
朝、角田さんから電話がかかってきた。明日の映像の撮影の事。本当は昨晩にメールするはずが、結局朝になってしまった。夜にやろうと思っても疲れて寝てしまう。そんな日が続いてる。そんなこんなで早朝に送ったメールのことだった。
「それで、角田くんが “まほちゃんは素直すぎるからだ “って言ってたんですよ。」電話の向こうで笑いながら角田さんが言った。
角田さんとはよく料理の話をしてる。だけど、角田さんはいつも「私は料理には興味ない。」って言う。仲の良い料理家さんで、料理はそんなに興味がないっていう料理家さんがいる。先生から料理の話は殆ど聞かない。大体はインスタのフォロアーを増やすことに夢中だし、「最近、こんなの見つけたの〜。」と無邪気に携帯の画面を見せてくれる。ある日にどうしてだろう、と疑問に思ったことがあったけれど、私がただ料理が好きだってことなだけなのかもしれないと角田さんと話していて気づいた。
料理は好きな人もいればそうじゃない人もいて、仕事のために作る人もいれば、お金のために、生きるために、健康のため、家族や恋人のために作っている人もいる。それが料理ってものでいい。そこに愛があるかないかなんてのは、そもそも私が決める話じゃない。それに、それは私の物差しでしかない。
色々と話して電話を切った。やっぱり私は料理が好きだなと思った。和彦さんが角田さんに言った言葉。わかる気がした。私も角田さんは素直だと思う。本人は相変わらず料理が好きじゃないと言うけど、多分それはきっと、もう料理なんて越えてるところの話なんだろう。よく農家さんの話をしてくれるけど、先日は仲の良い農家さんが家族に作るお弁当が気になってると言ってた。それは、きっと、野菜がどうって話だけじゃなくて、その農家さんという人が生きる暮らしの中にある料理を見たいんじゃないかかなと思った。家族、畑、その農家さんが生活する暮らしの中で誰かに作るご飯のことを。
夕飯はスペアリブと野菜の塩煮込みを作った。早い夕飯をすませてから20時頃にプールへ行き、帰ってから少しだけお酒を飲んだ。本当は勉強がしたかったけれど、珍しく周ちゃんが落ち込んでいたから、勉強はやめて付き合うことにした。落ち込んでる理由は薄々気づいていたけど聞かなかった。周ちゃんはお酒が飲めないからすぐに顔を赤くして布団に転がっていた。可愛い男。私は久しぶりに夜遅くにお酒を飲んだから楽しくて飲みすぎた。


