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鯖缶とトマト缶

18.9,2023


いつもなら帰宅して風呂に入ったあとはビールだけど、今日はサイダーを飲んだ。そもそも炭酸を飲むのだって久しぶりだ。もちろん、魚も。お粥や経口飲料以外のものは、ここ1週間口にしてない。

帰宅してとりあえず目についた鯖缶。無性に食べたくなって油をひいたフライパンに身を乗せて、蓋をして、少し焼き目がついたところでホールトマトの缶詰を入れてまた蓋をして放置。しばらくして、あ、やばいかもって、焼けた音がジリジリしてきたら出来上がり。少し焦げたトマトと、勝手に出来上がったとろとろのトマトソース。

熱々は胃に良くないから、できるだけゆっくりと、だけど夢中になって口に運んだ。こんなに食べることに真剣になったのはどれくらいぶりだろう。まるで無人島から帰ったばかりみたいな気分だ。皿の中のすべてはあまりに鮮やかで目一杯で瑞々しくて、それと同時進行に私の中に入っていく食物がそのライブ感になんだかとても感動した。それから何も入ってない感じのラーメンを作って、スープにカボスを並べて食べたけど、案の定、強い腹痛に襲われて横になった。その後はトイレの往復を重ねて、そのまま気を失って寝ていた。

今日の現場は久しぶりの花沢さんと、ミカちゃん、編集の成田さんだった。なんて私のお腹に優しいメンバーだろう。ミカちゃんとはかかんのMVみたいなものを撮影して以来の現場だし、花沢さんとだってキリンの仕事以来。こういう仕事をしていると出会ってもう2度と会わないような人にも出会う。だけど、会って別れてまた会ってみたいな人もいる。

それぞれの人生がそれぞれに交差して、またそれぞれになっていく時間に出会う度にそれは飽きることなく純粋にまっさらな気分で嬉しくなる。私が死ぬときに残るのは、もしかしたら写真ではなくて、こういう時間なんじゃないかと思うくらいに。

ミカちゃんは京都へ行くかもしれないそうで、次に会う時はどんな形で会うのか全く想像できない。そんなミカちゃんの未来は、まるで自分の未来を想像するかのようにわくわくする。花沢さんとだって、成田さんとだってそうだ。花沢さんとの出会いは料理家の先生が開いたキムチ作りで、毎年キムチを漬けているどこかの年に子供を産み、みんなでキムチを漬けてる横で転がっている年もあった。今ではもうその子は3歳で、花沢さんが旦那と喧嘩をすると「やめようよ。」と止めてくれるらしい。そして、成田さんと出会ったのはまだ成田さんが大学生の時だったのに、今では副編集長となった。それに、最近じゃモテ期到来で大体はいつもふたりで恋の話をしてる。少し前に終わった恋の話はまだ聞いてないけど、次の始まってもない恋に勝手に胸をときめかせている。

誰かの人生は誰かのもの。だけど、人生は私のものばかりを見てたって面白くない。人の人生と自分のそれがくっついたり離れたりして、明るかったり温かい気持ちになったり、時に摩擦された皮膚が痛かったりしたとしても、どちらにせよ、その光景はまるで映画のワンシーンのように美しくて、やっぱりそういう時間が愛おしい。

アジフライ

29.5,2021

キャノンの新世紀の公募展が今年で最後。あんなに歴史ある公募展が失くなるなんて。時間もあるし、出してみようかな。そう思ったのは一ヶ月前くらい。締め切りは郵送で明日必着。本当は今日の夕方の最終で郵便局に走りこもうと思ってた。後、数枚プリントをして箱に入れて終わりだったけど、やめた。

今回審査員になった横田大輔さんの応募者へのコメントがとても良かった。
” 何でこんな事をやってるんだろう、その繰り返しが、いつか作品を生み出す可能性となる。そこに小さな希望を感じています。”

少し前までの私ならとにかく作ったものは放出する事が答えだと思ってた。気持ちがいいから。それが作品を営む行為だろうって。だけど、どんなに信じたからって、どんなに向き合ったからって、一つずつ積み上げてきた積み木を崩す勇気が必要な時もきっとある。

朝に起きて写真を見て、違うって決めた。作品を作るにはとにかくお金も時間も労力もかかる。横田さんのコメントを読んで、ぐっときた応募者は多いんじゃないかな。デートも食事も飲みの誘いも全部断って、ずっと作業。楽しめればいいけど、結構孤独。この作業が、正解なのかそうじゃないのかもよく分からない。頑張ったからってお金を貰える訳でもない。溜まっていくプリント。外に出れば出るほど、作品は薄まるし、内観をするのともちょっと違う。多分、写真へ飛び込む感じ。

もしかしたら、恋愛も、結婚も、仕事も、写真を忘れるには、とってもいい理由だったのかな。夕方に食べたアジフライの小骨がずっと喉に引っかかってる。

文旦と蛸と新玉葱のマリネ

, 洋食 19.2,2020

今夜はアカリちゃんが遊びに来てくれた。今日も夜更けまでお喋りがつきない。夫の悪愚痴も散々吐いて、聞いてもらった。今、とても寂しい。最近の夫はまた少しおかしい気もする。だけど時々あること。夫はまるで家出したかのように家庭を脱ぎ去りツアーにでると、殆んどおとさたがない。明後日、10日ぶりくらいに帰ってくる。

文旦と蛸、新玉葱のマリネ
文旦

新玉ねぎ
オリーブ油

米酢 少し