
梃子はまだ新しい家には慣れてくれない。なんだかずっと不安そうな顔をしてる。なんだか、なんだろう。可哀想なことをしてしまったのかもしれない、と今更、もう遅いのだけれど、少し悲しくなった。梃子は田舎での暮らしがきっと好きだったと思う。山を走ったり、湖に行ったり、苦手だった車にも乗れるようになって、それこそ人生がガラリと変わった。
月末にやっちゃんが泊まりに来てくれると言うけど、それまでに片付けの整理を終えられるのだろうか。そして、私たちの生活がここに、ぴたりとはまってくれる日はいつ来るんだろう。陽が暮れるころの空がピンク色で窓辺が綺麗だった。