ホルモン炒め

Journal, 夕飯 17.2,2023

朝から撮影。背中がおかしい。歩くだけでも痛いし呼吸しても痛い。来週まで乗り切れるのだろうか。勉強も月曜から休んでいるし、朝が来たと思ったら晩が来る。

今回の撮影は私にとっては条件の悪さは過去一で、苦手とするライティングが主となる。自然光が十分に入らない北窓のぬったりした光が朝から晩まで連続する中で料理を綺麗に見ようとするには大体想像するしかなかった。こないだ写真家の松村さんが三脚を立てたらいいよ。と言ったアドバイスも呆気なく惨敗。想像している以上に三脚を立てるスペースがなかった。

考えているのは料理のことじゃなくて、どうしたら自然光みたいな光のライティングとなるか。現場が穏やかであることが何よりの救いだし、大先輩達との仕事はとにかく勉強になる。なのに、私の心は落ち込んでる。もっと料理に感動したいともがき続けてる。今回の仕事は特に込めた想いも強いからだろう。我が儘な気持ちを捨てられない。

それに反して背中の激痛は日に日に増していく。やばいかもしれない。背中の激痛と共に頭痛も始まってきた。もっとハードな内容の撮影は過去にもこなしてきたのに、今回は確かに、先週に姉が言ったようにこれはチャレンジそのもの。

最悪と言えばやっぱり最悪だし、諦めたくないのならばやるしかない。だから、どうにかしてライティングを組まなきゃ。人生なんてだいたいうまく行かないもの。

2月15日

Journal 15.2,2023


今日は書籍の撮影二日目。最初の打ち合わせは昨年の秋。ずっと先のような気がしていたけどあっという間に始まった。今日が2月15日だなんて信じられない。この本の撮影が終わり、1週間も経ったら3月。そして、もうすぐ引っ越して1年になる。

撮影を終えてから打ち合わせを少しして帰宅。時間は20時を過ぎていた。周ちゃんは残業らしく家は真っ暗。餃子を焼いて、冷奴に帰りがけに買ってきた釜揚げしらすと醤油、オリーブオイルをまわしかけてビールと一緒に食べた。なんとなく写真を撮る気になれなくて今日はごはんの写真は撮らなかった。左の背中がズキズキする。すごく痛い。

周ちゃんとはここ数日、喧嘩というか顔を合わせて話してない。意図的にすれ違ってる。ベッドの中で軽く足を絡ませてみたりもするけど、せめてものコミュニケーションというか、それ以上は何もしたくなかった。周ちゃんに少し腹が立ってる。周ちゃんも一昨日、私に苛ついていた。今夜もおやすみとだけ言って寝た。来週は結婚記念日なのに。周ちゃんは喧嘩が出来ないからめんどくさい。

寄せ鍋

和食, 夕飯 13.2,2023

“電話するなら4時間以内にして。”

L.Aは夜。日本は午前11時。
「あのさ、昨日の電話、夜中の1時だから。」
電話に出た姉が最初に言った言葉。
「ごめんごめん。最低だよね。」電話の向こうでヘレナが変な顔をしてる。
「ヘレナどうしたの?」

ヘレナはL.Aに戻ってから体調を崩したらしい。日本で病院へ行ったけど薬の内容を調べるとどうやら抗生物質じゃなくてただの痛み止めだったと怒っていた。

「それで、周三のこと?」
「違うよ。周ちゃんのことは特に何もないよ。性格なんて変わらないでしょ。変えるものでもないし。昨日、ハンドルの向きについて注意を受けたけど、面倒だからハイハイって聞いてたよ。別にそんなものでしょ。」
「それで?」

姉は大体いつもわかってる。何もなくたって姉には電話したいし、する時もあるけど、私からかけてくるっていうのは何かがある時なのだそう。半年くらいモヤモヤしていた仕事での人間関係のこと。自分の気持ちをどう整理したらいいのかわからなくて聞いてもらった。

人を信じたいし出来る限り自分ができることをしたい。だけど、信頼をしてる人が、その人にとって良くしてくれる人の悪口を言ったり、自分の成果の事ばかりに夢中になっていたり、そんな場面に出くわす度に虚しい気持ちになった。「あ、。」って、テーブルに並べられた出来立ての食事が誰かのお喋りで冷たくなっていく瞬間みたいに、すーっと。

それに、
離れていく自分の心が何だか悪いことをしているような気がしてどう収めていいのかわからずに宙ぶらりんのまま、時間がぼんやりと流れていった。時々思い立っては手帳にもう離れよう、みたいな事を書いてみたりするけど、結局、笑顔でこたえてしまう。

「あのね、いい人っていうのは損をするんだよ。うちはやり過ぎるからよくない。世の中、人を使おうって人が沢山いるんだから。ちゃんと自分の身は自分で守らないと駄目。だけどさ、今回それがわかっただけ良かったじゃん。今がよしみのチャンスだよ。こういう時はチャンスだから。あと、嫌なやつとか、その人に対して悪い言葉は絶対に使っちゃ駄目だからね。悪口も絶対駄目。」

さっきまで散々悪口を言ってた姉。「別に悪い人じゃ無いんだから、もうやめてよ。」と言っても止めなかったのに、私の悩みをあっという間に消していった。悪い言葉は使いたくない。悪くも想いたく無い、だからずっとどうしていいのかわからなかった。

誰かの助けになりたい。シンプルな想いだと思っていたけど、とても難しい気持ちみたいだった。自分の身を守ることはとても大事なんだという事もよくわかったけど、いつも誰にでも不審に思って表面だけでやるようなコミュニケーションも嫌だ。

なんだか、最近すごく仕事がしたいと思う。
小さなコミュニティーでいい。信頼のおける人とだけ気持ちのこもった仕事が出来ればいい。今までの考えが薄れてきてる。仕事が大きくなればなるほど出会う人も増えていくし、社会も必然的に広がっていく。昨年までは離婚の傷や自分の生活を整えることで精一杯で私の色々は内側に向いていたけど、最近はもっともっと外へ出てみたいと思うようにもなってきた。

色々な人に出会って、色々な人と仕事して、失敗したり嫌な想いをしたりしながらも、片一方だけがじゃなくて、互いに明るい未来を一緒に見れる仲間を見つけたい。

「よしみ、スペース空けときなね。」
「なんか怪しいじゃんそれ。宗教みたいだよ。」
「本当にそうだから。あ、って何か嫌な感じを受けた気持ちは正しいから。ちゃんと離れる勇気を持つ。そうやってスペース空けると、別の新しい人に出会えるよ。今は超チャンスだから!頑張ってね。その人には感謝だね!!じゃあね。」

それから、ちょっと気づいたことがある。最近勉強してる社会心理学でのこと。胸にひかかっていた誰かのことがわかっていく気がした。それはきっと近い未来に東京で暮らしていて良かったと思うことの一つになると確信さえしてるくらいに。人が沢山いる東京だからこそ出会えた人々。

人を無下にする人たちにも一連の繋がりを見つけてる。好み、話の傾向、仕事の仕方、対人関係など、いくつもの行動が一貫している。これは性格ではなくて何か原因があるって事だろう。そして、そこはなんだか寂しい場所にも見える。

もし、私の心がその人たちにされた事で仮に傷ついていたとしても、それで、そこで、終わりでいい。だって仕方がないことだから。

ラーメン

即席ごはん 10.2,2023


一昨日から体調を崩してる周ちゃん。原因は雨の中、ずぶ濡れで帰ってきたからじゃなくてどうやら庭のバケツに入れておいたレンコンが原因で胃腸炎になったみたい。私も同じものを食べたけど朝にお腹を下していた程度。周ちゃんは胃痛が酷くて夜中一睡も出来なかったのだとか。

最近の私はどんどん頑丈になっていく気がしてる。

トマトスパゲッティー

パスタ 08.2,2023

今日は朝から撮影の準備。あっという間に夜が来てザーザーぶりの中、ずぶ濡れの周ちゃんが帰ってきた。今月はずっとなんだか忙しない。

夕方に週末に約束していたいまむちゃんとゆうちゃんとスパゲッティーを食べに行く予定を延期してもらった。土曜日にのんびりとスパゲッティーをすすってる場合じゃなかった。残念だけど、来月が楽しみだな。スパゲッティーもだけど、スパゲッティーのことを嬉しそうに話すいまむちゃんを見るのが楽しい。人が何かに喜んでる姿っていうのは、こっちまで嬉しくなるというか、その弾む気持ちが感染するというか、そんな時間が美味しく感じてしまう。

最近、色々と考えてて少し疲れてる。多分きっと来週から始まる撮影だとか、大学の準備で気持ちが一杯なんだろう。だけど、新しいことがどんどんやってくると同時に失っていく色々も感じる中で、例えば、年始に感じていた東京の友達との交流が減っていく寂しさよりも、今は新しい人に出会っていく面白さみたいなものに本能的にワクワクしてるというか。違う世界が私に溶け込んでいくのが気持ちがいい。

周ちゃんとお風呂に入りながら不意に話したこと。
「人って面白いよね」って。

最近よく感じること。この人といると何だかとても楽しいとか、現場が明るくなるとか、たったひとりの人の影響は意外に大きい。逆に言えば、威圧的で怖いとか、冷たい言葉が場の空気を悪くするとか。本人が考えてる程に悪気はなかったとしても、悪い環境を作ってしまう人もいる。家族でも友達でも仕事でも誰と自分がいるかで自分は変わっていく。環境を作っているのは人で、その環境の中で生きるのも人だ。たったのひとりの影響力は別の誰かの今日を簡単に変えていったりもする。

nature or nurture 遺伝か環境かという古代ギリシャからの問いが現代までも続いてる。少し前に勉強したこと。面白いことにDNAが環境に左右されるという研究結果もでてる。誰とどんな風に過ごし何を感じるのか。悪く言うならば、潜在能力を引き出してくれるのもそれを潰すのも他人だったりもする。人の所為にするのは良く無いとも思うけれど、人は、やっぱり一人じゃ生きてない生き物で、人は、人とともに生きる。だから、要するに未来を明るくするには仲良くなった方が早いってこと。だけど世の中そんなに上手くはいかないもの。大人になればなるほどに複雑で巧妙に蓄えられたバランス感覚は曲がった骨盤のように誰にも気づかれることなく一方だけを目指し偏っていく。

「人とは人と人の…」私が人の影響力について言いたいことだけ喋りさくっと風呂を上がると、湯船に浸かりながら周ちゃんも熱弁を続けていた。そうだよね。人は人と。明るい場所を作りたいね。美味しくて平和でとにかく温かい感じの。

夕飯は急いで作ったポトフとトマトスパゲッティー。

塩麹サーモン丼と味噌汁

夕飯 05.2,2023


朝食を急いで食べて梃子の散歩へ出た。私は昼から久しぶりに睫毛パーマをしに駅前に行く。周ちゃんは高校の同級生と新宿で食事の約束をしてる。

「散歩、俺がさっと行ってくるよ。」と、周ちゃんが言ったけれど、私も行くからと支度を急いだ。先週の殆どは少し朝が忙しくて家の周りしか行ってあげれてない。いつもなら裏山か神社か私がダムと呼んでる貯水池のどれかをぐるりと回るコースなのにさっとなんて梃子が可愛そうだ。

「今、生理なの?」
「そうだよ。」
周ちゃんが歩きながら聞いてきた。

昨晩、寝ている私の背中をさすっていたらしい。吸水パンツを履いていたからそれで気づいたのだろう。Nagiの吸水パンツは水着みたいだから直ぐにわかる。何年か前に買ったもので今のは違うのかもしれないけど、分厚くてあきらかに普通のパンツじゃない。理由は何にせよ、好きな男にただ歩いている時に生理なのか聞かれたことは初めてだったし、それがあまりにいつもみたいに流れていくことが不思議で嬉しかった。

生理は特別な日だし、面倒で何だか隠したくなるような日なのに、そうじゃなく思えたことが特別に感じる。この気持ちをどう、なんて説明していいのかわからないけど、最近の周ちゃんがすごく好きだ。

2月2日

Journal 02.2,2023

歯医者の治療でL.Aから帰国しているヘレナと原宿で買い物。昨日は横浜だったのに、今日は原宿経由で千葉。疲れた。けど、夏ぶりに会えて嬉しかったし楽しかった。次はカウアイ島で会おうねって約束をした。ヘレナ達が夏休みに行くカウアイへ便乗しようという考え。「周三も来て!」と何度も言ってた。

「何でそんなに周ちゃんが好きなの?」
「だって、可愛じゃん。周三。優しいし。
それに、ヨヨに優しくしてくれるから。これが一番好きなとこだよ。」

ヘレナの日本の名前は優しい姫と書いて優姫。
小さい頃はどうしようもなく我儘だったのに今じゃ私よりもずっと大人に見える。ヘレナが向ける優しさはヘレナ以外の全てに平等に与えられてる。困ってる人がいたら直ぐに手を貸すし、知らない人でも当たり前のように親切にする。そんな風にヘレナといると少し自分がちっぽけに見えたりして、私の方がずっと歳をとってるのに恥ずかしくなるくらいだ。

「ジプシーのようにあちこち住まないで家を建てなさい。」

ひつこく言う母の言葉を聞いたのか、姉は日本、オーストラリア、L.Aのあちこちと移り住むのをやめて家を建てた。ニコちゃんの仕事が理由だとも思うけれど、彼女達の人生はジプシーそのもの。面白かったのはクリスティーナアレギラと過ごしたディズニーランドでのクリスマス。結構、いい人だったよと言ってた。クリスマスツアーか何かだったんだろう。ヘレナはそんなクリスマスを子供の頃から過ごしてた。そして早くに父親を亡くした。葬儀の次の日、後を追うように亡くなった親友だったスカイちゃんと楽しそうに遊んでる写真を撮ったのを覚えてる。あの頃、姉もヘレナも、私の人生も今思えば無茶苦茶だった。

大学は2年早く卒業らしく来月からニコチャンのパートナーだった人のチームでアシスタントとして音楽の仕事を正式に始めるのだそう。帰って直ぐにオレゴンのツアーに参加。18歳から働くだなんて、私が18歳の時は恋かダイエットかファッションの事しか考えてなかったのに。そういえば、こないだ国立で入った喫茶店でヘレナと近い歳の男の子が彼女と店のマスターと話していた。「まだ働きたくないから。院に行こうと思って。明日が試験結果なんですよね。」

日本の子はモラトリアムが長いように感じる。モラトリアム、大人になるまでの猶予期間。私も長いこと猶予の中をスイスイと現実から逃げるように泳いできた。離婚をしてからようやく大人を感じたとういうか、地に足をつけて歩いき始めたように思う。もういつまでも逃げられない。しっかりと歩かなきゃと決めた。警察から、弁護士事務所へ行った帰り道に、夫と住んでいた家から引っ越す時にそう誓った。もう私の夢はここで終わりなんだって。

ずっと昔に「子供を産まない人はいつまでも大人になれないのよ。」
と、母が言った。当時はまだ二十歳くらいだったし、偏見くさいこと言ってるなぐらいにしか思わなかったけれど、今は少しだけわかる。

中年の友人達。何が本当で何が嘘なのかわからない話ばかりをよくしてる。夢と現実が曖昧でむちゃくちゃだ。けど、十分にわかる。夢みたいな現実をこのままにそっとして置いて。いつか結婚したい、いつか家が欲しい、いつか素敵な人が現れる。いつかは毎日のおまけみたいなものでいい。現実的に言えば、もう卵子は殆ど残っていないし、そんなに条件のいい男や若くて可愛い女はとっくに誰かの隣で今日も愛を着実に育んでる。だけど、全部知らない。本当は知ってるけど知らなくていい。

人生は難しい。許されるならばいつまでだって子供でいたい。甘えていたいし、自由でいたい。縛られたくないし、けどお金は欲しいし、楽で生きたい。怖いことは見たくないし、知らないことは知らないままでいい。だけど、そればかりだと飽きてくるってこともわかってる。

夕飯

Journal 01.2,2023


横浜で取材の合間に喫茶店で合間の時間を潰している時にフォトグラファーの松村さんにLINEした。”ちょっと写真のことで聞きたいことがあるんですがいいですか?” 次の撮影のこと。悶々と考えていても仕方が無いと思って相談してみることにした。直ぐに着信が鳴った。「こないだの車なんだったの?」年末、酒の席で私が欲しい車が何かわからず当てるゲームみたいなものをしていた。「結局、旦那さんに聞いてもわからなかったんですよ。」「何だよー。それでさ、さっきの。感度は上げないよ。800以上は。」あ、。そうだ。感度は上げない。師匠である笹原さんもそうだった。感度は絶対に上げない。重いジッツオの三脚をがしりと立て、どんなに暗い場所でも少ない光を見つけて写真を撮っていた。アシスタントの時に少しだけお金が出来た時に私もジッツオを買った。大きな鉄の塊みたいな三脚。重いし、持ちづらいし、冬は持ってるだけで余りに冷たくて手が痛くなるくらいだった。何度も足をぶつけたし、指も挟んだし。一度だけアメリカで作品撮りをする時に持って行ったけど、よく持っていたと思う。あの時は若かった。結局、数年も使わずにメルカリで売った。相手は高校の先生か何かで、写真部で使う為だと言っていたけど、部の生徒達は本当にあんな無骨な機材を使えたんだろうか。今更だけど時々少し胸が痛む。いい物ではあるけど、素人が扱えるような機材じゃない。

「だからさ、三脚を使うよ。料理を綺麗に撮りたかったら三脚だよ。」松村さんの言葉に大事なことを思い出したようだった。私、何やってんだろう。三脚。つい数年前まではジッツオではなくても、私も三脚をしっかりと立てていた。デジカメになってから出来ることが年々増えていく。その進化は本当に凄くて、軽量化していく機材に反して上がっていくスペック。光をどうにかすることは決して道徳を反してる訳では無いのだけど、人間の背中に羽が生えるとか、体重が軽くなる靴とか、正直、カメラの中で訳のわからないことが現実的に起きてるような感じだ。光が無いと撮れなかった写真が光がなくても撮れるようになってしまった。そうして出来ない事が出来るようになると、誰でも何となく写真が撮れるようになり、それと同時に似たような写真をよく目にするようになった。デジカメを始めた時はこんな状況につまらないなと嫌気がさしていたけど、今ではこれが今日の写真なんだと納得してる。すっかりそんな事すらも忘れていた。曖昧な部分はあっという間に失われ、なんでもコントロール出来るようになった写真。フィルムブームなのもよくわかる。だって予測可能な明日なんて見たくない。それは仕事なら安全でいいかもしれないけど、自分の人生なら誰だってつまらないって言う筈だ。

やっぱり松村さんに話して良かった。本当に良かった。よし、楽しもう!

2月1日

Journal 01.2,2023


周ちゃんは確か先週も忙しかったけど、今週はもっと忙しいらしい。週末から始まる新しい企画展の準備で帰宅は昨日も深夜だった。周ちゃんと仕事をしたらすごくいいと思う。私達が一緒に仕事をする日が来るかわからないけれど、あんなに丁寧な人としたら安心しかないし、我儘を言いすぎてしまいそうで想像するだけで怖い。偉めな上司の娘と見合いさせられたとか、既婚者のチームを組んでいた同僚から休日まで一緒に仕事したいと言い寄られたとか、女ってのはわかりやすいというか残酷な生き物だなとも思うけれど、そんな事をしてしまうのもわかる気がする。出会った時に私の働き方を聞いて周ちゃんはすごく驚いてた。仕事の人は基本信用しないし、プライベートは一切話さないよって。「好きじゃない人、信頼できない人とどうやって仕事をするの?」私の質問に対して周ちゃんの回答は無かった。仕事ってそんなに修行みたいなものだっけ。ただでさえ、写真を撮るのに緊張したり、怖く思うことだってあるのに、せめて側にいてくれる人とは楽しくやりたい。安心したいし、安心して仕事に向かいたい。なんなら背中をさすっていて欲しいくらい。じゃあ、周ちゃんはどうやって仕事をしてるんだろう。忙しくて痩せるってどれほど苦いんだろうか。それは一体誰が喜ぶ為にやってるんだろう。

午前はフミエさんのアトリエで撮影のテストをした。どう撮るべきかわからなくて迷ってる。よしみちゃんはよしみちゃんっぽくていいよね。とか、よしみちゃんの世界観があるとか。そう言われる度に褒められて嬉しい反面、何だか駄目な人みたいにも聞こえてどうしていいのかわからなくなる時がある。写真作家になれなくて仕事の写真を撮る人になった私のただのコンプレックスだけど、勝手にやるせない気持ちになったりしてる。コマーシャルの写真が写真として良くないってわけじゃないし、仕事だって大好きだけど、作家には叶わないんじゃないかと決めつけてしまう自分が時々現れる。写真の質が違うのだから良し悪しなんて無い筈なのに。

テスト撮影を終えて、バインミー屋でバインミーが出来上がるのを待ちながらフミエさんに聞いた。「フミエさんは写真、どう思いますか?」私は今回、フミエさんの料理をどう撮ったらいいのか迷ってる。明るく綺麗にストロボをたいて撮るべきか、それとも自然光を活かして暗くてもイメージを重視したらいいのか。フミエさんのアトリエはあまり明るくない。この状況下で光に頼るのは正直辛い。偶然を狙うのも難しい。どうしよう。

編集の若名さんに相談すると、意外な答えだった。「よしみさんとフミエさんがやってきた事を写真にしてください。」真っ直ぐに目を見ながら話してくれた。不安がる私にライターの岩越さんは写真を撮る人みたいに教えてくれた。季節の光だとか、朝や晩の光を考えてみるのもいいんじゃないか。今回の仕事が決まった時、とにかく若名さんっていう大船に乗ろう。若名さんみたいな方とお仕事出来る機会はないのだし、私達って本当にラッキーだねって浮かれていた。だけど、若名さんが伝えてくれた話は私もだけど、フミエさんの心も打ったと思う。夜にフミエさんとLINEをしていて、とにかく頑張りましょうってメールをしあった。それに、岩瀬さんがいてくれて良かったし、フミエさんの友達の赤松さんもそう。

まだ少し時間がある。ゆっくりと考えてみよう。来週から大学の講義が始まる。

1月31日

Journal 31.1,2023


何だか忙しない数日。朝から少し苛々してる。理由は朝から周ちゃんが餅なんて焼くからだ。どうして忙しい最中に餅焼いたりするものかと腹が立った。ひっくり返したように汚れたキッチン。餅がこびりついた流しを誰が綺麗にすると思っているんだろう。けど、周ちゃんが焼く餅は美味しいし、嫌な顔一つせずに食べた。何とも私の心と心に板挟みで苦しい朝。一人暮らしはあんなに快適だったのに、男と住むというのはどうしてこんなにも大変なのか。私の人生の半分は多分、同棲とか結婚に費やしてきた為に一人暮らしの経験は賞味2年。あの時間が今でも恋しい。終日が王様。好きな時に起きて好きな時に寝て食べて。脱いだものも散らかしたものも、自分のタイミングで片付けるし、誰かの何かをやってあげなくていい。無いものねだりなんて事はわかってる。時々こういう日がやってくる事も。

朝は撮影の準備をして、午後は大学の成績表と卒業証明書の取り寄せをし、急いで歯医者に向かった。今日で最後らしい。先週の麻酔が酷くてもう行きたくないと思ってたので良かった。帰宅すると直ぐにりょーこちゃんから小包が届いた。同封されていた手紙を開けると綺麗な字で結婚おめでとうって書いてある。それから、食卓はよしみちゃんが好きな場所だからって。小さな桐箱を開けると水引のように結われた銀の箸置きがライトの光に反射してキラキラと光っていた。全てがそれぞれに違う形。なんて綺麗なんだろう。思わずため息がでた。富山県の伝統工芸品らしい。

りょーこちゃんに会いたいな。くだらない事で笑いあいながら麦酒をガブガブ呑みたい。りょーこちゃんはよく笑う。だから嬉しくなってつい調子に乗ってもっと笑わせたくなってしまう。そうして楽しいのループが始まる。ずっと前に一緒にベトナムに行きたいねって話していた。ネオンが光る街を酔っ払い女二人でじゃれ合いながら歩きたいな。二人して何を撮ったんだかわからないような写真を撮り、後から上がった写真を見返してケタケタ笑いたい。

モツカレー

カレー 30.1,2023

パリのマユミちゃんから手紙が届いた。封筒の中には2022年12月18日の手紙と、年始にバカンス先から送る予定だったカードも同封してあった。もし、ずっと私達がお互いに東京にいたら今でも友達でいただろうか。友達の友達だったマユミちゃんはいつしか大切な友人の一人になった。私達の共通点は何もない。学校も仕事も趣味も、マユミちゃんがどんな男の子がタイプだったのかも知らない。一つだけ共通点があるとすれば、マユミちゃんは両腕の手首に丸のタトゥーが入っていて、私は左腕にフロイトの言葉が入ってる。それくらい。だけど、互いに入ってるって事しか知らない。その意味も聞かないし言うこともない。文通も3年目に突入。2021年の年賀状から始めて、半年もしたら来なくなるだろうと思っていた手紙。今のところお互いにやめる気配はない。他愛もない日常を一方的に書いているようで、なんだか励まされたり励ましたり、笑ったり泣いたりしてる。そして、マユミちゃんはバカンスがくる度にパートナーと聞いたことがないような名前の街へと旅に出る。私の知ってる日本人は誰も行かないだろう美しそうな街。もうしっかりとしたヨーロッパの人なのだなと思う。最近、友達が減った事を手紙に少し愚痴ったけれど、マユミちゃんの手紙にも同じような事が書いてあった。なんとなくの友達はなんとなく連絡を取らなくなって、仲が良かった友人とはより深くなったって。嬉しかった。寂しさを持て余していた私にとって十分過ぎるくらいに温まる言葉だった。

それから、”最近、服がずっと要らなかったんだけど、こないだいいブランド見つけちゃって。沢山欲しいけど、そんなに働きたくないから、そこそこに働こうと思う。” と書いてあった。マユミちゃんは元々服の学校に行ってたし、いつもマユミちゃんらしくお洒落をしていて、今でもパリコレの仕事を手伝ってるくらいだ。だけど、好きだからとか欲しいからといって自分の生活を壊してまで手に入れたいとは思わないと決めてる所がやっぱりマユミちゃんらしくて素敵だ。

そこそこに働く。いい言葉だな。数日前に私とフジモンが話していた事に過ごし似てる。バランス良く生きたい。仕事は好きだけど、仕事以外だって人生だから。何かを消費する為に死ぬ気で働くなんて嫌。「最近は、あっても撮影は週2日くらいかな。」仕事の事を聞かれたフジモンに返答すると「丁度いいね!」と笑顔で返ってきた。以前は週6日撮影していたし、1日に数本の現場が入ってるのが当たり前だった。こないだ会った中西くんも言ってた。「よしみちゃん、前は忙しそうだったもんね。」私は心だけじゃなくて、それ以外の沢山もどこかに置いてきてしまっていただろう日々。あの時はとにかく時間は私を窮屈になるまで押し込んでいたし、苦しかった。もう戻る気は勿論ない。それに、あの時は写真を撮っていたというよりも、お金を稼いでいた感じだった。人それぞれだと思うけれど、仕事は人生じゃない。その方が私にとっては気持ちがよく写真が撮れる気がしてる。スイスイと自由型で泳ぐ方がより早く進めるとゆうか、こんな風に浮いたり潜ったり出来るんだと、知らない私を見つけて驚いてみたり、教えてくれた誰かに感謝したり。まだまだ手探りではあるけど、今のところいい事づくし。

夕飯はモツカレー。モツを蒟蒻と大根と一緒に薄めの麺つゆで煮てから、カレーに入れる。カレーはスパイスは使わないでカレールーとソースで調味。スパイスカレーも好きだけど、こういう味がしみしみのカレーも好きだ。周ちゃんはすごく気に入ったみたいでお代わりしてた。

コストコのサーモン

和食, 夕飯 29.1,2023

朝から梃子を連れてコストコへ向かった。顔より大きなサーモン。値段は5500円。「今日はサーモン手巻き祭りにしよう!」分厚く切ったサーモン。普通の日曜日に祭り。なんだかとっても楽しかった。

1月28日

Journal 28.1,2023

午後からりりさんと池袋の中華で約束。今日はりりさんの夫となった陸さんもくる。陸さんに会うのは初めて。りりさんが結婚を悩んでいた時にビデオ通話で周ちゃんと3人で話し合ったことがある。いつだったか覚えてないけれど、今の家に越してきてそう経っていなかったからきっと昨年の春あたり。メールでは二人に相談したいことがあると言っていたけど、もう心にはしっかりと決意が見えていた。ただ突然に起こった現実に心を激しく揺さぶる動揺をどうにか形に声にしたかったんだろうという感じに見えた。それに、結婚への決意はりりさんらしくて、いつも通り真っ直ぐな彼女そのものだったことに安心したというか、嬉しかった。

そもそも、りりさんも私も結婚を強く望んでいた訳じゃなかった。いきなり現れた結婚を思わず飲み込んでしまったような感じに近い気がしてる。勿論、後先考えてる余裕もないし考える気もなかった。りりさんがどうだったかはわからないけど、本当にあっさりと私達は結婚をした。時々思う。少しだけ私とりりさんは似てる。自分の事はよくわからないけどそう感じる時がある。

私と周ちゃんが到着する少し前に二人は到着したようだった。陸さんは写真よりもずっと大きくて少し驚いた。笑顔はまだあどけなかったけど、丁寧で律儀でどこから見ても芯があるとゆうか、ちゃんとした大人の男だった。リリさんのお母さんが気に入るのもわかる。もし、私に娘がいて陸さんを連れてきたら、私だってピザと寿司を出してしまう筈だ。よく食べてくれる姿を見ているだけで嬉しくて泣いてしまうかもしれない。それに、陸さんを好きになった一番の理由はりりさんの事を何度も尊敬してると話していたことだ。りりさんはすぐに泣いてしまうけど、自分に嘘をつかない。小さい身体でどうにかこうにか思いきりに生きようと前へ進む潔い生き方は私も好きだ。陸さんがそれをちゃんと知っていたとゆうか、きちんと言葉にして彼女の事を語ってる姿がかっこよかった。

何かが出来るとかスゴイみたいな事よりもずっと、どうにもならないその人の中で精一杯に生きてる方がずっと魅力的に見える。有名とか仕事とか、美人だとか金持だとか、その人を示すサインにはなるかもしれないけど、魅力を量る値にはならないし、人間の魅力はそんなもので量れる程につまらないものじゃない。何年も前から年収800万以上の人と結婚したいと言っていた友人達は独身をずっと更新してる。お金は大切。あればあるだけ困ることはない。けど、人間の面白さはお金で量れないとも思う。周ちゃんにそんな女達の話をすると、子供みたいな答えが返ってくる。「えー。それって、愛じゃないじゃん」って。その通り。けどさ、みんな本当に愛が欲しくて結婚してるんだろうか。それぞれのそれぞれなりの勝手な言い分で愛を語ってるだけだったりもしないか。子供が欲しいとか、そろそろ結婚したいとか、仕事がしたくないとか。結婚してないと恥ずかしいみたいなのもあるかもしれない。けど、それが人生になるのだから理由は何だっていい気もしてる。ただ、面白くないと意味がない。愛よりも前の話、面白いか面白くないか。そしたら年収なんて正直どうだっていい。

夕飯は茸鍋。〆に太い武蔵野饂飩を煮込んで食べた。

1月27日

Journal 27.1,2023


午前は新宿で美容皮膚科のカウンセリング。年末、後藤さんに「勧誘とか一切断れば無料で出来るから。」と言われていたのをすっかり忘れていた。若くて綺麗な女の子のひつこい勧誘にうんざりして直ぐに店を出た。妊娠を終えてから一気に増えた肝斑。妊娠後に増えると聞いていたけど、こんなにも増えるものかとげんなりしてる。やっぱり新宿は嫌い。逃げるように湘南新宿ラインに乗って逗子へ直行した。今日はフジモンと会う約束をしてる。最後に会ったのは妊娠前の夏のいつか。渋谷のミス・サイゴンでランチをした。結婚祝のお礼に達磨をあげたら嬉しそうにニコニコ笑って喜んでた。一見よくわからないものとか、不思議なものを全力で喜んでくれるフジモンは可愛い。子供のように無邪気な姿を見ているだけでこっちまで幸せな気持になる。フジモンはパリのマユミちゃんの親友。マユミちゃんは大好きな友達の一人だけど、その友達のフジモンもいつしか大好きな人になった。

年始に旦那さんのショータさんが事故を起こした事がずっと気になっていたから聞いてみると、身体には問題ないとの事でほっとした。ショータさんと、かかんの新しいPR動画の打ち合わせの約束をしていたので、打ち合わせの件が止まり申し訳ないとの事だった。お詫びに今日のランチ代を貰ったよ、と嬉しそうに言ってた。ランチは鎌倉野菜が美味しいモダンダイニングみたいなレストランで丁寧に作られた野菜を使った定食を食べ、散歩がてらに鶴岡八幡宮を歩いた。平日なのに週末みたいな人混みの中、夏に妊娠した事や、それで大学での勉強を決意したことなど話した。いつ何が起こるかわからないし、本当に辛かった。仕事も写真も大好きだけど、子供が出来ることが嫌だったわけじゃないけど、なんだか自分の人生から阻害されたような孤独感を味わったこと。周ちゃんは決して無視していたわけじゃない。当たり前のように私の日常が奪われてゆく中でいつもの通り仕事へ出かけただけだ。仕事、遊び、やりたかった事、やるべきだった事も。どうして女の私だけがこんな辛い想いをしなきゃいけないんだろう?事故のように起きた妊娠に対して、もどかしくて腹だたしくて悔しかった。フジモンは隣で大笑いしてる。「よしみちゃん!わかるわかるよ!うちだってさ。」男と女が不平等になるのは今に始まった話ではないけど、女性が妊娠したり、子育てをする事について、正直聞いてないよこんなの!と思った。これは周ちゃんが悪いなんて話じゃない。きっともっと大きな話だ。社会とか、歴史とか、ずっとずっと広くて大きな場所のこと。あのフツフツと煮えたぎる想いのことを鼻息荒くしながら参道で話し続けた。

「男なんて所詮わからないんだから。」姉が言ったあの言葉は本当に明答だと思う。勿論、悪意のある答えじゃない。だって、これは互いに思いやろうみたいなままごとで解決できる話じゃない。やっぱり私達は他人であって、別々の生き物であって、尚且つ性別も違うとしたら、尚更わかりあえっこない。お腹が痛いと言ってるのに、冷えた水でも飲んでねと渡されても、その優しさは痛みに突き刺さるだけだから飲めない。そんな風に妊娠をしたら男がより一層に嫌いになった。笑顔の可愛い妻でいたいなんてのは理想にもならない空想。

今日、特に話したかったのはフジモンの大学の話。2年前から心理学を勉強してる。あと働いてるクリニックの話も。私も大分解決しない人になったと思う。もうジャッジはしたくない。いいとか悪いとか。人の悪口もだけど言わない。肯定もしない。考えれば考えるほどに、答えなんてものはなくなっていく。フジモンもそうだ。二人で人の話を沢山した。頭を抱える程じゃないけど、あちらこちらに転がってる誰かの奥底にあるような暗くて皆んなが見ないようにしているような話をコーヒーを飲みながら淡々と話し続けた。同じようなことを勉強しているからというのもあるだろうけど、こんな風に話を出来る友人は他には一人だっていない。

前の夫の話も少しした。口から出したのは初めてだった。今だから考えられること。病のことについて、今どう生きているか。そしてあの病は彼の未来をどうしていくか。正直なところ、最近はあの病気のことをもっと知りたいとさえ思ってる。本来であれば忘れるべき過去なのに、これから料理し、さらには食べてみたいだなんて。「私の生命力やばいよね。」って冗談混じりに話すと、フジモンはまた大笑いしてた。本当にどうかしてると思う。だけど、きっとこれが生きるってことなのかもしれない。

パンケーキ

朝食 26.1,2023


男の人は褒めるとずっと同じことを繰り返す生き物だと思う。周ちゃんが作るパンケーキはいつしか朝食のスタメンになった。とても有難い話だけど、気分屋の私にとってルーティンほど怖いものはない。こんなにパンケーキミックスを買ったのは人生で初めてだと思う。これから味でも色でもなんでもいいから変化してくれることを願うしかない。とりあえず今日も焼き加減は最高だった。ふたりで暮らすのは楽しい事も沢山あるけど、自由がきかないことも増えていく。出来るだけ互いが互いに編み込まれてしまわないようにしたいのだけど、日々の暮らしは思ってる以上にスムーズに浸透していく。結婚当初から口を酸っぱくして言っていた結婚のルール。今じゃ殆どが何処かへ行ってしまった。

ここ数日、料理家の角田さんとメールでやりとりしてる。前にゲイの友人と文通のようなメールをしていた事を思い出した。言葉だけど言葉じゃないような感じのやりとり。角田さんは、とても忙しい方だと思うし、遊び半分のような事は言ってはいけないと丁寧によく考えながらメールを返答してる。数日前のこと、私が前に撮った映像をどうやら気に入ってくれたらしく、角田さんの心を強く動かしたみたいなことが書いてあった。本当は飛び上がってしまうくらいに嬉しかったけど、あまり調子に乗らないようにと言い聞かせた。けど、やっぱり嬉しい。

角田さんは料理家だけど、アーティストみたいな感じだったり、経営者のようだったり、とても不思議な方だ。周ちゃんはうちの姉に似てると言ってた。「どこが?全然似てないよ。」「懐が深い所。」姉はとんでもない性格だ。だから、アメリカに行っちゃったし、ギリシャ人と結婚したし、未亡人になり裁判3つやっつけて、今では自分の音楽の会社を作り女でひとり子供達を育ててる。私とは真逆だ。あの強さは一体何なんだろうかと思う。だけど、強く生きているのと同じくらいに、辛い事もしっかりと受けとめてきてる。口先だけの優しい人は沢山いるけど、それが悪い人だとも思わないけど、姉は心底優しい。私を助けると言ったら、世界中の全てを敵に回したとしても絶対に助けにきてくれる。周ちゃんの言ってる事が少しわかる気がした。角田さんが作る料理をまた撮りたい。

1月25日

Journal 25.1,2023


今日は急遽撮影となった。だけど、ロースターの事務所までは家からそんなに遠くないし、あっという間に撮影も終わった。駆け出しの頃に少しだけファッションの撮影をしていた時のことを思い出した。こんな感じで撮影してたな。あっという間にファッションは撮らなくなったけど、なんだか懐かしい感じがした。家を出たのは朝の6時半。まだ辺りは薄暗い。周ちゃんが運転しながら「娘を送るお父さんみたいだね。」と笑いながら言った。最近、周ちゃんに駅まで送ってもらう事が増えた。いつか自分で車で行けるようになったらいいけど、これはこれで気に入ってる。

撮影が終わって池袋まで急いで向かってる時に編集の岡崎さんと駅でバッタリ会った。今朝、丁度思っていたこと。今日、岡崎さんに会えないかな。何か小さなプレゼントでも渡したいな。岡崎さんは今月で退社する。この一年で何度か現場でご一緒したけど、もっと話したかったし、なんなら飲みに行きたいくらいだった。偶然の出会いに驚きながら少しだけ話して別れた。会えて良かった。それに、これからの話も聞けて嬉しかった。やりたいことがあるのだそう。新しいことを始めるっていうのは、他人事でもワクワクする。

夕飯は麻婆春雨にした。

チキンカリー

カレー 24.1,2023

久しぶりにカレーを作ったら周ちゃんがとても喜んでくれた。「どうやって作ったの?」「スパイスカレーにルーをひとかけ入れると美味しんだよ。」レシピを話すと驚いていた。それから二人してご飯もルーも何度もおかわりをした。最近はスパイスカレーを作っても嫌がられないから嬉しい。カレー文化はあっという間にここ数年で浸透したなと思う。スパイスカレーを作って喜んでくれるBFなんてここ10年の話。「どっちのカレーが好き?」と聞くと、100%で普通のカレーと返ってきた。どうやら時代はどんどん生きやすくなっていく。最近は本当に生きやすい。大嫌いだった冬も大寒波だと言うけど、そんなに寒く無い。働くこともそうだし、勉強もそう。私の人生も大分生きやすくなった。まだまだ今でも夢の中では誰かに責められているけれど、そんなに心には響かない。苦しみの一つや二つあるよね。その程度で今のところは収まってる。

今日は少し山の先にある湖まで車を走らせた。私の毎日で生きづらいというか怖いものと言えば車だ。助手席に周ちゃんが乗ってくれると運転は楽しい。だけど、まだ一人で運転するのが怖い。ずっと憧れていた。写真で少し稼ぎ始めた頃に車を買おうかなんて考えたりもしたけど免許は持って無かった。口では車が欲しいとか車が運転したいとは言ってたけど、今思うとそれは叶わない夢の話で良かったんだと思う。東京にいた時の私は夢を語ってるのが好きで、語ってるくらいが丁度良かった。夢は夢だからいい。苦しいのなんて嫌だもの。

新しい生活を機に免許を取って年末に車も買った。もう言い訳は出来ないし、いい加減に怖いなんて言いたく無い。けど、どうしていいのかわからないし、周ちゃんに聞いても少しずつ慣れるものだとしか言ってくれない。そんなのわかってるよ、けど、怖いんだもの。どうにもこうにも答えが見つからなくて一昨日にgoogleで検索した。”車、怖い、慣れるまでの時間” googleによると5000キロ走ると車に慣れてくると書いてある。恐怖っていうのは見えないから怖いもの。だから恐怖は見えるようにしたらいいんだ。5000キロか。大体だけど、それが私の恐怖の量になるのかもしれない。とりあえず昨日から毎日何キロ走ったかメモに記すことにした。

私が生きる上で知った事の一つにどんなに苦しい事もいつかどうにかなるっていうのがある。一人目の夫が暴れていなくなった時に覚えたこと。これは今だから思うけれど夫の所為じゃない。夫はいい人間とは言えないけど、私が私を責め続けたから酷いことになった。だっていつだって逃げる選択が出来たのだから。夫に振われた暴力や暴言。そんな事よりも私が人生を放棄したら、いつしか自律神経はどうにかなってしまい鬱が発症した。そこに立ってるだけなのに世界がぐるぐると回るし、吐き気がするし、骨と皮だけみたいになった皮膚に小さな風があたるだけでも怖くて仕方がなかった日々に覚えたこと。どんなに小さな一歩でもいいから、亀より遅くてもいいから前に進めば今よりはマシになる。1日0.1ミリでも10日で1ミリ、3ヶ月、1年と経てば3.6cmにもなる。たった3cmのヒールを履いただけだって世界っていのは見え方が変わるのだから、ものすごく小さい前進だったとしても、たったの1年でも今日より世界はものすごく変われる。怖くても絶対に出来ないなんてことはないと思う。息を吸うくらいに小さな努めでいい。というか、小さな努めしか出来ない。だって怖いもの。けど、続けたらいつか何かが変わる。残り4984キロ。逆に言えば4984キロ走ったらこっちのものだ。

豚汁

和食 22.1,2023

今日はひさしぶりに周ちゃんと梃子と山へ行った。山と言っても神社の裏にある小さな小山。年始にだるま市がやっていた水天宮。晴れた日は、遠くまで青い空が広がり、山や小さく見える家々もとても清々しくて気持ちがいい。だけど、寂れて忘れさられたような場所でもあった。ひとりで散歩に来たときは、神隠しにでも遭ってしまいそうで少しひやりとした空気を感じたりもした。だけど、先日の祭でとにかく驚いた。この神社は日本橋に次いで大きな水天宮らしく、この街では普段見ないような人集りに何だか夢の続きでも見ているかのような光景だった。周ちゃんは仕事でいなかったけど、見せてあげたかった。喜ぶ周ちゃんの顔が目に浮かぶ。今日はいつも通りの静かな山を歩いた。梃子は嬉しそうに走ってる。

お昼は昨晩作った豚汁とご飯で昼食をとった。今夜は料理家の角田さんと国立で約束してる。一番の目的は周ちゃんを紹介することだけど、私が会いたいというのも本心だ。特別に何か話したいわけでも、何かを聞きたいわけでもないけど、角田さんといると世界が広がる感じがして純粋に楽しい。本人は自分は変だからと言うけど、全然変じゃない。すごく強くてすごく弱い感じが私はとても人間らしくて一緒にいるとこっちまでいい人間になってしまうような気がするからなのか、その魅力に没頭してしまう。

周ちゃんと角田さんは直ぐに意気投合したみたいだった。周ちゃんがいると私は一言も喋らないでいい。こういう時間はそんなに嫌いじゃない。姉の後ろにいた子供の頃みたい。そもそも、そんなに自分のことを喋らなくていい。聞いているだけで見ているだけで十分。二人の話を笑って聞いてビールを何度かお代わりした。

楽しい夜だった。

1月19日

Journal 19.1,2023

朝から撮影。今日も編集の佐々木さんとライターの森本さん。それから、編集の藤本さん。スタイリストさんは初めてお会いした女性だった。料理の仕事はやっぱり楽しい。むちゃくちゃ楽しい。料理を作る人ってどうしてこんなに素敵なんだろう。そして料理の仕事ってどうしてこんなに楽しいんだろう。今夜は冷蔵庫にある残り物のおかずと冷凍イカで中華炒めを作った。少し遅く帰宅した周ちゃんと食卓を囲んで私はずっと興奮しっぱなしで話し続けた。「今日の料理家さん。すごい素敵なの。すごいよね。」お酒が入っていた所為もある。だけど、とにかく嬉しかったんだろう、楽しかったんだろう。私の話を聞く周ちゃんもとても嬉しそうに見えた。

前はいつも夫の機嫌に振り回されていたのに、今は私の機嫌が周ちゃんを悲しませたり喜ばせたりするようになった。毎月やってくる生理に加えて、怒ったり喜んだりが絶え間なくやってくる私にとっていつでも機嫌よくいる事は案外難しい。だけど、出来るだけ1日でも多く笑っていられるようになりたいと思った。何だか今夜はいつもよりもずっと家族みたい。少し呑みすぎた。

ひっぱり饂飩

郷土料理 18.1,2023

午後に六本木のテレビ局で撮影。夕飯は周ちゃんが準備してくれた。ひっぱり饂飩と朝採れのほうれん草でお浸し、大根おろし、水餃子。後は具沢山の味噌汁。採れたての野菜はやっぱり美味しい。身体がどんどん瑞々しくなっていくのが気持ちが良くて口一杯に頬張った。舌ってのは面倒なものだなと思う。別に私は放漫になんてなりたくないのに田舎に住み始めてからどんどん求めるようになってゆく気がしてる。採りたての野菜の味を知るようになってから、スーパーに並ぶ野菜に不満を覚えるようになった。前は何も感じてなかったのに。それは幸せな事なのか、残念なことなのか正直どちらが正解なのかわからない。ただ、感じることが増えて心は前よりもずっと忙しい。

ひっぱり饂飩
饂飩
タレ(サバ缶、納豆、卵、めんつゆを混ぜ合わせてもの)
ネギの代わりにミツバ

夕飯

和食, 夕飯 17.1,2023


今日は朝から撮影。車で行くか迷ったけど結局やめた。あれだけ文句を言ってた電車移動だけど、車の怖さを考えると電車も悪くない。やっぱりどれだけ都内での生活が便利だったか、東京での生活はタクシーと完全にセットだった。だけど、車を運転するようになってから、どこへ行くのも苦じゃなくなったし、遠いい場所にも行きたくなった。不思議なもので、便利さよりも不便さを選んだのに、世界がずっと広がった。田舎に移り住んだ友人たちが口を揃えて言う事だけど、本当にその通りだ。

撮影は時間よりもずっと早く終わった。今日はリンネルの編集の佐々木さん、あと先日に初めてご一緒した森本さん。森本さんは勝手に中山美穂に似てると秘かに毎度思ってる。佐々木さんはいつも丁寧で優しくて的確で、現場はダントツで早い。一緒に仕事をしてきて嫌なことは一つもないし、とにかくスムーズ。あっという間に撮影が終わる。こないだも思ったけど、やっぱり編集者っていうのはすごい。何がすごいかは上手く説明出来ないけど何だかすごい。すごく料理が上手みたいなものと似てる。ちゃちゃっと物凄く美味しいものを作ってしまう感じ。こないだ編集の成田さんと話していても思ったけど、仕事をする相手で私の仕事が変わる。変な話、私のギャランティーが下がってもいいから、いい編集さんがついてくれる仕事がいいとさえ思う。それくらいに仕事が変わる。現場での楽しみも、出来上がるものだって変わる。

前の私ならこんな風に考えられなかった。だけど、今は完全に何をするかより誰とやるかの方がずっと大切。こんなにも私ってのは変わってしまうものかと思うけど、それくらいに仕事への執着が失くなりより一層に仕事が好きになった。仕事だけじゃない。仕事を一緒にしてる人が好きになった。今日も楽しかったな。夕飯は時間も無かったし、冷蔵庫にあるものをとりあえず出した。あとは冷凍浅利と蒟蒻で炒め物を作った。今井真美さんの本で読み、いつか作りたいと思っていたもの。思ったよりもずっと美味しくて周ちゃんは結構気に入ってるみたいだった。

浅利と蒟蒻の炒め物 今井真美さんのレシピをアレンジ
冷凍の浅利
蒟蒻 薄めに短冊切りをしてから正方サイズに切る
大蒜・生姜のみじん切り 大さじ1くらい
醤油 大さじ1/2
味噌 小さじ1
みりん 大さじ1/2

発酵白菜鍋

夕飯 16.1,2023

今朝、ひとり書き初めをした。正月に周ちゃんと家庭の抱負について書いたけど、自分の書斎にも今年の抱負を貼りたかったから。今年は頑張りたい1年。何を頑張るか。好きな事を好きなように思いきりに頑張りたい。誰かの為にも頑張りたい。大学も目的はまだ不明だし大学院で研究してみたいとか余りに安易な考えしかないけど、今のところ楽しみ半分、不安半分。とりあえずやってみようと思う。未来を考えてしまうと色々が不安になるし、私の性分的に不安になると楽しくなくなってしまう。だから半紙には、”目の前の事だけをやる”と書いた。

朝方にデスクライトだけが光る真っ暗な部屋の中で夢中になって勉強していると不意に我に返る時がある。私、何やってるんだろう。朝の5時半、多分、私の知ってる殆どの人々はまだ今日を始めてない。完全無敵な私だけの時間な筈なのに後ろめたいような寂しいような説明のつかない気持ちになる時がある。そんな時の私を安心させてあげたいと思いながら何枚も何枚も気がすむまで書いた。

私がどこに行きたいのか私もわからないけど、一度目の結婚の時のようにもう二度とどこかに縛りつけたくない。こうなりたいとか、こうでありたいもパスだ。ふわふわの柔柔な綿飴みたいだけど、いざ口に入れたら一気に溶けるような感じがいい。それってどんな人なんだか想像つかないけど、とりあえずいい感じそうな気はしてる。

発酵白菜鍋 藤井恵さんのレシピを少しアレンジ
発酵生姜 すり下ろした生姜をヨーグルトメーカーで発酵させたもの
白菜
豚肉
春雨

醤油ラーメン

中華 15.1,2023

昨晩は周ちゃんと久しぶりにセックスした。特に喧嘩してた訳じゃ無いけど、先週末から小さな事が重なって私達の距離は少しずつ離れていった。肌が重なるとあっという間に近づいてしまうのはやっぱり動物なんだなと感じてしまう。お陰で朝は寝坊した。5時半。もそもそと起きて直ぐに机に向かった。数時間前まで抱き合っていた余韻が未だ全身に残ってる。あと数年もしたらきっとこういう感覚も失くなってしまうんだろう。少し寂しい気もしたけど、そういうものだから仕方がない。そうやって今とはまた違うものがしっかりと紡がれていく。久しぶりに会った友人の子供があっという間に大きくなるみたいに、毎日は今日をしっかりと重ねていく。

いつも通り2時間半勉強して、書きかけの日記を書いた。大体3時間も部屋にこもってると疲れてくる。お腹を空かせたのか梃子が部屋に入ってきたけど、また直ぐにベッドへ戻っていった。梃子を追いかけるように一緒にベッドへ行くと周ちゃんはまだ半分寝てる。「おはよう。」「今何時?」それからまた皆んなで二度寝して起きたのは昼過ぎ。なんだか背中がゾクゾクする。早朝から起きてたのに朝ごはんをスルーしたからか、空腹でどうにかなってしまいそうだ。急いでストーブをつけ、お茶を沸かした。冷蔵庫から野菜を出して、生姜たっぷりの野菜炒めを作る。湯を沸かし麺を茹でる。冷凍の水餃子も茹でる。バタバタと作ったラーメン。生卵を落として出来上がり。食事の前に念の為にと葛根湯も飲んだ。天気は朝からずっとどんよりしてる。午後はそのままベッドで過ごし、陽が暮れてからパジャマにコートを羽織り車でスーパーへ向かった。今日は1日パジャマだった。

醤油ラーメン
マルちゃんラーメン(3つで170円くらいのもの、急いでいる時や面倒な時に重宝。冷凍庫に常備。)
冷凍水餃子
生姜
ほうれん草
もやし
ごま油
最後に、白胡椒とラー油、生卵を落とす

晩酌

Journal 13.1,2023

今日は朝から夜まで撮影。周ちゃんは夜から石川さんのワークショップに出掛け、そのままマン喫に泊まるとのこと。久々にひとりの夜。離婚してからベッドとゆう場所が大好きになった。多分、長い時間を過ごしたからで、途方に暮れるような苦しかった日々を無数に流した涙をベッドが受け止めてくれたからだと思う。初めは一人にしては大き過ぎるダブルサイズに慣れなかったけれど、本を置いたり、マグカップを置いたりと、食事とまではいかないけど、より快適に過ごせるようになっていった。

私にとって大切となった場所に周ちゃんと眠るのは正直ちょっと不服だったけれど、誰かが隣にいるというのはとても安心するし、朝方に周ちゃんの横顔を見るのも気にいっていた。今夜はひとり。ベッドの真ん中に大の字になって寝れる。これから寝るというのに、気持ちは小さく浮かれていた。夏の夜みたいにいつまでも自由でいられそうな、これから何でも出来ちゃいそうな気分。

今日は疲れた。取材先で久々に九州の甘い醤油を買った。後は周ちゃんが好きな長崎の紅フウキという香りがなんともじんわりと優しい和紅茶。

豚とレンコンのワンタン

中華 12.1,2023

私が不機嫌な事に気づいているんだろう。家を出る前にぎゅっと抱きしめてきたけど、「痛い。」と返した。出掛ける間際、玄関から周ちゃんの大きな溜息が聞こえる。小学生か。めんどくさって気持ちと、子供みたいで可愛じゃないかと云う気持ちがハーフアンドハーフでやってきた。

周ちゃんはコミュニケーションが下手くそだ。人前ではハキハキと喋るし、仕事でも全く問題無いだろう。だけど、密に誰かと接する事が苦手だ。喧嘩はおろか、喧嘩みたいな事だって出来ない。そんな時は自分の心への嘘のオンパレードが始まる。苛ついていても、怒っていないフリをする。嫌だと思っても、より一層に親切にしてくる。こんな風に自分にとって不都合なコミュニケーション全てから綺麗に逃げる人は中々出逢ったことがない。そして、私はこれが嫌い。それに、逃げる行為のことを優しさだと言い換えてしまのも腹が立つ。それは優しさじゃない。だって、自分に優しく出来ないのにどうしたら他人に優しく出来るのか。それは私もよくやってきたからわかるけど、現実に向き合わない為の上手な術。

今日も冷戦。色々と喜んでくれそうな夕飯を作ろうが、周ちゃんは今夜も嘘をつき続ける。馬鹿な奴って思うけど、私の都合で正したりはしない。そんな事をしたって、事態が悪化するだけだ。けど、どうしたらいいのかわからない。めんどくさい。さっさと寝よう。こうゆう風に頭をひねらしてまで他人の事は考え過ぎちゃいけない。自分の問題にもしちゃいけない。だからって無視をしてもいけない。難しい。先ず寝よう。私の悪い所についてでも考えておこう。

牡蠣と水菜のおろし鍋

冬の料理, 和食, 夕飯 10.1,2023

L.Aの姉から電話が鳴った。「最近どう?」「退屈してる。」本当にその通りだ。大晦日も正月も楽しかったけれどとっくに飽き飽きしている。家に縛り付けられてるような気分だ。最近の周ちゃんが嫌だとは言わなかった。「本当に退屈してるんだよね。」あくびを何度もした。「手の届かない所にあるライトを変えてくれる人がいたらいいのに。」「あっちゃん。それ、いつも言うね。」「結局さ、その役割をしてくれる人が欲しいだけかな。」「そうじゃない。それでいいんだよ。結婚なんてさ、良くも悪くもないでしょ。」「まあね。」大体いつもこんな話になる。「だってさ、こっちで一人で子供育てて、色々やって。全部自分で決めなきゃいけないでしょ。前は全部ニコが決めてくれてたでしょ。」「最高じゃん。そんな最高な事ないよ。自分の人生だもの。全部自分で決めたいよ。」「確かに。」「だからやっぱり彼氏がいいよね。」「そうだね。」結婚を選んだ私が堂々と言えることじゃないけど、彼氏っていう存在はパーフェクトだ。結婚が駄目ってわけじゃなくて、彼氏ほどバランスとれた関係性はない。姉はしばらく彼氏なんて要らないと言った。仕事忙しいし、私、男が出来たらハマっちゃうじゃんって。ごもっとも。今日は周ちゃんのことで特別うんざりしてる。さっさと寝よう。

夕飯

夕飯 09.1,2023

今日は午前から車で周ちゃんと梃子と都内までおつかい。途中、練馬にあるコンビニエンス高橋でランチ用にサンドウィッチとコーヒーを買い、新宿の先にある民藝のお店へ。友人へのプレゼントに小鹿田焼のうるかつぼを探してる。本当は池袋の近くにある小鹿田焼専門のお店へ行くはずが残念ながらお休み、急遽民藝店へ行くことにした。家を出て5分もたたないうちに周ちゃんからアクセルとブレーキを気をつけるように注意された。いつもなら素直に聞いてるのに、今日は何だか無性に腹が立って言い返した。「出来ない人に出来ないって言ってるようなものだよ。練習する為に乗ってるし、失敗しないようにものすごく気をつけてる。そんなに細かく注意しなくてもいいじゃん。」理由はわかってる。今日はいつもと違うスニーカーだから。アクセルとブレーキの踏み込む強さがいまいち掴めない。周ちゃんはきっと忘れてる。合宿免許の時にニューバランスはソールが厚くて運転が怖いからVANSを送ってとお願いしたことを。今日はニューバランス。いつまで経ってもVANSでばかり運転しちゃいけないと思って履いてきた。怖かったけど、これも練習だって。

信号で車が停まった時に周ちゃんが謝ってきた。「うん。」とだけ返答。今日はVANSじゃない事も言わなかった。周ちゃんの教科書を読んでるような真面目さが苛々するとか、もっと男らしくどんと構えていてよ。なんて事も言わなかった。そんな意味の無い話をしても仕方が無い。結局、そんなのは私の妄想だ。周ちゃんは周ちゃんでしかない。世の中に私の理想通りの男なんてのはいないのだから。誰だって良い所もあって悪い所もある。私もそう、そんなもんだ。

結局、新宿の民藝は休みで中目黒のSMLまで行った。お昼はずっとお預け。そのままトンボ帰りでまた車に乗った。今日は何時間運転したんだろう。車を運転するのは好きだと思っていたけど、殆ど車では話さなかったしつまらなかった。梃子も何かを感じたのかずっと鳴いてた。だけど、途中で私の膝の上に座ると静かに寝ていた。なんだか面倒くさい。だから結婚は嫌なんだ。周ちゃんはいい人だと思うし離婚したいとは思わないけど、独身の友人に言って聞かせたい。結婚なんて本当に幻想だよって。最悪でも無いけど、最高でもない。どちらかと言えば独身よりも窮屈だし、長期戦の中で窮屈でいることに慣れてしまうか、いつまで経っても無駄な抵抗をし続けるマインドを掲げ続けるか。そんな選択を常に迫られている中で相手を一生好きでいるのは中々努力のいる作業だ。帰宅して近所のスーパーに缶チューハイを買いに走った。夕飯は適当に作った。

夕飯
ご飯
具沢山の味噌汁
焼き鮭
昨日に作っておいた台湾風煮物
スーパーで買ったゲソ揚げ
納豆
残り物のアチャール

キャベツ餅

郷土料理 06.1,2023

なんだか焦ってしまう日があって、今日がそれだった。仕事をすると落ち着くっていうのは、名前はわからないけどそうゆう病の一つかもしれない。小さい頃から母が個人事業主として忙しく働く姿を見ていた。母の仕事先にマイメロディーの顔を切り取ったようなお弁当箱に私が好きなおかずを沢山詰めて、お絵描きセットなんかと一緒に持って母と一緒に色々な場所へ行った。仕事を頑張る人は正義。いつからかそんな思い込みが私の中に植えついていた。きっとバブルの死ぬ気で働けば報われる世代、働くために栄養ドリンクを飲むことが全国的に推奨されていたおかしな時代の所為もあるだろう。祖母も女一つで忙しく働き、よく稼いだ女性だった。今思えば、母はワンオペの超ハードなワーキングママでありながらも、家事も完璧。お洒落だって下着まで余念はなかったし、子供の頃に惣菜を食べた記憶だって殆どない。例外として、時々、近所の宗君家がやってる肉屋で買う揚げたてのコロッケはちょっと特別な感じがして楽しかった。

それに母が自由に働く姿を見るのが好きだった。深夜にダイニングで花を広げて仕事をしている姿を見かけるのも日常茶飯事で可哀想とか大変みたいには思ったことはない。それが母。私もきっとそうなりたかったのかもしれない。だけど、ようやく最近になってわかってきた。私は母じゃない。母に憧れてるけど、母ではなく私だ。そうやって何十年と心のどこかでいつも苦しんできた気がする。好きでもない会社に就職したくないとか、働き方に疑問があるとか、友人や家族間ではしないような、人を粗末に扱うような大人を見かける度に胸が傷んだり、逃げるように立ち去ったり。20代の頃はそんな事でとにかく心が忙しかった。

時々こうしてやってくるのはその名残だ。母になりたいけどなれない自分。もういい加減にしたらいいのにと思えるようにもなったけれど、なんだか焦ってしまう日もまだある。私なりに私のやり方で頑張ってる。誰かになる必要なんてないのに。

今日は色々と新しい事を始めた。幾つかの撮影の準備、映像のことや、企画を考えたり、大学のことを調べたり。夕方に料理家の角田さんからメッセージが入った。1月に周ちゃんを紹介したいと伝えていたけど、それは口実で私が会いたかった。メッセージを何通かやりとりをし、また連絡しますねと送った。

私とよしみさん似てるって。メッセージの中にあった言葉。和彦さんが言っていたのだそう。私は私がキライなわけじゃないけど、なんだか少し自由になれた気がした。夕飯はキャベツ餅を作った。周ちゃんは嬉しそうに頬張っていた。

キャベツ餅
キャベツ 1/4
ごま油 大さじ1
醤油 大さじ1程
味醂 大さじ1程
カレー粉 小さじ1/2
参考 榎本美沙さんのyoutubeのレシピ