パンケーキと梅ジャム

Journal 15.9,2021

昨日は千葉の大原で撮影。特急列車で東京駅から1時間。途中、10年付き合った彼が住んでいた駅を通過したけど、まるで見知らぬ駅だった。今日は映像の大場さんも一緒。途中移動の車の中で、色々とお喋りをする。いつしか勝手にお兄ちゃんの様に慕ってる大場さん。今作ってる写真集の話を熱く話してる。前の私ならきっと胸がジリジリしたと思う。「私は今逃げてるから出来ないんですよ。」ぽろっと口から出た自分の言葉に驚いた。私の言葉に「僕は作品から逃げないんです。」って大場さんが言った。それは別に嫌味でも何でも無くって、大場さんは逃げない人だから。

夏に初めたカウンセリングを受けてから、ぎゅっと掴んで離さなかった手を離せる様になった。私が病に転落したきっかけが元夫だったとしても、彼の為にと私を全力で消耗させてきた事に全く気付けなかったのは私な訳で、もう二度とそんなことはしちゃいけないと思ってる。だから、今も作品から逃げ続けてる。同じページを開いたまま季節も変わった。気合いで乗り越えたらいい。負けたくない。やってやる。口癖の様に使ってきた掛け声を全て捨てた。それに、負けたくないっていう作品になるのも嫌だ。「これが出版したら、私は訴えられるかもしれないよ。」編集の山若くんに半分冗談、半分本気で言った言葉を撤回したい。結婚生活を作品にするって云うのはそういう事じゃない。決して男への復讐となる様なものにしたくない。だから、私は私を置いてけぼりにしちゃいけないって。苦しみを口に含んだまま吠えたら、熱くて痛々しいものが出てきちゃう。落ち着いて、私の声で話したい。

帰りの車で編集長の稲田さんと色々とお喋りした。稲田さんが出身の関西の話から、関西弁の話になった。他県から東京へ来て、大概の人は方言と標準語を使い分けるのに、関西弁を敢えて使う選択をする人の自己主張の強さと言葉の持つ強さへの策略を感じるよねって、だから、僕は標準語使いますって。何とも鋭い視点だなと思う話だった。私は80%策略にハマったタイプの人間だったから関西弁にもっていかれながら、その策略に薄々気づいていた20%の自分が歓喜した。そこからテレビでやってたドーパミンの話になって、その番組があまりに面白くて写メを撮ったんだとアイフォンで写真を見せてくれる。スワイプしてテレビ画面を大きくして見せてくれたけど、部屋にテレビがある風景の写真が見たいって思った。遠目に見えたその写真は、何だかすごく良かった。

生活の節々、当たり前の至るところにその人が写るのも写真な気がしてる。写真の中身をじっくり観察したいわけじゃなくて、そこに目を向ける眼差しにその人の愛らしさの匂いみたいなものを感じる。だから、いい。写真の見方は十人十色であると思うけれど、やっぱりいい匂いのする写真が好きだなって。

今日もすごく楽しかった。お昼に食べたイワシフライもすごく美味しかった。

パンケーキと梅ジャム [チベットで体調を崩したときに永遠に食べていた食事]
小麦粉
豆乳

パルメザンチーズ
リンゴ
梅ジャム