゃんじゃんあちこちを走ってるジャパンタクシーを見るだけで気分がいい。東京暮らしを離れて思うことは、東京は時々くるとすごく楽しい。

スタジオに強い日差しが入ってきてすごく気持ちが良かった。昨日はあんなに寒かったのに嘘みたい。初めましてな人ばかりだったけれど撮影は楽しかった。帰りの電車で読んだ江國香織さんの本 “泳ぐのに、安全でも適切でもありません” の中の”犬小屋” というお話。わからない。不思議な感情になった。多分、初めてかも。読んでるのに、無色透明に伝わってくるわからない。もしくは、もしかしたら、見ない知りたくない事なのかも。

その話は、他人から見ても仲睦まじいカップルが夫婦になっても愛し合っていて、主人公の妻は夫をその夫も妻を愛していたのだけど、そうだった筈なのだけど、いつも「うん。」って何でも聞いてくれる優しくて愛おしい夫が犬を飼いたいと言い出し1ヶ月かけて犬小屋を建て、ちょっと犬小屋で寝てみたいと言い犬小屋で寝出してから出て来なくなったという話。愛ってどこから愛でどこまで愛じゃないのか時々わからなくなる。ましてや夫婦になるとその線引きが毎日にどんどんと溶けていくのを知ってる。正直、今の生活、新しく始めた二度目の結婚生活があと何十年って同じ場所で同じように続く事に恐怖がある。昨日フミエさんと話していた事。「100%信じれるっていう関係にはなれなくて。周ちゃんが悪いとかそういうんじゃないんですけど、だけど、一定の距離は置いて置きたいです。」「よしみちゃん。流石、経験者だねぇ。」何だか、そんな気持ちをもってる自分が周ちゃんに申し訳ないような後ろめたさがどこかにある。全力で私に駆け寄ってくれる周ちゃん。私は両手を広げながら、しっかりと何処かにそれを隠してる。引っ越す前か引っ越して直ぐの時に東京に家が欲しい話を周ちゃんに話した。「機材用の倉庫を借りたら?」って周ちゃんが言った言葉に「そうじゃない。」ってちょっと強い口調で返した。そうじゃないよ。私は怖かったんだと思う。私達はそれぞれなのに、また曖昧になってしまうかもしれない事がきっと怖い。

夕飯を食べ終わって、いつもみたいにソファーで周ちゃんの実家で作ってる健康茶をすすりながら話した。「周ちゃんに借りた江國さんの本でわからなくて。犬小屋って話覚えてる?」「うん。あの江國さんの本は覚えてるよ。だけど、ちょっと忘れてるかも。また読んでみるよ。」「うん。犬小屋から出てこない男の人の気持ちが知りたいんだよね。」「うん。わかった。」この人とはずっと別々でいたい。大切にしたいから私からは離れていてほしい。

筍ご飯

夕飯 18.4,2022

今日は久しぶりにフミエさんのアトリエで写真を撮った。天気はあんまり良くない。だけど、いつも通り元気なフミエさん。毎度、はじめましてのように関心するのだけど、フミエさんって本当に素敵。一緒にいるとぱっと時間が華やかになる。それでもってご飯も美味しいなんて、そんな最高な事はない。今日もすごく美味しかったな。周ちゃんにお土産までいただいてほくほく気分で帰宅した。

駅を降りると今にも雨が降り出しそう。それに東京よりもずっとずっと寒い。なんだか甘いものが食べたい。駅前にあるミスドでドーナツを3つ買って帰った。玄関を開けると早く帰宅した周ちゃん。黒いシャツが素敵。明日は早いから今日はビールはやめて、筍ご飯を一杯食べて早々に寝た。

ロールケーキとチーズケーキ

お菓子 14.4,2022

一昨日に撮影データーを送った編集の成田さんからメールの返信があった。”めちゃめちゃ素敵です!!!” なんだかすごく嬉しい。嬉しい。雑誌RiCEの撮影はラフが無い事が多くて、現場での出来事を優先しているのかなって感じがする。多分。だから、何が起こるかわからないドキドキ感はあるけど、すごく楽しい。桃太郎だとかドラクエみたいに、それぞれが持ち前の武器だけ持ってとりあえず挑むような感じ。一昨日は編集の成田さん、編集長の稲田さんが現場に来られた。褒められた事が嬉しいっていうより、あの場所で写真を撮ったそれを一緒に掴めたような気がしてすごく嬉しかった。写真、やっててよかった。何だかすごくそう思った。

「今日はタルトが食べたいな。」「ケーキ買いに行く?」今日は雨だから家でリモートで働いてる周ちゃん。「スーパーのついでに行こう。」自転車は5年くらいビアンキを乗ってたけど飲酒運転でそこそこ大きな事故を繰り返していたのを理由に乗るのをやめた。一番喜んだのは母。タイガーリリーの長い三つ編みに憧れて伸ばしていた髪を切った時と同じくらいに私が自転車を卒業した事をすごく喜んでた。今思うと、20代最後から30代頭頃まで、母はよく私に呆れてた。そんな頃に出会った元夫は飲酒しては私のビアンキを公園なんかに乗り捨てて、早朝にひとりで自転車を探しに行ったこともあった。それから一年足らずであっけなくビアンキは誰かに盗まれた。中々高価なものだったし、何より思い出が沢山詰まった自転車だった。悲しかったけれど、悲しむ余裕が無い毎日だった。久しぶりの自転車ライフ。色々な想いとは裏腹にただ走ってるだけで楽しい。

周ちゃんが前を走ってる。切ったばかりの髪が素敵。ぼさぼさの髪型も気に入ってるけど、整った髪もいい。それに周ちゃんは背中が大きい。だからか顔がすごく小さく見える。埼玉の田舎でスタイリッシュなイケメンが自転車で走ってる。なんて素敵な光景だろう。マスクの下でニヤニヤした。

4時のおやつに開けたケーキに悲鳴をあげた。「どうしたの?」「ケーキが!」周ちゃんはフルーツロールケーキ。私はチーズケーキ。自転車のカゴの中で崩れたんだろう。チーズケーキの上にロールケーキのミカンが飛び乗ってる。「そちらの土地に行ったものはもうそちらのものだよ。」「だよね。やったー。」街のケーキ屋さんの味がする。素朴な味。美味しかった。あっという間に食べ終わっちゃって寂しい。なんだか最近すごく生活が撮りたい。