カテゴリー: Journal

晩酌

Journal 21.12,2021

朝はフミエさんの料理を撮りにアトリエへ。今日は野菜のちらし寿司。最高に美味しかったな。お土産に立派な柚子を戴いた。そのまま急いで帰宅して別の機材を持って人形町へ。今日の現場は編集成田さんと一緒。周ちゃんはアメリカにいる家族と今回のアメリカ旅行の打ち合わせをしてから、PCRを受ける為に神保町へ向かった。

撮影が終わってから近くで周ちゃんとお茶をしようとなった。朝、写真を撮りながらフミエさんに聞いてみた。「あの、母に結婚の事を言ったら、まだ早い。反対って言われちゃって。父も。もし、フミエさんならどうしますか?」「えー!!意外だったね!だけど、親心を想うとちょっとわかるな。だけど、私なら強行突破かな!」フミエさんらしい明答だった。もし、うちの姉だったとしても、完全に強行突破だろう。何なら取っ組み合いの喧嘩をして、啖呵切って出て行く姿がありありと想像出来る。だけど、私には出来ない。「周ちゃんに言った?」「周ちゃんには言えません。だって婚約破棄の事があるから。もし言ったら、明日からのアメリカがずっとどんよりですよ。」「私なら話すかな。だって二人の問題だし。これから結婚するんだもの!」

私が私の人生を苦しめたのは元夫ではなくて私自身だと思ってる。助けてと言えない代わりに、私なら出来ると、どんどん地獄に向かって自らの足で降りて行った。心療内科の先生に何度も言われた。「どうして助けを求めなかったんですか?」警察にも言われた。「彼の事じゃなくて、あなたの話をして下さい。」私は苦しいとか、悲しいとか、私が辛いから助けて欲しいと言えなかった。「フミエさん。私、周ちゃんに親のこと、言おうと思います!」

周ちゃんが近代美術館の民芸展の図録を見ながら嬉しそうに話をしてる。だけど、殆どが耳に入ってこない。言おうかな、いや今日はやっぱりやめようかな。アメリカへ行って数日してからがいいかな。どうしよう。いや、言おう。いや、やめよう。学芸員という仕事はお喋りっていうお仕事な気もしてる。とにかく楽しそうに図録とのお喋りが止まらない周ちゃん。私は皿の横にある添え物みたい。時間だけが勝手に過ぎていく。

「周ちゃん。あの、ちょっと話したい事があって。哀しまないで聞いて。」1時間くらいかけて話した。両親が結婚に対してネガティブである事や、思っている以上に離婚のトラウマの中にいた事。それが周ちゃんとは関係がないけど、私達の未来に関係してしまう事。それから、本当は不安だったけどふみえさんのお陰で話せた事、それから、私が何でも一人で解決する人生はもう終わりにしたいって事も。後、何だか反対された現実に腹立たしい気持ちもあって、とても今の私は苛々している事も話した。「私は周ちゃんと絶対に結婚すると決めたし、絶対に何があっても悲しませないから。周ちゃんを私は幸せにするから。マジで。」自分でも驚く位に闘争心に燃えていた。「よしみが逆境に強いとは聞いてたけど、これなんだね。何だか凄く驚いたよ!あなたって人は。」目を丸くして感心してる。ほんの数日前まで、結婚がどうか順調に出来ますようにと願うような気持ちだったけれど、今となっては祈るとかじゃない。結婚に対するどうにも出来なかったべったりとした不安は怒りが綺麗さっぱりと吹っ飛ばしてしまった。周ちゃんは想像しているよりもずっと哀しんで無い。私の不安がったり怒ったりしながら話すヘンテコな感情の様を見ながら、何だかどっしりとそこに座って耳を傾けてくれている感じだった。「話してくれて有難う。」嬉しそうに言った。

店を出るともう夜。駅まで一緒に歩いて、さっき撮影の後に成田さんに聞いた先日の恋の話をした。朝方に飲んだ帰り道、恋が始まりそうな予感の中で気になっている女の子と手を繋ぐ。聞いてるだけでキュンキュンする話だった。どうやって手を繋いだのかを成田さんに聞いた通りに教えると、ニンマリしてた。そして地下鉄へ降りる出口でハグとキスをして、私は電車で世田谷の我が家へ、周ちゃんは自転車で所沢まで帰って行った。21時を過ぎる頃、ビールを飲みながら湯豆腐をつついてる時だった。周ちゃんからのLINEが入る。”家の鍵がない。よしみの持ってる鍵は家にある?” いつも入れてるスヌーピーの財布の中を覗いた。「え!!周ちゃん、ないよ。」直ぐに電話した。二つある筈の鍵が同時に失くなっちゃうなんて。「それから、実は自転車で転んじゃって。血が出てる。」「どこから?」「顔とか。」

電話をしながら周ちゃんはドラッグストアへ行き、絆創膏を買った。店員に「大丈夫ですか?」と聞かれてる音がする。結構に擦りむいているんだろう。想像するだけで心配が膨らんでいった。「幸いパスポート一式はここにある。最悪このまま行くよ。」

何だか凄く申し訳ない気持ちで一杯だ。何度か思った。半同棲を初めてから、お互いにお互いの生活が乱れて来ている。それは新しい生活の始まりだから仕方無いと言えばそうだけど、もう少し時間も距離もゆとりを持てば良かった。周ちゃんは私が知っている以上に真面目で、びっくりするくらい抜けてる所がある。私の様に塩梅で加減する事が出来ない。まっしぐらに私との新しい生活や新しい色々に没頭してたんだろう。自転車で顔から転んで、家の鍵を二つ無くして、明日からアメリカ。だけど、私が恐れてるよりもずっと彼は生きる力のある男な気がした。大丈夫。命さえあれば、アメリカでもどこでも行ける。私がする事は心配じゃなくって信じる事かもしれない。もう心配は過去に捨てよう。前の結婚はいい加減にしてくれって程に心配ばかりが毎日やってきたけど、もう私には心配はご無用。

晩酌
湯豆腐
フミエさんに戴いた柚子で作ったポン酢
栗原はるみさんのハルミダレ
サミットで買ったレバーの惣菜

湯葉鍋

Journal 17.12,2021

朝一番に鎌倉で撮影を終えて、午後はマリンバ奏者の千田くんのポートレートの撮影で渋谷へ。千田くんに会うのは2年ぶりくらい。嬉しいな。

千田くんは絵描きの野村さんに紹介して貰ってから仲良くなったけど、高校の親友ユウキの音楽学校の後輩だったという何とも縁を感じる出合いだった。久しぶりの千田くんは驚く程にスリム。「よしみさん、僕が痩せた理由知ってましたっけ?」千田くんは2年前、とんでもない彼氏に振られた失恋で20kg痩せたとの事。そのハードな哀しい失恋話をピザまんを食べながら聞いた。痩せすぎて病院を3軒回ったけど、結局ただの恋煩いだったのだそう。私は離婚と結婚の報告をした。「ああ、旦那さんと大変って言ってましたもんね。」全く覚えてない。コロナ前は平和だと思ってたけど、大変だったらしい。最近、たぶん、また記憶が消えていってる。あの頃の事を前の様にぱっと思い出せない。全く違う今日が過去の上にどんどん積み重なってゆくみたい。ずっとずっと下の方にあるから見えない。

久しぶりに色々とお喋りして、写真を撮って、マリンバを演奏して貰って、演奏させて貰って、何だかすごく楽しかった。

夜は藤原さんと藤原さんの彼氏のしんちゃん、周ちゃんの4人で湯葉鍋をした。村上美術のゆうやくんは仕事のトラブルか何かで来れなかった。しんちゃんには、ちょっと前に鎮座ドープネスさんの映像を撮らせて貰った時に大変お世話になった。改めて食卓を共にしてすっかりしんちゃんのファンになってしまった。しんちゃんは少し年上で昔俳優をやってたのだそう。その名残なのか、言葉だとか表情が独特。藤原さんの家族の食卓の事をあの食卓は眩しくてって話してたのがとても印象的で素敵な表現で何だかぐっと心に響いた。

二人は少しづつ、少しづつ、長い時間をかけて一緒に生きていく為の形を作ってる。何だか私と周ちゃんは本当にこれでいいのかなって不安になった。藤原さんは、私達の事を昔からの付き合いみたいで、出会ったばかりとは思えないって言ってたけど、嬉しいようなそうでも無いようなよくわからない気持ち。

周ちゃんは私を大切にしようとしてる。私もそうだけど、私達はどうして結婚するんだろう。理由は好きだからだとしても、好きだけど離婚した男もいた。ならば、私達はどうして一緒に生きたいんだろう。事実婚にするか、法的な結婚にするのか迷ってる。結婚って何なんだろう。どうして籍を入れたり入れなかったり、愛だけをただささやかに誓い合うだけじゃ駄目なんだろうか。ややこしい事をしてまで何を私達は望めばいいんだろう。

ハムエッグ

Journal 16.12,2021

朝から撮影だった。今日の現場は編集のアキチャンと一緒。一ヶ月ちょっと前、撮影が終わってランチをしてる時にアキチャンに気になる人がいるけど、まだちょっと誰かと恋をするのが怖い事を話した。「全然大丈夫だよ。」アキチャンのあの時の明るい表情をよく覚えてる。

友人だとか、誰か身の回りにいる大切な人の声は、時々大きく背中を押してくれる。アキチャンに結婚を報告すると喜んでくれた。

帰宅して周ちゃんにアキチャンの話をすると笑ってた。どうしてそんな話になったのかわからないけれど、もし、まだ過去に苦しんでるのなら力になりたいって言ってた。周ちゃんはもう過去に苦しむ事は無いんだろうか。聞いてもきっと未来の話しかしてくれないのはわかってる。だから、探らない。私も今だとか未来の話がしたい。

ちゃんちゃん焼き

Journal 15.12,2021

東京に帰ってから、また片耳が聞こえなくなった。だけど、周ちゃんが家に来てから、今朝も、耳からはいつもと同じ音が聞こえてる。そして、不思議なもので、一緒にいたいという気持ちは、いつしか離れたくないに変わってきている。

午前はデスクワークをして、午後に一本撮影があった。帰りの電車で編集の子から、彼氏がモラハラかもしれないんですって話を聞いた。モラハラ。私も、法的に言えばモラハラだった。妻の務めは、女の努めは、私に一択の人生を強いた。「俺はどっちでもいいから、離婚するかどうか好きにして。」久しぶりに帰宅した元夫からの言葉。そして、私達の最後。

「黙って。俺の好きにさせて。」どんなに酷い事があっても、彼の欲望は絶対的となり、それがミュージシャンとしての生き方として彼は肯定されてた。友人やファンが待ってるのだから、とにかく黙って。よく理由がわからなかったけど、私はただ家で帰りを待って、食事を作っていただけなのに、虐げられて行った。「言い返せないんです。」編集の子の言葉が全身を駆け巡る。わかる。正確に言うなら、言い返せさせてくれないんだよね。どんなに訴えても、そんな現実が間違ってる事がわかっていても、私の声は世界から当たり前の様に掻き消されていった。そして、それが愛だと愛だと愛だと、毎日の様に全身に纏わりついてきたら、いつしかそれが愛になってしまう。たった二人の出来事が私達の世界を作っていく。なぜだか、どうしてだか全然わからないのだけど、心に鋭利なものを当たり前の様に刺し続けられてるのに、自分が悪者になってる。そうして、言えなくなってゆく。全てが必然だった。

周ちゃんと食べる食卓は安心する。買い物にいき、何時間もかけて作った食事を、犬の食事の様に10分も経たずに貪られた皿の残りをつつくような事はもう無い。街でどんな女とすれ違ったら振り返るかなんて、どうでもいい話をしながら鍋の中をずっとつついていられる。

夕飯はちゃんちゃん焼だった。

12月13日

Journal 13.12,2021

1週間のレジデンスが昨日に終わって、フミエさんは東京へ、山若くんは富山市内へと宿を後にした。私は周ちゃんと観光をしてから帰る事にした。一昨日から右耳がまた聞こえずらくなったけど、周ちゃんに会ったら聞こえるようになっていた。片耳が聞こえなくなると不便が多い。半分が海の中にいるみたいになるから何だかぼんやりするし、単純に誰かの声が聞こえずらくなる。耳が聞こえなくなるのは、ストレスと緊張から血流が悪くなるからだと母が言ってた。母も仕事が忙しいとなるのだそう。だけど、どうして周ちゃんに会っただけでそれが治るんだろう。固まった何かが氷だとかチョコレートが溶けるみたいに世界の半分の音が帰ってきた。出会って一ヶ月。私が思っている以上に私のどこかは周ちゃんを必要としてるのかもしれない。

12月11日

Journal 11.12,2021

夜中に夢にうなされて目が覚めた。元夫との地獄な毎日がリプレイする夢と、子供の頃からよく見る海に溺れる夢。この1年、元夫の名前は一切口に出さなかった。その言葉だけで、全身が凍りついてしまうから。「あの男」「元夫」「彼」みたいに、一切シルエットが見えない言葉で呼んでいたのに、昨晩、ベッドで目を閉じた後、何故か名前が不意に出てきた。「菊地くん」って。きっとそれが悪かったんだと思う。

怖くて目が覚めたけど、その数時間後にやってきた今日はさっさとそれを消してくれた。早朝に三人で海を走って、虹を見た。海から山にかけてかかる大きな虹。あんなに大きな虹は久しぶり。今日はそれぞれが忙しい日。明日のイベントの準備や、私は宿の撮影がある。それから昼過ぎに旧友の谷くんと会う約束もしてる。谷くんと会うのは6、7年ぶり。最後に会ったのは、茨木かどこかでお菓子工場の映像の撮影の時にディレクションをお願いした時。背が低くて派手な顔をした女の子と5年くらい付き合った後に結婚して平塚の方に家を買い、その直後に離婚した。二人に何が起きたかわからないけど、彼女はいつも色々が突然な子だったから、きっと離婚も突然だったんじゃないかなと思った。数カ月後、10年くらい働いていた会社を呆気なくやめて富山へ帰った。彼女の一人でも出来てるといいな。出来てることを願って会った。

「離婚した当初は、明日からどうやって生きていけばいいのかわからなくなってさ。」当時の私は「世界には女なんて一杯いるんだから大丈夫だよ〜。」なんて、どこにでもあるような言葉をかけたけど、離婚をしてからあの言葉がどんなに下らなかったのかわかった。だから、何だか申し訳ない気持ちだったし、少しでも幸せでいてほしいと願ってた。

「嘘でしょ。聞いてないよ。」
薬指のシルバーの指輪を見せる谷くん。ニンマリとしてる。コロナ禍と年下の女性と再婚したのだそう。あの谷くんが?いつもノンビリしてて、ぼんやりしてて、誰にでも優しいけど、なんだか頼りなくて、「優しくしすぎたから逃げられたんだよ。」共通の友人のたろちゃんんが言った言葉を私も頷いてしまったけど、その谷くんが結婚だなんて。

「本当にありがたいよ。すごく感謝してる。それに、今がすごく幸せだよ。」
谷くん、目から涙が溢れそうだった。谷くんってこんなにしっかりしてたっけ?こんなに堂々と幸せについて語るような男だったっけ?今日の谷くんは私が知っている中で1番カッコよかった。身内だけでやったという結婚式の写真を隅々まで見せて貰って、とにかく心から祝福した。

「あのね、私、離婚したんだよ。」
「えー!そうかぁ。よっちゃん大変だって言ってたもんね。」
「うん。でね、結婚するの。」
「えー!!」

次に来る時は旦那さんと新居に泊まりに行くねと約束した。谷くんに会えて良かった。谷くんは自分の事のように私の離婚についても結婚についても話を聞いてくれた。夜は恒例の温泉。今日は氷見の秘湯。日本でも5本の指に入るという秘湯なのだそう。山奥にぽつんとある。今にもお化けが出てきそうな廃墟風の温泉。男湯と女湯は藁一つだけで仕切られていた。フミエさんと今日は湯船に浸かりながら結婚生活について話した。いつもみたいに笑って話してるうちにあっという間にのぼせた。

夕飯は海鮮鍋とささやんが作ってくれたイカリング。あまりに美味しくて、みんなで何度も美味しいを連呼。ささやんはニコニコ嬉しそうだった。可愛いな。山若くんはイカリングを独り占めしたそうだったけど、最後の一つを貰ってすごく喜んでた。夕飯の後、山若くんと二人で口笛のリサイタルショーを皆に披露。笑いすぎてお腹がよじれすぎて盲腸になりそうになったけど、なんであんなに笑ったんだろう。曲は久保田利伸さんのLA・LA・LA LOVE SONG。練習には何時間も費やした。あの曲ってやっぱり名曲だな。

12月10日

Journal 10.12,2021

朝5時過ぎに起きて作業を始めようとテーブルに着くと、山若くんが部屋から出てきた。「おはよう。よしみさん、お風呂に行こうよ!」未だ半分寝てるような顔だった。真っ暗の中、海の遠くに赤オレンジ色の光が燃えるように光ってる。時間は6時を過ぎていたけど、夜の中を車で海岸沿いを真っ直ぐと走った。今向かってるのは海が見える露天風呂のある温泉。

お風呂から帰るとフミエさんがご飯を炊いててくれた。昨日の夕飯の残りのつみれ汁と炊きたてのご飯に卵をかけて卵かけご飯。昨日二人が喫茶店のママと仲良くなって貰ってきたハバネロ味噌も美味しかった。今日も天気が良さそう。これから私とフミエさんはナッチャンと一緒にイベントで使う野菜の収穫をしにヨロさんの畑へ向かう。山若くんは「お皿は僕が洗うからいいよ。」って支度で忙しない私達の為に後片付けをしてくれた。山若くんから出る言葉はたいがい尖ってるけど、山若くんって人の中身には優しさがたっぷり詰まってる。この旅でより一層に山若くんが好きになった。

カメラを二台ぶら下げて撮るのはすごく疲れる。天気が最高だし、畑も最高だけど、案の定酔った。時々、カメラのズシリとした重さだとか、慣れない変な体勢が続くと気持ち悪くなる。撮るのをやめてナッチャンと車の中で休憩した。ナッチャンはあと2週間で赤ちゃんが産まれる。色々と私達の為に動いてくれるけど、なるべく安静をとってる。車の中でイベントへの不安な気持ちとかを少し聞いた。こんなに大きなお腹をして、今に不安が無い方が不思議だと思う。出来るだけ何でもいいから役に立ちたいって思った。

畑の収穫の後はみつおの山へ行った。前回の時はみつおさんに会えなかったけど、今日はみつおさんと近所のお友達が顔を真っ赤にして畑の中の小屋で宴会をしている最中にお会い出来た。同じ日本でこんなに伸び伸びと自由に生きてる方がいるって思うと、都会の日々の中での不意に歪みそうになる出来事に出会っても無かったことに出来そうな気がした。びっくりするくらい大きな白菜とカブを頂いて、疲労が溜まってる私とフミエさんの甘い小麦が食べたいっていうリクエストでナッチャンお薦めの焼き菓子屋さんへ寄って貰って宿へ戻った。

ベッドルームに午後の光が差し込んでる。この時間のこの部屋が好き。午後は陽だまりの中で作業をしよう。いつしかベッドに転がって眠っていた。起きると山若くんが帰ってきたみたいで午前に買ったケーキをフミエさんと食べようとしてる所だった。「ケーキを開けたら起きてきたー!」って二人が笑ってた。私はアラームが鳴ったから起きたんだよって何故か一生懸命に弁明。寝起きのケーキ、すごく美味しかったな。フミエさんは1Fのキッチンへ戻った。私は作業へ戻って、山若くんも仕事を始めた。

“夕焼けが綺麗ですよ〜。” 笹やんからグループラインが入る。「山若くん!夕陽が綺麗だってよ!」カメラを二台持って屋上へ走った。なんて綺麗なんだろう。溜息だけがでた。今頃、みんなこの夕陽を見てるのかな。ナッチャン、フミエさんの顔が浮かんだ。私はこの人達が本当に好きだ。食卓を共にして同じ寝床で暮らしを共にする。宿を営む笹やんとナッチャン。滞在メンバーである料理家のフミエさん、編集者の山若くん、そして私。富山へ来る前は初めてのシェフインレジデンスでの共同生活だとか色々に少し不安だったけど、すっかりと気に入った。いや、どっぷりと愛してる。日常の中にはこんなにも色々な物が詰まってるんだって。

夕焼けが綺麗ですよって、すごく素敵な言葉だな。日々を愛で出した私はきっと東京へ帰ったら寂しさで一杯になるんだと思う。後2日。レジデンスの最終日は周ちゃんが東京からやってくる。

12月9日

Journal 09.12,2021

今日は朝からカタログの撮影。夕方に皆んなで合流して源泉掛け流しの温泉に行った。岩がゴツゴツした温泉。煙がもくもくとしていて、最高に気持ちがいい。いつもの通り私が一番最後に休憩所へ行くと、ぼーっとテレビを見る山若くんは完全に魂が抜かれてしまったみたいな顔だった。

シェフインレジデンス4日目。楽しいばっかりが一日をあっという間に満たしていく。

12月8日

Journal 08.12,2021

朝食は昨日山若君が買ってきてくれたパンと人参の葉っぱのサラダとバナナ。食後にコーヒー。それから、山若君に結婚の報告をした。会って直ぐに話したかったけど、何だかんだと3日経ってしまった。山若くんは周ちゃんと付き合った報告をした時に「そいつはSEXが絶対に変態だから!」と勝手に断言してたけど、その変態男と私は結婚をする。山若くんは思ったより驚いていなかった。「おめでとう。」え?なんで。優しすぎる声のトーンに絶対なにかあるに違いないと少し警戒したけど結局なにも無かった。8時過ぎまでダラダラと3人でお喋りをしてから温泉へ向かった。フミエさんも山若くんも大好きだ。3人で食べる朝食が楽しくて仕方が無い。食卓を囲んでコーヒーを啜ってるだけなのにどうしてこんなに楽しいんだろう。また明日も同じ食卓が囲めるんだと想像するだけで私の隅々が満たされてしまいそうになる。

午後は麹屋さんへ行って、その後にイベントの食材用に豆腐屋さんに行き、定食屋でラーメンとクリームコロッケという高校生が食べるようなランチを食べて、そのまま商店街を歩いた。商店街は半分以上やってない。その中にポツンと大きな魚屋さんがあった。小さくて可愛いお婆ちゃんが店番をしてる。夕飯の魚を見ていると、お婆ちゃんが話しかけてきた。旦那さんを亡くして、息子夫婦と一緒に魚屋を営んでいるのだそう。このビルに一人で住んでいて、ビルの屋上から見る立山連峰の景色を朝一番に見るのがとにかく幸せなんだとか。

温泉から帰って、私とフミエさんは宿のキッチンで笹やんとなっちゃんと四人で味噌びらきを始めた。越中味噌は麹の量が多い。塩分が強く、ベチャッとしたのも特徴。HOUSEHOLDで作った越中味噌以外に、近所の方が信頼してるという坂本麹屋さんのお味噌、なっちゃんがいつも食べてるという味噌、ヨロさんに頂いた3年と10年味噌の食べ比べをした。同じ越中味噌でもそれぞれに特徴がある。まさに研究してる感じで面白かった。

なっちゃんは笹やんが大好き。いつも、「笹やん大好きだよ。」って、みんなの前だって豪快に甘える姿が可愛くて仕方がない。なっちゃんの愛が大きくて、ただ傍観してる私達のハートにまで火がついてしまいそうになる。夕飯の支度をしてる時になっちゃんの知ってる愛の術を教えて欲しいってお願いしてみると、「好きって思った時は言い続けて下さい。」って。好きって言葉は沢山言ったら減っちゃうもんだと思ってた。それに、一杯言ったら勿体無い気もしてた。だけど、言い続けていいんだ。今日から私もそうしよう。なっちゃんは私にとっての愛の先生だから、なっちゃんの言う通りにしよう。周ちゃんが好きだって思ったら、好きだって言おう。愛ってきっとそういうものなのかもしれない。好きは感情なのだからコミュニケーションみたいにキャッチボールしなくてもいいんだ。溢れたら溢れっぱなし、別に止めなくてもいい。拭かなくてもいい。

夕飯は、商店街の何でも屋みたいなお店で買ってきた、べっこう、かぶらずし、魚屋で魚のすり身と頂いた大学芋、柚子の味噌漬け、菊芋の金平、ゆば、ホタルイカの沖漬け、海老と昆布の珍味とご飯とお味噌汁。今日も最高にハッピーな食卓だった。ありがとう。

12月7日

Journal 07.12,2021

今日から雨が続くらしい。朝食はフミエさんが沖縄で買ってきてくれた宗像堂のパン。そのまま食べても美味しいし、焼いても美味しかった。山若くんはスナックへ行くと張り切って出かけ、私とフミエさんはなっちゃんと一緒に車でのろさんの畑へ向かった。野菜を収穫しながら畑を案内してもらって、ご自宅で味噌を味見したりしながら色々な話を聞いた。のろさんは何度も「楽しい。」と言ってた。それに、ふみえさんのファンだったらしく、ふみえさんに会う今日をとても楽しみにしていたのだとか。午後は柿田水産へ行き、そこでも色々とお話を聞き、お父さんが作った味噌汁を頂いた。

何だかすごく疲れた。海がずっと撮りたいのだけど、海を静かに見たいのだけど、中々チャンスがやってこない。あっという間に夜だ。今夜は私とフミエさんと山若くんの三人だけの夕飯。ご飯はなっちゃんが炊いてきてくれた。今日の献立は、田作り、里芋の煮物、ホタルイカの沖漬け、アジのたたき、人参の茎やカブの葉の炒め物、人参の葉っぱのサラダ、なめこのお味噌汁、ご飯、ビール、日本酒。お腹がはちきれそう。

昨晩から周ちゃんのアパートには、数日後にアメリカの家族の所へ行くお母さんが滞在してる。周ちゃんから電話が来たのはお母さんとの夕飯が終わってから。電話を切ったのは12時過ぎ。結構長いこと電話をした。何だかすごく疲れた。ふみえさんと山若くんはとっくに寝てる。

「僕はあなたがどうしたら幸せになれるかをいつも考えてるんだよ?」
「そんな事、私だって考えてるよ。」

何だかアホくさい会話だった。周ちゃんは遠距離恋愛をしていた彼女と2年前に別れた。理由は婚約破棄。愛しているから別れを選んだと聞いたけど、今日は彼女の話をしていたと思う。だから、しばらく黙って聞くしか無かった。着火したのは私。「愛は時として物理的距離が特効薬になるんだよ。」投げた言葉の打ちどころが悪かった。わかってるよ。私だって、愛の為に別れたのだから。絶対に、絶対に離婚なんて選びたくなかったけど、愛していたから別れた。言い方を変えるのなら、私を愛してあげるために別れた。

あれから私は私の事ばかりを考えてる。自分の事をご機嫌にすることで精一杯だ。その一つの方法論として別居婚も考えていたほどだし。だって、まだわからないんだよ。周ちゃんを愛していきたいとは思ってるけれど、どう幸せにしたいかなんてわからない。

鍋焼き饂飩

郷土料理, Journal 05.12,2021

夕飯は宿の直ぐ側にある三木さんの饂飩屋さんに行った。笹やんさんとナッチャンが行きつけなんだそう。人生一くらいに最高の饂飩屋さんだったな。途中で出してくれたサワラの炙り焼きも、ちょっと飲んでみてと出された日本酒も美味しかった。あとデザートの林檎も食後のウィンナーコーヒーも最高だった。

周ちゃんから妹に結婚の事を話したよと報告が入り、私も兄にLINEしたのが朝の8時。新幹線に乗る頃には周ちゃんの色々を兄に話し終わり、ホッとして座席に座った。あれだけ私の離婚で苦労をかけた兄にどう結婚を切り出していいか迷っていたけど、喜んでくれて本当に良かった。調子に乗って姉にもLINE。”話がある。” メッセージを送ると直ぐに電話が掛かってきた。L.Aは夕方。「何か仕事で大きな事があったんでしょ?」「フランスの仕事が決まってフランスに住むとか?」「絶対に仕事だって事は分かってるんだよ!」私以上に私の事で悲しんだ姉。半径1m以内に男性が近づいてくる事も許さないだろうし、男性不信はもうこの先ずっと払拭出来ないと信じてる。ましてや結婚だなんて。電話を切ってから姉からLINEが入った。”嬉しくて泣いたよ。昨日はニコの友達と飲み明かして二日酔いなんだけど、今日も祝杯する!時間じゃない。ニコも出会って直ぐに結婚しようって言ったもの。カズとは10年一緒だったけど結婚しなかった。よしみが幸せならいいよ。”

夜、周ちゃんと電話して、ずっとモヤモヤした。何だか苛々もした。この気持ちって何だろう。周ちゃんの妹に話して、私の兄や姉に話して、兄とは東京で、姉とは正月にL.Aで会う約束をして、家族に結婚を報告したらぞわぞわしてきた。結婚については二人でずっと話していたのに、何だか結婚という形がどんどん私達の外壁みたいに組み立てられていく感じがして怖くなった。すごく会いたいのに気分が悪い。

電話を切って、ちょっと涙が出た。私、本当に結婚出来るのかな。結婚するのかな。パリのまゆみちゃんからLINEが入る。”オミクロンで帰国が難しいかも。” 悲しくて泣いたって内容だった。だけど、大好きなミュージュシャンの小袋 成彬さんに街で偶然会って、その後にまたレストランで会ってハグして貰ったっていう写真を嬉しそうに送ってくれて、何だか何でだろう気持ちが安らいだ。あ、分かった。私、不安なんだ。過去の結婚と同じ様な事を進めていくうちに、過去が今を邪魔する。元夫との思い出が所々やってきては去っていく。だけど、私が今しているのは周ちゃんとの結婚だ。

周ちゃんに不安だってLINEした。ひつこく周ちゃんには不安が無いのかを聞いた。周ちゃんも本当は不安だって。自分が病気になったり、仕事が出来なくなったりしたらどうしようって不安があるって。だけど、私が不安なのはそうゆうのじゃない。私が不安なのは、お互いを傷つけあってしまったり、優しく出来なくなってしまう日が来ないか。怖いのはそれだけ。もう二度とそんな日を見たくない。絶対に見たくない。

“楽しい事は二人分 悲しい事は半分という先人の教えに学ぼう。” 周ちゃんからのLINE。どうか、お願いだから話して欲しい。周ちゃんは問題があっても自分で解決したいって言うけど、教えて欲しい。私の悲しみですら見つけるのに困難なのに、誰かの苦しみだなんて簡単には見つからない。もう私だって全てを一人で抱えたく無い。だから、教えて欲しい。お互いのそれを半分ずつ交換したい。

色々な何かが、過去も今も未来もが混乱しながら進んでる。だけど、大丈夫。きっと大丈夫。

汁なし麺

Journal 03.12,2021

出張の準備であっという間に夕方になった。汁なし麺をささっと食べて六本木へ。今日は編集のリリさんとのお仕事。食べ過ぎた。お腹がパンパンに張ってる。

スタジオに入ると沢山の人。あー嫌だな。この人数はキャパシティオーバーだ。前の撮影が押して、少し待ってから撮影が始まった。あっという間に終えて帰宅。帰り道はリリさんとずっとお喋りした。楽しかったな。本当にこういう時間が好き。何だか、最近すごく写真が楽しい。今までも大好きだったけど、もっともっと好きになった。夜の撮影は嫌いだったけど、夜の撮影も好きになった。ぼんやりと今日の余韻に浸りながら帰るのが心地いいって事も覚えた。

時間が私だけのものになったら、私のご機嫌がどんどん増殖していくのがわかる。本当にまた結婚しても大丈夫だろうか。周ちゃんが大好きだけど、家族も欲しいけど、私の時間はきちんと私の側にいてくれるだろうか。無理矢理にかさぶたを剥がすみたいに、治らない傷が日常になるような日は絶対に来ないって言えるのだろうか。

お風呂に入ってベッドルームへ向かう廊下で明日出す予定のゴミ袋を見て変なことを思い出した。私、あの人が部屋にしたオシッコを何回片付けたんだろう。こんな事、周ちゃんが聞いたらどう思うかな。嫌だ。元夫が酔っ払って部屋でオシッコをするのが癖になった時期があった。何度片付けたんだろう。テコの犬用のトイレシートは吸水力があるからよく吸い取ってくれた。嗚咽しながら深夜に一人で片付けて、手を洗って、冷たくなった身体でベッドへ入る。隣でジャケットを着たままの男が酒気を部屋中に撒き散らしながら大きなイビキをかいてる。

彼だって優しいところは沢山あった。だけど、いつからわからなくなっちゃったんだろう。朝起きて、甘えてくる彼にいつも安堵した。この人は変われる。僕は弱いからっていう口癖も彼の努力の様に見えたし、私が出来る事はたった一つ。「君の為に変わる。だから僕を信じて。」と言う彼の言葉を信じる事だけ。

愛っていうのは一体なんなんだろう。信じても叶わないし、頑張れば頑張るほどに孤独になってく。先週の金曜日に久しぶりにカウセリングを受けた。私の近況や変化した色々を聞いたカウンセラーさんがすごく驚いてた。「ラジオをやってるのだけど、良かったらよしみさんの話をしてもいい?」

その日は愛だとか、結婚についての話をした。色々な形があるよね。私のそれは何だろう。「結婚とは、相手も自分も幸せにするものでしょうか。」自信なさげに聞くと、カウンセラーさんが言った。「前にあなたが言ってた事ですね。」お互いを知り続ける。それが対話に繋がる。それには、自分も前を向く事。

周ちゃんといると、周ちゃんといる時間以外も楽しい。仕事も写真も楽しい。褒められたり、応援して貰うのも嬉しい。周ちゃんの仕事の話を聞くのも楽しいし、フィールドワークから帰って、嬉しそうに話す顔を見てるだけで陽だまりの中で全身が緩んじゃうような気持ちになる。だけど、沢山の時間を一緒に過ごしたいけど、私の時間も、写真も仕事も、友達との時間も、限りなく削りたくない。したい事も沢山あるし、デートに使う時間はきっと20%くらいが限界。だから、毎晩一緒に寝れて、朝晩の食卓を囲めたら、十二分に幸せな結婚になると思う。カウンセラーさんが言ってた私の言う結婚はそうゆう事なのかな。一年後、私達はどんな暮らしを送ってるんだろう。

手巻き寿司

Journal 26.11,2021

週末に大好きなNYのジュエリー作家のオーダ会を青山やってると知ったのは数日前。年に数回のオーダ会がこのタイミングだなんて何とも言えない。「見に行ってみる?」と、周ちゃん。結婚が初めての周ちゃん。2回目の私。指輪の前に立って、結婚がどんなものなのかを一緒に話が出来たらいいなって。目の前の景色を彼はどう感じるのかが知りたかった。

1回目の結婚の時は、私は恵比寿のジュエリーショップで指輪を、元夫はギターを結婚指輪の代わりに買った。その数ヶ月後にギターは家から姿を消し、1年後に二つ目の結婚指輪を買う事となった。お酒の色々や結婚を隠す元夫への怒りが爆発した時だった。新宿伊勢丹でSHIHARAの指輪を購入。結局、指輪は1週間で何処かに放置されて、私はその指輪を救済。右手に元夫の指輪を。左手に私の指輪を2つつけた。これが私達の愛の形。全て私が受容れたらいい。そう信じきっていた。

周ちゃんは薬指に色々なデザインの指輪をつけては外してを繰り返してる。学芸員という仕事だし、派手なのは避けたいとの事。黙々と選んでた。「周ちゃん、とりあえず一回ブレイクしない?」ジャイルの最上階のカフェで、私は抹茶ラテを周ちゃんはジンジャーエールを頼んだ。テラス席から見える秋の夕方の空は淡い青とサーモンピンクのグラデーションが重なって、ただのビルでさえ切なく見える。程良く賑わったテラスでは、ワインを傾けるカップルだとか、買い物帰りの女性とか、赤ちゃんを連れた女性が東京の空を見ながら気持ちよさそうにCOREDOビールを飲んでいた。
「周ちゃん、本当にいいの?」
「いいよ。だから買いに来たんじゃない。」
「周ちゃんは死なないよね?」

周ちゃんは私の変な質問にずっと笑ってた。そして、「今日の夕飯は手巻き寿司はどう?」と言った。誕生日に食べたいのは手巻き寿司がいいと聞いた事があった。彼にとって今日は特別な日なのかもな。だけど、そういうの、私は要らない。毎日が普通で、ただただ平凡で安全なだけでいい。今日が特別にならないで欲しい。もう大切なものを失うのは嫌。

「周ちゃん、お店に戻ろう。」指輪は2月半ばに出来上がる。

芋煮

Journal 18.10,2021

朝の5時からバタバタとやってたのが、もう夜。今日は流石に疲れがどんと来て、いつもの乗り過ごしも中々な酷さ。夕方、気づいたら中野のホームに停留中の車内でハッとした。ここ何処?って。水曜日は近所のみっちゃんと夕飯。それまで頑張ろう。最近、私の周りで幸せな話が多くてニヤニヤしてる。何だかじわじわと嬉しさがこみ上げてくる。

今日は寝よう。色々がぱんぱんて頭が破裂しそう。梃子の手術日も決まった。頑張るとかじゃなくって、色々やるしかないよね。

ソース焼きそば

Journal 17.10,2021

早朝に起きて仕事を片付けて、講義を受けて、また仕事を片付けて昼食を食べて、ようやく休日だ!と思って家を飛び出ると、何語だかわからない言葉で喋る若い女の子が近寄ってきた。一生懸命に話してる言葉は日本語だったみたいだけど、彼女は中国人らしく、携帯を貸して欲しいと言ってる。2時間も短パンにサンダルのパジャマみたいな服でここにいるのだそう。話が全くよくわからないけど、何も持って無くて、友人が鍵を閉めて家を出ちゃったんだそう。どうゆうシュチュエーション?と思ったけど、とにかく可愛そうだったので携帯を貸した。

乗りたいバスの時間があっという間に過ぎた。その女の子は「どうしよう?」しか言わない。この寒さの中あと何時間待つ気なんだいって、もう15分くらいここにいる私の方がイライラしてきた。「警察が直ぐそこだから、お金借りて家に帰るのはどうかなって思うんだけど?」「もしくは、今からバイト先に向かう。」「もしくはネットカフェで手当たり次第連絡をあちこちに入れてみる。」どれも不採用で、どうしようしか言わない。ずっとインスタの友人にメッセージで「ナタリーだよ!」と名前を送ったり、出ない電話をかけ続けてる。

私の休日。数時間の休日がどんどん終わっていく。一緒にただ待ち続けるべきか否か、すごく迷ったけど、携帯をどうにか返して貰う事にした。ごめんね。私ならここで待ってるだけっていうのはしないと思う。だから、立ち去る方を選んだ。その代りに、彼女とバイバイしてから、彼女がメッセージを送ってた友人らにどうして私の携帯からメッセージを送ってるのかと、今彼女が困っている事、彼女が立ちすくんでる場所の住所を送った。バスの中での数十分は仕事をしようと思ったけど、彼女のSOSを送り続ける事で終えた。

絶妙な気持ちのままバスを降りて、銭湯へ。久しぶりのサウナ!気を取り直し意気揚々とサウナへ向かったけど、サウナはぎゅうぎゅう。少し待ってから入る事にした。ドアを開けると肉の塊みたいなのが二つ、床にゴロンと虫の交尾みたいにどっからどこまでがそれで、あれなのかわからないのがあった。これ何?!黒いパンツを履いたまるで双子みたいにそっくりの筋肉質の怖そうでイキってるお婆ちゃんが二人。こ、怖い。さっと一回戦目を終えて、二回戦目。肉の塊は、別々らしくて、別々に出て行って、また別々に入ってきた。イキってる双子も出たり入ったりしてとにかく目線が怖い。肉塊の片方が私の足元でゴロンと寝そべった。嘘みたいな光景だよ。大きな肉の塊がどすんってここにある。今にも私の身体に吸着しそう。こんな休日嫌だ。

だんだんと妙な光景の理由がわかってきた。これは、サウナ陣地取りの戦だったんだね。帰ろう、お家へ帰ろう。私が出る時、若い女の子が隅で申し訳なさそうに座っていた。

受付のアイシャドウのブルーが2cmくらいある50代の女性に「スタンプ集めますか?」って言われたけど、断った。

10月9日

Journal 10.10,2021

今日は、先月デートしたトモさんと夕飯。話が盛り上がって結構飲んでしまった。トモさんは、私を面白い大人だと終始褒めてたけど、その発言に関しては面白く無かった。

彼が私の世界が広いって言うのは、私がゾンビのいる世界みたいな場所に一度でも降り立ってしまったからだと思う。それは素敵な大人とは異なってる。3度くらいの不倫の末の離婚なら、もっと瑞々しい熟女になれたかもしれないけど、そういう類のものとは全然違う。

夜の22時ちょっと前、ガラガラの世田谷線。NYの路上でライブするアリシアキースの唄を聴きながら心の中で死にたいと連呼して泣いた。次の誰かが出来るまで、又は出来ないまでなのか、この喪失感や虚無感はやってくるのかな。久しぶりのこの世の果てみたいになった。これって、もしかして執着?だけど、何だか違う気もする。

トマトスパゲッティー

Journal 24.9,2021

今日はカウンセリングの日。前回の宿題は気づいたら忘れてた。”周りや世間の価値観を基準にではなく自分が心地よい選択をする、まずは自分の日々の選択に意識すること。他人軸になってるかどうか俯瞰してみて。” 数週間前にカウンセラーさんの言った言葉。だけど、選択は得意だよ。だって写真を撮る仕事は選択のしっ放し。瞬時に良い選択をする事でご飯を食べてるようなもの。結局その宿題はやらなかった。

今回はどうしよう、何を相談しよう。私の心のケアは心理学で事足りる様になってしまった。うーん。そうだ。パートナーについて聞いてみよう。「こんにちは。よろしくお願いします。最近はとても調子がいいです。今でもトラウマはしっかりと持っています。けど、今はそことは違う新しい場所にいて、一緒にいる人も仕事も、色々が毎日とても楽しいです!それで、。今日聞きたいのは、パートナーについてです。」離婚してからガラっと人間関係が変わった。一緒にいた友人達が嫌いになったわけじゃなくて、小学校から中学校へ上がった時みたいに景色がパッと変わったみたいな感じ。以前の友人達と交代でもするかのように新しい友人達は笑顔で「Hello!! 」って声をかけてきた。そして、新しい友人は、何時間もカフェやLINEで昨日の話や腹の底の話はしない。まだ誰もわからない未来の話を会った時だけ教えてくれた。だけど、パートナーはどうなんだろう。これは私のトラウマの一つ。男性不審になったのもそう。私の過去の追憶の中から相手を探してしまうんじゃないか。カウンセラーさんに今の私が出会う人や世界の事、パートナーに対する不安について話した。

「めっちゃええやん!スゴイ!」カウンセラーさんは言った。凄く喜んでる。なんだかとにかく凄いのだそう。私が前回から変化した事がそんなに嬉しいんだ。シンガポールにいるからなのか、歓喜の言葉の中には英語も含まれていた。「よしみさん、じゃあパートナーの話、始めるね。まず、ちょっと質問させて!よしみさんにとって愛の定義って何?」「安心、安全、平和です!暴力を振るう、家庭が安まらない、喧嘩ばかり。そうゆうのはもう嫌です。」

「じゃあさ、その安心な人ってどんな?安全な人っていうのは?平和な人は?具体的に教えて。」パタリと私の言葉は止まった。うーん。どんな人だろう。安心、安全、平和。スローガンは決まってるのに、具体的な人間像が見えて来ない。高3から10年付き合った彼の顔だけが浮かんだ。

「私はね、自分が自由でいれて、相手も自由で入れる事。けど、一緒に居ない時間でも相手を愛おしく想える。これが私の愛の定義。これは人それぞれ違うものだから。宿題ね。とにかくいっぱい考えてトップ3を決めて。誰かとデートする時、ニュートラルに自分の気持ちをしっかり観察してみる。それでまた頃合いを見て話そう。よしみさんと話して、今日めちゃくちゃ興奮したよ。有難う!」

カウンセラーさんが無邪気に喜んでる姿が嬉しかった。カウンセラーさんのお陰で私は色々を見つけられているのに、カウンセラーさんが私を見て喜んで、それを見て私が喜んでる。可笑しい光景。母が子供の頃、原っぱで喜んではしゃぐ飼い犬のジョンによく言ってた。「ジョンー。そんなにぐるぐる回るとバターになっちゃうよ〜。」って。あの日の母やジョンやバターの事を思い出した。


9月23日

Journal 23.9,2021

急の暑さなのか、なんだか重い一日。今日は家で作業。色々がまた色々とガシガシと進んでる。なのに、今日は頭も身体も重い。参ったな。

午後から鎮座ドープネスさんの映像の編集。鎮さん、本当に可愛い。編集作業をしながら、可愛いを連呼。男って可愛いよなぁ。女の可愛いは表面的に覆われたものを指すけれど、男の可愛いは内面から溢れ出るような無邪気さ。危うく恋でもしそうになるくらいに可愛い。素敵な人だったな。

久しぶりに心の中に嫌な何かが滞ってる。ここ数日、ちょっと前から少しだけ感じてた事。大切だと思っていた友人、決して悪い人じゃない。だけど、心がざわつく。その理由を探すのは嫌だったけれど、何が嫌なのか言葉に出してみようと決めた。

何がどうしてどんな時に私は苦しい気持ちになったんだろう。シーンを回想して見ると、結婚してた時の私を見ているみたいだった。

いい友人が沢山いる。一緒にいて、楽しくなる友人、仕事の話が出来る友人、励まし合える友人、いつも新しい何かを教えてくれる友人、勇気をくれる友人。年齢は関係ない。年上でも年下でも大好きな友人が沢山いる。だけど、その友人の中には不幸が上手な子もいる。不幸っていうのは大なり小なり誰にも必ず起きる出来事。よくよく考えてみれば、不幸が上手な子は、不幸な顔が群を抜いて上手い。朝でも夜でもいつだって上手い。そんな友人を見て、そんな話を聞いて、まるで結婚してた時の自分を見ているようで苦しかったんだ。

答えがわかったらすごくスッキリした。それに、ずっと連絡の来ない友人の携帯電話の番号を消すことに決めた。彼女は私の離婚を支えてくれた友人。親友だと思ってた。だけど、彼女も元夫みたいに一番大変だった時期に消えた。離婚するまで彼女は必死で私を救おうとしてくれてた。どうしたら私達夫婦が離婚しないで済むのか。私が夫の事を愛してるならって。

今読んでる心理学の本で面白い内容を見つけた。まさに今の私に作動してるのは、本に書いてある脅威システムそのものだ。幸福な体験よりも脅威な体験を察知しやすいというのは生物的に生きる為の脳が身体を守る為に備わった脅威システムとなっている。だから、嫌な現実が起きれば、きちんと脅威システムが作動する。私にこの度発動していたのは、過去のトラウマの中にいる自分を今に見つけてしまった事だ。過去の私みたいに不幸な顔をした人を現実に発見して、全身で疼いた。首の後ろがぎゅーっとつままれたみたいに、喉の奥で悲しみをこらえた時みたいに、目の前で起こる恐怖に麻痺していく自分を無視していく瞬間に起こる全身の感覚が蘇える。起きた出来事を決して誰にも言えなかった過去の私は、不幸な顔をして沢山のサインを世の中に振りまいた。そんな以前の私を現実の中で見つけてしまった。友人の顔の中に。

だから、わかった。私にはシステムの一つとして生きる為に脅威システムが増えちゃった。だから、心身の健康の為にも不幸な顔が上手な友人とは離れる決意をしよう。システムが緩和されたら、またご飯でも食べに行ったらいい。これは私の問題。健康で安全で平和な生活を送る為のこと。

晩酌セット

Journal 18.9,2021

あっという間に今週も終わり。何だか今日は頭が爆発しそうに疲れてる。ワンプレートのご飯を見ると、どうしてもバイキングとかファミレスのお子様ランチを想起しちゃう。だからあまり好きじゃない。だけど、今夜はもうとにかくお皿を選ぶのもお皿を洗うのも嫌なくらい疲れてた。大皿に作り置きのおかずを盛りながら、もう後戻りはしないよと誓った。

今週は色々な事が進んだり決まったり進みそうだったり。来月から中央大学の先生の心理学の講義を受ける事となった。明日は何とMV風の撮影。なんてこった。そんなタイミングで藤原さんの紹介で会った映像会社の方に映像用のライトを貰ったのは水曜日。そういえば月曜日に思い立って髪をバッサリと切った。ロングヘアーに伸ばしていたけど、どうしてかな。気分はそこそこいい。昨年の私が聞いたらビックリ仰天すぎる色々が、何とか手の中に収まりながら進んでる。

離婚直後も何度も、いや何百回と思ったけれど、彼を病から救えなかった自分を責め続けた。そんな気持ちも忘れて秋の心地よい風を感じる様になると、今度は、ごめんねって思うようになった。今の私なら、病の知識を持った私なら彼の症状に何とか対処できたかもしれない。じゃあ、今の私ならどう対処しただろう。そんな意味の無い事を考え、止める事を繰り返してる。

私が苦しんだ色々を彼は今どう受け止めてるのか。彼は逃げるように家から消えたけれど、それは自分が悪い事をわかってたからだ。私が信じれば信じる程に、待ってると言えば言う程に、家庭に帰れなくなったんだと思う。多分、自分の身を守る為に私を裏切るしか無かったんだろう。そりゃ、私にとっては苦しい話だけど、彼も苦しんだ選択だ。そしてお金をくれる飲み友達やお酒の欲望も手伝って、捨てる方を選んだ。楽になりたくて離婚を選んだ。彼は逃げるのが得意なんじゃなくって、ズルをしたり、誰かを裏切る事で、彼の生きる道を繋げてきた。最良の選択が誰かにとって最悪なだけ。私が出会った時も、出会って数年経った時も、何度も誰かを裏切って前へ進むのを見てきた。

「大丈夫だよ。」
何度も言った。一杯言った。背中をさすって、怯える彼を温めて、「大丈夫だよ。一緒にやり直そう」って。

結婚は死ぬまで生涯を共にするパートナーを選び、同じ戸籍を持って、夫婦として楽しく家庭を育むものだから、私達は離婚して正解だった。今の私なら、あの彼とは結婚生活を送れない。法を犯す事も、道徳的な倫理感が欠如してる事も仕方ないよとは思えない。暴力とか人を騙すとか。やっぱり駄目だと思う。人を悲しませたり、傷つけたりもよくない。そんな結婚生活は楽しく無い。仕方ないよとは思わない。

「お願いだからやめて。」何百回と言った言葉を、彼は何百回と聞いて苦しんだろう。だから、今はごめんねって思う。悪い事をしていいって話じゃなくって、彼は彼なりに大変だったと思う。9月の頭に会ったのが最後。もう一年会ってない。たまに何処かで会いそうな気もする。だけど、もう多分、私達は二度と会わない。また誰かを裏切るんだろう。それが病の所為なのか、性格の所為なのか、答えはきっと両方で、そこはきっとただ寂しく見える。また、私の様な仕方ないと思う女が現れるんだろう。

私も本当に仕方の無い女だった。そこに愛はあったけど、愛を超えた場所にはもう残ってなかったな。砂漠みたいな場所で一人ポツンと座ってたと思う。

明日は早いからもう寝よう。私の人生なんて失敗だらけだし、失敗なんてお茶の子さいさい。それよりも、楽しい撮影だといいな。

晩酌セット
買ってきたイカの寿司
胡瓜のチリソース
竹輪と胡瓜のマヨ和え
鯵の南蛮漬
白茄子の煮浸し
ビーツのマリネ
納豆
すだち日本酒サワー

パンケーキと梅ジャム

Journal 15.9,2021

昨日は千葉の大原で撮影。特急列車で東京駅から1時間。途中、10年付き合った彼が住んでいた駅を通過したけど、まるで見知らぬ駅だった。今日は映像の大場さんも一緒。途中移動の車の中で、色々とお喋りをする。いつしか勝手にお兄ちゃんの様に慕ってる大場さん。今作ってる写真集の話を熱く話してる。前の私ならきっと胸がジリジリしたと思う。「私は今逃げてるから出来ないんですよ。」ぽろっと口から出た自分の言葉に驚いた。私の言葉に「僕は作品から逃げないんです。」って大場さんが言った。それは別に嫌味でも何でも無くって、大場さんは逃げない人だから。

夏に初めたカウンセリングを受けてから、ぎゅっと掴んで離さなかった手を離せる様になった。私が病に転落したきっかけが元夫だったとしても、彼の為にと私を全力で消耗させてきた事に全く気付けなかったのは私な訳で、もう二度とそんなことはしちゃいけないと思ってる。だから、今も作品から逃げ続けてる。同じページを開いたまま季節も変わった。気合いで乗り越えたらいい。負けたくない。やってやる。口癖の様に使ってきた掛け声を全て捨てた。それに、負けたくないっていう作品になるのも嫌だ。「これが出版したら、私は訴えられるかもしれないよ。」編集の山若くんに半分冗談、半分本気で言った言葉を撤回したい。結婚生活を作品にするって云うのはそういう事じゃない。決して男への復讐となる様なものにしたくない。だから、私は私を置いてけぼりにしちゃいけないって。苦しみを口に含んだまま吠えたら、熱くて痛々しいものが出てきちゃう。落ち着いて、私の声で話したい。

帰りの車で編集長の稲田さんと色々とお喋りした。稲田さんが出身の関西の話から、関西弁の話になった。他県から東京へ来て、大概の人は方言と標準語を使い分けるのに、関西弁を敢えて使う選択をする人の自己主張の強さと言葉の持つ強さへの策略を感じるよねって、だから、僕は標準語使いますって。何とも鋭い視点だなと思う話だった。私は80%策略にハマったタイプの人間だったから関西弁にもっていかれながら、その策略に薄々気づいていた20%の自分が歓喜した。そこからテレビでやってたドーパミンの話になって、その番組があまりに面白くて写メを撮ったんだとアイフォンで写真を見せてくれる。スワイプしてテレビ画面を大きくして見せてくれたけど、部屋にテレビがある風景の写真が見たいって思った。遠目に見えたその写真は、何だかすごく良かった。

生活の節々、当たり前の至るところにその人が写るのも写真な気がしてる。写真の中身をじっくり観察したいわけじゃなくて、そこに目を向ける眼差しにその人の愛らしさの匂いみたいなものを感じる。だから、いい。写真の見方は十人十色であると思うけれど、やっぱりいい匂いのする写真が好きだなって。

今日もすごく楽しかった。お昼に食べたイワシフライもすごく美味しかった。

パンケーキと梅ジャム [チベットで体調を崩したときに永遠に食べていた食事]
小麦粉
豆乳

パルメザンチーズ
リンゴ
梅ジャム

夕飯

Journal 05.9,2021

久しぶりに普通の朝を過ごした。寝起きでぼんやりしたままテコとベッドで遊んで、瞑想をして、ヨガをして、白湯を飲んで、英語日記を書いて、添削してくれる外人の子に “Thank you.”ってメッセージを送る。テコにご飯をあげて、私の朝食の準備をする。今日は雨が降ってるからベランダの徘徊はなし。天気がいい朝はベランダを徘徊して、歯磨きをしながら、ベンチに座ってぼーっとする。ただ、ぼーっと歯を磨くだけの朝の時間。

もう9月だなんて信じられない。何だか先月からクラゲみたいな感じ。スルスルとしていて、透明。中身は臓器とか血とか重要なものしかない感じ。空いてる場所はただただ透明で透けてるという場所。そんなクラゲ状態の私が富山へ行ってさらにスケルトンになった。

一昨日、テコを引き取りに実家へ戻った時、不安から解放される場所っていう感覚が、逆に過去の色々を引き戻すようで少しそわそわした。幾つかの恐ろしい日の何かがざわざわと心に蘇っていく。ああ、あの日の夫からの電話は怖くて堪らなかったな。言葉が出なくて、「うん。」としか言えなくて、あの電話を出たのはリビングのドアの前で夏なのに身体の中を冷たい何かが走っていったなとか。全身が憶えてる詳細な記憶が鮮明に再来。だけど、数時間前には別の感覚を思い出してた。病じゃない夫との普通の生活の事。私達が普通の夫婦だった記憶。ありふれたどこにでもある様な普通の日常を夫と妻として過ごしていた日の事。駅前で待ち合わせて夕飯を食べて帰るとか、休みの日に買い物へ行くとか、近所にコーヒーを飲みに行くとか、電気屋で家電を選ぶとか、帰ったら「おかえり」って言い、朝に家を出るときは「行ってらっしゃい」って言うとか。もう私の頭は混乱しないで、端まで綺麗に整理がついてる。だから、前の様に苦しんだりはしないけれど、夫の中に何人もの誰かがいた様に、私の中にも複数の私がはっきりとした形で存在する様になった気がしてる。そして、それはあの男とは違って、綺麗にコントロールできる。だから、もう病や音楽の所為にして悪事を働く男を助ける様な女にはならない。その代わりなのか、私はスケルトンになってるように思う。東京の我が家へ帰っても思った。私、透け透けじゃんって。

明日は後藤さん家に行くから晩酌はお休み。数ヶ月かけて作ったという新居、楽しみだな。ああ、あれもこれもと、朝からスローペースで色々を片付けてあっという間に昼。納品物の色見本用のプリントをポストへ出しに行って、そのまま皮膚科へ。帰宅したら夜。あーあ、もう夜か。今日は皮膚科のお姉さんご機嫌だったな。

透け透けの私だってご機嫌だ。明日の晩酌を待望しながら夕飯をご機嫌で作る。もし、一昨日の様に暗黒時代の事を思い出しても、それは暗黒時代っていうタイトルの一つのストーリーだから、私の本棚に仕舞えばいいだけ。今の私は透け透けだから、私の中には置けない。

夕飯
富山県氷見のバナーヌという最高に美味しいイチジク
とうもろこしご飯
下仁田ネギとビーツの葉っぱ入り豚汁
ビーツのソテー
モロヘイヤのおひたし
ぬか漬け


晩酌

Journal 28.8,2021

今日は料理の撮影。予定が入った時からずっとずっと楽しみだった。憧れの料理家の先生。朝、家を出る前に先生の本を読んだ。この本、いい本だよなぁ。しみじみ。あ、先生のマスタードにはナンプラーが入ってる。今夜帰ったら、うちのマスタードにもナンプラーを入れてみよう

駅で待ち合わせをしたライターさんとタクシーに乗った。「ご自宅の料理を撮ってる感じ、よしみさんっぽい感じでって野村さんが言ってました。」編集の野村さんは体調不良で現場はお休み。すごく嬉しかった。嬉しい言葉だった。今日は二品の撮影。途中で先生を撮ったり、料理過程を撮ったり。憧れの料理家の先生の料理はやっぱりとても素敵だった。スタイリストさんのスタイリングも可愛かった。

私は期待に応えようとする癖がある。仕事にとって必要な事だけど、その比重が下手くそになる事が多い。頑張ろうと力むと、自分をがっちりと折りたたみ、それを踏み台にしてより高い場所へ登ろうとしてしまう。だけど、もうそういうのはやめる事にした。それに、私の行き先も変わったから。それよりも、私らしい写真を撮ろう。もし、それで仕事が来なくなったらそれはそれ。それが世の流れって事。最近、撮影に出る前にいつも自分に言い聞かせてる。そして今朝も。だから、タクシーの中での言葉が私の背中を押してくれた様に思った。

「俺を自由にさせろや。」何十回、何百回と夫だった男が家で喚く声を聞いた。あの時、私はその光景に慣れきって、またかと呆然と見てたけれど、男を不自由にしていたのはいつも男自身だった。何も期待もしなければ、何も言わない私に向かって怒り狂っていた。

ああ、今日はとっても楽しかった。明日はワクチン2回目。もし高熱で倒れてもいい様に、沢山作り置きを作った。

晩酌セット
ごはん
レンコンの自家製マスタード和え
カツオの醤油麹漬
小松菜のナムル
めかぶ納豆
きくらげの酢漬け
トマトとアボガドの塩麹和え


[ 自家製マスタード ]
蜂蜜

ナンプラー
マスタードシード

8月26日

Journal 26.8,2021

撮影現場に着いたら生理が来た。今回の生理は音も無くやってきた。ノーPMS。それともこれは嘘生理??湖くらい私の心は静かだ。帰りに少しだけお腹が重い様な感じになったけれど、心身共にフラット。

今日は編集は瞳ちゃんで、ヘアメイクは近所のみっちゃん。帰りは渋谷駅から家の側の交差点までみっちゃんとタクシーで帰った。気持ちがいい撮影だったな。いっぱい笑っていっぱい撮った。帰りに食べたミスドも美味しかった。山に囲まれた場所での撮影、陽に焼けたくないと日焼け止めを塗ったくって、緑を通り抜ける風がとても気持ちよくて、はしゃいで撮った。

最近は撮影は毎日やらない様にしてる。一日働いたら、一日休む。そうするとすっごく調子がいいから。昔みたいに、週5、6日と朝から何本も撮影して、いつしかお金が沢山入るゲームみたいにな感覚になってしまう私よりも、一つ一つに感想文を書けるくらいの出来事にしたいって思ってる。だから、人に何て言われようが、見られようが、私はお仕事ゴリゴリのフォトグラファーにならないでいい。だから、もうそんなに働かない。

けど、明日に限っては例外。今日撮影だけど、明日も撮影を入れた。いつかご一緒してみたいと思ってた料理家の先生の撮影。すごく楽しみ。そしてちょっとドキドキしてる。だけど、私が緊張すると何もいい事が無いから、忘れて寝る事にしよう。

Journal 26.8,2021

昨日買ったやちむんで丼にした。


ご飯
胡瓜の酢豚風
ぬか漬け
シシトウの梅味噌和え
ゴーヤチャンプル
しらすとしめじの梅じ
そ和え

フレンチトースト

Journal 26.8,2021

昨晩に面白いなぁと思いながら寝た。朝起きてもやっぱり面白いなぁって思った。企画でやってるマッチング。とある男が「お姉さんは、寂しそう。」と、話の途中に送ってきた。私はその時に鼻歌を歌いながら、ご機嫌で風呂に浸かろうとしていた時だった。彼の名前はひつみ。それは本名かと尋ねると、「秘密なの。」と返答。33歳。幡ヶ谷在住。映像制作。自分の性格を自然体と言っていたけれど、名前を隠すような行動は自然じゃ無いから「不自然だね。」と返信した。

人って面白い。離婚っていう情報を元に寂しそうな女を見つけて、寂しいねを共有したそうなひつみと名乗る男。人は人である以上、脳の中に二人の人間を移植するなんて倫理に反した事をしない限り、一生誰かの気持ちを真に理解することが出来ない。だから付き合ったり、結婚したりと、くっつく契約をするのかもしれないけど、バツイチでシングルライフ真っ只中の私は今、とっても楽しい。それに、過去に起きた離婚のトラウマと私の現実世界のそれは別次元で、別問題だ。これから来る明日にだって寂しさは今の所想像出来ない。あるのは過去にだけ。

少し前に、姉がいつもの様に「私は必ず幸せになる。お金持ちになるように毎朝アファメーションしてる。」と、スピリチュアルな話をしていた時、「姉がハッピーでいてくれることが私は一番だけど、私はそうゆうのは。」って言うと、姉は少し拗ねて「よしみは直ぐに科学的な証拠みたいなものを言うよね。」って私を馬鹿にした。宇宙人も神様も占いも何かも、人の創造する物が実際に手に捉えられない形で存在してもいいと思ってるけれど、そういった類の思考で生きようとは思わない。時々食べるケーキくらいの嗜好品でいい。サンタクロースぐらいの夢でもいい。それより、ある日に不自然な男が「あなたは寂しそうだ。」と声をかけてくる現実を覗く方がよっぽど世界へ近づけた気がする。

目の前にある出来事が自分の目を通して見ている事を忘れると世界は簡単に歪んでいく。ひつみっていう不自然な男の様に。だけど、それさえ忘れなければ、どこまでも穏やかだ。結婚生活が幸せだと信じ切っていた頃の私に離婚した友人らが「よしみちゃん。離婚して寂しいとか無いよ。とても今が楽しいよ。」と言う言葉に、彼女達の虚勢を感じてるようで一人勝手に虚しい気持ちになった。だけど、私も彼女達と同じ場所から世界を見て初めてわかった。虚しいのは夫がいても感じてしまう寂しい私の心そのものだった。世界が優しくなるのは世界を寂しくしているのは私。寂しさが住み着くのは状況じゃ無い。その人の中に在る。

夜、撮影が終わって、そのまま撮影先のお宅で食事をご馳走となった。食卓って本当にいい。二人家族の夫婦の暮らしは生活を楽しんでいる感じが部屋中の至るところにあって、壁でも棚でも二人で何年も紡いできた人生が編み込まれたような家だった。やっぱり人が人と暮らすって事が私はとても好きだなぁって。帰宅したのは23時前。ワインを飲んだり、じゃばら酒を呑んだり、初めてお会いした夫婦とのお喋りは尽きなかった。人は人が好きな生き物。私とあなたはどんなに近づいてもわからないものだから、人を大切にしようと試みたい。家族は助け合うものだと信じてきたけれど、勿論そうだとも思うけれど、それだけじゃ無い。大切にする物だよなぁって全身でじんわりと感じた。人っていい生き物。

ワインと晩酌

Journal 22.8,2021

朝から色々と作業や仕事。すっかり週末まで溜め込んでしまった。けど、結構いいと思ってる。これもカウンセリングのお陰であり、しっかりと効果が出ているって事。私が私をコントロールし過ぎてしまう事を制御するっていう取り組み。15時を過ぎる頃には色々が終わった。あー疲れた。夕方に藤原さんが来るからワインを買いに行こう。

藤原さんはグラフィックデザイナー。埼玉の安置所に石井ちゃんにお別れを言いに行った時に出会って仲良くなった。今年の春の話。それから、こないだは一緒に仕事をして、最近は私の新しい仕事の相談もしてる。歳も近いし、優しくて賢いところが好き。そして、仕事への姿勢が好き。今日は色々な話をしたけど、中でも仏教の話で盛り上がった。私はめっきり脳と心に夢中な日々を送ってるけれど、マインドフルネスと仏教はとても近い場所にある。私の興味も藤原さん興味も全開だった。あっという間に開けたワインの代わりにホット麦茶を啜りながら、しばらく仏教の話は続いた。

それから、共通の知人。村上美術のゆうや君の話しになって、彼が天才だって話でまた盛りあがった。友人を褒め称えるって楽しい。今頃、何も知らないゆうや君はただただ日曜日の夜を家族で過ごしているんだろう。

楽しい夜だったな。今夜の月は明るい。満月なのかな。すごく綺麗だった。

晩酌セット
トマトと蛸とへべすの塩麹和え
山椒の塩漬け
素揚げした茄子にかかんのよだれ鷄のタレをかけて
お土産のSMLのXO醬
ロゼ

晩酌

Journal 21.8,2021

今日は久しぶりに外食。近所でシミルさんとランチをした。そして、お茶をして帰宅。色々な話を永遠にダラダラと話してた。何かの話で、「背が低い男性は怒りっぽい人が多い傾向にあるらしいよ。小型犬もそうでしょ。」ってシミルさんが言った。私が昨日考えていた事と同じような話だ。動物倫理学の話と神戸の事件、そして元夫の動物虐待の事を簡単に話した。シミルさんとは何でも気兼ねなく話せる。

今読み進めながら勉強してるコンパッションの本、今日はセルフコンパッション式の日記を書くというエクササイズだった。セルフコンパッション式というのは、3つの要点がある。1つにマインドフルネス。これは瞑想と同じ、「今、ここ」に意識して書く。2つ目に自分の問題と世界の共通点を記す事。これは問題が誰しもに起こりうる事だと視野を広げ共通認識、問題の解放を意味してるんだと思う。3つ目は、慈悲。客観的に自分を慰める言葉を丁寧な言葉で書く。

今日から一週間のエクササイズ。再来週にはきっと何か新しい事を感じてる筈。カウンセリングのエクササイズもそうだけど、脳のトレーニングは身体のトレーニングと全く同じ。毎日の積み重ねで確実に体力がついていく。

シミルさんとも話してたけれど、「新しい事がしたい。」よねって。土とか風の時代っていう表現はそんなに好きでは無いけれど、今までは根をしっかりと張りぐっと食いしばってとにかく守る事で必死だったのに、今はどれだけ力を抜いて、手放せなかったものをどれだけ捨てられるか、例えば、「写真の仕事は大好きだけれど、他にもやりたい事があって。」そんなことも、お茶をしながら話せるくらいに、軽い世界になった。

晩酌セット
胡瓜の糠漬け
サーモンと熟れたトマトの塩麹和え
ズッキーニと胡瓜とネギのソテー
めかぶ納豆
胡瓜坦々飯

8月20日

Journal 20.8,2021

今日やっと動物倫理学の本を読み終えた。意気揚々と読み始めて、途中、少し涙を流したりしながら進んだものの、宗教と動物っていうテーマの所に数日時間がかかって、今日こそ無理だと決めた。そして、さっとワープ。気持ちよく着地出来る所を見つけて読み始め、読み終えた。宗教の所はキリスト教と仏教に照らし合わせて解釈を行なっていく所だけど、キリスト教も仏教もさほど理解が無いからちんぷんかんぷんだったんだと思う。だから、そもそも読まなくて良かった。

最後の方でおかしな事が書いてあった。「動物に優しい人は人にも優しい。その逆も然りで、人に優しい人は動物にも優しい。」散々、何百頁に渡って真面目な話をしてきた所で最後にこんな言葉を見て拍子抜けした。そこに極端な事例として、神戸連続児童殺傷事件の容疑者が動物虐待していた事が記されていた。けど、。幾つか私の知ってる経験を思い返したらその通りかも。私の知っている男がよくテコにしていた事は間違いなく虐待だった。テコが吠えると大声で「煩い!」と叫び、思いっきりに床に踵を落としてガタンともの凄い音を立ててテコを怖がらせた。テコはその突然の衝撃に尻尾を股の間に挟んでサッと後ずさりする。お酒が入り暴れた延長で叩いたり吹っ飛ばした事よりもずっと違和感のある光景だった。けれどいつしか日常にそれは溶けていった。

「ぶっ殺すぞ。」男の大声と共に思いっきりに放たれた拳は私の顔の直前でピタリと止まる事を私は覚えた。頭を叩かれることがあっても、首を締められる事はあっても、顔は絶対に殴らない。彼がそうするには理由があった。テコと同じ。「どうしてお酒をまた呑んだの?」「どうして嘘をつくの?」と、私が彼に吠えたから。動物でも人間でも、自分を守る為に相手を黙らせる術として強烈な方法で威嚇する。これが彼の理由と行動。そして、それは8年間、家の中だけ。私とテコにしかやらなかった。身体よりも胸が痛い事の方がずっと多い日々が続くと、いつしかその痛みは痣が出来るよりずっと早くに消えた。

「彼と私が一緒にいなくなったら、彼は大変になるね。」と言った人がいたけど、現実は違う。彼はそんなに馬鹿じゃない。それに、あの病はそんなにシンプルでもない。もし咎められる日が来るとしたら、お金の事とか、彼の苦手とする所なんじゃないかなって思う。彼が心を許した人だけが知れる彼の本心は絶対に世界には見せない。

神戸の事件の詳細をどうしてか無性に知りたくなってネットで調べた。こういう気持ちって何て表現したらいいんだろう。全くわからないけれど、私が見てきた異様な光景と少しだけ近い場所にある気がした。

脳科学者の人の話で、自分は気づいているのに、あの人は気づかなくて、不快な思いをする事ってありますよね?動物に例えるなら紫外線。人間は見えないんですよね。けど、蝶は見えるんです。脳の感覚機能は現実に起こってる事を全て見せてくれているわけじゃないんです。ほんの一部に過ぎないんですよって話だった。前と今は同じ世界なのに、気づけば真っ白で美しかった筈の壁がポロポロとペンキが剥がれ落ちてくるみたいに、何かがどんどんと見えてくる。それは彼の事だけじゃなくて、色々。そして、その先を見たいっていう欲求も少しずつ膨らんでいく。

ゴーヤの天ぷら

Journal 18.8,2021

あそこのラーメン屋さん行ったな。あそこの、。だけど、誰と行ったんだろう。あ、。けど、本当にそうかな。隣にいた誰かが全く思い出せない。そんな事がここ数日続いた。今日も。けど、どう考えても元夫しかいない。私の記憶が彼を透明に塗り潰している感じがした。存在は感じてるのに見えない。

私が私の記憶を消そうとしてるみたい。多分、ここ数日また夢に出てきてるからかな。とにかく、一刻も早くこの世から消えて欲しい。恐怖だけじゃなくて、それ以外の全て8年間の全て要らない。何一つとして彼に関わることは要らない。本当に要らない。今日も病院で間違えて記載しそうになった。未だに過去のアイデンティティ、彼の苗字になった私や、私達の新しい戸籍となった住所の記憶が、当たり前のように現れる。綺麗にコーティングされたチョコレートから溶けたバニラが出てくるみたいに堂々と。

母が「ゴーヤを天ぷらにして。」って、何度も電話してくるから強制的に今夜はゴーヤの天ぷらとなった。なるほどねって唸りながら食べる。今日も安心で安全で平和な1日だった。それに、乳がん検診も子宮内エコーも検査結果は良好。最近、生理の周期が遅れてたし、胸の脇の鈍痛が気になってた。まさかって。先生に昨年6kg急激に痩せて生理が止まった事、それから大きなストレスがかかった事も話すと「それですね。胸も子宮も今日みた限りだと大丈夫ですよ。」って。不安っていうのは、一瞬にしておさらば出来る。

ゴーヤの天ぷら
ゴーヤ
地粉

北海道のお土産の昆布塩

8月16日

Journal 16.8,2021

今日は料理家さんのアトリエで撮影だった。長時間の撮影は久しぶり。何度もお邪魔してるこのアトリエも、先生もとても大好き。1日中雨が降っていた暗い部屋の中で、キッチンだけが煌々と光ってる。先生やアシスタントさんが機敏に動く様をスポットライトがずっと照らしてる。いつも思う。何度も見たこの光景、本当に好き。すごく綺麗。

帰り道、お腹は平和だったけれど、全力でクタクタだった。機材がずしりと重い。だけど、何故だか気分がいい。不思議な感覚だな。前の私なら夜までかかる撮影がストレスだった。ソワソワと落ち着きがなくなって、時には苛々したりして、押し迫る時間に全身が圧迫された。帰宅後の家事が痺れを切らしてる事も分かっていたし、鳴り止まない電話があったならば、撮影が終わると共に飛んで帰った。だけど、それが今日は無い。心は朝と同じくらいピンピンしてるし、撮影も最後の時まで、ただただ楽しかった。編集さんとの帰り道、このままお喋り続けたいなって思ったくらい。何だろうこの感覚。

夕飯は残り物のおかずを食べた。写真は撮るのを忘れた。お風呂で汗を流して、ビールを呑んで、ご機嫌でベッドに潜る。テコがベッドの上で楽しそうに飛び跳ねてる。明日は寝坊しよう!この感覚、最高。