焼き筍

Journal 22.4,2022

「愛してるから!」夕方の16時。周ちゃんが饂飩を茹でながら珍しくちょっとだけ大きな声でキッチンから叫んだ。周ちゃんの言葉に思わず笑ってしまった。周ちゃんってもしかしてもうすぐ死んじゃうのかな。よく思う。本当によく思う。しきりに思う。それって最期に言うような言葉だよね。恥ずかしくて嬉しくてどうしていいのかわからなかった。

今日は朝から診断書を病院へ取りに行ったり、皮膚科へ行ったり、銀行の名義変更。ためていた細かい用事を済ませた。駅を出たのが朝の9時過ぎ。帰宅したのは16時。途中に暑くて強い日差しにクラクラしてコーラを飲んだだけ。お腹もすっかりペコペコを通り越していた。「お昼食べてないの、こんな時間だし冷たい饂飩でもさっと食べようかな。」何も言わずに饂飩を茹で始めた周ちゃん。私は末っ子だから甘えるのは得意な方だと思う。だけど、まだ甘えてないよ、周ちゃん。今日会った色々を話した。うんうんと聞きながら饂飩を茹でる周ちゃん。「ねぇ、周ちゃん。どうしてそんなに優しくしてくれるの?」毎日ありがとう、ばっかり言ってる。きっと梃子はありがとうって言葉に意味もわからず飽き飽きしてるんじゃないかってくらい。いつもいつも。本当にありがとう、だ。だからって、「愛してるから!」だなんて返さないでほしいよ。困るよ。標本にでもしたいよ。ぺたっと時間を止めておきたい。夜の夜までずっと「愛してるから!」がリフレインした。

東京、楽しかったな。池袋なんて都会過ぎてビックリした。いつも遊ぶのは渋谷、青山ばかりだったからかな。世田谷区とか目黒区の事はよく知ってるけど思ってるより東京の色々を知らないかもしれない。帰りに駅ビルにあるロフトでジェットストリームのボールペンを買いに寄った。ジェットストリームはほぼ日の仕事をしてから使ってるお気に入りのボールペン。2016年からジェットストリーム一択。柔らかいタッチのペン先がスラスラと文字を泳がせてくれなきゃいやだ。銀行だとかホテルで丸くて太いボールペンに出会った時の私の萎え度は半端ない。あまりにがっかりして私の名前は最低最悪なぐちゃぐちゃのミノムシみたいな形となる。ロフトのペンコーナー。ジェットストリーム。探しても探してもない。あれ。おかしいな。絶対にないわけがないのに。あ!ジェットストリームコーナーが特設されてる。え!!あれだけ私言ったよね。ジェットストリームはカラーデザインを見なした方がいいって。なんとピカチュウとスヌーピーのコラボレーションペンが売ってる!!正直ピカチュウが誰なのかは知らないけれど、ものすごく可愛い。ああ、良かった。ようやく来た。しかるべき日が来たよ。ボールペンに600円。高い。だけど、買う。ピカチュウは誰だか知らないけど買う。

「なんとピカチュウのジェットストリーム!梃子みたいでかわいいよね。」「そうだね。」冷たい饂飩をすすりながら周ちゃんにペンを見せた。今日はリモートで家で作業していた周ちゃん。肌が助けた薄いTシャツに白いシャツを羽織ってる。家着にしてはかっこよ過ぎてないかな。色っぽいじゃないか。若い男には申し訳ないくらい興味がないのは周ちゃんの所為だ。中年男子の周ちゃんの色気。どうしようもない。

今日の献立
念願の焼き筍
春菊とハムのサラダ
ねぎと砂肝のナンプラー炒め
焼キャベツと黒豆の味噌
新玉ねぎのドレッシング
素麺
納豆