昼過ぎに動物病院から電話があった。「先日の腫瘍の件なのですが。」心はもう決まってた。ただ信じてるだけだったけれど、もう梃子は癌にはならない。そう決めてたから心は全く動揺してなかった。まさかって想いもこれっぽっちだって無かった。なんだかいつしか私って女は大概のことでは驚かなくなったし、昔のように頑張るのをやめたら強くなった気がする。母と周ちゃんに直ぐに連絡した。”梃子は癌じゃ無かったよ!”
夕方に朗報が入った。2年前に大失恋したゲイの友人に年下の恋人ができたのだとか。何だかすごく嬉しい。先週に籍を入れたことを報告して、きゃっきゃと話した。年末に会った時は大分痩せてた。今の人生を淡々と頑張ってる姿を見て、どうか幸せになって欲しいと小さく願ってバイバイしたけど、年を越して呆気なく彼氏が出来た。人生ってわからないもんだな。うきうきした夜を過ごしていたらデザイナーの藤原さんが結婚するよって話を村上美術のゆうや君から聞いた。私は藤原さんが大好きだけど、藤原さんの彼氏のしんちゃんのファンでもある。何だかハッピーが掛け算してしまって嬉しくて堪らない。あんなに素敵なカップル、私の人生でお見かけした事がない。藤原さんは笑い上戸でしんちゃんは口数が少ないのに優しくて面白い。嬉しい、本当に嬉しい。嬉しすぎる。
2月最後の日。ハッピーが溢れている1日だった。今夜は久しぶりに寄せ鍋をした。
カテゴリー: 夕飯
マヨネーズ

朝のいつだったか覚えてない。多分、タクシーに機材を詰め込んで走り出した時だった気がしてる。世田谷区を越えたあたりであちこちにメールをしまくってすっかり車酔いをした。アパマンショップからのメール。”お申し込みの物件は別の方の申し込みが入り募集を取り下げていました。” このメールの所為。絶対に決まらないと思ってた。ああ、やっちゃった。遅かった。周ちゃんが所沢の地元の不動産でも紹介してくれた物件だったし客寄せの物件じゃない。こんな田舎の物件がサクッと決まるなんて。直ぐに申し込めるよう、色々と手配して、週末の予定も調整して、他の仲介業者との相見積も取り始めていた。
正直、久しぶりにすごく落ち込んだ。午前の撮影は楽しかったから、ぐっと写真を撮ったけど、午後になって機材を置きに家に戻った時には何だか途方に暮れてた。そうしたら、色々がどんどん放出してくる。私、埼玉に200パーセント魅力を感じて来なかった人生なのに埼玉に住もうと試みてる。そもそも所沢だとか全然知らないし、周ちゃんが居るって事しか見えてない。それに週末に籍を入れようとしたら天気が悪いとか言ってるし、それに赤ちゃんが欲しいかよくまだわかってないのに、見知らぬ男に股を開いて検査を続けて、なんだか偉そうなことを毎週言われてる。仕事は楽しい。それだけが救いなのに、埼玉なんかに住んだら、どうなっちゃうんだろうか。色々なストレスや不安が一気に放出しながら、撮影したケーキをムシャムシャと食べた。周ちゃんに言いたいことは山ほどある。だけど、それは甘えになる。私が望んでした我慢だ。それに、物件については周ちゃんは2週間も前から私に打診してた。私の判断ミスだ。正直、この問題のポテンシャルは低い。私程度のミスだから、きっとやる気さえあればどうにかなると思う。だけど、要は初めて胸が高まった物件だったからこそ喪失感が半端ない。思い入れがあった今の家を出る。簡単な判断じゃない。ようやく安全な場所での暮らしを見つけて、梃子と毎日が楽しくなってきた矢先にまた引っ越すなんて。
午後の撮影を終えて帰ってから、家の中で大きな声で吠えてみた。「もう嫌だー!!」ちょっとスッキリ。「梃子じゃないからね。ばかばかばかー!!!」梃子に先に謝ってから大声で叫んでみる。それから3度くらい、トイレで、キッチンで、玄関で叫んでみた。ご近所さんはちょっと驚いて笑ってるだろうと思う。「ヤダヤダヤダーーーー!!」何だか情けない感じの叫びで我ながら中々のパンチ力の無さだなと虚しくなる。夕方から入ってた打ち合わせが月曜日に延期したのは本当にラッキーだった。お風呂に入ってビールを飲みながら仕事のメールを返した。ブロッコリーを湯でてマヨネーズで食べる。最高だな。マヨネーズ大好き。兄は病気になるんじゃないかって程にマヨネーズを愛していたけど、私は嗜好品としてマヨネーズを楽しんでる。ありがとうマヨネーズ。今日も大好き。
ワインに手を出し始めた頃、ようやく周ちゃんからメールが入る。心の中で遅いよって思った。もう既にマヨネーズもブロッコリーもビールもワインも私を結構なところまで満たしてくれてる。さっきサミットで買ったアボガドに醤油麹をかけたものをつまみ始めて、キハダマグロの血っぽい味も、俄然私を満たし始めてる。結局のところ、私はもう甘えたくない。良好な甘えはいいけど、ただ目の前の不幸を愛している人の所為にするような甘えはお門違い過ぎる。そうゆう女、過去の私も含めて結構知ってる。男が何かを叶えてくれると信じてる感じの、幸福を人任せにしてしまう女。素直で真面目で優しい子が多いのだけど、残念ながら違う。男は性として男になっただけで神様じゃない。女と同じように頑張って生きてる。愛しているのと自分が幸せになるのは違うベクトルで進んでるのに、そこを履き違えると過去の私のように大変なことになってしまう。幸せになりたいと愛を信じたその先には想像しないような不幸が待っていたから。
だから、周ちゃんの私への気遣いが遅くてもいい。どうぞ、ごゆっくり。それと愛とは別物。私の幸せは私のご機嫌は私が取る。ああ、悔しい。今日は呑みまくって、明日酒気ぷんぷんで朝一番の病院へ行こう。結婚も愛している男も私を幸せにしてくれるものじゃ無い。寧ろひとりの方がずっと余計な事を考えないで済むし、幸せへの道は早い気がしてる。
一回休もう。気持ちが落ち着かなくて嫌だ。上手になんてこなさなくていい、それよりもちゃんとやりたいだけ。私の気持ちをもう置き去りにしたくない。来週は瞳ちゃんと青山で買い物しようと約束をしてる。たっぷりと私を甘やかそうと思う。友達って最高にラブリー。
夕飯

今日は夕方にロケハンに行くだけ。最高。急ぎの仕事は一つもなし。後は来週にやればいい。いつも通り6時前に起きたけど、ベッドの中でぼーっとした。朝陽が部屋中に入ってきて気持ちがいい。本を読もう。手に取ったのは江國香織さんの本。周ちゃん家の本棚からいつだったかに借りてきた。朝から不倫の話はどうかなと思ったけれど、気持ちよく読んだ。家庭を持つ男の人と不倫する独身女性の話。正直もう好きじゃないし、過去に愛はあったかもしれないけど、もうとっくに呆れていたし、そんな自分が多分好きじゃない。だから、悲しみもなく別れて新しい暮らしを始める。そういう話だった。いい話だった。
何と無く面倒だったり、億劫だったり、初めてで少し怖かったり、そういう事を離婚してからは敢えてやろうとなった。役所に納税証明書を取りに行くのもそのうちの一つ。今日は空が青い。すごく青い。こんな日に籍を入れられたらいいのになって思いながら役所に向かう。税務署か。何も悪いことをしてないけど、何だか怖い。世田谷警察に行った時もそうだった。まるで隠し事でもしているかのような気分になる。あちこちとたらい回しにされながらも無事に納税書を受け取って帰宅。昼食はご飯を炊いて、昨晩の残り物を簡単に食べた。夕方にロケハンが一本入ってる。帰りにワインでも飲んで帰ろうかな。
結局、思ったより帰りが遅くなって家路についた。それにしても今日は寒い。明日の準備をして早々に寝よう。寝る前に周ちゃんに電話した。今朝、見つけた100平米の家のこと。先週見つけた家に決めていた筈だったのだけど、段々と違う気がしてきた。周ちゃんの職場には近いけれど、駅までの道があまり好きじゃない。田舎だから東京の様に歩道が少ないのは仕方ない事だろうけど、あの道を梃子とは歩きたくない。それに、陽当たりは最高だったけれど、北に一つ、南に一つある書斎をどう部屋割りするかでもめた。「全部が南向きの部屋なんて無理でしょうよ!うちみたいなマンションじゃないと難しいよ。」私が文句を言った。私は北向きの部屋なら引っ越したくない。わざわざ田舎へ引っ越して、北向きの部屋になるなんて嫌だ。そして、今週になって思い出した。私100平米の家に住むのが夢だったんだ。引っ越すなら今の家より素敵じゃなきゃ嫌。これが第一条件だった。すっかり、色々な条件に惑わされて大事な事を忘れていた。仕方ないよね。だって、どこかで折り合いつけなきゃ。何度も周ちゃんにそう言ったけれど、周ちゃんにとって、ふたりにとって良かろうと思っていたけど、私ひとりだったら絶対に住まない様な家に住もうとしてた。危ない、危ない。それは折り合いじゃなくて、我慢だ。危うくまたやっちゃうとこだった。
「あの家、すごくない?」「お風呂、お洒落だね。」「そうなんだよー!あの家リフォームした人洒落てるよね。」古い家だけど、所々に洒落っ気が散りばめられてる。部屋の数はちょっと多すぎるけれど、キャッチボール出来そうなくらい広い庭がいい。木々が緑緑しくて、こういう庭の家に住みたかった。だけど、ペットについては申し込み後に交渉なのだそう。なんか面倒。そんな話の流れで、幾つか他の物件も内見へ行こうとなった。「そういえばあの階段が可愛い家にも行こう。」周ちゃんが何度も推していた家があった。駅から徒歩26分。それだけで、恐怖!と思って選択肢から外していた物件。条件を細かく見ると結構いい。夢の100平米。そして、全部屋南向き。家の場所をgooglemapで探してみると、緑がいっぱいの場所で何だかトトロが出てきそう!後ろに森、横に畑。通りにも緑が沢山ある。めいとさつきが歩いていそう。「周ちゃん!ここトトロみたいだね。すっごく素敵。ここがいい!」「そうだよ!!牛沼っていう土地はトトロにも出てくる。トトロの舞台となっている場所なんだよ。」周ちゃんから猫バスの絵が送られてきた。猫バスの額には牛沼と書かれてる。ほんとだ。「ここ、参道だね。」「え?」「古くからある大きな神社があるんだけど、この家は参道にある。」「えー!!」参道に住めるんだ。それに、引っ越すならこれくらいの田舎がいい。「周ちゃんここにしよう!!」家探しをして初めて胸が高鳴ってる。私の第一条件、今の家より素敵な事はこれで完全にパス。周ちゃんの条件で半ば諦めていた川の近くである事もすんなりとパスした。家から歩いてすぐの所にトトロに出てきそうな川がある。春になると桜並木になるのだそう。
「周ちゃん。今度、トトロ一緒に見ようよ!」
ナスの油みそ

先週までの怒涛の忙しさが終わって、ようやくいつもの日常が戻ってきた。ここ数日、悪夢を見る。これで3度目。2度目の夢はしっかりと覚えてる。元夫にまたお酒を与えてしまった男、元夫に会社を作った男が、あの夜みたいに私を責めていた。酒の席で見かけると、昼間とは違って饒舌に女性を否定する様な言葉を時々聞いた。九州出身だから仕方ないんだろうと当時色々がまだ無知だった私も同じ様に彼を差別した。「もっと菊地君を立ててあげないと。」妻でしょ。黙ってなよ。夫がどんなに酷いことをしようと女は立てないと。いつもの様に悪酔いして喚きだした元夫が私の頭を叩き始めた時に彼は笑っていた。女に暴力を振るうのはやめなよ、じゃなくて、女って面倒。そんな眼差しで私を嘲笑う様な感じだった。元夫からも何度も聞いた。「シガキがさ、スーちゃんが俺を立てないから悪いって言ってるよ。」妻なんだから、夫を立てなよ。何度も何度も聞いた。目の前に酷い現実が起きてるのに、今日もまた夫は私に嘘をついて、仕事もしないでお酒を飲んで、泥酔して、暴れて、怒って、喚いて。いつもお金が無い。いつも何処で何してるのかわからない。帰ってこない。音楽の為だと言うけど、今日もお酒くさいよ?毎晩、打ち合わせだと言うけど、仕事もしてないのに夜中に誰と打ち合わせしてるの?携帯に入ってきた女からのメールは誰?約束はいつも次の瞬間から消えていって、それなのに、それだけど、どうやったら夫を立てたらいいんだろう。夫を信じたいのに信じることが出来ないのは本当に私の所為なんだろうか。私がそう思えないから悪くて、もしくはそう思う様に努めることが妻の役目なんだろうか。食卓に料理を並べて待っているだけなのに、暗闇がじりじりと私を詰めて詰めてもう崖っぷちなのに、もうこれ以上は下がれないのに詰めてくる様な毎日だった。
夢の中でまたあの男に責められていた。だから、あなたが悪いよね。堂々と傷つけてくる夫がいても、それは男だから、それは才能だから仕方ないでしょ。じゃあ、世界ではそうだったとしても、私の痛みはどうしたらいいんだろう。暗闇がじりじりと焼き付けてくる。あの感覚を全身で思い出す。
今週末か来週末に籍を入れる。もしかしたら、結婚、怖いのかもしれない。どんどん病に侵されていく元夫と、取り巻く世界。あんな場所には2度と行かない。だけど、記憶が私を襲い続けてる。周ちゃんとの未来は楽しみなのに、結婚が私を引き止めてる。
なすの油みそ / 土井善晴さんのレシピを少しアレンジ
なす 大2本 1cm幅の輪切り
青紫蘇 大量 荒く切る
赤唐辛子 1本
砂糖 大さじ1.5程
味噌 大さじ1.5程
水 大さじ2〜3、冬なすの場合に水分量を足す為
サラダ油 大さじ3程
油でなすと赤唐辛子を炒めて、そこに調味料を足して(必要があれば水を足す)全体になじませてから、火を止めて紫蘇を入れて混ぜ合わせる。
夕飯

朝から撮影。疲れた。だけど、今日も楽しかったな。3年ぶりにスタイリストの佐野さんに会った。佐野さんは髪をショートにして明るい色のカラーだった。イメージが大分変わってて最初はわからなかったけど、あー佐野さんだ〜って直ぐに思い出した。「よしみさーん。」佐野さんって本当に好き。優しくて穏やかでチャキチャキと動く。嬉しいな、久しぶりの佐野さん。一緒に働くの、楽しい。
コロナ前は連載の仕事で毎月会う撮影チームが幾つかあったけど、今はどれもコロナで解散となった。久しぶりのチームでの撮影。新鮮だったし、佐野さんがいたり、キムチ仲間の花沢さんもいて嬉しかった。帰りのタクシーで花沢さんとたわいもない事をお喋りした。お腹はペコペコだし、早朝からの撮影で疲れてるけれど、こういう時間がいいなって思う。結婚してた時は夕方は忙しなくて嫌いだったけれど、今は好き。今日楽しかったな。そして今日の夕飯は何を食べようかな。焦らないでノンビリ考えられるようになった。お土産に貰ったビールが2本。コートのポッケの中でズシリと重い。今日は二本飲んじゃおう。
花沢さんが上馬で降りてから周ちゃんにLINEした。 “今帰ってるよ。夕飯何がいい?” “お疲れさま。8時40分頃に着くよ。疲れてるだろうから納豆ご飯でいいよ。アップルパイと明太子のパンのお土産があるよ。” あ、こないだアップルパイの話をしたからかな。帰宅して直ぐに財布を持ってサミットへ向かった。
夕飯は昨日のキノコのお味噌汁にご飯を炊いて、レンコンのナンプラー炒め、生わかめの上に釜揚げしらすをのせたもの、青梗菜と豚肉の中華煮炒め、見切り品のシャケハラス、ルッコラのサラダ、納豆。お風呂から出てビールを飲みながら、10分くらいで作れるものにした。炒め物は素晴らしい調理方法だと思う。切って、油を引いて、焼いたり、煮たり、さっと作るのが美味しい調理法で、それが直ぐに温かいうちに食べれる。
今日も美味しくていい一日だった。仕事帰りの周ちゃん。スーツみたいな感じの服装で失神するかと思った。あ、写真撮りたかったな。ニヤける私の顔をまっすぐにのばすのに精一杯で写真どころじゃかった。
夕飯

東京フォーラムの骨董市がコロナで中止となったので、立川の神社でやってる骨董市へ行く事となった。知らなかったけれど、周ちゃんは骨董のコレクターなのだそう。家にある本棚には、変なものが沢山置いてある。ガラクタって感じじゃなくて、一つ一つ意味がありそうな雰囲気が漂ってる。そして何だか不思議なのだけどお洒落。こないだ同僚の学芸員の高橋君が家に来た時、二人の盛り上がり方が異常だった。古くて意味のあるものが好き。よくわからない言葉を一生懸命に話して笑って同意し合ってた。
周ちゃんは骨董市で石を二つ。私は皿を二枚買った。その石はドングリ等を潰すのに使われていたものと、包丁の役目をするものだったそう。縄文っていうワードが周ちゃんや店のおじさんの口からよく出てきた。そして、おじさんに気に入られた周ちゃんは、骨董の有名らしい売り物の雑誌を貰ってた。前にも氷見で畑をやってるヨロさんに氷見のアートの雑誌を貰ってた。周ちゃんと話すと何かが刺激されてあげたくなるのかな。
私が買ったお皿についてもおじさんと色々と話をしてたけど、全くよくわからなかった。窯元やいつの時代のものだとか話をしてた。世の中には知らないことが沢山ある。私はただ、可愛ければ何でもいい。「お皿、あまりこだわりなくて。別に高価とか人気とか、あまりそういうのは興味がないんだよね。だって自分が毎日使うものだから。好きなのがいい。だからそんな高いのは必然的に買わないよね。」私の言葉に周ちゃんはすごく喜んでた。どこで喜んでるのかわからないけど、何かヒットしたみたい。新しい器には納豆を入れた。
夕飯

今夜こそ周ちゃんがくる。午前はデスクワークを済ませて、午後は人形町へ撮影。今日は編集の柳瀬さんと。久しぶりだな。今日もとっても可愛い。柳瀬さんはコジコジが好きなんだけど、コジコジみたいな雰囲気が漂っていて、一緒にいると春みたいな気持ちになる。お土産に人形焼を頂いた。周ちゃんと食べよう。
急いで帰って夕飯の準備。昨日、周ちゃんに作ったロールキャベツをメインとしよう。あとは、揚げた茄子が好きだって言ってたから、揚げなすとタコのピリ辛和え。藤井恵先生のレシピ。ビールによく合うから昨年の夏はよく作った。あとは、周ちゃんは豆が好きだからスナップエンドウのナンプラーがけと、金平牛蒡かな。
周ちゃんが到着したのは19時過ぎ。仕事を終えていつもの様に埼玉から自転車で来た。アメリカで手袋を片方なくしたそうで手が凍りみたいに冷たい。温かい麦茶を飲んで、一緒にお風呂に入ることにした。今夜はジャスミンのバブにした。冬になるとハマりだすバブ。バブ特有のジャスミンの香りがお風呂場に漂ってる。いい香り。湯船に浸かってたわいもない事を話はじめた。本当は寝るときにベッドで話そうと思ったけれど、周ちゃんの顔を見たら何だかすごく話したくなって兄の事を話始めた。兄の事もだけど、結婚は良いもんじゃないという話もした。兄が担った父という役割、私が1度目の結婚で担った妻という役割。生活をスムーズに進める為には大事な事だし、家族が上手に回る為にも必要だと思う。だけど、そこに堕ちてしまうこともあるみたいって。
これから結婚する事がネガティブだとは思ってない。だけど周ちゃんには少し不安な話に見えたみたいだった。周ちゃんは初婚。私の話す内容を頭では理解しているようだったけれど、未だ実際には見たことがない景色のことを真剣に聞いてた。そして答えを頭の中に探しながら一生懸命に話してた。ずっと話してた。私が茹でタコになっても気づかずに必死に話し続けてた。顔が火照ってぼーっとする。周ちゃんっていう人はいい人間だな。そろそろ出たい。話のお尻が全く見えない。「周ちゃん、のぼせたよ。」「またお風呂で討論やっちゃったね。」
周ちゃんの答えはとても良かった。「結婚は、相手が自分のする事で幸せになるんじゃなくて、相手の幸せを願い続けるものだと思う。だって所有物じゃないからね。」周ちゃんが言った。うん。私もそう思う。心理学で学んだ事で人間の愛情についての講義があった。人は誰かに愛を与えるという行為が自分を愛するという行為にもなるという事。だけど、それは循環していなくてはいけない。与えて受け取る。その輪の中にはきちんと自分の身も置いてあげること。愛が欲しいから、愛を与え続ける。返ってこない愛に、あれ、足りないのかな。もっともっと愛さなきゃって、愛をどんどん与え続けてしまうことがある。それは生きる為に必要な愛だけど、循環しない愛はどこかに滞って冷たくなってゆく。だから、もっともっとってなる。愛が欲しいと思う事は決して間違ってないけど、ちょっと悲しいことだとも思う。だから、そうならないように、見ててあげようって話をした。今日どんな1日を過ごした?とか、今日何をたべた?とか、その人が毎日変化することを、少しだけどんよりしてる顔だとか、いつもと少し違う仕草だとか、平和に幸せの中に身を置けてるのかどうか。愛されたいからそうするんじゃなくて、愛とは別。幸せになって欲しいと願おうと。
だから、もし、愛が循環しなくなったら、たとえ大好きだったとしても、さよならしようと伝えた。お風呂から出て缶チューハイを一気に飲んだ。完全にノックダウン。
晩酌

今日は周ちゃんが隔離されてるホテルへ差し入れを持って行った。もう隔離は終わるのだけど、何だか日に日に顔から元気が少しずつ少しずつ無くなっていくのが気になった。うちから電車で1時間くらい。場所は幕張の方。テレビ電話の向こうに青い空と川の様なものが見えたけれど、あれは東京湾だったらしい。私が到着した時、今日隔離が終わった人達がバスに乗り込んでる所だった。その後にもシャトルバスが3台待機。中年の男性が声を荒げて怒っていたけど警備員さんは慣れた感じで誘導していた。「差し入れですか?すみませんね。もう少しお待ち下さい。」しばらく待つ事となった。ホテルの入り口は白いテントの様なもので覆われてる。周ちゃんに電話してホテルの下に着いた事と中年の男性が怒ってる事を伝えた。殺伐とした様子に少し不安になる。「今日は他の部屋で女性が発狂してたよ。」電話の向こうで周ちゃんが言った。
いく先々の空港の様子を写真で送ってくれたり、PCRをまた受けたとか、アメリカの街での状況だとかを逐一聞いていたけど、実際に自分が少しでも触れると怖く感じた。今日は来て良かった。知れて良かった。携帯から見える景色はつるっとしたままで空気の色だとか温度まで感じられないから。荷物を係の人に渡して、周ちゃんの部屋が見える場所へ移動した。9階を見上げてみる。「見えるはずないよね!」って話してたけど、笑ってる表情が見える。お互いに手を振りあった。3週間もの間ずっとテレビ電話の中にいた周ちゃん。生の周ちゃんを捉えた目から全身に血が巡るみたいに充足感で満たされていく。いつもなら電話を切っても直ぐにまた電話したいと思うのに、今夜はこのまま静かに寝れそうだなと思った。人間って面白い。色々を感じるように出来てるんだな。
ホテルの横に寿司屋があるのを見て、今夜は寿司にしようと決めたのに、イカリングが無性に食べたくなったのでイカリングの惣菜をサミットで買って帰る。後はスナップエンドウを湯がいて冷蔵庫に余ってるおかずを並べて晩酌を始めた。22時過ぎ、いつもの様に周ちゃんに電話すると差し入れしたミカンを嬉しそうに食べてる。「沁みる〜。」満面の笑み。さっき見たばかりの周ちゃんがテレビ電話の中にいる。私じゃなくて身体のどこかが言った。目で見れたのだから、次は触れたい。何だか無性に会いたくなってきてる。私の欲望、怖い。
ふみえさんのお粥とスーパーのアジフライ

気付いたらもう昼。ほんとに厭だ。イライラしてくる。苦しい。時間が無くて苦しい!ベッドルームが朝陽で一杯になる頃、この本だけは読ませてと私にお願いした。カウンセラーさんの本で、プリマリタルカウンセリング、日本語で言うと婚前カウンセリングについてよく書かれた本。アメリカでは一般的らしい。1時間くらい夢中になって読んだ。ああ、また心理学を勉強したい。掃除機で一瞬で吸引されてしまうみたいに本の中に落ちていった。時間に追われるように洗濯だの、昨日の撮影データの入れ替えだの、瞑想だのをしてたら時間が勝手に過ぎていく。ほんとに苦しい。
簡単な化粧とランチ用のパスタを作りながら映像データでパンパンになってしまったHDDの買い替えたりを同時にやって食べてダッシュでカメラバッグを片手に駅まで走る。もう厭だ。疲れた。ほんとに厭。寒いのも辛くてダブルアタックされてる。青くて澄んだ空も何だかひんやりしてて優しくない。そうして一本電車を乗り過ごした。ふみえさんのアトリエへ急ぐ。「お疲れ様〜。」ふみえさんが笑顔で迎えてくれる。いつも元気なふみえさんといると、私の感情が上を向いたり下を向いたり忙しなく浮遊するのがわかる。ふみえさんも氷見でのシェフインレジデンスから帰ってから猛烈に忙しい師走を駆け抜けてる。私と同じ状況なのに最近ハマってるキックボクシングにさっき行ってきたの!とご機嫌な様子。未だ私はもう厭だを心で連呼中。それにしたって嫌すぎる。もしかしたら、ホルモンバランスが崩れてるのかな。何だかおかしい。
フミエさんを見習おう!フミエさんの太陽みたいな笑顔に少し元気が出てきた。よし、今日はストライキ。もう仕事はしない。帰りにデパートでアディクションの口紅を買って帰ろう。三茶のスタバに寄って甘い物を食べながら年末の暇を持て余してるみたいな女をやろう。コーヒーとマフィンを買って二階奥の席につく。シーンとした店内は混み合ってる。遠くにややかっこ良さげな男の子を見つけた。ああ、周ちゃんに会いたい。デンバーに着いたと今朝連絡があったけど、あなたは今何処だい。コロラドに入ってから一切の連絡が無いじゃないか。何だか、電話って言う連絡網が途切れたら急に忘れてしまいそうな気持ちに襲われてる。周ちゃんって本当は夢なんじゃないか。当たり前な昨日が世界から急に消えてしまう事を私は見た事がある。だから、ここにいない周ちゃんを信じてない。あれは、世界で一番に愛していた男がナイフを持って刺してくるような現実だった。最高と最悪がミックスして、プラマイゼロじゃなくて、最高と最悪がただ身体を引きちぎるみたいに対極に存在して、むちゃくちゃ痛い。ちぎれてくれた方がずっといい。どっちかの気持ちになれたらどんなに楽なことか。
あれ、ものすごく痛かったな。周ちゃんの顔が見たい。動く周ちゃんを見たい。私の毎日はこのままだと完璧になってゆくよ。きっとストライキが明けたらまた直ぐに絶好調になる。そしたらどんどん周ちゃんがいない今日が日常になっちゃう。
夕飯はキノコのお味噌汁をささっと作って、フミエさんに頂いた自然食で作ったお粥とスーパーで買ったアジフライ。何だかニコチンパッチを張りながら喫煙してるみたいな気分。周ちゃんからLINEが入った!
ロゼ

朝一番で梃子の術後の経過診察で病院へ。炎症が起こってた。「気づきませんでした?」先生の言葉が胸に響く。ああ、何やってんだろう。毛が伸びきってるとはいえ、気づいてあげれなかった。もしかしたらまたお尻を何針か縫うかもしれないとの事。その10倍でもいいから私のお尻を縫って欲しい。もうこれ以上は手術をさせたくない。
帰って直ぐに納品を済ませて美容院へ走った。朝6時からNYの街を歩き回りながら、街並みを動画で見せてくれる周ちゃんと長電話したのが悪かった。いや、どうして私達が出会ったのか、それは運命なんかじゃなくって必然だ!みたいな話で私が熱く世界に起こる必然について語ったから悪い。そして私よりもずっとずっと熱い男だった周ちゃんに火をつけてしまったのも後悔してる。大興奮の周ちゃんはブルックリンまで歩きながら熱弁が止まらなかった。というわけでなんだかすごくバタバタしてる。よくわからない服をパパッと来て、午後のロケハン用にカメラをカバンにしまう。今日は久しぶりにカラーリングをする予定。周ちゃんにだって一ヶ月は会わないし、クリスマス以降は家に篭ろうと思ってる。誰に見せるわけでもないけど、美容院へ行ってこぎれいにするのも悪くない。いや、すっごくいい。 私がご機嫌でいる為に美容院。なんて贅沢なんだろう。最高。
いつもの美容院で髪をカットしてカラーリングして、いつもの様に美容院の隣のポストカード屋さんでポストカードを買った。アンニュイな感じで店を営む夫婦だろう女性や男性に挨拶をする。これが毎月のルーティン。今日は後藤さんに渡すクリスマスカードと、パリのまゆみちゃんにニューイヤー用のカードを買った。気まぐれでポイントカードも作って貰った。きっと明後日には捨てちゃうかもしれない。朝方、まゆみちゃんからメールが入ってた。”おめでとう!手紙読んだよ!” 一ヶ月前に送ったプロポーズされた!というびっくり仰天してる手紙がようやく届いたらしい。何だかすごく嬉しかった。表参道の駅でベーグルを買って上原へ。後藤さんのいるお店でヤスコちゃんと打ち合わせ。
駅を出て通りに出ると、窓の外からでも後藤さんが笑顔なのがわかる。本当にこの人の笑顔が好き。お昼の代わりにブラウニーと紅茶を頼んだ。後藤さんと色々とお喋りして、ヤスコちゃんと週末の撮影の打ち合わせをして店を出て下北沢でロケハン。夕陽が綺麗。空が綺麗。冬の淡い空ってどうしてこんなに綺麗なんだろう。光の加減だってすごく丁度いい。最高だな。帰り道にずっと空を見てた。
梅ヶ丘駅で降りてリカーなかますでロゼを一本。「今夜ひとりで呑む様にカジュアルなロゼをください。」「甘いの?フルーティー?さっぱり?」お店のおじさんはいつも丁寧に聞いてくれる。今日は2000円くらいのワインにした。イブだからかいつもより店は混み合ってた。最高だよね。美容院行って、好きな人に会って、ワインを買う。今日は酔っ払おう!朝にHPの問い合わせフォームから知らない方からメールを戴いた。日記読んでます。励みになりますって書いてあって、そこには酔っ払ってメールしてますって書いてあって、最高!って思った。いいよね。酔っ払ってメールするの。
私は酔っ払った人が怖くなってお酒を飲む人が少し苦手になっちゃったけれど、お酒は悪いもんじゃない。何だかすっごく素敵で粋な感じだった。だから、今夜は飲む。家はずっとクリスマスソングをしつこくかけてやろうと思う。そして、NYが朝になる頃、私はへべれけで周ちゃんからの電話に出る。きっとご機嫌で。
今朝、周ちゃんに話した。「なんかさ、こないだ気づいたんだよ。もしかして、今って人生で一番幸せかもしれないなって。」周ちゃんに出会ったから幸せっていうんじゃない。仕事だとか、人間関係だとか、家族とか、そして周ちゃんとの出会いも。ぜーんぶがいい。「えー!!本当に!!」周ちゃんはビックリしてた。「だってさ。生きてて、今より幸せな事ってあった?最低とか最高とか沢山あったけど、だってそうでしょ。」幸せになる為に毎日生きてる。今が一番じゃない理由なんて何処にもない。だって、毎日頑張ってるもの。毎日毎日、今が幸せになる為に、恋愛だけじゃない仕事も色々も全部頑張ってるもの、今が一番でいたい。もし、最低な事が起きても、そうじゃなくなるように頑張ってる。だってさ、生きるのって頑張ってることだよね。何もしなくたって、空気吸ってるだけで疲れる事あるもの。だから、今日が一番であって欲しい。
ラザニア

昨日、所沢の周ちゃん家でミュージアムのキュレーターの同僚達とピェンロー鍋をした。優秀な仲間だと日頃からよく話は聞いていたけど、想像以上に世界の違う場所に位置する人達だなぁと思った。周ちゃんもそうだけど、彼等はアートに関するプロフェッショナル。とにかく色々な事を熟知していて、ただただ感心する様な言葉くらいしか私からは出てこない。
同僚の高橋君は周ちゃんと歳も近いし、何だか風貌も少し似てる。そして、周ちゃんの色々を知ってるみたいで、周ちゃんが私に話さなかった恋の始まりにあった事を当たり前の様に教えてくれた。中には赤面してしまいそうな事もあったけれど、とにかく一つ残らず戴いて、明日にでもニヤニヤしながらテーブルに広げて愛でたいと思った。
それにしても、好きな男の友人だとか同僚に会うっていい。私の知らない周ちゃんっていう男に出会ってしまった。その人は想像以上にいい男で、時空を超えたどこかで同僚となってエレベーターで「お疲れ様、休憩にコーヒーでも飲まない?」なんて、内心ではドキドキしながらフレンドリーに声をかけてみたい。とにもかくにも、惚れ直した夜だった。
お陰様で私の恋に火が付き助走して母に伝えたLINEが事故となった。”新年明けて、ママパパに紹介したら結婚しようと思ってる。” 彼氏が出来た事ですら母にとっては衝撃的なニュースだったのに、大分すっ飛んだ報告をしてしまった。周ちゃんは油が馴染んだ茄子が好きだと聞いていた。だから今夜はラザニアに揚げた茄子を入れたら最高だろうと作ってみる。携帯がバイブしてる。ディスプレイには “パパ” と表示。19時半。絶対にもう晩酌が始まってる時間。一気に気分が落ち込んで行った。親が子供を心配するのは当たり前だと思う。だけど、私がようやく離婚の闇から抜け出せたのに、この1年の間、少しずつ少しずつ、本当に亀の一歩くらい小さなステップで前へ進んで出会った恋。あれだけ怖かった男性にまた触れられる日がやってきた。今でも周ちゃんっていう人がいつどこから降ってきたのか理解出来ないくらいに、世界が真っ逆さまにひっくり返った。だけど、父も母も喜んでいないんだ。あの二人はあの過去に留まったまま。
何も知らない風呂上がりの周ちゃんは満面の笑みでラザニアを頬張ってる。美味しい美味しいって、なんども美味しいと言って食べてた。この人を悲しませたくない。周ちゃんは好きだった女の両親に婚約を破棄された過去がある。その時の事を 、人生ってどんなに頑張ってもどうにもならないことがあるんだよねって笑いながら話していたけど、それは私には大抵想像が出来ない哀しみだよ。
不安がただ募る。
夕飯
茄子とミートソースのラザニア
シラスと蕪のオイル和え
柚子の味噌漬け
蕪の葉の台湾風
昆布のナンプラー佃煮
納豆
野菜の味噌汁
ご飯
ハヤシライス

母に車で駅まで送って貰った時に聞いた。「1月って忙しい?ちょっと紹介したい人がいるんだけど。」「BFだよ。結婚前提に付き合ってる。」「あらまぁ。どこの人?」「北海道出身だよ。」「良かった、関西だけは嫌。」
電車に乗ってから、母に周ちゃんの色々を改めてメールした。表参道でヤスコちゃんと打ち合わせしてから、病院へ。母から着信。あ、気にしてるんだろうな。”病院だから、終わったら電話する。”
「だって、アッちゃんやヤッチャンが兄弟としてよしみを想うのと、ママやパパが想うのは違うのよ。あんな経験しなくていい事なのに、ママとパパは、だから心配なのよ。相手がどんな人であろうと、立派だろうがいい人だろうが、きちんと相手を見たいの。」私が勝手に選んで勝手に不幸になったのに、母は父も、自分達を責めてるように聞こえた。
離婚の話をするのは久しぶりだった。姉とは何度も何十回、何百回としてきたけど、父は何も言わない。兄や母はあの過去を封印してるみたいだった。「ママ、あの人の名前はお願いだから出さないで。」私だけじゃない。私達家族が、あの離婚に今もトラウマを持ってる。家族の全員がきっと関西弁を聞くだけで胸の奥がちくちくと疼くんだと思う。もう二度とあんな出来事は起きる筈ない。もう私を苦しめる人は私達家族の前から去った筈なのに、今も尚、私も家族もあの過去に苦しんでる。
仕事を終えた周ちゃんが夜遅くに来た。母との話を話すかどうか一瞬迷ったけど、話すことにした。周ちゃんはぎゅっと私をハグして背中をさすってた。私達の苦しみを彼は今どう見ているんだろう。肩越しに夜の窓を見ながら目頭が熱くなった。そろそろ声も震えそう。だけど、泣くのをやめた。過去を偽ったり隠したくない。だけど、あの苦しみや恐怖の事は知らなくていい。
夕飯

午前は請求書の作成とか事務作業。午後はヨドバシへ機材を買いに。その帰りに伊勢丹で新年用にhankypankyでパンツを買って、青山で周ちゃんにクリスマスプレゼントを買って、中西君の事務所へ行った。先週、周ちゃんが急にヒバの丸太を買ってくれた。クリスマスは日本にいないから先に渡して置きたいって。丸太を貰ったのは人生で初めて。翌日に立派な丸太が届いた。私は周ちゃんが好きなヤクのセーターにした。出会ってすぐの頃、チベットの方へ行く前って、本物のヤクに会いたいと切望しちゃうよね!って話が盛り上がって、その時の周ちゃんの顔が好きだから。
中西君とは来週の撮影の打ち合わせをして、ちょっとだけ近況報告をして帰宅。中西君に離婚を報告した時、結構親身にメールをくれた。今度ご飯を食べようって約束したけど、あっと言う間に1年くらい経ち、気づいたらまた冬。けど、元気そうで良かった。何となく報告した方がいい気がして「結婚するかも。」って伝えると驚いてた。私は多分恥じらってた。本当は「結婚しようと思うの。」なのに。私って本当にダサい。
夜中に目が覚めて周ちゃんと電話した。今日あった事。私ってダサいよねって話をすると笑ってた。周ちゃんは職場の既婚者の先輩方に色々と指南して貰ってるらしい。多分、私はまた失敗したらどうしようって気持ちが心のどこかにあるんだろう。そんな現実が来たら恥ずかしいって。婚約をして二度目の結婚の準備をしてる。失敗するかもしれないし、しないかもしれない。未来なんて未だ何処にも無いのに。「それってさ、こないだあなたが言ってた季節物じゃない?」周ちゃんが言った。そう、私もそう思った。事実婚か法的結婚なのか未だ決めてないけど、結婚は指輪が手元に来た日にしようって二人で決めてる。
「独身も残り2ヶ月くらいだね。周ちゃんは何か思う?」「独身に全く未練が無いよ。それよりもこれからの事ばっかり考えてる。それに既婚者だって思われた方が楽だよ。」一回目の結婚の時は独身が終わるのをカウントダウンしてた。ああ、人のものになるのか。名前が変わったり、指輪をつけたり。何だか全く違う世界に行ってしまうような気がしてたけど、案外世界は何処までも繋がってた。
この恋もそのうちに愛になる。愛になる前に感じておくことがきっと沢山ある。これは旬だものね。恥ずかしい事じゃない。正々堂々と恋をして、大切な友人達にもちゃんと報告していこう。
夕飯
春菊と若布の味噌汁
卵と納豆
しらすと野菜のペペロンチーノ
カツオのたたきと檸檬醤油
出し忘れたコロッケ
夕飯

半同棲開始2日目。ランチは周ちゃんの山形時代の友人が西調布の手紙舎のカフェで今週末だけランチを出してるから食べに行こうとなった。店に着くと、たいちくんという爽やかな男性と隣に小さくて可愛らしい女性が挨拶してくれた。二人は夫婦で少し前に結婚したのだそう。周ちゃんは私の事を婚約者ですと紹介したけど、未だ半生みたいな婚約者なのに周ちゃんの旧友にどんな顔をしたらいいんだろう。ちょっと変な気分。
周ちゃんはたいち君に「結婚の先輩として、色々教えて欲しい!」と言った。たいち君は照れながら奥さんとなりそめを話し始めた。”四国の方に勤務していた時に、仕事先の建築事務所で結婚についての話しになったんです。所長が「寝室は別に作って置くのがいいよ。」と若者達にアドバイスをしたのだけど、尊敬してる所長は奥さんと寝てると言う。どういう事だろう??そこから結婚について深く考えるようになって、自分にとってそれが誰なのかを想像してみたら数日後にぱっと今の奥さんの顔が浮かんだんです。それで、翌週に彼女が住む名古屋まで車を走らせて、結婚したいから付き合って欲しいと告白して、二年半後に結婚しました。彼女はすごいんですよ。デンマークに機織りを学びに行ったり、好きな料理を仕事にしたり、自分にはない色々を持っていて。友達としても憧れていたし、尊敬しています。今、三重の古民家で彼女が料理をするカフェを作ってるんですよ。”
何だか可笑しい。人って面白いよな。似たようなって言ったら失礼だけど、たいち君って人が周ちゃんの友達だってよくわかる。周ちゃんはたいち君の話をする時に「彼って本当にいい人過ぎて心配なんだよ!」と言ってたけど、周ちゃんもきっといい人なんだろうと思った。私達は婚約者となったけれど、周ちゃんの事を全然知らない。話は沢山聞いたけど、未だ何百ってあるパーツの一つに過ぎないんだと思う。そこには良いものだけじゃなくって、私とは合わないものもある。結婚して10年経っても初めて出会うようなものもきっとある。こうやって、彼を知るきっかけを世界に見つけるのは何だか楽しかった。
帰りの電車の中で事実婚と法的結婚についての話をした。ちょっと前に名字が変わってアイデンティティーが崩壊した事を話した時に周ちゃんは驚いていた。「僕が名字を変えてもいいよ。」とその時は言ったけど、そういう話じゃ無い。お互いにとっていい形にしたい。事実婚をネットで調べてるけど、もっともっと多面的に知りたい。沢山話し合って考えて決めたい。よくわからないまま、知らないままに、皆がそうだからっていうだけで法的結婚を選んで苦しんだ過去を今でも後悔してる。
夕方から撮影が一本入ってて、仕事に出かけた。北風が強くて寒い。仕事の時の写真ってどうとるんだっけ?昨日辺りから急に不安になった。緊張とかは無いけど、ただわからなかった。私の色々が今まで通りじゃない。いつもの様に撮ればいいんだけど、そのいつもが今の私から居なくなった。きっと失敗は無い筈。だけど、もう知ってる場所には着地しないよね。何処へ降りるかはわからないけど、多分、大丈夫。
夕飯の前に周ちゃんに、今日の撮影が本当は不安だったけど撮れたって報告すると、すごく喜んでた。家に帰って私の写真を見てくれる人がいる。それだけでこんなに嬉しいんだ。今日は何だかすごく気持ちが良かった。こんな風に飛んだ矢の様に撮ったのは久しぶりだったかもしれない。だけど、怖くなかったな。なんか、これってただの妄想なのか、何なのか。意思に近いのかな。帰る場所がある、私の話を聞いてくれる人がいる。それだけで自由に飛べる気がした。元夫を守る為にそんな苦しさから逃れる為に必死に撮ってきた写真はいつしか私だけの写真になって、もしかしたらこれからは、ただ世界を感じるだけの写真になりそうな気もした。何だか怖く無い。すごく、もう怖く無い。透明人間みたいな感じ。当たっても落ちても飛び降りても、私に牛乳をかけたら真っ白になって、ミルキーな匂いがプンプンするだけみたいな。
夕飯
ご飯
色々野菜の味噌汁
鯖の塩焼き
スペアリブと大根の台湾風
豆苗と挽肉の春巻き
糠漬けと赤蕪の酢漬けのお新香
晩酌

毎日納品マシーンな私。あんなには忙しく無いけど、何だかコロナ前みたい。たったの2年前まで、今とは全く違う生活だった。毎日、毎日、納品してた。忙しくて心が切れっぱなしで、ずっとガソリンが漏れてるまま走って、直ぐにガススタでハイオク満タンにしてまた走る。とりあえず、私が悲鳴をあげたら家庭が崩壊するんじゃないかと恐れて、私の心という物質はこの世に存在出来なかった。
昨晩に見た黒木華さんのドラマでの名言。ずっと鳴り響いてる。「誰にも尽くさない。」完全に痺れた。大好きな人が出来たら是非言いたい。いや、一度は言ってみる。「あなたの事が大好きだけど、私は誰にも尽くさないの。」だけど、もし次に恋人だとか、大切な人が出来たら、私の事を大切にしてくれる人に出会ってしまうような予感がビシビシしてる。それで、私は毎度、カルチャーショックを受けて、「え?何でそんなに優しいの?」って何度もひつこく聞く。「え?ゴミ捨てしてくれるの?」「え?夕飯の買い物してくれるの?」「え?今、大丈夫?って言った?お願い。もう一回だけでいいから言って。」優しさを初めて見た宇宙人みたいに、何度も馬鹿みたいに驚いてしまうんだと思う。っていう妄想をしてる。そんな私の真意はわからないけれど、どうにもこうにも止められない。だって勝手に浮かんできてしまうんだから。
今日はとっても気持ちがよかったな。取材先まで歩いて、帰りも途中の駅から歩いて帰った。梅ヶ丘で大きな大根を一本と、写真家の松村さんに教えて貰った蒟蒻湿布をする為に手作り蒟蒻を買った。楽しみだな、蒟蒻湿布。お腹とか腰とかに温めて貼るだけで一気に色々を吸い取ってくれるのだそう。「すごい効果があるんだよ」と一生懸命に話してた。
そして明日は髪を切る。そんな事でも今日は朝からご機嫌だ。因みに髪を切るのは土曜日にデートをするからではなくて、お気に入りの髪でデートしたら楽しそうだから。いや、絶対に楽しいに決まってる。
晩酌
サミットの鯖の棒ずし
秋鮭の粕汁
小松菜とシラスの檸檬とオリーブオイル和え
いろいろ野菜の醤油麹焼き
大根サラダ
日本酒檸檬サワー
晩酌

朝一番で梃子の病院へ抜糸をしに行った。それから、取り除いたお尻の癌の組織の病理検査はグレード1で、正式に全身への転移は見られないものであったという結果が出た。未だお尻の傷は肉が見えた部分もあるけれど、たったの一週間で梃子はみるみると元気になって、いつもの様に家中を走り周ってる。本当に良かった。家に帰って、ほろほろと目から涙が落ちた。
今日は珍しく夜まで仕事をして、夕飯は晩酌をした。ただとにかく、何だか今がいい。
晩酌セット
ロゼ
日本酒とかぼすのソーダ割り
きのこの蒸し焼き
蓮根の醤油麹焼
枝豆
ロマネスコとシラスのペペロンチーノ
カブの昆布和え
モヤシのナムル
夕飯

寄せ鍋

午前は心理学の講義。二ヶ月のプログラムが半分過ぎた。あっという間。後、半分で終わっちゃうなんて寂しい。講義は私の様な心理学への知識が殆ど無い人も、心理士の様に専門職の方にも、皆に向けて行われる。だから、毎回感心するのだけど、先生はすごく考えて講義を進めてるのだろうって思う。とはいえ、時々見知らぬ単語も出てくるから、ノートを取るのに必死。だけど、とにかく楽しい。今日はまた一つ興味深い講義だった。私が講義を受けた理由はとにかくもっと心理学を知りたかったからだけど、いつしか自分自身を救うプログラムとなっていた。
講義と一緒に読み進めてる本や、毎日のホームプラクティス。サンプルは自分で、自分がどう感じたか、どうなったかを講義でまた話しあう。色々な意見、感じ方があるけれど、人の心の落ちどころは良い場所と悪い場所が決まってる様にも見えた。全く異なる経験でも、どうにかその場所へ行こうとする回路があるみたい。その回路の太さやどんな形をしてるかとか、個性は有るけれど、きちんと皆んなゴールにやってくる。そして自分達が歩いてきた道について講義で話し合う。そして、この話しあう時間がすごく好き。
いつか私の問題も乗り越えなきゃいけない、乗り越えられる日がきっと来ると信じてきたけど、もうこのまま、痛いままでいいのかもしれない。けど、もしかしたらこの痛みがあるから、心理学っていう学びが瑞々しく身体に浸透してくるのかもしれない。それに、先生も言ってた。問題には乗り越えられる問題と、乗り越えられない問題がありますって。人殺し、自殺、近親者の事故死、レイプ、日常ではあまり出会わないような問題が世の中には存在する。私の問題も片足突っ込んだような問題だった。
夕飯は寄せ鍋。冷蔵庫の余った色々で寄せ鍋って出来るんだなって。味が染み込んでて美味しかった。
枝豆

兄から送られてきた枝豆。ベストな茹で方についても後からLINEが入った。ビールと枝豆が永遠ループだからと言ってたけど、本当みたい。食べながら、youtubeとかインスタで色々な方の街角演説を見る。法律を変える為、生きやすくする為、誰かの為に、こんなに必死に頑張れるなんてすごいな。何だかとても勇気を貰った。ビールのせいじゃなくて、心が打たれて泣いた。
今日は兄と姉の誕生日。いつもありがとう。
新米

午後、母から新米と兄からパンと枝豆のふさが届いた。梃子の手術は昨日終わり、特に合併症なども起こらなかったので、予定通り夕方に迎えに行った。先生と話してた事は覚えてるけれど、受付の方が話してた内容が全く聞こえなかった。抜糸の予約をして家に帰宅。ほっとしたからなのかな。緊張の糸がプツリと切れた音までは聞こえたけど、その先が消えた。耳がおかしい。
手術直前は吐き気がする程に忙しくて、悲しんでる余裕なんて無かったし、絶対にやってやるってメラメラしてたけど、これって自律神経かな。右の耳が水の中にいるみたい。しーんとして重い。心身共に元気だけど、ストレスの重力は想像以上に大きかったのかもしれない。よくわからないけど、右耳だけが重くて静か。
テコは帰宅して喜んではしゃぎ回っていたけど、しばらくするとベッドでずっと鳴いてた。苦しいと哀しいがミックスした様な鳴き声。そうだよね。こんなに小さな身体でお尻を切って、何針も縫って、訳も分からないままにこんな事になって、怖くて痛くて、よくわかんないよね。テコのお尻はフランケンシュタインの様にギザギザの糸が露わで、そこから少しだけ黒い血が固まって見える。
母から何度も連絡がある。「梃子はどう?」
兄からもメッセージが入った。「次は梃子の快気祝いにパン焼くよ。」豆のベストな茹で方についても丁寧に教えてくれた。
梃子の手術が成功して本当に良かった。母と兄、ありがとう。
夕飯は新米と粕汁、糠漬け、カツオの刺身にした。
昨日のおでん

今日は久しぶりの白ホリのスタジオ。先週までの映像の仕事の色々がようやく終わったと思ったら、今週の撮影の進行とか準備とか撮影以外の色々に追い立てられようやく今日撮影が終わって、残すは明後日の撮影で私の安息の待ちに待った二週間ぶりの休日がやってくる!先がようやく見えてホッとして力が抜けた。今夜はゆっくり昨日のおでんと一緒に晩酌にしよう。
ビールを飲みながら、おでんをつまみながら、江口のりこさん主演のドラマを見た。私がしくしく泣いているとテコがベッドルームから起きてきた。哀しいというより、とにかく悔しい。相手を庇い自分を苦しめる江口さんの姿に自分を重ねてしまった。私の離婚は病とお酒が原因だけど、彼の行動の最後はお金と名誉が欲しくて家族を捨てたって感じだった。たったの8年だけど、仕事が無い時も、沢山の人に裏切られた時も、彼が人生を放棄してしまいそうになって、ポツンと世界にひとりぼっちになった時、いつもいつも、本当に何度もいつも、最悪な時に何度も何度も手を差し伸べてきた。営む大赤字の店を手伝い、お金が無くても楽しくなれる様に毎日お弁当を作り、私が居ない時でも一人ぼっちにならない様に冷えた晩食を置いておいた。だけど、ある日突然に彼の目の前にお金と名誉が現れた時、「僕は変わるから信じて。」と、健気に愛情だけは深いんだと愛を歌う男が、一瞬でコロリと変わった。私が怒る暇もなく出て行ったから、何も今だって話してない。何だか江口さんが会社のお金を横領して逃げたパートナーを殴るシーンは爽快だった。私も殴れるものなら殴ってめちゃくちゃに蹴り倒してやりたかった。「あんたはお金の為に私といたのか?」っていうセリフが心に響いた。
すごく悔しい。絶対に負けたく無い。誰に負けたく無いのかって言ったら自分にって言いたいけど、ものすごく疲れてる筈なのに酷く怒ってる。私が泣いた所為でテコはずっと側を離れない。どうしてこんなに可愛い子が、あの男に酷い事をされたって尻尾をふって愛情を振りまく子が癌を患ってるなんて、人生どうかしてる。悔しい。愛情を持って真っ直ぐ生きてる方が損をするなんて、ならば皆んな悪人になって人を騙しまくればいいよね。梃子も私も。
悔しい。今日は久しぶりに猛烈に怒ってる。だから、しみしみのおでんが丁度いい。
サーモンの塩麹丼

今日は朝から辻堂で撮影。遠かったな。それに寒かった。午後は新宿で一本お仕事、編集はお久しぶりの高木さん。相変わらず可愛い。高木さんは外見からカルチャーが溢れてる可愛いむすめ。
そして、恵比寿で打ち合わせして、帰宅して打ち合わせして、ようやく晩御飯。昨晩に漬けておいたサーモン。昨日の私、有難う。あんたはエライ。
一番最後のzoom会議。メンバーは富山のささやんなっちゃんご夫婦、フミエさん、山若君。このメンバーで作品を作る為に少しの期間だけ一緒に生活をする。フミエさんとはこないだ一緒にお泊まりしたし、山若くんとも昨年に小豆島で雑魚寝みたいなのをした。どんな事が起きるんだろう。どんな風な生活が待ってるんだろう。すごくすごく楽しみ。今日もさっさと寝よう。
しらす丼

朝の5時、悪夢にうなされて目が覚めた。家族で食卓を囲んで、どうやら私が離婚した事について怒られていた。父はいつものように中立的でまともな事を言ってる。姉はいつものように私を詰めまくり。兄はそんな姉に賛同。母はあっちこっちの意見をそうねそうねと流されるまま。「あーもうウンザリなんだよ!どうして私が責められなきゃいけないの。」とにかく悪夢だった。現実は逆で家族は離婚を望んでいた。姉に限っては結婚当初から目をギラギラと光らせていた。”皮のコートが切れちゃった。”とインスタに投稿すると、すぐさま「やっぱりアイツに暴力振るわれてるよね?」とLINEが入るくらい。「そんな事あるわけないじゃん!酔っ払って転んだだけだよ。」と言ったけれど、実際には酔っ払った男に道路に投げられたからだった。場所はいつもの通り中目黒、深夜の出来事だった。「二度と傷つけない。」っていうのは、またやるっていう合図なんだと身を持って学んだとても複雑な経験。こんな事を知っていても嫁入り道具の一つにだってなりゃしないけれど、そういった類の病の人の行動と心の変化についてはそれなりの長期的研究結果を持っている。
私が家族に詰められた理由は一つ。寝る前にベッドルームのライトを探してたからだ。欲しいライトが9万円。大して仕事もしてないのに買おうか悩んでいた。何となくメルカリに出してたビンテージのライトが思いの外高額で売れてしまい、ベッドルームが暗闇となるのも時間の問題。引越しの時に慌てて買ったデンマークのビンテージライトだった。次に買うなら、値段などは気にせずに買おうと決めてたけど、今の私に9万円は酷い。またもやビンテージ。一点もの。この配色は超珍しい。一年くらいずっと探してるけれど、かなり掘り出し。買う。いや、買わない。買う。独り押し問答をしたまま眠りについたので、罪悪感が家族となって夢に出てきてしまった。けど、現実は現実。代案を考えよう。
何だかあっという間に夜。頭がくらくらする。アレもコレもやらなきゃいけないのに、アレもコレもが終わってない。完全にオーバーワークだ。20時前に母から電話。「何やってる〜?」「仕事。」「あらまぁ、暇してるかなって思った〜。」「いや、未来の仕事。今はお金は入らない。」「ふーん。携帯買ったんだってねぇ。」忙しさで頭が破裂しそうなのに、母は優雅にお喋りを続けてる。平和だな。放っておこう。
新しい携帯が今朝届いてから、またデジタルライフが始まってしまった。携帯のない方が平和な時間だった気もする。何だか、今日はすごく疲れた。ああ、もう返却期限が過ぎてる本も読めてない。
晩酌

朝、目が覚めて “緑を吸い込みたい”って思った。昨晩飲みすぎた所為で2時間寝坊。時計は6時を過ぎてる。あーあやっちゃった。けど、気分がいい。10時半の打ち合わせの前に色々と終わらせたい事がある。送っておきたいものもある。うーん。どうしよう。
ささっと支度をしてテコを連れて駒沢公園へ向かった。何とかなる。私は放置すると調子がいい。仕事でもそうだ。決められた何かよりも、自由演技の方がずっと得意。緑を吸い込んだ私は三倍速で仕事を終えるはず。私が私を信じれば何だって出来るよね。そんな言い訳をしながら、公園へ向かった。
公園に隣接したカフェのテラス席でモーニングを頼んだ。テコは膝の上に座ってる。携帯で少しだけ仕事を始めた。気持ちがいいな。曇ってるけれど、悪くない。「わん!」テコが急に大きな唸り声をあげて膝の上から飛び上がった。私の右手に合った携帯が宙を飛び、テコが威嚇したミルクティー色のカールヘアーがとってもお似合いな巨大なプードルは何食わぬ顔で颯爽と横切ると、携帯が地面にパーンって音と共に着地。慌てて携帯を拾うも、画面は真っ暗。電源を入れてもうんともすんとも。ああ、これは壊れたね。
夕方頃に近所のワタルさんが家に来た。コンポストを作りたいから手伝って欲しいとお願いしてたので、電動ドリルと貸してたポートフォリオを持ってきた。夏の間、ずっといつやろうか迷ってたコンポスト。秋がきて、ようやく今だ!と思えた。だって、いきなり悪臭とかしたら、きっと直ぐにやめちゃうから。ポツポツと降ってきた雨の中、ベランダのひさしの下であーでもない、こーでもないって言いながら自家製コンポスト作りを完成させた。DIY初心者とDIY初心者の産物。中々の出来栄え。
終わってから、昨日の残りのワインを飲んで、冷蔵庫に残ってるオカズをつまみに、色々とお喋り。仕事の愚痴から、猫の話、共通の友達の話から、この街の話になって、どれだけこの街が素敵かについて語り合った。それに、通ってる花屋が一緒で、ワタルさんは花屋のお爺ちゃんの真似をずっとしてた。家族経営の昔ながらの花屋さん。この街に遊びにくる友人は、もう一つのお洒落な花屋を勧めてくるけど、一度も行ったことがない。いつか行ってみたいなって思ってるって言うと、ワタルさんも「そうそう。」って言ってた。
いきなり師匠について写真家になってしまった私に同業の友人はまずいない。だから、ワタルさんは貴重な写真家仲間でもある。そして、うちのリビングにはワタルさんが新婚旅行で行ったネパールの写真が飾ってある。私もネパール地方の高山地帯へ行った事があるからちょっとわかる。あの場所に行かないと見えない景色の事。乾いた土や薄い空気の所為でどんどん不自由になっていく身体。非日常の現実の中にポンって落とされたままに、目の前にただ広がる景色と圧倒される恐怖、そして爽快感。もし、私がネパール地方への旅をした事が無かったら、多分、この写真を綺麗だって言ったと思う。だけど、綺麗だけでは形容が出来ないと知ったから、この写真がより一層好きになった。
あと、今日は氷見の宿の夫婦とフミエさんと打ち合わせをした。画面に映る全員が大好きって思いながら喋るのは、とっても気分が良かった。打ち合わせが終わって、フミエさんと色々な細かいやりとりをしてると、「ワクワクしてやばいです!」とメールが入る。私もまさにそんな気持ちだったから「私もです!」と返した。
すだちの味噌汁うどん

身体が重すぎる。今週ずっと重い。火曜日に休みを入れたのに重い。疲れが溜まりに溜まってる。今日は朝からフミエさんの所で撮影。身体を引きずりながらカメラを持ってアトリエへ向かった。渋谷駅での乗り換え、目の前に身体には不恰好な程に大きなリュックを中年の女性が背負ってる。横には同じ背丈の女性が黒いスーツケースをガラガラと押しながら喋ってた。週末の朝から、この人達はどこへいくんだろうか。あ。後ろ姿の寝癖とカラーリングで渇いた髪。私が親友だと思ってた子だ。アル中で不倫を繰り返して、外では奥さんの悪口ばっかり言ってた男を愛し続けた友人。私は元夫だけに伝えたけど、彼女の夫が嘘を平気でつく事が好きじゃなかった。一昨日、携帯の電話番号を消したのは何か虫の知らせだったのかな。前を真っ直ぐ向いて、平然とした顔でホームへ走った。ホームについても、奥の奥の方へと進んで列車に飛び乗った。
ふと思い出した。月曜日に会ったスタイリストのマイコさんは元夫の店に遊びに行くこともあるし、元夫の元彼女とも普通に友達関係だしって。私には無理。だけど、そんなに恐れる事って無いのかも。声をかけた方が良かったのかな。けど、今、彼女にかけられる言葉が出てこない。笑顔で久しぶりだね!なんて言えないよ。離婚届を出す前夜にされた事が許せないとは思ってない。今思い出してもただ心が震えるだけ。それ以外だって、おかしな出来事が彼女の優しさとミックスして何が何だかわからない。ただ、確実な事は、彼女の夫と私の元夫は友人で、彼等はアル中で彼等は心の病気を患い、世界に悪態を吐けずに嫁に悪態を吐いた。似た者同士の夫と、似た者同士の嫁達だった。「新しい家に遊びに行くね!」彼女は一度も来ることがなかった。
ホームまで走ったからか、時間よりも少し駅に早く着いた。フミエさんに一本メールを打つ。「ちょっと身体がどんよりしてるから、駅前でカフェイン取ってから行きます!少しだけ遅れます。」いつもと違う道へ入る。そこは拓けた商店街で全くいつもとは別の顔の街があった。何だか不思議。フレッシュネスバーガーに入ってカフェオレを頼んだ。もし、世界に急に不安になったとしても、急な何かに心が壊れそうになっても、一呼吸置けば大丈夫になる。昨年に起きた過度なストレスで起きた心の転落で学んだ事。今は心身共に健康だけど、安全運転の為に守ってる。これは世界平和に繋がると思ってるから。例えば暴力を振るわれた子供が自分の子供へも暴力を振るう事があると言われるけれど、私は愛する人にも世界にも絶対に悪態なんぞつかないと決めてる。闇を知っても、闇はここで二度と陽の目を浴びなくていい。そんなもの、世界には必要ないものだから。
3分くらい休憩して、カフェオレを飲みながら少しだけ仕事の事を片付けた。さぁ、行こう。今日も写真を撮ろう。
ありがとう、アカリちゃん。さよなら、アカリちゃん。
晩酌

新宿で朝一番に機材を返却して埼玉のふじみ野へ向かう。今日は中島芙美枝さんの撮影。昨日の疲れが溜まってる。全身がずしりと重い。けど、今日撮ったら明日からは家にこもれる。梃子ともずっと一緒にいれる。
昨晩は倒れる様に寝たから、朝は案外早く起きれた。ベッドで10分だけ読書してここ数週間読み続けていたコンパッションの本を読み終えた。こんな分厚い教科書みたいな本をよく読めたなぁと自分に感心。来月から始まるワークショップの前に別の著者の本も読んでみたい。とにかく知りたくて仕方がないみたい。本から学ぶ心理学の知識がどんどんと私を潤していく。
待ち合わせより1時間遅れて現地へ到着。長閑な場所。遠くに畑がいくつか見える。お墓の前を通ると御線香の香りがふんわりと漂ってた。フミエさんに出会ってから、写真を通して沢山の世界を見せて貰ってる。私の人生では出会わなかった事や人に出会う事が増えた。そして、今日もまた一人。面白い女性に出会った。
畑に行くタクシーの中でお喋りしたスタイリストのマイコさん。畑に着く迄の時間にたわいも無いお喋りで到着する予定だった。どこから始まったんだろう。引っ越しをよくするっていう所かな。私もマイコさんと同じ。結婚するまで賃貸の家を更新した事が無かった。そこから、ペットがいて家探しが大変、「私も!」。バツイチだから、「私も!」。池尻に住んでて、あの街はうるさいし落ち着かないから、「私も住んでました!あの街、騒がしいし空気悪い。」。そして歳も同じ。なんだろう、この感じ。畑を見学して、そして駅に戻るタクシーでもまた沢山お喋りした。元夫がミュージュシャンで、働かなくて、結婚してたのは4年。可笑しいくらいに止まらない奇遇が痛快。こんな事ってあるんだ。
深い話まではしなかったけれど、離婚についての話は頷ける事ばかりだった。その後の孤独や自由の扱い方、女として生きる術、バツが付き否応がなしに身に付いた世界への眼差しの話とか、輪郭をなぞるまでもなく、アレとかソレとかで話が出来そうなくらい。そして、マイコさんは先週に友人の紹介で出会ったフォトグラファーといい感じなんだそう。3年ぶりの恋で、明々後日は誕生日。彗星の如く現れたその人の話を嬉しそうに話てた。
気づくとベッドで寝落ちしてたみたいで12時くらいに目が覚めた。トイレへ行った帰りにカーテンの隙間から見えるベランダに影が見えた。え!?どういうこと?驚いて外へ飛び出す。まるで夜の海にいるみたい。月明かりが煌々と街を照らしてる。なんて綺麗なんだろう。しばらくベンチに座って月を眺めた。昨日は車窓から月を見たな。鎮さんと見た月がずっと前の事みたい。月明かりが勿体無いくらいに色々に光を当ててる。
すっごくいい日だった。晩酌、ちょっと飲み過ぎた。
夕飯

今日は藤原さんをADのシミルさんに紹介したくて、うちでご飯しようとなった。藤原さんが高井戸の商店街にある魚屋さんでお刺身を沢山買ってきてくれて、シミルさんはビールと最近近所に出来たパフェ屋のゼリーを買ってきてくれた。
今夜は、刺身とフミエさんに一昨日に戴いた搾りたての醤油、富山の郷土料理の臭木の煮物、万願寺とうがらしとオクラの梅味噌焼き、発酵白菜の餃子、スナップエンドウのナンプラーがけ、切り干し大根ときくらげの中華風。食後に富山と千葉の梨と葡萄に、シメにすだち蕎麦。それから最後にゼリーと麦茶。とにかく食べた。お腹がパンパン。
途中で仕事が早く終わったと、シミルさんの奥さんのタマちゃんがお酒を持って来てくれた。シミルさんはビールを一気に二缶飲んだ所でソファーでイビキをかいて寝てちゃってた。横にはテコがぴったりとくっついてる。気持ちよさそうだから放って置いたけど、タマちゃんに怒られて、のそのそと起きてくるシミルさん。
平和な時間。明るくて温かい感じ。
「いつ引っ越したんだっけ?」そんな話から1年前の池尻の家の話になって一気に胸がざわざわし始める。トラウマってすごいな。まるで瞬間移動したみたい。あの場所に立ってあの場所で感じた、叩いても喚いても誰にも聞こえない様な真っ暗な底みたいな場所で締め付けられる全身の感覚をみるみると思い出していく。ぎりぎりと全身が固く冷たくどうにも出来ないあの感じ。あの男を想うと、家族なのに怖くて堪らなくなる、私でも私の気持ちがわからなくなった日々の事。
だけど、今は違うよ。トラウマが私をまた襲おうとした瞬間に、私自身がさっと払い除けた気がした。目の前には友人達が食卓の光の中で笑ってる。テコはテーブルの下で友人達の足の間で嬉しそうに尻尾を降ってる。もうここにはあの日々は一つだって無い。全然、大丈夫。
この街が本当に好きだし、近所の友人も大好きだ。ここに引っ越して来て10ヶ月が経つけど、あの思い出以外は一度だって怖い思いをした事は無い。嫌なことも不満も何も無い。ただ、穏やかで安心な生活が全身を包んでる。怖くて胸がバクバクする事も足が震える事も無い。また騙されたんだって諦める夜も、男の酒気が充満した朝陽を浴びることも一度も無い。夫の中からエイリアンの様な別のおぞましい何かが出てくるのを傍観することも本当に何も無い。可笑しいくらいに無い。
先輩から朗報が入った。あれだけ恋はしばらくっいいやて言ってたけど、今日のデートが楽しかったって。来週の撮影が楽しみですねってショータさんからのメールも入ってた。うん、本当に楽しみ。可笑しいくらいに、ここは温かい。哀しい話だけど、人生で一番に愛した夫が消えて、私は幸せになった。
今日のお刺身、最高だったな。
晩酌

バタバタと仕事を終わらせたのが18時。そこからいつもの有酸素運動をして、身体を晩酌に備える。お風呂に入って、髪の毛もビチャビチャのままで冷蔵庫へ直行。一気に酎ハイを飲み干した。ああ、最高。春巻きを揚げて、ビールをあける。コロナの番組を見ながらのんびり食事して、今日も終わり。あとはベッドに潜ってダラダラと本を読む。パーフェクトだ。
とにもかくにも、1日の終わりにする晩酌って本当に最高。晩酌ありがとう。晩酌愛してる。
晩酌セット
トマトとオクラと黒磯の味噌
大根の素炒めと藤原さんにもらった最高に美味しいXO醬
小松菜としらすの和え物
春巻き
麦酒
水餃子

今日はとってもよく働いた。4時半に起床、午後の撮影の準備をして、10時過ぎに新宿での撮影に出かけて、豪徳寺でパッとお昼を食べて、帰宅して自宅で映像の撮影。途中でひとみちゃんが来て、少し映像の手伝いしてもらって、そのまま水餃子の生地を捏ねて、夕方にルイちゃんが来てオカズ作って、ようやく夜。気持ちがいいくらいに、全部やりきった。ご飯を食べながら、それぞれの恋愛の話をした。私に限っては、最近考えてる恋愛観について話した。
今日だって寂しさが途方も無く追いかけてくるけれど、半ば諦めながらも目の前の事を大切にやるしか無い。コロナの感染者だってどんどん増えて、世界が侵食されていくような不安に駆られるけれど、感染してもしなくても、もうどんな事があっても起きても、やるしか無いんだって思う。
朝にリリさんからメール。次の就職先が決まったのだそう。すごく、すごく嬉しい。「また、ご一緒しましょう〜。」って書いてあった。数年前に出会った小さな女の子が、泣きべそかいてたあの子が、着実に前へと進んでる。いつか今が過去になる日が必ず来る。絶対に来る。だから、もう二度と後悔はしたく無い。
夕食

長野のカナちゃんが送ってくれた野菜で、午後はずっと料理をしてた。最高な気分。そして、最高なレシピを発見した。バジルと青唐辛子のソースがこの上なく美味しい!今日の私、なかなか冴えてる。
ビーツは絶対にマリネ一択。L.Aに行くと、必ず姉が作ってくれる料理。日本から来る私の色々をデトックスした方がいいと、たっぷり食べさせてくれる。翌日はトイレをピンクにする。排便も排尿も見事にピンク色。だけど、これが何だかまた気持ちがいい。そんなのを数日続けるうちに時差ボケも飛ぶっていういつものルーティン。
夕食
ビーツのマリネ
モロヘイヤと鶏肉のワンタン
バジルと青唐辛子のソース
山形のだしを信州野菜で(ぼたんこしょう、オカヒジキ、なす、胡瓜、麺つゆ、切り昆布)
お酒
バジルと青唐辛子のソースは、バジル、青唐辛子、塩、オリーブオイルをミキサーでソースにします。ジェノベーゼのさっぱり版って感じ。