昨年に体調を崩してホルモンの薬を飲み始めてから、この身体は男になった気がしてる。どれが本当の生理でどれが本当の生理じゃないか、今はもうわからない。だって、女の波瀾万丈な毎月の色々がない。イライラもしなければ不安になったりもしないし、やけに高揚感が溢れたりも、無性にセックスがしたいとも思わなくなった。それは、ちょっと不気味な気もするけれど、なんだかまるで、この体が別の何か、たとえば人形を羽織ってるかのよう。
だけど、今日は久しぶりに違かった。朝から無性に不安になって、肩をぶつけた鏡に泣きそうになった。痛いんじゃない。肩ぐらいぶつけることなんて幾らだってある。なんだか、悲しくて悲しい、ぐちゃぐちゃなんだ。とりあえずと思ってコンビニに濃いめのコーヒーを買いにいく。いや、違うよ、全然美味しくないもの。今日はやっぱり不安で仕方がない。車で海でも行く?いや、違う。髪を切ろう。なんか、私だめだ。
けど、今日は周ちゃんの病院の見舞いの約束もしてるし、大学へ本を返さなきゃいけない。あ、瞳ちゃん。時間はまだ7am。何も考えずに瞳ちゃんにLINEした。昨年のアメリカのお土産をまだ渡せてないし、こないだオイルを送ってもらって、その瓶もお返ししたい。直ぐに返事があって、青山でランチをすることになった。美容院はその前に原宿で切ることにした。今日はいつもと違う髪型にしよう。
何を話したんだか、いっぱい話したいことはあるけれど、色々を話した。大体は最近のことで、あとは勉強のこととか。私は、やっぱりなんだかどうして進学するのか理由が見つけられなくて不安だった。未来のことを考えて行動したことなんて今まで一度だってなかったのに、今もそれほど考えてはないけど、急に昨日から不安になった。周ちゃんの手術を執刀した先生からの電話が予定よりも遅くにきたからだろうか。全部が一緒にごった混ぜになって不安だった。
大事な日の前日は、たまたまかもしれないけど、瞳ちゃんに会うことが多い。別に、特にその事について話したり、応援してと頼むわけでもないけれど、そんなことを考えながらお茶なんかを飲んでる。青山あたりで。そして、じゃあね。と言って笑顔で別れる。今日もなみなみと注いだワインみたいに、たっぷりになって電車に乗りこんだ。
やっぱりやろう。落ちることが怖いんじゃなくて、頑張った先に何かを見つけようとしてるから怖いだけだ。別に私は今のままで十分に幸せだし、欲しいものといえば、書斎にVernerPantonの7万の照明を買いたいぐらい。とってもお安い人生である。
さ、頑張ろう。いいとか悪いはやってみないとわからないし、嫌ならいつだって好きにやめたらいいこと。だって、私の人生だもの。それに、やる前から不安だなんて、妄想も過ぎてる。