ワークショップ:自分と世界を「写し、紡ぐ」
私は写真の活動を続けていく中で、
心の仕組みにも関心が広がり、心理学の視点を取り入れるようになりました。
この全三回にわたるワークショップでは、技術的なコツだけを学ぶのではなく、心理学的なアプローチも手がかりにしながら、より深く「写真」と「自分」に向き合う時間をつくります。
自立支援施設コナトゥス杉並で開催し、コミュニティ心理学のグループワークに知見をもつ公認心理師・中村干城さんの協力のもと、集団力学(グループ・ダイナミクス)による相乗効果を大切にして構成しています。
♡ 心理学の活動は、note『写真家です。大学院生です。』に書く予定です。
1|撮る ↔︎ 撮られる:境界線に触れる

最初のステップは、「撮る ↔︎ 撮られる」という相互の体験から始まります。
二人一組でペアになり、撮影者と被写体の役割を交代で経験することで、レンズを介した視線の交錯を体感します。
レンズを向ける時、私たちは相手のプライベートな領域に一歩踏み込み、
逆にレンズを向けられた時には、自分という存在が他者の視線にさらされる緊張感や戸惑いを感じます。
この「見えない境界線」を肌で感じながら、言葉にならない非言語的(ノンバーバル)コミュニケーションをどのように重ねていくのか。
葛藤や調和のプロセスそのものが写真に写り込み、そこから互いの個性が立ち上がる作品づくりへとつながっていきます。
2|選ぶ:自分らしさに出会う
日常の中で何気なく撮った写真。
その中から「これだ」と思う一枚を選ぶ作業は、自分の内側にある価値観に触れるプロセスでもあります。
設定された期間内にスマートフォン等で撮影した写真の中から、直感に従って複数枚を選びます。それらをプリントし、並べ、見つめ、選びだし、「なぜこれを選んだのか」を自分の言葉で確かめていきます。
写真は、対象と撮影者の関係を“形”にします。
個人で見返しながら「どうして?」を反復し、
共有の場で「私がこの写真を選ぶ意味」を問い直すと、他者との違いがはっきり立ち上がります。そこにあるのは技術の優劣ではなく、一人ひとりの 固有の視点 です。
写真を通して「自分」が見えてくる
——その体験が、自己表現から自己認識へとつながっていきます。
3|紡ぐ:断片から物語を編む

最終段階では、これまでに選び抜いた写真を素材に、グループ(4、5人)でひとつのナラティブ(物語)を構成していきます。写真は単なる記録の断片ではなく、そこに自分たちの思いや記憶を込めることで、新しい意味を持ち始めます。
各自が撮影した写真を持ち寄り、グループで話し合いながら組み合わせ、最後にタイトルをつけます。小さな写真集をみんなで作るようなイメージです。
他者の写真と自分の写真が混ざり合い、ひとつの文脈へ編み上がっていく過程は、個人の枠を超えた共同作業です。
自分たちの手で物語を紡ぎ出す体験は、散らばっていた日常の断片に「いま」をつくり、未来へつながる手応えをもたらします。
最後に…
写真は、言葉にするのが難しい曖昧な感情や微細な違和感を、
写すことで、可視化できる表現のひとつです。
このワークショップでは、言葉の手前にある感覚を大切にします。
写真は、語るより先に、これまで見えていなかった自分の世界を、
自らの手で拾い上げるきっかけをくれるはずです。
このプログラムは、福祉施設等に通う方々に限らず、多くの人にとって、
自分を知るための手がかりになると考えています。
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