7月9日

Journal 09.7,2022

朝一番で三茶へ向かった。「Do you like this town?」駅を出ると周ちゃんがふざけて聞いてきた。「So so…」好きかと聞かれると、Yesとは言えないし、嫌いでもない。だけど、思い出は詰まってる。沢山の人と、沢山の時間と。二十歳を超えたあたりからの思い出があまりに多すぎる。長くいすぎた。ここで別れを告げた男もいたし、ここから好きになった男も、昔のようにここで再会した男もいる。街は変わったと言えば変わったし、変わってないと言えば変わってない。汚くてごちゃごちゃしていて若い人や生活をしている人がぎゅっと小さな街に収まってる。笑って過ごしているうちに夜中が勝手に過ぎて、「あ、朝だ。」隣にすとんと腰を下ろす朝に誰も驚いたりしない。ただ居座れる場所。ここに長居しすぎて出れなくなってしまう人は多いんじゃないか。呑気なふりして浸かってられるから。

駅から歩いて2分くらいのところにある区民集会所で期日前投票をして、三茶を直ぐに出た。それから幾つか立ち寄りをして、鈴木理作さんのARTZONでの展示へ。周ちゃんとは途中ではぐれて、結局出口で出てくるのを待った。だけど、これでいい。これがいい。展示中にお喋りだとか、展示中に目で合図をしあうなんて疲れちゃう。互いの時間に没頭するのがいい。駅まで向かう間、今さっきまで目の前で起きていたこと、そこで見ていた全てが上手に街とシンクロできなくて、「良かったね。」「すごく良かった。」を何度か繰り返した。話したいような話たくないような、複雑な想い。展示だけのことじゃなくて、その背景には自分も紐づいてくる。だから感想を言うというのは、少し躊躇う。西武線に乗り継ぎをする頃にはあの写真が、あのキャプションの言葉がと細かいディティールについて話し始めた。私が写真を撮ってることが恥ずかしくなった事も伝えてみると驚いてた。「あんなもの見せられて、恥ずかしいよ。写真撮ってる自分が恥ずかしいよ。」私が最近疑問に思っていたこと、写真の仕事や写真を撮る人、撮ること、撮るの周りにある環境に嫌気がさしていたこと。その答えを見せつけられたように思ったし、ショックだった。仕事を始めて悲しいことは、褒められることは増えていくのに、いい写真が見えなくなっていくこと。それは私だけじゃなくて私の周りでも平然な顔で起こっていく。見たのはアートだけど、写真のことでもある。とにかく恥じらいを感じた展示で私の色々が火照った。悔しい?虚しい?情けない?悲しい?その感情の矛先はどこへ行きたいのかわからないけど、いい出会いだったと思う。

駅前で串カツ田中を食べて家に帰った。