たったの一年で色々な事が目まぐるしく変わっていった。
だけど、なんだかな、こうして三人で食卓を囲む事を続けてる。わりと自然に。食べる事と生きる事と、幸せになろうっていうのが、どうやらまだまだ、まだまだ重ねていきたいみたい。そうして私たちの作品がどんどんと膨らんでいく。アーティストの野村浩平さん。刺繍作家のイトウミチヒロさん、わたし。今日も一緒に食べてる。






たったの一年で色々な事が目まぐるしく変わっていった。
だけど、なんだかな、こうして三人で食卓を囲む事を続けてる。わりと自然に。食べる事と生きる事と、幸せになろうっていうのが、どうやらまだまだ、まだまだ重ねていきたいみたい。そうして私たちの作品がどんどんと膨らんでいく。アーティストの野村浩平さん。刺繍作家のイトウミチヒロさん、わたし。今日も一緒に食べてる。







最近、お腹が空かない。時々こういう時がやってくる。朝食に、夫の分だけバインミーを作って、寝癖で頭が爆発してる彼が食べるのを横に座ってコーヒーをすすりながら見てる。たぶん、我儘を言わなければこういう時間もそう悪くは無いのかもしれない。いや、もしかして、数年前の私ならいい時間だったのかもしれない。

夫を無理やり病院へ連れて行ったら、インフルエンザだった。仕事の人に迷惑をかけたくないから、私は健康だから自費で注射を打った。何で私は自費なんだろう。
夫が夕方に帰ってきた。体調がとても悪そうだ。夜中以外に帰ってくるなんて久しぶりすぎる。彼が早く帰ってくるのは、二日酔いで仕事をサボって寝ている時か、体調が悪い時。それ以外は無いに等しい。だけど、いつも、「今日は22時に帰る」って言うから食事を支度して待ってるのだけど、その今日はなかなか来ない。来るのは泥酔して夜中の3時過ぎに帰ってくるバケモノだけ。早く寝た夫にお粥を作って、いつものように、ひとり食卓。何を食べたのか覚えてないような食事を食べた。

頑張っても頑張ってもぜんぜんよくならなくて、あー辛いっていう日々の連続でも、まさか私の人生にこんな事が起きるなんて!と信じられなくても、温かいスープをすすると「美味。」って、ほっとなる。人間って強いな。
心がずたずた。そんな時でも撮影はある。
今日はフジモンと、占い師のジョニー楓さんの取材で西荻窪へ行った。
GINZAだとか、色々な場所で引っ張りだこのジョニーさんに会えるなんて、何だか嬉しかった。
撮影が終わって、ジョニーさんが「見てあげますよ。」って。
今はとにかく誰でもいいから話を聞いて貰いたくて、一つ返事でお願いした。
ジョニーさん。とにかくチャーミングで可愛かった。
夫の事を相談する。「このお兄ちゃんは、才能はそんなに無いけど、いい人間。お酒はやめないと。彼の人生、これが最後のチャンスだからね。お酒はとにかくダメ!!」
何だか、とってもおかしかった。
明るい気持ちになって、フジモンとバイバイした。
今年最後の仕事、おかしな仕事だったな。
だけど、元気になった。ありがとう。











家出をする為にL.Aに来た。
夫の酒が治らない。私が家を出て、何の意味があるのかわからないけれど、胸が今にもちぎれそうだけど、ここは大好きだけど、家に帰りたい。また平和な生活に戻りたい。






小さい頃から、ちびまる子ちゃんも、サザエさんも、友達の家も、親戚の家も、どこの家もそうだった。みんな家族で食卓を囲んでた。時々例外はあったけれど、それは例外って感じだった。私は昭和生まれで、子供の頃は、デニーズやマクドナルドは家族でご飯を食べる場所だった。一人でランチする場所でも、時間を潰す場所でも無くて、家族で食事をしに出かける場所だった。
トーストに、スクランブルエッグ、季節の果物がテーブルに並ぶ。
熱々のトーストに塗ったバターが溶けておちていく。「温かいうちに早く食べちゃいなさい。」母の声が私を呼ぶ。温かいうちに食べなさいだなんて、なんて愛の詰まった言葉だろう。家族っていうのは、そしてそこで行われる食事、食卓っていうのは一体なんなんだろう。

友達に心療内科に相談してみたらいいよって教えて貰った。
そんなに気負いすぎないで、気軽には行けないかもしれないけど、怖い場所じゃないから、本人が行かなくてもいいから行ってみたらって。

今日は肉じゃがを作った。だけど今夜も帰らない。
友達に話すようになって、気づいた事があった。この問題は私が乗り越える問題じゃないって。じゃあ、あと半年、半年と決めて、信じてみよう。もうこれ以上、自分を犠牲にしちゃいけないって。
怖い事も、酷い事も嫌だ。優しい世界がいい。もう、無理もしたくない。


数日前から夫がいなくてよく眠れる。
朝から気分がいい。お昼はスパゲッティを作った。天気もいいし、いい土曜日。

夫の実家近くの喫茶店で食べたポテトパン。すっごく美味しくって作ってみた。いつもの我が家の朝。だけど、ある日突然いつもじゃなくなる日がくる。先週に撮影で会った編集長さんがハイデガーの話をしてた。昔ハイデガーの本を少し興味持って読んだのを思い出した。結局難しくてよくわからなかったけれど、当時も今も知りたいのは、時間のこと。単位じゃなくって、こうして流れていく時間に色々が重なったり、想ったりすること。


まだ彼氏だったとき、深沢のマンションの私の部屋に遊びにくるようになった秋のはじめ。お鍋たっぷりに作ったポトフを「めっちゃ美味しいやん!どうやって作ったん?これ売れるで!」って目をまん丸くして、パクパクと食べていた彼を覚えてる。それから3年後、夕飯のポトフを前に「ポトフ、好きじゃないんやけど」って言いだした。今夜はそのポトフ。
ポトフは野菜を沢山食べれるし、忙しい時にはすぐに出来るし、ほっとするし、朝でも夜でもいつでも食べれるし、余ったらスープカレーとかにしたっていいし、それに何だか目をまん丸くした夫の顔を今でも覚えてるから作りたくなる。その次の顔も、もちろん忘れてない。だけど、私が作りたいから作る。


夫と台南に行った。
夫との時間が少しずつ少しずつ戻っていくように思う。
二週間前にお母さんに相談した。ずっと誰にも言わなかったけど、もうダメだって思って、相談したら直ぐに大阪から駆けつけてくれて。大変な事があった後だったから、夫も少し気づいてくれた。これから、少しずつ元に戻ってくれたらいいと思う。
お酒を呑まない夫は、とても穏やか。



母が使う調味料は結構シンプルだった。
塩と胡椒とちょっとマヨに、ちょっとマスタード。そしてマーガリンだけなのに、いつも最高に美味しい母のサンドイッチ。「カットするときにパンをギュッてするの!」と、手際よくお皿にサンドイッチを並べながら母が言う。ふわふわのパンをギュッとしちゃうなんて!!子供の時にすごくその光景にどきどきしたけど食べたらわかる。ギュッとしてるのが美味しいのです。

夫は今日も帰らなかった。
朝方に夫が帰る。それから一時間後くらい、朝の5時に中目黒の夫がよく飲み歩いてる酒場の女性からLINEが入る。長文でうんざりした。気持ち悪い。
「怒らないであげて。今日はみんなのためにライブをしてくれて、そのまま飲んだだけです。どんと構えたらいいよ!」こんな様な事が書いてあった。
昨晩、夫は酒を呑まないと約束してた。前日もやらかしたから。自分でもお酒を呑むと悪い事が起きる事はもうとっくに自覚してる。夜食を作って待っていたけど、朝までメールが来る事は無かった。来たのは、よくわからない内容のメール一通だけ。
夫はベッドで泥酔していびきをかいて寝てる。仕事へいく準備をする。何で、こんな事ばっかりなんだろう。何で、私が悪者なんだろう。
心がキリキリして、寝不足で頭がぐらぐらしてる。こんな毎日がずっと続いてる。
















Hello, 世界。
私たちは食卓を囲むことをプロジェクトにしてる。
シェフ担当のミッチーはシドニーに留学をしてた時にレバノン人と一緒に住んでたからかな、ちょっと変わったご飯を作る。ご飯の時はいつも猫とひそひそ話をしてる。人間と話すときは3秒くらい返事が返ってこない。地球から月までの光の時間が1.3秒だそう、たぶん彼は月と更新してるのだろうね。
野村さんは絵を描いたり、文章を書いたり、時々、星の話をしてくれる。毎回の食事作文をeatLOVEのHPに書いてる。ふいに神がかった絵や言葉を魔法みたいに世界へふわりと振りまく。だけどいつもはぺちゃぺちゃおしゃべりが止まらない。わたしは多分妖精だと思ってる。天使やドアーフじゃない、ティンカーベルみたいな感じ。
私はそんなふたり(ふたりはパートナー)と猫たちのお家へお邪魔して昼とか夜とかの食事の写真を撮ってる。理由は食べ物には成分として愛が含んでると勝手に信じてるから。ここの食卓では愛が撮れるって確信してるから。
今日は金木犀の香りがお家を包んでた。
土曜日の昼さがり、ミッチーはいつものように食事を作る。のむらさんはいつものようにぺちゃぺちゃおしゃべりしてる。猫たちは好物の海苔に夢中。今日も庭の洗濯物はきらきら光ってる。
いただきます、ごちそうさま。
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eatLOVE
東京郊外に
男と男のカップルが猫10匹と住んでいて、
平凡で奇妙なその暮らしを女が写真におさめる。
食卓を囲みながら他愛のない話をしている時間はつかのま家族。
血のつながりも年齢も性別も関係なく、
ただその場を大事にご飯を食べる。
eat LOVEは、そんなニュー家族の写真と文による記録です。
https://aiwotaberueatlove.wixsite.com/eatlove [Recipe]
文 / 野村浩平 料理 / 伊藤通洋 写真 / きくちよしみ
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今日のテーマ曲。













なんで歳をとるたびに、数を数えるんだろう。9月16日。みっちーの37回目の誕生日。みっちーは別に何も変わらないって言ってた。私もそう思う。何も変わらないよ。誕生日が来ても、私は私のままで、この手もこの足も、ちょっと視度が悪い目も、何も変わらず今日を見てる。何も変わらないじゃん。ずっとそう思ってた。サプライズなプレゼントがある日、家族が集まってパーティする日、美味しいものが食べれる日。そういう日だと思ってた。だけど、今日は何で誕生日があるのかちょっとわかった。誕生日は愛しているよ。って言う日なんだ。
食事をし終わったあと、のむらさんのリクエストでふたりの記念写真を撮った。たまたま、私たちは3人とも写真とかに慣れてる仕事をしてる。だからきっと全然抵抗がなくって、ちゃっちゃとやった。まばたきみたいに、目の前のことを写真に撮った。ひとりでぺちゃぺちゃ宇宙とかよくわからない話を楽しそうにするのむらさん。はにかんで笑っていたかと思えば急にどこか遠くへ物思いにふけてしまうみっちー。今日は何だか特別にみっちーが大好きだったし、みっちーの誕生日を嬉しそうにしているのむらさんも大好きだった。玄関の前にいるふたりが本当に大好きだった。9月16日。みっちーの誕生日。今日は、ああー愛しているよ!いるよ!いるよーー!!っていう日なんだ。




久しぶりに夫が帰った。

韓国料理の本で、作者の方が「コチュジャンを食べるとほっとします。」っていう言葉が書いてあった。何だかはっとした。私はお味噌汁や梅干し、鰹出汁と醤油の饂飩に納豆。海外へ行くと恋しくなる。あとは疲れた日も。食べるだけで、まるでお家へ帰ったみたいに安心する。料理ってすごい。やっぱり愛なんだね。


厭な事を沢山思い出してしまう事が起きて記憶に襲われてる。
夏は沢山新しいお仕事をする機会があった。出会いも沢山あってとても楽しかった。
悪い記憶があっちこっちから私を襲ってきても、上手にかわそう。まだいける。この持久戦を乗り越えたら、来年はきっと楽しいと思う。