カテゴリー: 中華

ワンタン

中華 26.3,2022

朝から晩まで今日も片付け。天気は台風みたいで風が強かった。梃子の散歩の途中で周ちゃんがミモザをとってくれた。背が高い男はいい。

餃子

中華 23.3,2022

「何だか凄く疲れたから、今日は力になるものを食べよう。」そんな話を昼食時にして夜は餃子になった。周ちゃんは午後からミュージアムへ出かけた。朝から一日中片付け。疲れたな。梃子がトイレに慣れなくて朝と晩に散歩へ出た。

夕飯
ご飯
ワカメの味噌汁
うるめの酢味噌和え
焼き餃子
ピーマン入り麻婆春雨
納豆

麻婆春雨

中華 01.3,2022

午前はデスクワーク。午後は近所のしみるさんと今むの展示を見にみどり荘へ。久しぶりのみどり荘。知り合いが何人か働いてる。ちょっと会えたら嬉しいなと思ったけれど、仕事中だろうし展示だけ見ることにした。

3Fのギャラリーからは小学校か何かの青いプールが見える。空も青い。もうすぐ春なんだな。風が温かくてわくわくした。今むはまた髪が伸びてた。会うたびに髪が伸びてく。何だかんだと世話になってる気がする。ただの遊び友達、彼女もいないし誘いやすい。ひとりで食べるには何だか勿体無いような料理を作った夜なんかに食卓を囲んでビールを飲んだりもした。

結構いい絵だった。毎晩飲み歩いてると聞いていたけれど、ちゃんと描いたんだなって感じで驚いた。誰かが頑張ってる姿は嬉しい。何だか自分のことのように嬉しくなる。展示をすると高揚する気持ちばかりが先行してしまうけれど、心は思っている以上に疲れる。「よく頑張った!!」先生や親みたいに褒めて帰ってきた。

しみるさんとバイバイして、Appleで修理に出してたノートパソコンを引き取りに行き、青山で予約してた夏のワンピースを取りに行った。久しぶりに青山ブックセンターへ寄ってみる。今日は全部をぐるりと回ろう。高校生の時によくよくやってた。図書館だとか、大型本屋をぐるりと回る。興味のあった心理学のコーナーもよく通った。見知らぬ言葉が沢山あって、すごくドキドキしたのを覚えてる。やっぱりもっと勉強したいな。

写真を撮る事や写真の仕事は大好きだけど、それだけで私の時間を埋めたいとは思わなくなった。それに、派手できらびやかで忙しなく移り変わる場所よりも自分の周りにある世界の方がずっと魅力的に見える。年齢関係なく友達なんてまさに面白いの宝庫だし、夫となった周ちゃんもまるで地球外生命体みたいに未知の生き物。本だって料理だって一生かけても終わらないくらいの量がまだまだ待ってる。

ずらりと遠くまで並ぶ本を前にもっと写真以外の事をやってみようと思った。人生なんてあっという間に終わっちゃうんだから、今だって昨年の春に亡くなった石井ちゃんが毎日にやってきては後悔を繰り返してるくらい。もっともっと話しておけば良かった。もっともっと遊んでおけば良かった。友達になってくれてありがとう、いつも優しくしてくれてありがとう。かけられなかった言葉でさえ沢山ある。後悔したってもう遅い。過去はただの過去になっちゃうみたいに、未来だってきっとただの未来なんじゃないか。だから、やってみよう。過去も未来も要らない。今が丁度よく好きかどうかでいいんじゃないか。

麻婆春雨 [栗原はるみさんのレシピ]
春雨 100g 熱湯で2、3分茹でて水気を切っておく
合挽肉 200g
長ネギ1/2、にんにく・生姜1片 みじん切り
—–
紹興酒 大さじ1
豆板醤 大さじ1
——
顆粒鶏がらスープ 小さじ1をカップ1の湯で溶いたもの
醤油 大さじ3
砂糖小さじ1
—–
花椒 砕いたもの、ごま油 適量

フライパンにみじん切りにした長ねぎなどを炒め、肉を入れて炒め、豆板醤を入れて炒めてから、紹興酒を入れる。鶏がらスープ、醤油、砂糖を入れて煮立ったら、春雨を入れて煮汁がすくなるなるまで少し煮る。仕上げにゴマ油を花椒を振る。

春菊と豚肉のワンタン

中華 21.2,2022

朝から撮影。久しぶりに会った編集の野村さんに籍を入れる事を報告した。付き合った当初、数日前にプロポーズされたと話したら「えー!?」って、酷く驚いてたけど、あれから3ヶ月。また結婚するなんてすごいと言ってた。そうだよね、そう思う。だけど、私は強いタイプじゃない。捨てられない思い出以外は捨てる。昔の彼氏に貰ったバッグを今でも当たり前のように持てるほど上手に強く生きていける女じゃない。「どうして?」って聞かれて、「修行です。」って答えた。修行って言葉が一番しっくり来る。苦しみや色々を総括してやりがいがあるって意味で結婚生活は楽しいと言えても、結婚は楽しいものじゃない。ただの楽しさで言ったら彼氏の方がずっと楽しい。

明日は何をしよう。独身最後の日。朝から打ち合わせ、Appleでパソコンの修理、中西くんとギャランティーの清算とランチ、その後は瞳ちゃんと買い物。予定が結構詰まってる。ダイニングテーブルの花も買いたいし、夜に乾燥させてるスルメイカを塩辛にしなくちゃいけない。夜はいつもの様にひとりで晩酌をして、酔っ払いながら梃子と色々な色々な話をしたい。

ワンタンスープ

中華 13.2,2022

昨晩は周ちゃんのキュレーター仲間の高橋くんに婚姻届の保証人の欄にサインして貰った。高橋くんが周ちゃんにアプリやってみなよ~って言わなかったら、超硬派な周ちゃんには一生会えなかったと思う。高橋くんに初めて会った時、アプリ市場には中々見ない周ちゃんという男を参入させたと誇らしげに話ていた。高橋くんはバツイチ。離婚の理由を軽く聞いたけど、簡単じゃなかった。多分、私と似たような話だと思う。その悪夢がどこまで進行しているのかは本人にしかわからない。いつか高橋くんが楽になる日が来たら、うちの食卓で高橋くんの好物なんかを食べながら聞かせて欲しいなと思った。

今日は病院の後にもう一つの保証人の欄を埋めて貰う為に後藤さんのお宅にお邪魔する。週末だからなんとなくお土産のチーズケーキは4つにした。もしかしたら、後藤さんの彼氏のまさくんもいるかもしれない。「周ちゃん、後藤さん家は家じゃないからね!プレスルームだから。」家までの道のりで何度も伝えた。

周ちゃんとまさくんは一度ミュージアムで会ってる。今日で2度目だからなのか会うなり色々と話し始めた。私と後藤さんはコーヒーをすすりながらチーズケーキを食べ、その会話の中から抜け出すようにソファーへと向かった。婚姻届を開くといつもの様に後藤さんはニコニコと笑ってる。達筆な字ですらすらとサインして、今朝2時間も探したのだという印鑑を押した。「人生、何が起きるかわからないね。」私だけに聞こえるような小さい声で言った。「ほんとですね。」私も小さな声で返した。17年ぶりくらいに再会した後藤さん。1回目の結婚で私達夫婦がもう手に負えないくらい最悪になってしまった時、直ぐに私の家に駆けつけてくれて、ただそっと寄り添ってくれた。こんなことってあるもんだ。もう二度と会わないかもしれなかった遠いい昔にお世話になった先輩が今の私を救ってくれた。大切なのは勿論今だけれど、人生は今日だけを見なくてもいい気がした。振り返ると、長く果てし無く続いた今日までの道のりには沢山の人の顔が見える。もう会わなくても、会えなくなったとしても、ずっと大切にしよう。今日さえ幸せならいい。今日一緒にいる人が幸せならいい。そんな事でもないのかもしれない。

怒涛の週末だった。結婚の準備、産婦人科、家探し。家に帰って、しばらく周ちゃんとソファーで話をした。ふたりともすごく疲れてる。

残りのワンタンで春雨スープ

中華 13.2,2022

とにかく疲れた。朝から天気が悪いけれど、なんだか有難い。残りのワンタンをさっと巻いて、春雨、ねぎと一緒に湯にかけて、鶏ガラスープ、オイスターソース、黒酢で少し酸っぱいスープを作った。食べる直前にラー油をかける。夜は気づいたら寝てた。

餃子とご飯

中華 09.2,2022

調子が悪い。ご飯はよく食べてるけれど、ちょっとイライラしたり、小さい事が気になったり。周ちゃんに会いたいけど、そうでも無かったりもする。ひとりだけの毎日が恋しい。もう脱げない何かを纏ってるみたいな感じがする。それは暖かいのだけど、今日みたいな日は要らない。今でも、多分、1時間後の今も周ちゃんが大好きなのだけれど、その想いの中にいる私が、何だか何だろう。煩わしく思う。

もやしラーメン

中華 08.2,2022

朝から撮影。朝はちょっと寝坊して5時半に目が覚めた。家を出るまでに資料にもう一度目を通しておきたい。梃子の散歩は10分くらいで早々にすませた。「テコ、ごめんね。今日は帰ろう。」家を出たと思ったらあっという間に夜になって、スタジオからの帰り道、タクシーでぼんやりと窓の外を見ながら帰路に着いた。今日はもやしラーメンにしよう。周ちゃんに会いたいな。家にいたらいいのに。

お風呂に入ってビールをあける。時間は20時ちょっと前。お腹が空いたな。ラーメンを作り始めた。もう2月か。何だか今さらだけど、最近また驚いてる。指輪を買ったのが11月の終わりの方。出会って2週間くらいだった。2月に出来る指輪を楽しみに待っていたけど、勝手に時間がやってきたような気もする。指輪を取りに行く日に結婚しようって決めてる。未だお店からは連絡がない。本当に私達は結婚するのだろうか。今月に私は本当に熊谷という姓になるのだろうか。

高山なおみさんの餃子

中華 07.2,2022

久しぶりの我が家。何を食べよう。うーん、餃子にしよう。キャベツの餃子は久しぶりだ。今日は夕方に卵管造影検査というのをした。きちんと精子が子宮の中を通って卵巣に到達するかっていう検査らしい。片方の卵管の通りが怪しいらしくすごく痛かった。「痛かったら言って下さいね。」「先生!痛いです。」何度か言った。

寝る前に周ちゃんとビデオ電話をして、今日の検査の話をした。病院で貰った手帳を見せて細かく説明すると真剣に聞いていた。やっぱり周ちゃんは子供が欲しいんだろう。私の身体は今のところ年齢的な問題はあるけれど、致命的な問題は無さそうな感じだった。片方の卵管の通りが良く無いかもしれないと先生に言われても別にショックじゃなかった。まぁ、そんな事もあるでしょうと思ったし、それで赤ちゃんが出来なかったとしても仕方ないよねって他人事のように先生からの診断もあっさりと聞いていた。私にとっては特別に悲しい話じゃ無い。だってもういい歳だし、今までも赤ちゃんは希望してこなかったから何一つおかしい話じゃ無い。

もし気になることがあるとするなら、周ちゃんが子供を望んでいた場合にその期待に添えないことくらい。だけど、そんな事では落ち込んだり自分を責めたりはしたくない。だってそれは私のオプションだから、もう既にフル装備してる。特別美人でもないし、お金だって必要な分しかないし、社会性も欠けてるし、直ぐに落ち込むし、誰かを嫌いになってしまう日だってある。完璧ではないけれど完全なひとりの人間だもの。


高山なおみさんの餃子
豚ひき肉 150g
キャベツ 1/8 みじん切り
ニラ 1/2束 みじん切り
ニンニク 1片 みじん切り
ごま油 大さじ1
酒 大さじ1
醤油 小さじ1/2
オイスターソース 小さじ1
餃子の皮

麻婆春雨

中華 22.1,2022

婚姻届は提出する区の役所に取りに行かなきゃいけないのかと勘違いしてた。全国共通なのだそう。「じゃあ、渋谷区役所に行かなくていいじゃん。スーパーに行く前に役所に寄ろう。」辺りはもう直ぐ夜。少しだけ夕方が残ってて何だかいい夕方って感じ。今日は午後から書き初めをして家訓を書いた。”幸せは二人分、悲しみは半分。” 嬉しい楽しい時だけじゃなくて、困った時も助け合ってみよう。お互いに過去にそれぞれ苦労があった。その時に学んだのは、自分で自分を救う術。ひとりで生きるのは強くいられるからいい。だけど、恐れずに信じて分けようって話をした。まだ付き合って直ぐの頃に。

土曜日だから時間外窓口への階段を降りた。おじさんが二人。こちらが開口する前に婚姻届を手に取ってたように思う。「二部頂けますか。」「大丈夫、間違えちゃうよね。二部入ってるよ。」何だかすごく可笑しかった。スーパーへ向かいながら、おじさんの真似をしてケタケタ笑う周ちゃん。周ちゃんはすごく大人な方だと思う。真面目だし、我慢も得意。仕事もバリバリして、周りの人に気を使う事も自然に出来るのだけど、実は結構子供っぽい。なんなら私よりもそうかもしれない。ずっとおじさんの事で嬉しそうに笑ってる。あのおじさん、そんなに面白かった?婚姻届を貰ってそんなに嬉しい?何だか今にもスキップしてしまいそうな笑顔の周ちゃんが可愛くて仕方ない。

食後にお茶を飲みながら婚姻届を眺める。「何だか、ドキドキするよ。」と、私。「いつ書く?周ちゃん、いつ書く?」「今、書こう!」周ちゃんはシャーペンで下書きを始めた。私は面倒くさいから、どうせ二部あるしとボールペンで書き始めた。せっかくだから下書きしてる周ちゃんを携帯で動画を撮ろう。「携帯の動画もさ、いつか何十年後は見られなくなるよね。」「そうね〜。」話半分の周ちゃん。「デバイス問題って何なんだろうね〜。」「ね〜。」真剣に書いてる。また名字が変わる。次は熊谷。仕事の活動名を下の名前にしておいて本当に良かった。印鑑も屋号も全部、よしみにしてる。名字が服を着替えるみたいに簡単に変わってしまっても大丈夫。対策は万全。私のアイデンティティはもう二度と崩壊させない。

水餃子
春菊 みじん切り
レンコン みじん切り
豚肉
ごま油


麻婆春雨
春雨100g 2、3分で湯がいて水を切っておく
豚挽肉 200g
C ネギ1/2、にんにく、生姜 大さじ1をみじん切り
ごま油 ひと回し、ホワジャオ 大さじ1
A 紹興酒、豆板醤 大さじ1
B 甜菜糖小さじ2、中華だし小さじ1、水1カップ、醤油大さじ3

Cを炒め、肉を入れてさらに炒めて、Aを入れて炒める。
Bと春雨を入れて水分が飛ぶまで火にかけて、最後にごま油とホワジャオをかける。

塩豚のホワジャオスープと焼いた卵

, 冬の料理, 中華 19.1,2022

今日はスッキリと目が覚めた。やっぱり早寝早起きはいい。昨晩は周ちゃんと電話しなかった。周ちゃんとの時間も楽しいけれど、やっぱり私の時間が好き。外は未だ暗いままで朝はしばらく来なそう。白湯を飲みながら色々を進めた。気づいたら9時過ぎ。慌てて支度をして駒沢公園へ映像の編集で使う為に空を撮りに出かけた。公園に着く頃には白い雲が辺り一面に広がってる。あーあ、なんだよ。帰ろう。

帰り道に松陰神社の商店街にあるお花屋さんへ寄った。店番をしてるお爺ちゃんを見る度に近所のフォトグラファーの渉さんがお爺ちゃんの話し方のマネするのを思い出してちょっとおかしくなる。「チューリップ下さい。すみません、一本でもいいですか?」「いいよ〜。150円ね。」チューリップの札には200円と書かれてるけど、いつものように少しまけてくれた。「この花、ちょっと短いの。いる?三本あげるよ〜。チューリップにはちょっと合わないけどね〜。」結局、4本の束のお花を抱えて家路に着いた。紫色の綺麗なお花。名前を聞いたけど忘れちゃった。何だか可笑しいな。

帰り道はインド人がやってる肉屋の通りを入って小さな公園の裏を通るのがお馴染みのコース。そして真っ直ぐと通りを家の方へと向かう。この道も何回歩いたんだろう。少しでも家が華やぐようにとお花を買い始めたけど、寂しいとか怖いとか不安だとか、私が1年の間に落としてきた色々がまだこの通りに残ってるみたいで少し頬が冷たく感じた。

帰宅して昼食を食べながら姉と電話をした。兄の事だとか、結婚とか夫婦とか、色々な話をした。最近姉がハマってる後ろ歩きについての話もした。「後ろ歩きで坂を登るのが超難しいんだけどさ、頑張って登り切るでしょ。最近は登れるようになってね。それで前へ向いて歩くと、すっごく楽に歩けるんだよ!」「あっちゃん。それは後ろ歩きしてたからだよ。」「違うよ!超歩きやすいんだってば。すっごく快調なんだよ。色々が。」姉の事はよく知ってるけれど、沢山の事をまだまだ知らない。とりあえず嬉しそうだからいいや。とにかく沢山笑った。それから、結婚がいいもんじゃ無いって話もした。うん、これから二度目の結婚をしようとしてるけれど、そう思う。結婚はいいもんじゃ無い。

兄は幸せだったと思う。どうして元気が無いのか姉は少し聞いてるようだったけれど、結局姉妹の推測でしかない。ただ、姉も私も結婚に苦しんだことがあるから、その虚しさが少しでも想像できる気がした。妻になる。夫になる。父になる。母になる。役を担うのは簡単。どうにかして頑張ればいい。だけど、難しいのは役に自分が喰われないようにすること。頑張れば頑張ってしまうほどに喰われていく気がしてる。嬉しい楽しい苦しい悲しい、色々な時の自分が気づいたらどんどんムシャムシャと。いいよって言ってないんだけど、家族が夫が妻も一緒になって食べてる。誰も意地悪してやろうなんて一切思ってないし、それって生きる為に必要だったりそうじゃなかったりなんだけど、私の栄養が私が生きる為のそれが気づいたら底をつくまで喰われていく。「お腹空いたから今すぐ何か作れる?」「ご飯もう作らないでいいよ。作ってなんてお願いした?」「全部別々でいいから。好きにさせて。じゃなきゃ離婚でいい。」「今日は早く帰れるから一緒に食事しよう。」「お土産に醤油買ってきたよ。」家に居たり居なかったりがよくわからない元夫の口から出る言葉は全くよく理解出来なかった。抱きしめられたり突き飛ばされたり。とにかく私を蝕んでいった。あの頃の私は何を担っていたんだろう。今でもよくわからないけれど、戸籍には妻だったと書かれてる。

電話を切ってから少し考える。姉はしばらく一人で生きたいって言ってた。誰かを想うことで自分を失ってしまう時間が来るのはもう嫌だって。私もそう思う。だから誰かと一緒になりたいとは思わない。結婚はするけど、ずっと別々でいたい。周ちゃんが家族の何かを担おうとしたり、それで苦しんでしまったりしたら、どうかここから離れて下さいとお願いしようと思う。離れて欲しく無いけど、切り離された場所は露わになって私は生きづらくなるかもしれないけど、それでもいい。それがいい。

塩豚と大根のスープ 按田餃子の按田さんのレシピ
塩豚 [豚肉に5%の塩を揉み込んで数日冷蔵庫で寝かせる]
大根
生姜
花椒

焼餃子

中華 22.11,2021

「月曜日は振替休日にしようかな。」結局、周三君は火曜日まで泊まる事になった。「午後に三本打ち合わせがあるから、終わったらスーパーへ行こう。」周三君は、振替休日だと言ってたのにダイニングテーブルでずっと打ち合わせをしてる。私は自分のデスクで納品作業を進めた。少し離れた所に彼が見える。いつもよりもディスプレイにずっと近づいて彼の顔が見えないようにした。

「夕飯に餃子はどう?」満面の笑みで承諾する周三君。彼がよくする子供みたいな素直な反応にいちいち心が踊る。可愛いな。お風呂に入ってビールを飲みながら一緒に餃子を巻いた。何の話をしてたんだろう。よく覚えてないけどずっと楽しかった。周三君は学芸員という仕事をしてる。だけど、そんな話は殆どなくて、22、23才の頃に二丁目のゲイに世の中の酸いも甘いもを教えてもらったとか、アイヌのウポポイの研究での刺青の話だとか、沢山の話を子供を寝かしつける親みたいに優しく話してくれる。だから、いつどこでどんな話をしたか覚えてないくらいに、いつもとにかく楽しい。そうして、何だか覚えてないけど沢山笑った話の中で、私が不意に「そう言えばさ、何か言う事なかったっけ?」って意冗談混じりで聞くと、餃子を手に持ったまま真剣な顔でプロポーズをしてきた。「これは歴史に残るね!」嬉しそうに笑ってる。何だか色々が目まぐるしくてよくわからなかったし、数日前のLINEでのプロポーズの事も話半分にしておこうと思ったけど、この人となら何だか幸せになれそうな気がした。

お土産のラーメン

中華 10.11,2021

お昼はアキチャンがお土産にくれた棒ラーメン。シンプルに卵だけおとした。

午後はふみえさんのアトリエへ。写真を撮って、打ち合わせをした。ふみえさんとの会話は楽しい。ずっと話が尽きない。新しく買った食器棚が可愛かったな。

帰り道、渋谷駅の乗換で後ろ姿が亡くなった友人に似ている女性を見かけた。しばらく目で追いかける。黒髪のショート、身体の線が細くて、肩がゴツゴツしてる。ゆったりとしたパンツをお洒落に着こなして、静かに歩く。名前を呼んだら満面の笑みで振り返るんだと思う。

私が知っている限りだと、あの子が人生の最後にセックスした人は彼女が好きな男だった。見えなくなっていく女性を見ながら不意にそんな事を思い出す。彼は彼女がこの世界からいなくなった事を知ってるんだろうか。

一人になってもうすぐ一年。こないだアキチャンが「大丈夫だよ。」って、男性への不信感を払拭出来ない私に言った声がすっと身体の中に入ったまま、今も胸のところにじんわりとある。

もやしラーメン

中華 07.11,2021

今日は編集のアキちゃんと自由が丘で仕事。アキちゃんに会うのは一年ちょっとぶり。最後に会ったのは、夫が帰らない家で餃子会をした夏の暑い日。あの時は、誰かが家に来てくれるだけで、生きてる実感が湧いたように思う。会っていない間に色々な事が起こったけど、あまり話さなかった。

アキちゃんは2年前に離婚してる。初めてアキちゃんと代官山でお茶した日にアキちゃんの会社の近くで話してくれた。「あっという間だったけど長い一年だったよ。」撮影が終わってお昼を食べに行く途中に私が言った。アキちゃんは離婚したあとに日常がちゃんと戻ってくるまで、どれだけ長い年月がかかるのかを知ってる。この1年の事を詳しく話さなくても、何となく大体はわかってたみたいだった。だから、とくに聞いてこないし、私も言わない。

遅い昼に蕎麦を食べながらビールを飲んだ。アキちゃんはいつも明るくて元気だけど、今日は何だか穏やか。色々な話をして、最近の話を聞いて、今付き合ってる人の話も聞いた。恋多き女は、色々を清算し、たった一人の男にゾッコンなのだそう。彼との馴れ初めや、どんな人なんだとか、仕事は何をしているとか、もう一杯お酒をお代わりして色々とお喋りした。芸能活動していた元夫の事をすごくリスペクトしてるけれど、悪い部分もちゃんとわかってる。今の彼にしか無いものが自分にとって必要。アキちゃんの言葉は私の心の声みたいに聞こえた。

「今までずっと陰を持った人とばかり付き合ってきたけれど、今は明るい人がいいんだよね。」

カウンセリングで愛の新定義についての宿題があって、ここ一ヶ月ずっと考えている。最近ようやく答えが見つかった。それは “明るい人”。アキちゃんも話していた明るい人。それは場を和ませるとか、面白い話ばかりするとか、元気な人っていう意味じゃない。生き方が明るい方向へ進んでいる人。それは私と一緒だった。

離婚をしたら沢山恋をしてやると離婚当初は思っていたけれど、愛していた夫と離婚をして簡単に誰かと恋になんて落ちる事が出来ないまま、あっという間に時間だけが過ぎて1年。心はようやく過去から引き剥がされて今を生き始めてる。アキちゃんに今日会ったのは必然だったのかもしれない。幸せそうに話すアキちゃんと一緒にいる時間がすごく幸せだった。それに、笑顔がとても可愛かった。帰り道「今日、よしみちゃんと会えて本当に良かった。」ってアキちゃんが言った。結局最後まで色々は喋らなかったけど、やっぱりアキちゃんは色々がわかってるんだろう。バイバイしてからも、電車の中でしばらくLINEをした。次はアキちゃんの彼と三人で飲もうねって。

ニラ麺と麦酒

中華 13.6,2021

気持ちのいい夕方が続いてる。
昨日から作品をまとめ始めた。一気に年末にまとめたのだけど、見返したら酷いものだった。泣ながらやったから。本当に苦しかったな。歯を食いしばりながらまとめてたと思う。自分の書いた文章を読んで、自分の撮った写真を見て泣いて、淡々と黙々とそれを繰り返しながら作り続けるって、なんてシュールな年末年始。今となってはちょっと笑えるかも。


ほうれん草の水餃子

中華 10.6,2021

仕事から帰って、荷物を置いてスーパーへ直行。ビールと納豆を2パック買って帰宅。お風呂にざぶんと入り、梃子にご飯をあげる。片手にビール、片手にパリのマユミちゃんからの手紙を持ってベランダへ。段々と薄暗くなる夕方の中でぐびぐびと飲む麦酒。最高に幸せ。文通を始めてから、クリスマスの朝みたいな日が毎月やってくる。なんて事のない日々の話を綴ってるだけなのに、何だか特別。お互いに必ず日付を書いてる。メールをしたら直ぐだけど、手紙を書くと東京とパリの物理的な距離がどれだけ遠いいのかって事がよくわかるし、私達がそれぞれ暮らしてる今日がどれだけ別なのかって事を知らされる。それは個人的な事も社会的な事も色々。あまりに色々。誰かに決められた時間の中で私達は暮らしてるけれど、もしかしたら違うのかもって思える今や未来や過去を自由に行き来出来るこの文通がとても気に入ってる。ポストから受け取った手紙をワクワクしながら開封する。今日はelder berryのお茶が入ってた。私は前に味付け海苔を送った事がある。前回は5年前くらいにパリで撮った写真を送った。マユミちゃんがシッターしてたファミリーの子供の写真。

手紙に、”6月1日、誕生日が来たよ”って書いてある。10日前の今日のパリで彼女は誕生日を過ごしたんだ。とても嬉しい。すごく幸せな気分。メッセージで「おめでとう」と、「嬉しい」って送った。後はまた手紙に綴ろうと思う。

昼に姉からマルコスの卒業式の写真が送られてきた。家族で笑顔の写真。あ、姉は幸せの回収が始まったなって。電車の中で、目がじんわりした。嬉しい。すごく嬉しい。二人姉妹揃って聞いた事が無いような悪夢を見た。酷い現実に「お前らなんなんだよ!」って兄が愚痴をこぼしたのが今年の初め。私を救ってくれたのは兄でもある。家族みんなでもある。本当に兄の言う通り、死霊のはらわたに呪われた姉妹。そろそろ呪縛から溶けてきたかな。

撮影のちょっと前、早く到着して時間を潰してたら姉からLINE。「最近さ、脳と対話してるんだよね。トレーニングしてる。」「どう言う事?」「今、よしみの脳はどこにいる?」「今、高尾の方。」「それは感情ね。」「いいえ、今高尾にいて、お腹が痛い。撮影前なのにお腹がゴロゴロ。」「感情が言ってるから無視して。」「だから、私は今高尾。」「お腹は痛く無い。絶対に大丈夫。」「ありがとう。トイレに行ってくる。」

私も実は最近、脳のトレーニングをしてる。姉が読んでる本とは別だけど、感情をコントロールする事をしてる。姉は感情は悪いって言う本を読んでいるらしい。それにしても、アメリカは沢山の知識がある。何か一つの事でも膨大に文献があって、こっちには片手くらいしか無かったり、古かったり。沢山の人が生きている国なんだなって感じる。お互いに別々の場所で、同じような事を考えながら、全然違う世界で感情と脳のトレーニングをしてる。

残り物丼

中華 09.6,2021

暑い。暑くて最高。
だけど日中の部屋の中はヌメッとしてて眠くなる。今日は朝からクーラーを入れてみる。身体が間違って11時になる前にランチを食べ始めた。嗚呼、美味しい。残り物ってなんでこんなに美味しいんだろう。トウモロコシの炊き込みご飯に、揚げ茄子と蛸の和え物、ジャスミン茶の煮卵。温かいご飯に冷たいおかず。しみしみおかず。パクパク食べて、午後はテスト撮影。明日はちょっと遠くにパンを撮りに行く。

ジャスミン茶の煮卵
半熟に茹でた卵
ジャスミン茶葉
水 1カップ
醤油 1/2カップ
砂糖 大さじ2
お酢 大さじ1
八角 1個
シナモン 1片
ホワジャオ 小さじ1



豚のワンタン

中華 07.6,2021

今日は家の近くで撮影。憧れの料理家、大先生のアトリエでの仕事だった。ADのシミルさんと一緒だったから、気持ちはリラックスしてる。だけど、やっぱりどこか緊張。自然光を活かしたかったけど、ライティングを少しだけ使うことにした。

料理が簡単そうに見える。切る、煮る、混ぜる。所作がすっとしてる。長年キッチンに立って淡々と料理を続けてきたのだなぁ。惚れ惚れと見てた。撮影は予定より2時間早く終わった。暑い。アトリエを出ると強い日差し。夏の強い太陽。

帰ってお茶をして、作業を始める。マウスを握りながらうとうと寝てた。あ、寝よう。ベッドにテコと一緒に横になるとあっという間に夕方。1時間くらい寝たのかな。何だか沢山夢を見た。幼馴染が電話で怒ってた。初めて彼女が怒るところを見たけど、これ、あのトラウマだ。彼女は怒らないし、怒られるような事はしてない。半年前に仲が良かった友人が私にした事。きっと脳がリプレイしてるだけ。あの時の突き刺さった何かが今も刺さったままなんだろう。また眠りについて1時間くらい経った頃に目が覚める。今度は元夫が出てきた。内容は覚えてない。どちらにせよ怖い夢を二つ見た。

ぼんやりした身体でサミットに行ったけど、これって物が見つからない。安くなってた豚の挽肉と酎ハイを買って帰宅。冷蔵庫にあるワンタンの皮があったな。そうだ、ワンタンを作ろう。

先生、すごく素敵だった。帰りにシミルさんと話してたけど、素敵だから人気の先生なんだよねって。私達が若い時は大人が怖かったし、怖い事をされた経験がある。それは当たり前で、中には修行だからと言って暴力を振るわれていた人もいた。上司や師匠や先輩は神様みたいに何でもしていい存在みたいで、嫌な経験を機に業界や仕事を辞めたっていう話も聞いた事がある。昔は仕事や会社を辞める事は良いイメージが無かったから、我慢して働き続ける人が多かった。私も一度、正社員で入った制作会社である時いきなり減額。その時は徹夜で帰らない日も続いてた。理由がよくわからなかったので私はブチ切れた。だけど、社長が言うなら仕方ないよねっていう社内の雰囲気もあって、一人で行政に相談しに行き、後から社内の経理のおじさんに「君はなんて事をしてしまったんだ!」と小言も言われた。私を軽蔑する目をよく覚えてる。今思うと、会社っていう場所が合わなかった理由は仕事じゃなくって人間関係だったんだろう。誰が嫌とかじゃない。一人で解決をする事も出来ない人間的にも未熟な私はその会社をとっとと辞めて、写真の世界に行く事に決めた。あれから11年。短いような長いような。

色々とあるけど、みんなどんな人もそれぞれに世界も社会も色々とあるけど、やっぱり私は怖いの全てが厭。怖い世界きらい。怖い反対!とは言わないけど。アンチ怖い。素敵な人がいる世界が好きです。

麻婆豆腐

中華 28.5,2021
麻婆豆腐
絹ごし豆腐 1丁
豚ひき肉 100gほど
酒 大さじ1
ニンニク・生姜 微塵切り 大さじ1
ねぎ 1/3
豆板醤
味噌 大さじ1
醤油 大さじ1/2
砂糖 大さじ1/2
水 150ml
片栗粉・水

ご飯と麻婆豆腐

中華 10.5,2021

どうしてそうなったのか全く覚えてない。ある時、麻婆豆腐に醤油でもオイスターソースでもなくてナンプラーを入れた。いつもなら花椒をしっかり入れてピリッとさせるのが私の定番だったのに、池尻大橋の食卓で見た元夫の顔が過ってやめた。最近、何だか料理のレパートリーがぐんと増えたように思う。逆を言えば、よく作っていた料理を作らなくなった。いい事だ。思い出したく無い思い出なんて捨ててやれ。沼の底から這い上がってこれなくなるくらいに、新しい料理達で食卓を賑わせてやる。死ぬ間際、いや棺桶に入ってからだって絶対に思い出させない。

さっぱりしてる麻婆豆腐が新鮮で何だかこのレシピが気に入ってる。元々は栗原さんのレシピで、それをアレンジしたもの。明日はこれで麻婆麺にしよう。

夕飯は一昨日に作ったアジアンカルパッチョの残りのタレに、生しらすと刻んだ青唐辛子、パクチーを和えたもの。これまた最高だった。毎日ごはんを作っては食べる。当たり前なんだけど、毎日毎日、当たり前を繰り返してる。飽きる事は無いし、このキッチンもこの部屋もこの街も安全で大好きだ。安全最高。とにかくホッとしてる。激減してしまった仕事の事を考えると、ちょっと落ちこむけれど、考えたって無いものは無い。とにかく今はホッとしよう。

麻婆豆腐
絹豆腐 2丁 さいの目にカット
豚こま 100g、荒く切る
ネギ 1/4本、みじん切り
ピーマン 2個、細かくカット
ニンニク 1片、みじん切り
生姜 1片、みじん切り
ナンプラー 大さじ1
豆板醤 大さじ1/2
ごま油
鶏がらスープの素 小さじ1

水 1カップ
片栗粉
塩・胡椒


アジアンカルパッチョの残りのタレ
新玉ねぎのスライス
檸檬汁
オリーブオイル
ナンプラー

水餃子

中華 02.5,2021

昼からイマムとうちで仕事の打ち合わせをして、午後からみんなが家に来る。今日は餃子パーティ。ゆうちゃんカップルは歩いて5分、みっちゃんは歩いて10分、イマムは歩いて20分。近所に友達が住んでるってありがたい。遠くへ行かなくても、大皿に盛った餃子を皆でつつくだけなのに最高に楽しい。気づいたら辺りは真っ暗で夜になってた。

たわいもない話をしながら、円卓でみんなで笑って、どうでもいい事であーでもないこーでもないってビールをまた一缶と空ける。俳優をしてるゆうちゃんと好人くんは、お芝居の話とかでちっちゃく言い合ってる。好人くんのジェラシーはゆうちゃんが好きだからで、それが可笑しくって、見ていて温かい気持ちになった。たぶん、私だけじゃない、イマムもみっちゃんも、恋が始まる時間を思い出してたと思う。

20時くらい。みんなが帰った。食卓の上でまだ言葉が弾んでるみたいに見える。私の中で、失くしたい記憶と失くしたくない記憶がミックスしてる。何も感じたく無かったからお風呂に入って早々にベッドへ入った。

今日は当たり前の毎日の事を思い出した。

水餃子
小松菜を細かく刻んでの塩もみしたもの
塩豚をミンチにしたもの
鶏ガラを炊いたスープ
ごま油
胡椒

海老と蓮根とパクチーの春巻

中華 18.4,2021

ここ数日、朝風呂にハマってる。むくっとベッドから起きて、湯船に直行。そのまま目を閉じて5分瞑想。そして、ザバーっと風呂から出る。これが最高に気持ちがいい。朝にお風呂に入るなんて何だか贅沢。せめて休日だけにしようって思ったけど、別に平日にやったっていいじゃん!って自分に文句を言って強行中。

午前は何をしてたんだろう。ベランダでホット麦茶を飲みながらぼーっとして、毎朝のルーティン、ベランダ菜園の新芽チェック。それから薬局に行って、掃除をしたかな。それで、ミントティーを入れて、料理本を何冊もテーブルに広げ、チョコレートドーナツを食べた。朝食をさっき食べたばかりなのに、美味しかったな。さ、いよいよやろう。納品作業。って思ったけど、眠い。本とブランケットと梃子を抱えてソファーに落ちた。大体、12時あたりからソファーが我が家のベストスポットとなる。光が暖かくて気持ちがいいな、陽だまりでゆらゆらしてたら、あっという間に寝てた。起きてすぐ、用事がある事を思い出して姉に電話をした。

「今日は夕寝してた。だから今は眠くない。」姉が言った。窓を開けて、床に寝転びながら電話する。オレンジ色のレースのカーテンが風になびいてる。2時間くらい話してたかな。結局、用事を伝えるのを忘れて電話を切った。「本当に何やってたんだか。」これが今日のテーマだった。悲しい事も、辛い事も、苦しい事も、馬鹿野郎な自分の事も、過去のトラウマを一つも隠さないで思いっきりに話せるってありがたい。それに、お互いに怪奇な経験をしてしまった事が幸か不幸か、大抵の酷い話はすんなり聞ける。もし、私のストーカーがいたとして、部屋に盗聴器をつけてたら、きっと今頃恐怖の渦中。超ハードな話をして大笑いしてる姉妹。想像するだけでホラーすぎる。

今日はデスクに座るのをやめよう。さっき電話で約束した新しい曲を早速じゃんじゃん仕上げてくれて、LINEに送られてくる。流れるメロディーがいい感じ。蓮根を叩こう!サミットに走り海老と蓮根と春巻を買う。陽が暮れる前に春巻を揚げよう。そして、バスルームに陽が無くならないうちに湯に浸かろう。

何も無い毎日が幸せ。過去は拭えないけど、幸せが前からどんどんやってくる。だけど、週末にはPMSが襲来する。来なくていいんだけどな。

海老と蓮根とパクチーの春巻
海老
蓮根
パクチー
春巻の皮
エビを洗う用の塩と片栗粉
タレは檸檬、豆板醤、ナンプラー、砂糖を混ぜたもの。

豚とニラのワンタン

中華 16.4,2021

三茶におつかいに行ってミスドと花とワンタンの皮を買って帰る。夕飯は久しぶりのワンタンにする。ついつい餃子の皮で水餃子にしてしまうけれど、ワンタンの薄皮ってやっぱり美味しい。何十個食べたんだろう。食べても食べても美味しかった。困ったな、この底なし沼みたいな食欲。毎日が楽しくなってきたら、ご飯が美味しくて仕方ない。姉も最近は元気そうで2日か3日に一度は電話が来る。テンションは勿論、マックス。たいがい、食べ過ぎた話をしてる。BBQ食べ過ぎて気持ち悪かったとか、失敗した大量のクレープがただのパンケーキみたいと不評だし不味くて気持ち悪かったとか。あそこの家族はいつもご飯にファックしてる。

今年が始まって少し経ち、私が少しずつ元気を取り戻してきた頃に、姉はぐんと落ち込んだ。裁判の判決が出たのが年末。安心してクリスマスを送れるねって喜んでいたのは束の間、12月31日にひっくり返すような事件が起きて、日本の元旦に全てが終わった。正月の食事の準備をしながらハンズフリーで姉の話を聞いた。3年間の裁判に耐え、あれだけ心身共にボロボロだったのによくやったと思う。信じられないような話だった。だけど、その1ヶ月後、憔悴しきった姉がいた。

「とにかく何でもいいから、毎日ピアノの曲を作ってLINEして!」何かを彼女に与えないと、このまま落ちていっちゃうと思ってとっさにお願いする。スライムが溶けて入れ物からはみ出していくみたいに姉が暗闇にだらりと落ちていきそうだった。散々に読みふけった鬱の本で学んだ事を思い出した。悪い思考が止まらない時は、手を動かしたり何かを感じる動きをするといい。頭じゃなくって体を使う。毎日、毎日、不安な音の曲が送られてくる。酷い時はフラットを転ばしたような曲がきて、こっちまで不安になった。だけど、どれもいい曲。色々な感情が込み上げて来る。それは姉を想ってだけじゃない。音楽ってやっぱりいい。

毎日じゃなくても何となく数ヶ月と続けていくうちに、ワルツっぽいものとか、リズムが弾くような曲が増えてくる。ある日に、私が遊びで撮ってる映像に姉の曲をはめ込んでみたら、何だか面白くって、今では姉妹のルーティンとなった。

「ちょっとワルツっぽいのやって。」とLINEしたら、電話が鳴る。「今ね、ちょっとワルツで曲を弾き始めたら、部屋にいるヘレナから電話がかかってきて、”それはパクリだから。”って日本語でダメ出しが入ったよ。」どうやら映画の曲に似てたみたいで怒られたのだそう。二人で大笑いした。

ワンタン
豚ひき肉 100g
生姜のみじん切り
ニラ 1束
塩・胡椒
胡麻油
豆豉の入ったラー油

麻婆豆腐

中華 27.3,2021

午前は料理家のエダさんの写真を撮りに渋谷へ行く。いつも明るくて素敵な人。それに聡明。一緒にいて楽しい人って、ホッとするな。エダさんとはもっともっと色々とお喋りしてみたい。会うたびに思う。帰宅してポストを開けると、ビビッドピンクの封筒を見つけた。マユミちゃんからだ。一ヶ月前にパリから送られた一通の手紙。一ヶ月どこにいってたんだろう。時間の間に落ちたね、なんて話てたけど、ようやく来てくれた。手紙とカードとペンを持って近所の喫茶店に行く。窓辺の陽の当たる席が空いてた。嬉しい、ひとり特等席。白ワインを頼んで何度も手紙を読んだ。いつの日か私が言った言葉が中々いいって書いてある。”ネガティブであっていい、ネガティブも抱きしめて、無理にポジティブでいる必要はない”って。マユミちゃんが元気がない時にかけた言葉なのかな。覚えてなかった。

昨日、友人に紹介して貰った方に写真を見て頂いた。正直とても落ち込んでる。多分、今の私にとってはちょっと辛かったんだろう。剥き出しな状態だから、刺激に弱い。最期の希望がまるで失くなったような気持ちになってる。元気な時なら受け入れられるような言葉も、未だ痛かった。あーあ、調子に乗ってたな。この新しい世界と私は仮縫いみたいな状態で繋がり始めたばかり。堂々と世界を歩くのはきっと早かったのかもしれない。

何度も手紙を静かに読む。手紙って本当に不思議。メールだとさっと終わってしまう言葉を何度も読み返し想像する。きちんと手の中に言葉が入るように感じる。最期の方、”あなたは遠くない未来に幸せに暮らすって、予言してる”って書いてあった。何だかな、可愛い人。人には役割がきっとあるんだろう。その人なりのやり方で世界と関わってる。まゆみちゃんはいつもこういう感じ。くすっと感じるような小さいサプライズをくれる。

私は私が言ったように、ネガティブのままでいいんだ。きっとマユミちゃんの預言が当たる日はくる。焦らない。直ぐに幸せに直ぐに元気になりたいけど、そんなに次へ次へ行こうと頑張らなくっていいんだよな。心がずっと激しくボールみたいにどこかに当たっては跳ね続けてる。疲れたな。

マユミちゃんに手紙を書いた。確か、20代前半にベルリンで買ったと思うポストカードに小さい字で、今感じてる事を丁寧に書く。今日が辛い事、手紙に救われた事、気づいたら桜が咲いていた事。2週間後のパリに、時空を超えて今日がどんな風に届くんだろう。

麻婆豆腐
豆腐 1丁
豚こま肉 粗くみじん切り
ニンニクの芽 3本
ピーマン 2個
にんにく・生姜 1片
豆板醤 小さじ2
醤油 小さじ1
ナンプラー 大さじ1
片栗粉
鶏ガラスープ カップ1
塩・胡椒
胡麻油

キャベツの焼餃子

中華 20.3,2021

昨晩の夕飯に作った水餃子が何だかもうちょっとで、今日はキャベツの焼餃子を作った。いつもは白菜だけど、コウケンテツさんのyoutube見てたらキャベツの焼餃子が食べたくなって今日はキャベツ。鉄のフライパンはくっついて剥がれない、お陰ですっかり失敗。久しぶりにこんなに失敗したな。いい加減にテフロンのフライパンを買おう。一本だけ持ってるんだけど、兄嫁のリーチャンが結婚した時にくれたやつ。もうテフロンは剥げちゃってるのに、前の家を出る時も何だか捨てられなかった。貰った時に嬉しかったし、あのフライパンで本当に色々な料理を作ったから。捨てないで、もう一本買おう。あのフライパンは好きだから。

今さっき地震があって、大きく揺れた。嫌だなって思いながら本棚の食器が落ちないか心配して見てた。地震が起きたって仕方ないって焦らない自分がいる。変かもしれないけど平穏。怖い事に私はきっと良くも悪くも慣れた。だけど、久々に失敗した焼餃子はちょっと悲しかったかな。地震、最近また増えたかな。

餃子はお店で食べたら3皿くらいだと思う。まぁまぁ焼いた。大皿の餃子とビールを飲みながら、今日は本を開いてみる。朝ごはんの時によく雑誌を読むけど、夕飯の時に本を読むのは初めて。アシスタントをしてる時、生活ができないから週2くらい三茶の三角地帯のONSENバーで働いてた。毎日ママが変わるスタイルのバー。東京ピストルの草薙さんが経営をしてる。なんでもやっていい。ご飯をだしたければ、勝手に好きなものを作っていいし、営業スタイルも自由。強いて言えば、時々、草薙さんから夜中に連絡があって「今から行くね。」って、酔っ払い達を沢山連れてくるのが面倒だったくらい。そもそも、私は接客が苦手だったから好きな客しか入れなかった。そうしたら、一度は酔っ払って入ってきたサラリーマンに千円を投げつけられた事があって、かと思えばキャロットタワーで劇終わりの有名な俳優が遊びに来る事もあって、朝までとはいかないけど、楽しく夜が更けるまで遊んだ。そこで、今は友達となった男が、5席しかない店の片隅でいつも本を広げてビールを呑むのが不思議で、嘘でしょ〜って見てた。だけど、ご飯を食べながらビールを呑みながら読書、出来ちゃった。想像以上に楽しい。失敗した餃子への後ろめたさなんてって一瞬で消えて、なんなら麦酒はおかわりしたいくらい。こーんな楽しみってあったのか。何だかちょっといい大人になった気分。

予定だと今日あたりにPMSが来るはず。カレンダーにはPMS襲来と黄色でしっかりと警告されてる。おかしいな、うんともすんとも無い。いつ襲われてもいいようにスタンバイはOK、ベッドの横には指南書が準備されてる。

負けないよ。トラウマに襲われたって負けない。何度襲われたって、その度に襲われない術をあちこちから掻き集めてやる。人間ってのは知恵のある生き物だからね。フライパン買いに行こう。

キャベツの焼餃子
キャベツ 細かく切る
ミンチが大きめの豚の挽肉
ニラ 微塵切り
ネギ 微塵切り

鶏ガラスープの素
ごま油 タネに入れるようと、最後に回しかけるよう
餃子の皮
餃子を焼く時用小麦粉を溶いた水

青菜と柚子胡椒の焼きそば

中華 09.3,2021

姉の鬱が酷い。
本人は気づいてない。自分はプチ鬱だと言ってたけど、完全に鬱状態だと思う。病院で鬱を診断されて、鬱の本を読んだり色々を知る事になって、鬱の人と接しても「鬱なんだ、可哀想だね。大変だね。」っていう風にはならなくなった。今まで持ってた印象とは全然変わった。寧ろ、身の回りに鬱症状だと思う人が沢山いる事に気づいた。だけど、私も含めてだけど鬱は風邪の様にいつしか自然に治る。人それぞれの症状だけど、定期的に鬱っぽくなる子を思い出してみると、例えるなら左利きみたいに、ただの身体の癖の様にも思う。それが何かの歪みで深い所まで行く事もきっとある。もしくは、私や姉の様に強烈なストレスが短期間でかかった時に起こる鬱。どちらにせよ、風邪と同じ。身体からのSOSみたいに、熱を出して身体を冷やそうとするみたいに、思考過ぎる身体を全力で止めてあげる。止まってしまうのは生きる為だと思う。毎日のその先、道端にそっと置いてあるみたいなのが鬱なんじゃないかな。誰でも人である限り、思考して感じる限りなる気がする。よく真面目で几帳面な人がなりやすいと言われる理由もわかる。思考する自分から寄り道出来ない人。回転をバラしてあげればきっと抜けられる。

だけど、姉はよく生きてると思う程に苦労をしてるし、頑張ったと思う。強いし、決して逃げたりしなかった。こんなに苦労しても腐らない人はまずいないと思う。ちっちゃいって言ったら失礼だけど、些細な悩みで腐ってる人なんて山ほどいるのに。だけど、別に人生、腐ったっていいとも思う。自由だから。選べるから。その代わり、私に愚痴らないでねって。愚痴は悪臭だから厭。いい香りのする人といたいから。

美味しい物を食べよう。美味しい物を食べてたら、美味しい香りがしてくる。育ちや教養、持ってる物が全てじゃない。だけど、自分を腐らせるような人は不味くなるに決まってる。

病気は恥ずかしい事では無いし、生きてるから病気になる。自然な事。それよりも、腐らない事の方がずっと大事に思うな。

サンラータン

中華 12.12,2020

クレジットカードとか、保険や銀行の封筒がポストに沢山入ってた。げんなりする。1日も早く全てを終わらせたくてとにかく走ってきたけど、もうガソリンが切れちゃってる。足はガクガクだけど、ずっと手で押し続けてる感じ。一歩でもいいから前に進もうって。

ペンを走らせる紙の上で、とにかく頑張れ、頑張れって自分に言い聞かせる。もう厭だ。名前が変わる事も辛いのに、何度も何度も同じような書類を書く。私の名前から、昔の私の名前を書く。その度に胸が痛い。あと何回こんな事を繰り返したら終わるのかな。私は今、どっちの名前でも無い場所にいるのにどうして胸を痛めてまでこんな事を続けなきゃいけないんだろう。もう嫌だ。

携帯を開けば、結婚だとか、誰かの子供だとか、今日の感染者は何人だとか。同じ話題がループしてる。毎日毎日、同じ。テキストも写真も人が変わるだけ。幸せそうな話が嫌いなんじゃなくって、妬んでるわけでもなくって、ただ、世界が何だかすごく狭く感じる。

親しい友達がよく言う言葉がある。彼女、また言ってた。「同じ事を繰り返さないといいね。」って。

彼と同じ人には二度と会えないと思ってる。
とても魅力的で素敵な人だった。だけど、病気だった。それだけ。癌で死んだ。それだけ。そういう話だと思う。それ以上でもそれ以下でも無い。人生にはどうしても私ひとりの力じゃ抗えない事がある。

いいとか、悪いじゃなくって、そういう事。私はそういう事をたまたま経験しただけ。とても哀しい。だけど、仕方ない。同じとか、そういうのって無いって思う。彼は彼しかいないのだから。

今夜は、ミオちゃんに教えてもらった、おおかみ子供の雨と雪を見た。だけど、冒頭で胸が痛くなって止めた。キッチンに行ってサンラータンを作る。鍋の中で揺らぐ豆腐を見ながらめそめそと泣いた。

昨日から、ずっと厭な夜が続いてる。