カテゴリー: Journal

京都風たまごサンド

Journal 20.1,2021

昨日、上原にある永井さんの事務所にお邪魔した。写真を見てもらったり、永井さんの新しいプロジェクトのお話しを聞いたり、たわいも無い事をお喋りしたり。

人って、それぞれだなって。当たり前なのだけど、何年経っても何度会っても変わらない。穏やかな人、静かな人、楽しそうにしている人、真面目な人、真っ直ぐな人、優しい言葉を使う人、強い言葉を使う人、不安そうにしてる人、直ぐに怒る人、いつも誰かの話ばかりする人、自慢する人。永井さんは夢を叶える人。遊ぶみたいに夢を叶える。

考えてみたら、そうだ。永井さんの周りで哀しんでる人を見たことが無い。誰か困ってる人がいたら「哀しんでないで、僕らと遊ぼうよ!」って仲間にいれてくれる感じ。そういえば、15年くらい前に永井さんと仲良しメンバー5人くらいで一緒に幕張に写真を撮りに行ったな。人と写真を撮りに行ったのは、あれが最初で最後だったと思う。楽しかったな。

永井さんの家には8年飼ってる猫がいて、こないだ写真が3000枚もある事に気づいたんだそう。絶対にペットロスになるって言ってた。写真って辛いよねって話をした。写真って記憶を忘れさせてくれない。いいんだけど、時々すごく辛い。写真をやってない人が羨ましくなる。

キャベツの餃子

Journal 20.1,2021

いつもは白菜の餃子だけど、明日から出張だし冷蔵庫に残ってるキャベツで餃子を作る事にした。それに、昨日はお酒を我慢したから、今日は麦酒を気持ちよく飲もうって決めてたので絶対に餃子一択。作りながら、和え物をつまんで麦酒。餃子を巻きながら麦酒。私の餃子はたねに、ごま油をたっぷり入れるので黒酢だけで食べる。

ひじきご飯と目玉焼き

Journal 18.1,2021

「マッチングアプリして!」
編集の山若君から相談を受けたのは、小豆島のレストランで。あれから数ヶ月、本当にマッチングアプリをする事になった。私は私じゃなくなって、誰かと出会う。そういう企画。

何だか抵抗あるなっていう気持ちと、どんな世界なんだろうっていう興味。だけど、いいよって返事したからにはやろう。勇気を出して登録。写真が苦手だから、私の顔写真が携帯の中には殆ど無い。昨年に伊勢神宮に行った時の写真を思い出した。友達とのライングループからダウンロードして登録。

「自分じゃない人になって欲しい。」そういうオーダーだったけど、そもそも、今の私は自分が誰なのかわからない。ついこないだまで、私は別の姓をなのって、死んだら入る墓は大阪だったのに、今はまた別の名前だ。マイナンバーカードは、次の更新まで新しくならないみたいで、大きく表示されてるのは今の私の名前じゃない。備考みたいな箇所に米粒より小さな文字で、今の名前が書いてある。きっとあと6年間、マイナンバーカードを出す度に、私の名前は違うんですって備考欄の本当の名前の事を説明しなきゃいけない。だけど、一体、本当の私ってなんなんだろう。

午後、山若君と駒沢のスノーショベリングに中村さんに会いに行った。「マッチングアプリで誰かになって、と言われても、今の私は空気みたいなもんだから、既にもう誰だかわかんない。」って、二人に言った。だけど、その意味が理解出来ないって言われた。そりゃそうだと思う。私だって今の自分がわからないんだもの。上手く説明出来ないよ。

「今の私を例えるなら、理科室の端っこにある人体模型。半分出てて、ヒリヒリするでしょ。不安でしょ。半分無いよね。」中村さんは、それいいねー!って喜んでたけど、結局、二人には理解されないまま話は終えた。

マッチングアプリでメッセージが来る人との私との会話もよくわからない。私は誰と対話してるんだろう。よくわからない見えないメッセージのやりとりを続けてる。

夕飯

Journal 15.1,2021

「今夜は仕事が遅いから、電話できるよ。」元気が無い姉が気になって、夕方にメールした。いつもは私が早く寝ちゃうから、時差の関係で中々夜は電話出来なかった。

23時ちょっと前。帰宅して、缶ビールとポテチを食べてたら、姉からのLINE電話が鳴る。今日撮ったデーターをPCにダウンロードしたり、少しレタッチしたり、麦酒を呑んだりして、お風呂に入って、歯を磨いて、お喋りはずっと尽きないままにベッドに潜った。そこからしばらく話は続いた。

ジェニファーロペスとか、ケイティーペリーとか、著名な女性が苦難を乗り越えたドラマをまとめた番組のyoutubeが一昨日にメールで送られてきた。

「見た?」
「見たけど、悲しそうな事しかわからない。」
「単語を拾えばわかるでしょ。」
「早すぎてわからないし、とりあえず悲しそうな事はわかったから。」

姉は最近になって気付いた事があるんだそう。

「皆が同じ事を言ってて、すごくわかるんだよね。絶望的な瞬間が来て、その時に一人ぼっちになって、孤独になって、恐怖の中に落ちてしまったって。ケイティーはコンサートの直前に夫から “離婚しよう” ってメールが入ったんだよ。ジェニファーは、家庭環境があまり良くなくて、子供頃から自分の居場所を探し続けて2度離婚を経験した。彼女達は、自ら一人ぼっちを選んだ事で、人生を変える事が出来たって。孤独はあまりに恐怖だった。だけど、行動を起こした。簡単じゃなかったって。自分の道を見つけるまで本当に苦しくて、大変だったって。お金や名誉があったから出来たんじゃ無い。皆と同じ様に孤独は恐怖なんだよ。だけど、そこに立ち向かった。だからね、悲しまないで。よしみは強かったよ。強さが無いと、選べない事なんだよ。」

急にそんな話を言われて、声が詰まって目が熱くなった。本当にそうなのかな。

妻だから、経済的に心配だから、子供がいるから、家族だから、もういい歳だから。自分の周りで、そういう声を沢山聞いてきた。その気持ちがとってもわかるし、納得してた。それが答えだって思ってた。私もそうだったから。

もしかして、夫を、彼を好きだから離れたくないと言わなかったのは怖かったの?一人になる事が不安だっていう気持ちが潜んでたのかな。怖い。私と同じ、怖かったの?

姉の友人のアッコちゃんが日本への移住を決めた。コロナで半年くらい日本に帰国してた。アッコちゃんは、20年前に姉とはモデル仲間として知り合った。数年後にL.Aに移り住んでチャイニーズアメリカンと結婚した。こないだ、四人の子供達と旦那さんと家族会議をしたんだそう。「ママは日本に住みたい。ここがママが暮らす場所だってわかった。だから、ママはこのまま日本に残りたい。皆んなはアメリカに帰ってもいいし、日本にいてもいい。だけど、どうしてもママとアメリカで暮らしたいって言うなら考える。」アッコちゃんにとって家族はとっても大切な存在。本当にいつも仲良しな家族。だけど、家族の前に、彼女は自分の選択を尊重したんだそう。

「私達には出来ない選択だよ。だけどさ、もう変えよう。自分にいつだって選択肢を与えないといけないよ。」


「実はさ、私、一回、キッチンで包丁を握ってる時に、このまま殺したら楽になれるかなって頭をよぎった事があるんだよね。」私の打ち明けた小さな秘密に、姉は大爆笑した。

「わかるー!私も、凶器そうな物を家に見つけては、これで殺せるかな。って考えた事あるよ。こりゃ一発でダメだなぁとか。」

「実は、もう一つあって。もう本当に耐えられなかった時、彼は病気だから怒っちゃいけないって友達に止められてた時、勿論、暴力なんて絶対にふるえないし、とにかく私は耐え続けなきゃいけなかった。どんな事をされても。病気が最悪だった大地獄の時期の事。夜中に泥酔して帰宅した彼のリュックが玄関に転がってて、そのリュックにはPCが入ってて、リュックを手に取って足元に何度も何度も真っ暗闇の中で落とした事があるよ。PC壊れてしまえって思って。今、考えると相当にイっちゃってるよ。」

姉は声をあげて笑ってる。

「相当やばいね!だけどさ、そこまで自分を追い込んで耐えないで良かったんだよ。逃げたら良かったんだよ。ずっとずっと早くに逃げるべきだった。自分が選んだ事。もう、これからは楽に生きようよ!」

私達は似てる。全然違うけど、似てる。夢中になったり、頑張りすぎて、誰かの為に自分を見失う事がある。なんだかすっごくスッキリした。夜中の2時。むちゃくちゃ笑い続けた。

楽でいよう。
ぐーたらしたり、頑張らないとかじゃない。不安を放置したり、今から目をそらす事でもない。楽しい方を選ぶ。自分が楽かどうかって事。もし、傷つけられたら許さないでいい。だけど、心に負った傷が、同じ様に誰かを傷つけない為に、そこから離れる勇気を持つ事も大切かもしれない。笑うだけが人生じゃない。だけど、笑う為の決断はできる。

東京で一緒に住みたいって姉が言った。
私の家には、デンマーク製の丸いテーブルに椅子が三つ。もう一つ欲しい椅子があって、それを買ったら、私と姉家族と一緒に食卓を囲める。ちょっと値段が高い椅子。欲しいな。今日はマグロ丼。三茶に破格な八百屋があって、その前にいい魚屋があって、先ず人がごったがえした中で野菜を買って、次にゆっくりと魚を買う。とっても楽しいコース。美味そうな若芽と、立派な鮭を2枚、夕飯用にネギトロを買って帰った。

夕飯
マグロ丼
セロリとワカメとはんぺんなどの味噌汁
小松菜とひじきのオイルとコレーグース煮
大根と柚子の浅漬け
納豆

1月14日

Journal 14.1,2021

当たり前の事なんて無い。

「マックのドライブスルーに並んでる時に悲しい事があった。」姉からLINEが入った。

「ドラッグや酒を買って欲しく無いから、浮浪者にはお金はあげないけど、食べ物を渡すようにしてるの。それで、好きなものを頼んでって言ったら、彼は小さなハンバーガーセット一つだけ頼んだ。話を聞いたら、41才で、もう家族とは4年会ってないって。何台もの車に邪魔だから、どけって言われてて、車で戻って声をかけたの。それに、今日、ヘレナの学校の仲が良かった用務員のおじさんがコロナで亡くなった。今日は辛い。」

「いい事したんだから、気を落とさないで。」って伝えると、「当たり前の事をしただけ。」って。それに、「最初は彼がいるのを知ってたのに、直ぐに声をかけてあげられない自分がいて、何だか情けない」って。

当たり前に人を傷つける人がいるように、当たり前に人の為に思い遣れるわけじゃない。「その行動は、今日、その人を生かす食事となったんだよ。悲しまないで。」ってLINEした。

丁度、昨晩にベッドで考えてた。
どんな事をしようが、人に酷い事をしようが、人は幸せに生きれる。考えても仕方ないんだけど、行き場の無い何かが夜中に留まった。人を殴っても、人を裏切っても、今、楽しく笑って酒と女と遊んでると考えると、寝れなかった。きっと夜が悪い。いい加減にして欲しい。こんな事を考えてる私がいやになる。

どうして、姉は辛かったんだろう。どうして、姉が傷つかなきゃいけないんだろう。世界って間違ってる。当たり前の優しさなんて無いのに。少し泣いてから、もう一通LINEした。「私は神様を呪ってるよ。」

「うん。けど、きっと、それは違うと思う。」

うん、わかってる。

食べる話と生きる話の写真集

Journal 10.1,2021

17時、渋谷は緊急事態宣言が出ても、まだ人が結構いる。編集の山若くん家の近所のカフェまで歩く。並木橋の交差点で信号が赤になった。丁度半年前くらいに、同じ交差点で同じ様に信号を待ったと思う。未だ夏のど真ん中で、暑いのか暑くないのかよくわからなくて、とにかく世界がずしりと重かった。

信号が青になるまで、不思議な時間を過ごした。
ここに立つ私も、私の前を走る車も、反対側で待つ人や、信号機に、ビルや街も夜も全てが軽やかだ。私にのしかかっていた何かはいつしか消えたんだ。あの重みは、一体何だったんだろう。

よく、事故の前にスローモーションに見えるって言うけど、私は私を苦しめるものがいなくなって、世界の重力が消えて見える。まるで自転車の重いギアから一番軽いギアに入れ替えたみたいに。くるくるとこげる。そういう感じ。寧ろ軽くて怖いくらい。

生きるって楽だったんだね。可笑しいな。軽いよ。とってもここは軽い。変だけど、全身が軽い。信号が変わって、カフェまで急ぎ足で向かう。

「写真を見てくれない?」そう、お願いしたのが半年前。あっという間のようで、果てしなく長い時間だった。話してなかった事を、ゆっくりと話す。夏はきちんと話せなかったし、出来なかった。ただ気持ちよくて撮ってた写真じゃないし、私が世界に嘘を吐き続けた年月があまりに長くて、どこからどう話していいのかわからなかった。

こんな日が来るなんて、変だな。変なの。山若君は本が好きな人。私が知ってる本好きの中でもダントツで好きな人。私の話を聞きながら、メモに何枚も何枚も、すらすらと装丁のイメージを描いてる。この人に相談して本当に良かった。楽しそう。

タイトルだけ決まった。
ずっとやってた菊地食堂じゃなくって、新しく始めた日記のタイトルになった。「新しい日記のタイトルを変えたの!eat new meっていうタイトル、可愛いでしょ!!」new meは、英語で心機一転とか、新しい自分とかそういう意味。「こんにちは、はじめまして、新しい私だよ。」私的にはそういう感じでネーミングしたけど、山若君はなんかエッチっぽいって笑ってた。だけど、カタカナで描くとすごくいいって、はしゃいでた。どっちにせよ、楽しそうで何より。私はタイトルが決まって嬉しい。

内容はこれから。思ってたより内容のボリュームがあったみたいで、纏められないってなった。「1500Pの写真集なんて無いよ!」って。確かに、ハリーポッターに出てきそうな魔女の本みたいになりそうだね。デザインも誰にお願いしていいのかわからないし、お金も数十万の話じゃなかった。ちょっとハードな内容になるし、何かを言ってくる人もいるかもしれない。だけど、人生は簡単じゃ無いし、仕方ないよ。生きてるんだから。毎日はそんなに美しく無いし、美しいのだから。

希望のある本になるといいな。

夕飯

Journal 08.1,2021

10年ぶりくらいに上町のオオゼキに行った。雑多な感じが無くなって、綺麗なスーパーになってた。オオゼキは野菜や果物、魚がいい。宝物探しするみたいな気持ちになる。それは昔から変わらない。

嬉しくって、ぐるぐるスーパーを歩き回る。楽しい。何も考えずに、ぽんぽん買い物かごに入れて行ったおかずは今夜のつまみとなった。

今夜はレバーのソース煮、牡蠣と蕪の豆乳煮、するめいかとブロッコリー、セロリの中華炒め、大根のぬか漬け。後、麦酒。

レバーのソース煮は、ソースと少しの醤油、ローリエで煮込む。ローリエがポイント。ポトフとかシチューじゃなくて、炒め物や炒め煮に使うと、ローリエの深い底力を知れる。なんて言ったらいんだろう。しっかりとした安定感。音符にしたら、ドの音って感じ。絶対にファとか、ラとか、そういうんじゃない。

レバーのソース煮
レバー [冷水でよく洗い、汚れや血を綺麗に取る。ここで手でちぎって食べやすい大きさにする]
ソース 大さじ2
醤油 大さじ1弱
水1カップ
ローリエ1枚

明太スパゲッティ

Journal 07.1,2021

夕方に緊急事態宣言が出た。
その頃、私は宗政君の家でプリントを刷ってた。

「もうくっついたり、離れたりは嫌だから、結婚しませんか?って、言ったの。」宗政君の奥さんが言った。付き合うっていうか、直ぐに結婚したんだそう。宗政君はお酒が回ってるからなのか、終始嬉しそうにはしゃいでる。こんな風に誰かと所帯を持つなんて想像もつかなかった。結婚って本当に不思議だなって思った。

家には明日パリに帰国する奥さんの大学時代の先輩がいて、パリに長いこと住んでたナオちゃんと友達だってわかった。「ナオちゃん、広尾においでよ!」。一時間もしないうちに、銀座にいたナオちゃんと皆んなですき焼きを囲んだ。何だかとっても面白い夜。

もう、くっついたり、離れたりは嫌だからって。なんかいいな。
恋愛が面倒だと思わないけど、面倒な人とは付き合いたく無い。友達でもそう。誰とでもそう。それに、一緒にいたらさよならする日がくる。大切な人とのさよならだけは避けたい。

最近、私はちょっと人より早く、さよなら体験をしちゃったのかな。そう想う事にしてる。私と同じようにさよなら体験をしてる人は世の中には沢山いて、だけど、そういう人の事を知らなかった。年老いたら、そうなるのかなって、何となく、薄々は気づいていたけど、怖くて知らないふりをしてた。

ちょっとだけ想像してたさよならは、現実とは全然違かった。「いつか死んじゃうと思ったら、大切にしなきゃね。」そんな程度の問題じゃない。さよならは身体がちぎれる位に痛かった。いやちぎれてる。完全にちぎれた。だけど、仕方ない。ちぎれちゃってるものは、どうにもこうにもならない。

もし、私を好きになってくれる人が現れたら、聞いてみよう。「もうくっついたり、離れたりは嫌だって。」

ジャンクな明太パスタが好き。病み付きな味。私は美味しいくらいしかわかんない人になった。これは決していい事じゃない。人として見てはいけないものを見てしまったからだと思う。いいも悪いもわからない。もう、美味しいとしか、言わない。

目玉焼きご飯

Journal 05.1,2021

朝か昼かわからない時間に目玉焼きご飯をした。
後は味噌汁、白菜漬、明太子、ブロッコリーを茹でたもの。

今の米が美味しくなくて、ちょっと悲しい。

夜は香川出張で出会った鎌田さんと代々木八幡のポルトガル料理を食べに行った。

「おめでとうございます!」
香川の夜、離婚する事を伝えると笑顔で彼女が言った言葉。あの時は裁判をするかどうか大変な時だった。一瞬で心がぱっと明るくなって、何だか拍子抜けした。私に「大丈夫?」って声をかけてくる人はいても、「おめでとう!」は始めてだった。

私より10くらい歳が離れてて、可愛いくて、しっかりしていて、自分に正直。とても聡明な女性。世の中捨てたもんじゃない。こんなに可愛い女性が同じ世界で楽しく生きてるのだから。

とにかく美味しくて楽しい夜だった。

今、悩んでる話を聞いた。悩みだって前向きな悩みだ。じゃあ私の悩みって一体何だろう。よくよく考えてみると、傷はあっても、もう悩みは無かった。

五目ちらしとたぬき汁と兄の白菜漬

Journal 02.1,2021

昨日の残りの五目ちらし、たぬき汁、兄の白菜漬け。それから、昨日たまちゃんがお土産で持って来てくれた蒲鉾、納豆。

今年の兄の白菜漬はちょっとしょっぱかったな。今日は寝正月だ。

午前はベッドで本を読み、昼になってもごろごろ。パジャマの上からコートを羽織って梃子の散歩に行き、遅い昼食を食べながらお酒を呑んで、これからお風呂。そしてまたベッドで読書と映画。朝にベッドで決めてた。今日は何が何でも私はパジャマを脱がないって。

LINEに金髪のマルコスがきな粉餅を食べてる写真が送られてきた。スーパーサイヤ人が正月に餅パーティをしている様子。平和だね。平和っていい。

私も完全に平和主義者となった。
刺激的な毎日なんて要らない。刺激レス。全然レス。誰に何と言われようが、誰かがお金をいっぱい持って遊ぼうって声を掛けて来ようが、君が僕の人生にとって必要だから来てくれ!と言われようが、私は私の楽しい事しかしない。この平和な世界を邪魔する人がいたら、永遠に無視だ。あと、意地悪な人や、暇を弄ぶ為に声を掛けて来る人もお断り。人に危害を加える人なんてもっての他、目を合わせるどころか見てもやらない。嫌な事があったら嫌な事を言う人がいたら、即刻退場。私がね。そんな世界は一ミリも惜しむ事なく私から退場する。

世界を平和で最高の寝正月な今日にするのは私。
明日も明後日も、同じく。平和が一番。

たぬき汁 [有元葉子さんのレシピより]
こんにゃく 1枚
豚肉 100g程度
長ねぎ
ごま油

味噌

大晦日

Journal 01.1,2021

目が覚めて、ベッドで変な事を思った。
私、もう誰かとセックスしていいんだ。

諦めていた事とか、無理だった事とか全部できるんだ。何でも手に入るし、何でも経験出来る。すごく、わくわくした。昨日と今日はそんなに変わって無い筈なのに、20歳の誕生日を迎えた時みたい。急に世界が広がった。

6時過ぎ。綺麗だな。朝になる時間がやってくる。


梃子はまだベッドで寝てる。一人で作業しながら時々窓に目をやる。朝陽が入る前も、入ってきてからも、この時間を見れる事が、毎日見てるのに、嬉しい。刻々と変わる静かな綺麗な時間。何度見ても飽きない。

今日まで日記を少しずつまとめてきた。大晦日までに終わらせたいって思って、終わった。数ヶ月前からずっと決めてたけど、中々、心が追いつかなくて手につけられなかったけど、1日1時間とか、1日2時間とか、少しずつ少しずつ、スピードを加速して、少しずつ、私の心に免疫をつけて進めてきた。向き合う事はやっぱり辛いから。だけど、終わった。嬉しい。やればなんとかなるもんだ。

午後は、年賀状を書いた。ほんの数十枚だけど、仕事でお世話になった人とか、伝えたい事がある人、師匠、数人の友人、想う人にだけ。名前が変わるから、何だか今年はやめようかなって思ったけど、こそこそしたくないから書く事にした。ぎりぎりまで迷ってたのに運良く年賀切手も買えて、年賀切手が可愛くてまた嬉しい。

こんなに大晦日を大切に過ごした事は無いと思う。今の所、人生で一番清々しい大晦日。一年の掃除と、一年の整理と、来年の支度をゆっくりと時間をかけてやる。いい日。

綺麗になった湯船に浸かりながら、ぼーっとする。夕陽が曇りガラスを照らしてる。この家の好きなところ。お風呂に夕陽が入る。毎日、この時間にお風呂に入りたいって思ってた。入れない日の方が殆どで、何だか毎日惜しい気持ちになる。だけど、今日は入れた。

いい一年だったとは言わない。だけど、今日はいい。いい大晦日。お風呂から出たら、ビールを飲もう。母が送ってくれた鮭とばも焼こう。じゃあ、ご飯も炊こう。

フレンチトースト

Journal 30.12,2020

今年の初め、編集のリリさんに本を何冊か借りた。
「リリさんセレクトでお願いします!」

読書が苦手な私の今年の抱負は読書。初めて手に取るような本がどさっと我が家にやってきた。色々もあって本を読める様な気持ちになれず、見知らぬジャンルに中々手が出せないままに結局、年の瀬。リリさんごめん。このまま返す訳にはいかない。読もう。

さくらももこさんの、”おんぶにだっこ”

1日10分でいいから読もう。寝る前におんぶにだっこを枕元に置いた。子供の頃の話なんて、全く興味無いよ。そう思ったのは5分位、読み始めて直ぐにケタケタ一人で笑い始めてる。

さくらももこさんが、何でちびまる子ちゃんっていうベストセラーを生み出したのかよくわかった。そういえば、子供の頃、世界があまりに未知で恐怖で摩訶不思議だった事を思い出した。私の恐怖は蜂だった。私は成人式を迎える前に蜂に殺されると信じていたし、どうしたら大人達はそんなに堂々と外を歩いてるんだろう。いつ蜂に刺されて殺されるかもわからないのに、本当に呑気で信じられない!って一人で苛々してた。

他にも沢山ある。私のベッドは朝ぐちゃぐちゃだけど、誰にもそれが見られたくないし、自分でも見たくないから、朝方にもぞもぞと綺麗に整えて朝を迎える。ぐちゃぐちゃのベッドを家族に見られた日は、苛々した。まだ、ここに来るのは早いよ!って。思い返してみれば、子供の頃は、苛々と恐怖の連続だった。

大人になって、子供っていうのは穏やかで伸び伸びと生きているね。なんて、決めつけるようになってしまったけど、子供には子供の悩みがあって、大人と同じ様に世界に必死だ。本、読んで良かった。りりさんありがとう。この本を手にしなかったら、あの頃の世界を忘れたままだった。いつだって人生に必死。何だか滑稽で可笑しい。

朝食はフレンチトーストを焼いた。蜂蜜をたっぷりかけて。

フレンチトースト
豆乳
甜菜糖
食パン

蜂蜜

ボールに卵を割り入れて、豆乳、甜菜糖を大さじ2入れて、よくかき混ぜる。パンを2枚入れて、上下にひっくり返して全体に卵液が染み込むように。フライパンを熱し、油を引いて、卵液の食パンを並べる。食パンの上に、余った卵液を垂らして、焼き目がついたらひっくり返す。中はふわふわ。外は少し焼き目をつけて。出来上がり。

eat new me

Journal 29.12,2020

食べる事は生きること、生きることは食べること。
怖がらないで、新しい毎日を食べよう。

先週、変な夢を見た。
姉が大量の血を吐いてて、私が背中をさすりながら「大丈夫。大丈夫だよ。」って言ってる。姉が大量の血を吐いたのは、ストレスの所為。そのストレスは私の色々を知って、それを全部受け止めてしまったから。昔、姉が怒り過ぎてホクロから血が吹き出した事があったけど、きっとその事がずっと胸にあったんだと思う。姉の吐く血は、まるで蛇口から勢いよく出てくる水みたいな速さで、すごくびっくりしたけど、とても綺麗だった。

目覚めてから、あまりに強烈な夢にどきどきしながらネットで夢占いを調べる。なんと、大金が入ってくる夢らしい。今の状況が悪ければ悪いほどに、大金だそう。やったー!姉にメールする。「私達、すごい大金が入るよ!」

昨日は昨日。今日は今日。明日は明日。泣いてばかりもいられないし、うつつを抜かしてばかりもいられない。

旧姓に戻す事を躊躇っていたら、友達がダサいって言うし、名前を変える事にした。さぁ、大金が入ったら家族や友人にご馳走しよう。飛び切り美味しいご飯を一緒に食べよう。

eat new me.





チキンカレー

Journal 27.12,2020

久しぶりのチキンカレー。我ながら絶賛。私のチキンカレーは美味しい。この美味しさを誰かにあげたいって思う。今日は林檎を一個すりおろして入れた。いい感じの甘さ、最高。

全部捨てた筈だったのに、彼の写真が久しぶりに出てきた。見ちゃいけない。見たくない、怖い。とっさに目を伏せる。いや、見よう。もし、怖いと思うなら見た方がいい。今から逃げてても逃げ続けるだけ。ちゃんと見よう。彼のどこが好きで、どこが嫌いだったのか。

一つ一つを思い出す。
アトピーだから、首元はよくただれていたな。髪はいつもボサボサで、フケもすごいから、肌にいいシャンプーを探してあげてたな。顔がそこそこハンサムだけど、服を脱ぐとこなきじじいみたいな体型で、夜出会って可愛かった女の子が、翌朝に別人になってベッドにいたみたいな、それくらい別人。なんか本当だらしなさが体に出てる人だったな。服はいつもボロボロ、いつも服を買ってってせがまれてた。なんでだろう。なんで私が服を買わなきゃいけないんだろう。お酒を呑むと変なテンションになって、お酒が入らないと借りてきた猫みたいで、子供みたいで、だけど、子供みたいっていい表現に聞こえるけど、それっていいのかな。

写真を覗けば覗くほどに、わかってくる気がした。
人生をいつしか諦めてしまったのは私なんじゃないか。

妻になったから、この人の悪い所全てを受け入れる。
私が求める事、やりたい事、望む事が叶わないのなら、世界からそれを捨てた。

彼が子供を要らないと言うなら、それでいい。みたいに。
実際に私達は子供が欲しかったかどうかはわからないけれど、それくらい自分を放棄した生き方になってた。私は一体何を望んで彼の妻として私の人生を生きてたんだろう。

彼の病気も、私の諦めも、同じように進んでいったんだ。
一緒にいれるだけでいい。本当にそうだったんだろうか。自分の人生の舵を誰かに委ねるような生き方は、そもそも間違ってる。夫婦でも、相手に委ねるものじゃない。できる方がやればいい、それも間違ってた。世界は出来る出来ないで作られてない。出来る人も出来ない人も同じように今を生きてるのだから。

結婚っていう幸せを手にしたから、私は人生を諦めちゃったんだろうか。

ああ、今日も最高なカレーだったな。
もう嫌だって、毎日、何度もどこかで人生をやめたくなる。
そうじゃない時間の方がずっとずっと多くなったけれど、そう思った時に全てもういいやってなって、ぶっきらぼうに適当な食事を食べると今日っていう日が何だかつまらなくなる。だから、やっぱり諦めない方がいい。

料理も人生も、今っていう時間を諦めない方がいい。

キムチチゲ

Journal 18.12,2020
キムチチゲ
アサリ
キムチ
豆腐
玉ねぎ(スープに甘みを出す)
ねぎ
さつま揚げ
にんにく 2片 すりおろし
ごま油

鶏のスープ
味噌

鍋にごま油を多めにひいて、キムチを炒める。(旨味を出すため。豚肉有りの時もこのタイミング)野菜(にんにくも)を入れて、しばらく蒸し焼きにして、あさり、キムチの残り汁、鳥のスープ、さつま揚げ、豆腐を入れて煮る。火が通ったら、味噌でほんのり味付けをして出来上がり。

食卓とラナンキュラス

Journal 18.12,2020

夜中の1時に目が覚めた。
最近は夜が早いから、寝る時間も早くなった。陽が暮れるとお風呂に入って早々に寝る準備に入る。ふかふかの真っ白のベッドに、梃子とお気に入りのお茶と一緒に飛び込む。たぶん8時過ぎには寝てたのかな。

心も身体も大変だった時期に、フジモンがよく私に言った言葉。「よしみちゃん、寝よう!今日は、まず寝よう!」彼女の言葉に何度救われたんだろう。本当のところ、実際にはベッドに入っても中々寝れない。目を瞑れば悪夢がやってくる。だけど、横になってるだけでいい。心はダメでも、身体が休んでくれると、そのうちに心も良くなってくる。人間の身体って、良く出来てる。

夢の中で、すごく久しぶりに彼に会った。
昔みたいに、酷い事をした時みたいに、私に必死に謝って、甘えてきた。今、思うと本当に3歳くらいの子供がお母さんに強請るみたい。

私の中で、もう終われた。きっと、もう本当に良くなったんだ。夢の中の私には、怒りや悲しみや恐怖なんて無かったし、もう騙されてもいなかったし、知らない女の人もいなかった。ただ、彼が甘えてた。

今更なんでこんな夢って思ったけど、私の中で少しずつ整理してるんだろう。私が手放したのは、彼ではなくて彼が向き合わなかった彼の問題なんだ。私が助ければ助ける程に彼は私に甘え、病気は進行した。

近所に住む朋子ちゃんがラナンキュラスっていうお花を持ってきてくれた。色々な形、色々な色のラナンキュラス。なんて綺麗なんだろう。同じ種類なのに、こんなに違う。同じ時間が、同じように世界を進んでいくのに、それぞれに美しい。人生ってのが、まだよくわからないけれど、毎日もよくわからないままに今日を始めてるけれど、きっと、たぶん、美しい。

デスクから見える、ラナンキュラス。食卓の上で、朝陽の中できらきらしてる。

自家製キムチ

Journal 13.12,2020

今日は友達と家でキムチを漬けた。
今年の2月に家で皆で漬けてから10ヶ月後。花沢さんは、あの後、妊娠が発覚して、一児の母になった。世界はコロナで大変な事になって、アリちゃんはすっかりyou tuberになって、私は新しい家で新しい生活を始めてる。たったの10ヶ月で、こんなにも色々な事が起きるのかって。

だけど、また同じ様にキムチを漬ける。笑いながら、お喋りしながら。

自分がここに立っていれば、大丈夫なんだ。
今朝、深夜のパリにいるまゆみちゃんとも、同じ様な事をメッセンジャーで話した。自分がやりたい事に夢中になってやる。それでいい。それだけで、きっと、どうにかなる。

フランスでは結婚しない人が多いし、大統領でさえしてないって。家族と結婚っていうのは、別の話なんだそう。名前を変える今、本当に辛い。何で女性である事でこんなに苦労しなきゃいけないんだろう。何でこんなに辛い経験をしなきゃいけないんだろうって。

もう名前とか要らないって思う。

手作りキムチ
水抜きした白菜 半玉
[ 出汁 ]
にぼし 60g
昆布 20cm
水 4カップ
上新粉 大さじ4
はちみつ 大さじ4

甜菜糖 大さじ2
長葱 2本
せり 1束
人参 1本
ニラ 1束
りんご すりおろし 2個
にんにく すりおろし 4片
生姜 すりおろし 60g

アミの塩辛 100g
ナンプラー 大さじ4
粉唐辛子 120g

ラザニア

Journal 09.12,2020

「夕飯なんていらねーんだよ!誰が作れなんてお願いしたんだよ。」

お酒が酷くなり始めた時に彼が吐いた言葉を思い出す。
夜中に泥酔する日々の中で私がお酒を止めてとお願いすると、夕飯を作るお前が悪いと怒鳴り散らした。私達のいつもの食卓が一瞬にして壊れていく。もう、私にはどうにも出来なかった。

食卓さえ温かくしておけば帰って来てくれると信じて、信じるしか無くて、いつもの様に好物を作って、冷蔵庫には彼が好きなものを入れておく。夏がくると毎年食べる、桐の箱に入った今にも折れてしまいそうに細い素麺は夏が過ぎる頃には友人にあげた。朝に焼くウィンナーも、食後に食べるアイスクリームも、全て、夏が終わる頃に捨てた。

食卓が好きだった。大切な人と食卓を囲むって最高だと思う。美味しいを一緒に味わえるって、そんな幸せは無いんじゃないか。1日の終わりに、1日の始めに、一緒に食べる。毎日やったって飽きないし、毎日美味しいし、毎日毎日、本当に最高な気分になれる。だって、目の前で熱々のチーズが溶けていくのを一緒に頬張れるなんて、チーズが冷めるまでの、ほんの一瞬の時間を味わえるなんて、最高な出来事だよ。

料理が大好きなのに、誰の為に作っているのかわからない食事を作る事が毎日なんだか辛いし、どこか後ろめたい。手を動かせば紛れる何かがあったけれど、やっぱり寂しい。気持ちの問題だと思うけれど、気持ちの問題だからどうにも出来ない。だけど、やっぱり料理が好きだし、食卓が好き。私の好きを失くしたく無い。

幸せは自分で作るものだと思う。だけど、一人じゃ幸せにはなれない。
大皿で作ったラザニアを一人で平らげるなんて、私は楽しくない。

今夜は後藤さんと家でお祝いをした。一緒にいて、心がほっとする人。美味しくて、とても幸せだった。

ラザニア
ミートソース [豚挽肉、玉ねぎ、セロリ、人参、ケチャップ、砂糖、トマト缶、コンソメ]
ラザニア
ピザ用チーズ

12月3日

Journal 03.12,2020

哀しい事があった。数ヶ月も前にあった事で彼が怒り、友達に電話があったんだそう。
友達は声を震わして私に怒りをぶつけた。彼が起こした行動なのに、どうして私が怒られているのか、よくわからない内容だった。胸が痛くなる。

人が怒るのは哀しい。とても哀しい。彼が未だに過去の事で怒っているのも哀しい。あれは自分の起こした罪だ。あの日は彼を残して誰一人として悪くない。私は朝まで帰らない彼を何も言わずに待っていただけ。いつもの様に。いつもの様に彼は嘘をついて帰らなかっただけ。大事な話の約束をしてたけど、当たり前のようにすっぽかされた。そういう日に起きた出来事。

もうこれ以上に哀しい気持ちになりたくない。自分だけじゃない。目の前で誰かが哀しむ顔だって見たく無い。友達が哀しむ顔も、知らない人の哀しむ顔も嫌だ。私には関係無いとは思えない、胸のどこかが勝手にひりひりとしてしまうから。もう本当に厭。

撮影から帰宅してすごく疲れてる。引っ越してきたばかりの家で、まだまだ心の整理もついてない、行き場のない不安だけが毎日を繋げてる。ぽろぽろと涙が落ちてきた。

彼は、私じゃない誰かも、自分の苦しみから逃れる為に平気で傷つけたんだ。どうして、彼にとって大切な友達を傷つけるんだろう。数ヶ月も前の事を掘り起こして、そこまでして自分の苦しみを誰かにぶつけても、楽になんてなれるわけがないのに。

引っ越しても、電車に乗っても、街を歩いても、私達の8年間の思い出が至る所にある。もし、あのまま我慢してたら、今でも私はあの家に住んでいただろう。帰らない彼を待って、寝ずに仕事に行って、作った食事は冷めたまま。だけど、そのうちに彼の病気が落ち着いたら、また一緒に食卓を囲める。季節が終わるように待てば、ずっと私達は一緒にいれたのかもしれない。私が友達に話さなければ、家族に話さなければ、病院へ警察へ行かなければ、弁護士の所に行かなければ、私は今も彼と一緒にいれた。毎日の苦しみから目を背けていれば、ずっと今も家族でいれた。ただ、食卓で彼の事を待っていさえすれば。

全て自分で選んだ。沢山の想いや選択があったし、ひとりぼっちになんてなりたく無かった。だけど、一つ一つの事から、もう、目をそらす事が出来ないし、ダメだって。彼からじゃない。自分から逃げちゃダメだって。

明日、ひとりで離婚届を出しにいく。なんで、今日に限ってこんな話を聞かなきゃいけないんだろう。一番に側で私を支えてくれた友人からの連絡は、とても残念で哀しいお知らせだった。

11月30日

Journal 30.11,2020

今日は、朝からママと梃子と松陰神社の新しい家に来た。ママは着いて早々にスーパーと商店街で食材を沢山買ってきて、冷蔵庫と冷凍庫をいっぱいにして帰って行った。

「離婚届を千葉に送ったから、今すぐにお金を振込んでって。」

朝4時に起きて、色々とバタバタ動き回って片付けとか何だとか、もうボロボロの身体を湯船に浸からせ、一息ついた時だった。にーちゃんからのLINEが入る。時間は夜の20時前。胸は全く痛くない、ただ、深い溜息だけが出た。

彼から送られてくる筈の離婚届は一向に届かなかった。役所に離婚届を二度、取りに行く。何で、こんな事を二回もしなきゃ行けないんだろうって、虚しくて悲しかったけれど、今想うと自分で行って良かった。結局、そうして私が白紙の離婚届を準備して彼に渡す事となった。

彼は、いつも私におんぶにだっこ。人前で華やかに偉そうにしても、家に帰ると私が全部、彼が出来ない事をした。大変な事が起きても、私がどうにかする。いつもそう。ドラえもんみたいに、私に泣きついてくる。支えてるつもりだったけれど、嫁になったらいい嫁のつもりだったけれど、全部つもりだったのかもしれない。独りよがりの愛情は、結局、こうやって離婚届を二度も取りに行く事となる。私だって、哀しいし、辛い。私だって、弱いし、甘えたい。どうして、いつも一人で強くいなきゃいけなかったんだろう。

本当は離婚届は彼に出して欲しかった。最期くらいは、一度くらいは。

しばらく自分の幸せを望めない気がする。私の事を考えたくない。私から離れたい。人の哀しい顔をこれ以上見たくない。救ってくれた家族や友人を大切にしたい、今はそれ以外に何も思いつかない。何で、自分がここにいるのかだってよくわかんない。

風呂から出て、濡れた髪のままで銀行へ走る。身体が未だ火照ってる。だけど、悲しくない。どうかしてる。もう色々な修羅場を見すぎて強い女になっちゃったのかな、それとも、心をどこかに失くしてしまったのかな。


11月28日

Journal 28.11,2020

千葉から始発で池尻の部屋に向かう。
時間になっても、引越し屋さんが来ない。20分位経ってようやくきた。だけど、トラックのサイズを間違えたみたいで、今日は出来ないとなった。

ずっとやっぱり、頭がぐるぐるしてる。
本当に今日という時間が過ぎるだけで精一杯だ。私の荷物は重くて重くて、1分でも早くここから出たいのに、出れない。

にーちゃんからLINEが入る。
哀しくて下らない内容ばっかり。「俺の何が悪い?俺の皿を返せ、俺の椅子を返せ。」ってさ。にーちゃんは未だに苛々してるけど、私はもうずっと呆れてる。椅子も皿もそれ以外も全部、要らないよ。全てあげるし、そんな話は聞いてない。きちんと想ってる事を今、言わないとあなたは一生後悔するよ。

家族は彼を許さない。気持ちはわかる。こんなおかしな事、もし兄弟に起きたら、友達に起きたら、簡単に許そうなんて思えない。だけど、裁判をして誰が幸せになる??裁判で勝って何が幸せ??彼を犯罪者にして本当に幸せに戻れる?家族にぶつける言葉はまるで、いつも自分に問いてるみたいだった。私の腹の内に落ちた苦しみは、もうどうにも出来ないんだよって。

新しい部屋の鍵を不動産屋さんから受け取って、新しい家のカーテンだけつけて千葉に帰った。パパとビールを呑んでると、ふと思った。悪い人って、もっともっと悪い人なんだって思ってた。今日ネットのニュースで読んだ若い俳優さんの記事を思い出す。そんな事で騒ぎ立てて、世間からバッシングされる程の事だろうか。

私の夫という人は、もっともっと悪い事を沢山してるよ。だけど、いい所だって沢山あって、落ちてゆく人を助け続けた私って、一体なんだったんだろう。

あと少し、あと少しなんだけど、踏ん張れない。
進もうとすると隕石みたいのが降ってくる。痛いけど進もうとするのに、また降ってくる。そして、また降ってくる。

11月26日

Journal 26.11,2020

今日がこの部屋での最期の夜。夕方、駅前にある文化浴泉に行ってきた。久しぶりだな。サウナに入ったら、夏の日の事を思い出した。

彼から久しぶりに電話が鳴る。ドライヤーで髪を乾かしてた時だったかな。心臓が止まりそう。直ぐに3分20円のドライヤーを切って電話に出た。内容はたいした事は無かったけど、凄く怖かった。そう、ただただ凄く怖かった日のことを思い出した。

今日でぜーんぶ綺麗さっぱり銭湯行って、サウナですっきりって思ったんだけど、哀しくなって帰った。そうだ、あの日にあの日もあの日だって、凄く苦しかった。電話を切って、不思議な気持ちだった。私には、病気の彼と、そうじゃない彼と、いつもの彼が入り混ざって、だけど、もう本当に限界だった。明日もまた、酷い事が起きる。彼を信じようとする自分がいるのに、明日が来る事に怯えた。

どうして夫になったのに、どうして世界で一番信用しているのに、この生活を壊したんだろう。私が何より大事にしてるのに、何より大事にしてるここを、テコを、傷つけたんだろう。何回、何十回、何百回と思ったけど、彼は加速して最悪になっていった。

銭湯を出て、濡れた髪で家まで走る。最期の夜に気持ちよく終わろうとした自分に後悔した。簡単に逃れられるわけがないよ。苦しい事の方がずっとずっと多かったのだから。いい思い出がある筈なのに、出てこない。濡れた髪がどんどんと肩の上で冷たくなっていく。


苦しい夜は、今日で最期になって欲しい。
もう、これ以上の哀しみを世界に見たいと思えない。

11月25日

Journal 25.11,2020

11月25日。空白の日だった。
あれが何時だったのか思い出せない。
離婚が決まった。

姉とLINEしてた時に、兄弟LINEにメールがはいる。にーちゃんからだ。

「終わったよ。」
協議離婚が固まったという内容だった。頭がまだぐちゃぐちゃ。本当に?本当に離婚出来るの?

彼の両親に書いた二通目の手紙の直後だった。最初からわかってた。彼には後始末が出来ない。だって、自分のした事について話が出来ないから、逃げるように家を飛び出して行った。

貯金を寄こせ、家具を寄こせ。惨めなメッセージばかりが、兄から入ってくる。「お金が無いみたいで、泣きついてきてる。」多分、両親が終わらせてくれたんだろう。直ぐにわかった。

この家を出るまで、後1日。

夜はキャベツとツナのナンプラーパスタ。写真を撮ったけど、消えちゃった。ずっと何だか動揺してる。この家から出ることが怖い。幸せになる事も怖い。一刻も早く、ここから離れたい。

ひっぱり素麺

Journal 18.11,2020

哀しい事があった。東京に帰ったらきっと、そうなるだろうって予測してた。だけど、こういう哀しみが待ってるとは思わなかった。

彼のお母さんには、2年前からお酒の事を相談し、一緒に彼のお酒を治そうって頑張った。彼が家で大暴れした時は、大阪から直ぐに東京に来てくれて、家族でお酒の事を話し合ったりもした。お母さんは、「何も知らない、彼はそんな事をしない、淑美ちゃんに悪いところは無いんですか?」って言ってる、全て知ってる筈なのに酷いよ、あの人。絶対に許せない。これ、犯罪なんだよ?姉が電話で怒ってる。うちの母は裁判するって。

また、人に裏切られたんだ。ずっと必死に頑張って信じてやってきた事は一体なんだったんだろう。私って本当に馬鹿な人間。ずっと哀しい午後だった。

夕方、薄暗い部屋に帰って、床に座った。哀しい。だけど、お母さんは私を傷つけようとしてる訳じゃなくて、彼と同じ、現実を受け止められないんじゃ無いか。今まで嫌がらせを受けて来たわけじゃない。それは、一緒に頑張ってくれた時間が証明してる。

人が人を傷つけるのは、自分を守る為なんじゃないか。彼もそうだった。自分が苦しみから逃れる為に、人を傷つけてしまう。決していい選択じゃ無いけど、仕方ない事な気がする。許すとか許さないの問題じゃない、哀しいのは、私が傷ついた心じゃなくて、その選択をしてしまったその人、そのものなんじゃないか。姉に言った。「みんなに伝えて。お母さんを咎めたりしないで欲しい。」

” 彼を救ってあげて下さい。” 先週にお母さんに書いた手紙は、簡単に意味が無いものとなった。彼もお母さんも、自分を守る事で必死だ。人はひとりじゃ生きていけないのに。少しの勇気があれば、少しだけでもいいから、自分の弱さを認めたら、ずっとずっと景色は変わる。

夜はやっちゃんが遊びに来てくれた。
一緒に、ひっぱり素麺をひっぱりながら、色々な話をした。大切にしたい。今も、側にいる人も、私の見える世界を大切にしたい。

ひっぱり素麺
美味しい小豆島の素麺
[タレ]
納豆
青ネギ
だし醤油
鯖缶水煮
お好みで卵


※ひっぱり饂飩
山形の郷土料理。鍋から饂飩をひっぱってタレをつけて食べる。
熱々の饂飩を食卓で楽しく食べる饂飩。

11月13日

Journal 13.11,2020

朝、4時に起きる。動き出そう。私がやらなきゃいけないんだ。直ぐにパソコンを開いて、彼の両親に丁寧に手紙を書く。

2年前から彼の酒乱の事を相談していた両親。一度、大暴れした時に、大阪から東京へ駆けつけてくれた。お互いに苦しい想いを散々してきた。彼を救って欲しい。どうか話をして欲しい。もう彼を救えるのは両親しかいない。兄も姉も、母も父も、皆んなが怒ってる。私の家族が怒りで傷を負い始めてる。もう止めたい。セブンイレブンで手紙と、アルコールの記録をプリントアウトして郵送をする。10時40分、チェックインの時間まであと少し、急いでパッキングする。頭が今にも割れそう。

高松駅の駅前のスタバでチャイティーを頼んだ。フェリーまでの時間、少し落ち着こう。これから友達に会うのだから、こんな顔して会いたく無い。少ししてLINEが鳴る。姉だ。

携帯から飛び出るような早口な声。怒ってるけど、何だか爽快だった。姉の意見は私と同じ。全部こうなる事なんてわかってた。本当に酷い事ばっかりだった。もう、これ以上相手に関わらないでいい。調停なんてしなくていい。裁判もしなくていい。

遺産相続で3つ目の裁判が終わった姉。嬉しそうに言った。
「最近、新しい目標を作ったんだけど、聞いてくれる?あの人達にされた事は法で裁かれたけど、今でも煮えくりかえる程に辛い。だけど、許そうと思って。だってさ、私が許さないって思う時間が嫌だなんだよね。」

「うん!私もそう思う。だけど、もし道で倒れてても、もう助けないよ。」
「地球で最期の一滴の水が目の前にあっても、絶対に譲らないね。」

1時間くらい、大声で笑って、話して、フェリー乗り場へ走った。出航まで後10分。私の人生を明るくしてくれるのは家族や友人。だけど、笑うのは私なんだ。

11月12日

Journal 12.11,2020

出張先での撮影が終わって、ホテルに帰る。心が切れそう。これはいつまで続くんだろう。セミダブルのベッドに横になる。こういう時は頭が全く動かない。辛い、哀しい、辛い、哀しいの繰り返し。感情が思考を支配する。

疲れた。

朝から開けなかった兄からのLINEを読む。「彼との話し合いが上手く行かない、よしみに怒りを露わにしているよ。調停をしよう。」

怒りなんて、とっくに失せてる。もう救いたいとも思わない。ただ、救われて欲しい。誰でもいいから、少しでもいいから、彼の側で彼の話を聞いてあげる人がいて欲しい。今、現実を見ないと、戻って来れなくなる。それは私も同じ、今から逃げちゃいけない。ここにあるものが苦しくて苦しくて堪らなくても、誰かのせいにしちゃいけない。自分で選んで歩いてきた筈。どっちが悪いじゃなくて、自分が前に進む為に痛みを飲み込む。

あかりちゃんに伝えたくなって、メールを送ると、直ぐに電話が鳴った。20分くらい話をして、気持ちが追いついてくる。

私は、調停も裁判もしたく無い。

「これはモラハラ問題です。酷いですね。裁判をやれば勝てます。」弁護士さんの言葉に心は全く響かなかった。裁判してどうするの?兄はここ最近ずっと怒ってる。「こんな酷い事をされて、相手は逃げ得になるんだよ?それでもいいの?」

酷い事をして、俺は知らないと声を荒げて言うのは、認める事が出来ないだけだと思う。自分を守る為には、もう怒るしか無い。それは、決して得なんかじゃない。それは自ら泥沼にはまっていくようなもの。哀しい事だよ、だから、どうかやめて欲しい。

蕪のトマトスパゲッティ

Journal 09.11,2020

昨晩、東京に帰った。
家まで編集部の方が車で送ってくれた。雨が少し降っていて、生ぬるい夜。

この部屋に帰る度に悲しさが溢れる。
不毛だってわかってるけれど止められ無い。何回も何十回も、何百回も思う。「どうして、こんなに苦しまなきゃいけないんだろう。」

幸せだった。結婚してからも、結婚する前も、ずっと本当に幸せだった。お酒の事を除いては毎日がとても幸せだった。後出しジャンケンみたいに、沢山の人が口を揃えて「ほら、言ったじゃん。」って。幸せが無くなっていく毎日をどう思って、そんな事を言うんだろう。

兄から、彼と連絡を取ったとLINEが入る。
あまりいい内容じゃなかった。大体想像は出来てた。

あと何回、胸が潰されるように苦しんだら、私は普通になるんだろう。彼はきっと、これから鬱に入ると思う。冬にかけて、来年にかけて鬱に入ると思う。その頃には私達はもう他人になってるだろう。こんなに酷い事があっても、私は彼を嫌いになる事は出来ない。むしろ、兄を通してだけど、彼に会えた様な気がして、ほっとした。嫌いたいのに嫌いになれない。

神様という人がもしいるのなら、どうして、彼に病気を授けたんだろう。どうして、彼の様な弱い人間にそんな事をしたんだろう。彼には、直ぐに根をあげてくれて、他の男に飛びつく様な女が似合うのに、どうして私みたいなのが彼の隣にいたんだろう。

もう、本当に厭だ。喉のあたりが、ずっと満タンで、ぎゅっとなってる。哀しみが一気に溜まってしまって、声が出なくなるやつ。

11月8日

Journal 08.11,2020

栃木に出張。行きの車でずっとJpopが流れてる。彼の事を思い出して吐き気がする。知らない人の声なのに嘘つきの声に聞こえる。

歌を聞くのが辛い。どうしても彼に重ねてしまう。突然にやってきた彼の酒の時期。病気なのはわかってる。だけど、それが彼だった。ずっとずっと前から私は悲鳴をあげていたのに、私の手で両手で口を噤んだ。

「私なら大丈夫。」何百回と心の中で言ってきた口癖は、今、私を苦しめる。

いつもそう。撮影が終わると、急に世界がやってきて寂しくなる。自分が一番不幸だなんて思ってない。ただ、果ての来ない悲しさの中で、どこにも着地できないだけ。だから、私は手っ取り早く私を責める。責める理由が尽きる頃には、また悲しみに飲み込まれる。どうして、私はこんなに疲れちゃったんだろう。

寂しくて、どうしようも無い毎日が終わらない。

11月6日

Journal 06.11,2020

朝の4時、姉からLINEが入る。
” 本当によく頑張った。だけど、監禁されてたわけじゃない。あなたのチョイスだから。新しい人生を始める事に集中しよう “

何度も何度も話し合って、彼はいつも人が変わったように「僕を信じて。」と私の目を見て訴えた。選べない。そんな人を置いて出て行く事なんて、私には絶対に出来ない。酔っ払って暴力を振るっても、「二度としない。もう傷つけないから。」その言葉を諦める事が出来なかった。「今夜は帰るよ。」という言葉を信じて、彼と一緒に食べる為の食事を作った。

私の人生な限り、全ては私が選んだ事になる。だけど、私と彼が決めた事。一緒に暮らそう。一緒に食事をしよう。一緒に生きていこう。結婚をしよう。ちょっと、すっぽかした約束なんかじゃない。

そんな簡単な約束じゃない。

姉の言葉はわかってる。とにかく、”もう離れて。”そう言ってるんだと思う。悲しい理由なんて探しても、答えは見つからない。