夕飯

夕飯 10.11,2022

午前にパルコカードを作って、アルパカのセーターを買った。それから世界堂でレフ用のスチレンボードとペーパーを買い新大久保へ。料理家のふみえさんとネパール料理屋のアーガンで待ち合わせ。アーガンはミサちゃんに教えて貰ったお店。ふみえさんは髪をバッサリとショートに切ってなんだかとてもすっきりしてた。この半年でどんどん髪が短くなっていくふみえさん。それでなくても軽快で心地がいい人なのに、どんどん軽くなっていく気がした。

ふみえさんからハーブティと、氷見のHOUSEHOLDのふたりから預かってるというお土産と昨年に撮影したカタログを受け取った。私は今朝、無人販売所で買った原木なめこを渡した。今度の撮影の話から、最近のお互いのこと、色々な話をした。人の悩みを面白いなんて言ったら失礼だけど、私からは絞っても出てこないような、ふみえさんの悩みはふみえさんらしくて興味深かった。けど、実際にふみえさんは困ってるし、そんな自分の癖が嫌だと感じてるし、変わりたいとも望んでる。それに反して、私が持っていないそれは、いつも羨ましく魅力的なふみえさんの要素の一つだ。ふみえさんのようになれたらどれだけ強く生きられるのだろうと時々思うくらいに。

人って不思議な生き物だ。もう今のままでも十分に満たされている筈なのに、自分には無いものを望んだりする。新宿に三越伊勢丹に行くと欲しいもので頭がいっぱいになる。地下の食品から、コスメ、洋服と、お金が幾らあっても足らない。だって冬だからクリームが必要だし、だって仕事用に汚れてもいいよう黒いけどお洒落なコートが欲しいし、。明日の私を満たしてあげる為に必要そうなものは数えきれないくらいある気がしてしまう。どうしてこんなに止めどなく欲望が湧いてくるものかと、時々うんざりもするけど、湯船に使った時だとか、スープでお腹が温かくなった時とか、陽だまりにいる時なんかに気づく。今は十分に満たされてるって。ふみえさんには申し訳ないけど、ふみえさんは今のままで十分過ぎる程に素敵だし、変わらなくてもその魅力はこれからも絶えず拡がってゆくものだと思った。

帰りに銭湯に寄って、久しぶりにサウナに入った。帰り道に携帯を開くと周ちゃんからLINE。”足を挫いたから病院へ行きます。”それ以上もそれ以下も書いてない。帰宅したのは1時間以上経ってから。左足が包帯ぐるぐる巻になって帰ってきた。「何で連絡してくれなかったの?交通事故にでも遭ったのかと思ったよ。」と言うと、「俺だって大変だったし、そんなに怒らないでよ。傷ついてるんだよ。」と、真剣な面持ち。目は冷たくて硬ってた。周ちゃんは痛みに弱い。そして、それを飲み込むまで少し時間がかかる。そして、それは星の光のようで、私の所にやってくるまでにはタイムラグがある。寂しかったり、少し苛ついたりもどかしかったりもするけど、それが、私達だ。私が選んだ、誰かと生きるとゆうこと。私に出来る事は速く連絡するように促したって変わらない彼の声を、ただそっと信じて待つだけ。私達はただ法的契約を交わしただけで、私には彼を変えてもいいなんて尊厳は持てない。持ちたくない。

夕飯
原木椎茸のオーブン焼き
赤蕪と小松菜の蒸したもの
塩豚
長芋と豚の醤油麹バター焼
ほうれん草のおひたし
納豆
ご飯
原木なめこの味噌汁

夕飯

夕飯 09.11,2022


昨晩飲んだピルの副作用が酷くて午前はリビングでうめいてた。午後は薬が馴染んだのか体調はすっかり戻った。夕方に久しぶりに俳優のゆうちゃんからLINE。ゆうちゃんは前の家から5分くらいの所に住んでいる。最後に会ったのはうちでたらふくビールを飲んだ時。一時期タクシーを乗る度に画面の中にいるゆうちゃんを見かけていたから、そんなに久しぶりな気はしていなかったけれど、確かに、もう1年は会ってない。引っ越したことを伝えるととても驚いてた。結婚したことは言ってない。

夕飯
昨日の鍋の残りで茸のクリームスープ
キャベツのペペロンチーノ
柿と洋梨とモッツアレラのサラダ
ブロッコリーとしらすのオイル蒸し
ニラ玉
納豆

茸鍋

和食, 夕飯 08.11,2022

「今夜は皆既月食見ながら夕飯を食べよう!」朝に周ちゃんと約束をした。夕飯、何がいいかな。秋の味覚を堪能できるようなご飯を1日中考えていたけど、中々決まらない。夕方の病院が混んで、結局帰ったのは18時過ぎ。せっかくゆっくり夕飯を作ろうと思ったのに、皆既月食始まっちゃう。

椎茸の焼売を作って蒸し器で蒸して、魚介のパスタに柿とバルサミコを使ったパスタに茸のスープ?・・。なんとなく考えていた献立はやめて、1時間くらいで出来そうなものに変更。一つ目のコンロに茸鍋の準備をして、二つ目に砂肝と青葱たっぷりのコンフィーを、もう一つのコンロで銀杏をフライパンで炒った。あとは昨日作った蕪の煮物、納豆、ご飯を準備した。

「ただいま〜。」周ちゃんが帰ったのは19時過ぎ。「始まってるよ!」急いでベランダに上がって空を見上げる。「すごいね。」「うん。すごい。地球と月と太陽が一直線にこれから重なるんだよ。」毎年、何年ぶりだとかいう夜空を見上げてる気がする。昨年もスーパームーンと皆既月食が同時に起こる夜があった。夜中に目が覚めた時、カーテンから溢れてくる光に驚いてベランダに出ると、見たことがないような明るい夜だった。離婚から半年くらい経った、まだ心が痛くて仕方なかったころのこと。夜はタクシーの音がする度に元夫なんじゃないかと真夜中と記憶がシンクロして胸の鼓動が止まらなかったけれど、月が明るくて、隅々まで白く光って見える世界にほっとした。

姉から新車を買ったよとLINE。2023年モデルのワーゲンの写真が送られてきた。車には赤くて大きなリボンがついてる。自分への誕生日プレゼントらしい。先月の交通事故では結局車は大破しちゃったけど、身体に問題はないし、新しい車の事を結果オーライと言ってた。なんだか流産から不正出血が続いていて、気持ちが少し晴れなかったりもするけど、そんなに心配することはないのかもしれない。病院からは生理をリセットするというピルが処方された。妊娠でつくづく思ったけれど、女であることは本当に大変だ。子供は私と周ちゃんのことなのに、女の体を持っているだけで、さまざまな身体的困難を強いられる。

ケーキ

Journal, 朝食 06.11,2022


遅く起きてきた周ちゃんに「紅茶のむ?」って聞いたら、「ねぇ。これ見て。」携帯の画面にあるグーグルカレンダーを指した。”何もしない日” って書いてある。書いたのは私。食べるも寝るも別、と加えてある。周ちゃんはやっぱり結婚がしたかったんだと思う。初めての結婚である周ちゃんに、私に構わないでとか、別々でいたいとか、そんな事を望む私の方が我儘だ。きっとお揃いのパジャマを着て、熱々のパンケーキの上を溶けるバターをカフェオレと一緒に流し込みながら朝を迎え、昼はぶらぶら買い物したり食事したりと手を繋いでデートをして、夜は部屋で映画なんかを見たいんだと思う。「今、紅茶を淹れてたから、いるかなと思って。」「うん。じゃあ、いる。」周ちゃんが一昨日に買ってきてくれたケーキを紅茶と一緒に食べた。

昨日は松陰神社に住んでた時に通っていた梃子の病院へ行った。セカンドオピニオンの為。前の家の直ぐそばにあるカンノンコーヒーで珈琲とスコーンとチョコクッキーを買い、角の寿司屋でお稲荷さんを、インド人の肉屋でサモサを買った。そしてThisという雑貨屋をぐるりと見て、下北沢の発酵デパートメントへ向かった。よく買っていた五味醤油さんの甲州味噌と醤油と変わったバルサミコ酢を買った。まるで半年前の生活みたい。

運転はずっと私。初めて東京まで運転したけど思っていたより怖くなかった。それに、道も街も、知っている場所を通るのはなんだか嬉しかった。「あ、あのローソンの上に二十歳くらいに好きだった子が住んでたよ。」環七の信号を止まった時に丁度そんな場所だった。「ここを曲がるとミッチャン家。」「そこを曲がるとこないだうちに遊びに来てくれた子の家だよ。」世田谷、大好きな街。私だけすっぽりとどこかへいなくなってしまったけれど、ここは今も変わらない。

今日はキッチンの大掃除をして、昨日の夕方に買った葉牡丹を鉢に植え替えた。なんだか昨日の世田谷はすごく楽しかった。だけど、私の家はここ。ここを離れる時は淋しいと思うくらいに素敵な場所にできたらいい。

里芋のグラタン

洋食 04.11,2022


午前はパルコの有吾さんと。午後はざおーと仕事。有吾さんに最後に会ったのは、二年前の夏。待ちの時間があって、公園通りのエクシオールカフェでお茶をした。そして、その時に夫が帰って来ないことを相談した。「多分、帰りずらいんじゃないかな。旅行でも誘ってみたらどうだろう。」一ヶ月以上帰ってこない夫に、アドバイスの通りメールしてみると、しばらくしてから「旅行でも行きませんか?」と思いだしたようにメールが戻ってきた。相談していた姉やアカリちゃんにその事を話すと、「何を今更!」って、二人とも口裏合わせたように怒っていたけど、私の心はとっくにどうにかなっていたから、夫に声をかけられるだけで十分だった。そして、夫の横に座っても前のように笑う事ができない私がいることも知っていたからメールは返さなかった。正確に言うと、返すことが出来なかった。

今更になって思い出したけど、あの日が有吾さんと会った最後ではなくて、その一週間後くらいに有吾さんの知り合いと一緒にパルコのビアガーで飲んだのが最後。その時に会った美容師の男の子が帰り際に痩せすぎだからもっと太った方がいいよと西武の前を歩きながら言った。今から7kg痩せてた頃のこと。ストレスで一気に体重が落ちてしまって確か44kgくらいだった。持ってる服の殆どはぶかぶかで、夫や毎日だけじゃなくて、もう何もかもが世界がずれていた。あの夜に1Fにあるeatripの花屋で買った植物は数ヶ月で枯れた。何を買ったのか覚えてない。

午後の現場に向かう前に、隙間の時間でオペラシティーでやってる川内倫子さんの写真展に寄った。川内さんの写真が特別好きなわけじゃなかったけど、大規模の写真展というのが引っかかって寄ってみることにした。こうしてミュージアムだとかアートにきちんと触れる、学ぼうとする姿勢を持ち始めたのは周ちゃんのお陰だと思う。感じに行くというより勉強しにいく場所になった気がする。バックパッカーをやめてから、ずっと家の中、食卓、より内側へよりマクロな世界へと興味を持ってきたけれど、周ちゃんと結婚してから、ぱっと外の世界に惹かれるようになった。北海道へのアイヌリサーチもそう。家から出て、大きいものが見たい。川内さんの写真は生きるとか生命とか、そういう事を見てる写真みたいで、今の私の気分そのもので見ていて気持ちが良かった。アイヌリサーチで試しに借りた中判カメラ。ハッセルブラッドを売ってから久しぶりの中版だったけれど、思っている以上に手応えがあったカメラ。やっぱり買おうかな。どうしよう。山登り用にワタルさんが欲しいと言ってたカメラ。私は何用だろう。世界用かな。

今夜は里芋のグラタン。
伝説の家政婦 志麻さんのレシピ


鶏もも肉 1枚
里芋 小さいのを10個くらい
長ネギ
豆乳 500ml
麺つゆ 大さじ2
ピザ用チーズ


具材を炒めてから、豆乳で芋に火が通るまで煮込んでからチーズをかけて焼く。

ほうれん草のおひたし

Journal 03.11,2022

今日は祝日。昨晩帰りが遅かったので朝はゆっくりと起きた。昨日はレストランで、帰りの電車で、お風呂の中で周ちゃんと沢山の話をした。まるで数週間の色々を取り戻すみたいに互いに互いの傷を癒やし合った。

私はいつからか必死になっていた。穏やかな湖畔でぽちゃぽちゃと水遊びをしてるつもりが、鋭利な言葉で周ちゃんを傷つけることを覚えていた。理由は沢山あるけど、こんな自分は嫌い。私には私の苦しみがあったけど、周ちゃんの心の声を聞いてから、やっぱり虚しかった。どんな理由があるにせよ、人を傷つけることは辛い。

昨晩に周ちゃんに新しい歳の抱負を聞かれたけど、みっつめは言わなかった。ひとつめ、車の運転が上手になること。ふたつめ、穏やかな心でいること。みっつめ、大切な人を傷つけないこと。口に出したら私への約束の効力がなくなってしまいそうで言いたくなかった。

一昨日に出した大学の心理学科の履修科目生の願書。人生二度目の大学生。授業は来月と再来月。楽しみだな。この1年はきっと新しい1年になる。結婚を機に色々がガラリと変わったけど、今年はもっと変わりたい。前のように色々はもう要らないし、急いだり焦ったりも必要ない。遠くへ行きたいとか、多くを望みたいとも思わない。今持っているものを十分に大切にしたい。私が出来ることを丁寧にしくしくとやりたい。


ワタナベマキさんのお浸し
カボス
ほうれん草
麺つゆ

お浸しにカボスを薄くスライスして液に浸し冷やす。

モモ

Journal 01.11,2022

明日は誕生日。離婚した時、これから、誕生日は一人でいようと決めた。私は私を大切にしよう。誰かに幸せにしてもらうのではなく、私のために自分で買ったケーキのローソクには自ら火を灯し、自ら消したい。幸せは与えて貰うものじゃない。あれだけ固く誓った筈なのに、夜は周ちゃんとご飯を食べることになった。一人でいたい、とは言えなかった。それに、やっぱり周ちゃんといたかった。なんだかそれは情けないような、嬉しくもあるような。

昨年の明後日に周ちゃんに出会った。まさかその人の子供を妊娠するなんて思わなかったし、その人の姓を名乗るとも全く想像してなかった。人生って可笑しいくらいに、自由気まま。身勝手すぎる。もっと落ちついてくれないものか。松陰神社駅から歩いて30秒の56平米の一人には広すぎるマンションで、テントを3つくらい立てられるようなベランダで悠々自適に今日も過ごしているはずだった。予定では、時々デートしてセックスしてバイバイするくらいの丁度いい距離感の男と付き合っていて、その人の未来なんて私には関係ない。勿論、明日の誕生日だって一人で過ごすつもりだった。

あの部屋が大好きだったのに、どうしてこんな田舎に引っ越してしまったのか、時々、ふと考えることがある。今日の帰り道だってそう。バスに揺られながら、私は一体何やってんだろうと思った。田舎暮らしは夢だったけど、本当にこれで良かったのかわからない。田舎での暮らしは想像以上に素敵ではあったけど、想像もしていないような不便さや大変さもあった。知らなかった世界を体験出来て、楽しい想いも十分にして、何を今更とも思うけれど、冷静にぼんやりと窓の外の景色が変わっていくのを見ながら思う。今、私は本当に幸せなんだろうか。離婚の時もだけど、結婚もそう。なんだかそんなに頑張ってない。もちろん、上手くいくようにと小さく努めた事は山程あるけど、もう決まってるレシピのようだった。そうしないと美味しくならないような。だけど、今日は美味しくない。周ちゃんとの生活がなんだかやっぱり上手くいってない。

新宿のギャップでクリスマスらしいパジャマを買って、周ちゃんに似合いそうなチェックのパジャマも一緒に買った。昼に久しぶりに瞳ちゃんと表参道でランチして、少し落ち着いた気がする。

幸せって一体なんなんだろう。周ちゃんとはずっと一緒にいたい。だけど、私が十分に今幸せかと言ったら、そうじゃない。思い通りにいかないのが人生だとか言うけど、じゃあ、人生は苦しむ為にあるんだろうか。ベッドに入ってから周ちゃんと話をした。ここ最近のこと、なんだか上手くいってないこと。小さいことは沢山あるけど、きっと妊娠から始まった。周ちゃんは怒ることも、怒られることも苦手。人の怒りに弱い。そして、それを避ける。私は気持ちが溢れてくるのを止められない。わかってるのに止められないし、それが私の生きる衝動にもなったりする。優しい気持ちも悲しい気持ちも、周ちゃんが世界で一番恐れてる、怒りという感情も全部綺麗に吐き出してしまう。

「その、妊娠の時のいつのことを言うんだろう。治したいと思うから具体的に教えてくれないかな。」「周ちゃん、何日の何時何秒みたいな話は無理だよ。感情の話なんだから。私が伝えたいのは、根本的な心の話。行動はその先にあるもの。私の目的は怒ることじゃないし、怒りたくて怒ってるわけでもない。だけど、周ちゃんが怒りが苦手だからと周ちゃんの感情から逃れることは、私からも避ける事を意味するんだよ。」

私達は突然に出会って突然に結婚した。歩んできた人生が全く異なる二人が生活を始めて、上手くいかない方が普通だと思う。価値観は別に合わせなくていいし、それぞれが持っているものを否定したり、強要したりする必要もない。このままでいい。合わないままでいい。だけど、今、私達が一緒にここにいるなら、向き合わないと苦しくなる。塩辛い味噌汁を、「大丈夫だよ、美味しいよ。」と言うくらいなら別にいいけど、とても悲しいのに大丈夫とか、とても苦しいのに気にしないでとか、とても怒ってるのに笑顔でいるとか、そんな事しないでいい。嬉しかったり、優しい気持ちになったりするのと同様、感情は私達の身体と同じ、大切なもの。

どれくらいかわからないけど、しばらくベッドで話した。じゃあ、別々に暮らそう。そんな話は出なかった。自分の努力が間違ってたとか、俺のエゴだったんだとか、周ちゃんから放たれる言葉は悲しみを帯びていたけど、私が苦しかった事を伝えた現実にショックだったんだろう。だけど、そうじゃないよと何度も伝えた。私達は互いに新しい生活の為にそれぞれが出来る事を努めたけど、価値観が合わなかった事も決して悪いことではなくて、問題は今苦しい感情がここにあること。それを解決する為に、過去を悪く言ったり、自分を責める必要なんてない。幸せになる為にやってきたことで、失敗だってある。そんな事よりも、今、気持ちが互いに苦しい事を、今までとは違うやり方で変えていく必要がある。私達は別々の身体を持った生き物なのだから、家族だからといって無理矢理一つにならなくていい。このまま別々であることを楽しみたい。そして、ちゃんと笑っていたい。直ぐに色々を変えるのは難しいけど、生活を少し変えてみようと約束した。

夕飯はモモ。周ちゃんが作った。私の苦手な肉たっぷりのシュウマイみたいなモモで、味の濃いミントのアチャールをたっぷり乗せて3つだけ食べた。

10月31日

Journal 31.10,2022

北海道から帰ってから、バタバタと撮影が続いてる。今日は編集の柿本さんと。柿本さん、本当に好きだな。RiCEの時もそうだけど、一緒に仕事をしていて楽しいと胸がほくほくとしてくる。話してる事がすぅーっと美味しいジュースみたいに自然に馴染んで、どうかしたらもっとほしいと思うくらいに身体の中へと入ってくる。勿論、それは、編集のキャリアがあるからなんだろうけど、それだけじゃない。人柄だったり、他愛もない小さなお喋り一つにしても楽しい。歳は私よりもずっと年上。高校生の娘がいるのだとか。来年に留学するみたいで、その話をしている柿本さんはすっごく可愛かった。私も早くに娘を産んで、こんな風に仕事場で娘の話をしてみたかったなんて羨ましくも思ったりもした。

最近少し疲れてる。周ちゃんとは上手くいってるようないってないような。一緒にいると疲れる。好きとかきらいとかは関係ない、ただ生活がうまく回ってない。

10月23日

Journal 23.10,2022

朝から頭が3つあるみたいに忙しかった。仕事、月末の請求書の作成、来週の撮影の機材の準備、旅に持っていく機材の手配、モニターのキャリブレーション、機材の掃除、返信していないメール、週末にやろうと溜めていた色々。うんざりする。それに併せて連日の撮影でほどよく疲労も溜まっていたし、周ちゃんとは忙しくて話す時間を作ってない。色々を早朝から同時進行で進めてみるも、時間ばかりが過ぎてゆく。夕飯は近所に住んでるキュレーターの高橋くん家でご飯の約束をしてるのに。

周ちゃんに高橋くん家に持っていくお土産を駅前で買ってねと頼み、後から自転車で向かった。頭がすっぽり抜けて何処かへ行ってしまいそう。まだ、あれもこれも終わってない。

周ちゃんと高橋くんはキュレーションのなんたらをまるで科学みたいな言葉を使って話していた。洒落たキッチンで泡まみれになった手でそれを事細かく論ずる高橋くんと、高橋くんに頼まれてニンニクを切りながら、さらに解いていこうとする周ちゃん。キッチンではなく、実験室に見えた。流し場にあるパスタはすっかり茹で上がってる。こうゆう場面に出会うと、私達は違う場所で生きてきたんだなと改めて実感するし、周ちゃんがずっと遠いい人かのようにも感じる。

誰だったかに、学芸員と何処で出会うの?と聞かれた事があったけど、確かに本屋で同じ本を手にすることもなければ、私がハンカチを落とすような街を学芸員が歩くことはきっとない。きっと彼等は、ミュージアムや、アートに纏わる場所で静かに鑑賞してる。勝手な想像だけれど。周ちゃんに限っては、全く異なる土地で生きてきたし、趣味も遊びも違う。ただ、生き方みたいな、大きく言って根本的なところだけが似てる。

周ちゃんがトイレに言ってる間に「実は喧嘩してるんだよ〜」と、こそっと高橋くんに言った。そこから、結婚ってなんだろうね、みたいな話になったけど、疲れ切ってる私にはただ、もう脱ぎたいとしか思えなかった。

ウェットスーツみたいに重くなったものを脱ぎ捨て、すっぽんぽんで抱き合いたい。今は結婚の意味なんかどうでもいい。

枝豆

夕飯 22.10,2022


久しぶりに編集の柳瀬さんとお仕事。「よしみさん、日記見てますよ〜。実は前に私の事を書いてあって、キャプチャーしたんです。」女性の方から時々言われる。実はこっそりと見てるんですよって。そう言われる度に少し浮足だってしまう。仕事用のHPに日記を掲載するなんて馬鹿だなとも思うけれど、以前のついつい体裁を整えてカッコつけてしまう私があまり好きじゃなかったし、もういいやとどこかが吹っ切れて、家の食卓写真と一緒に日記を書くようになった。どうせ服の下はみんな裸なんだしと。

一人目の旦那さんの事を書いていた時はファンだという女性から忠告を受けることがあったり、見たくもない感じのメッセージが来る事もあった。私自信わかってる。私は普通に偏ってる。みんなと同じように普通であり偏りもある。いつも笑ってるような人なんかにはなれないし、口から意地悪が勝手に出てくる日もあれば、自分勝手に当たり構わずジェラシーを蒔き散らす事もある。こんな自分は嫌だって思うくらいに、気持ちが悪い感情がどうにもならなくても書く。それに、ずっと離れてるりょーこちゃんが「よしみちゃんの日記、いつも見ているよ。元気そうだね。」と、連絡をくれる度に安心して、また書こうとなる。朝でも夜でも、私の隣に座り、そっと話を聞いてくれているみたいで。完全に妄想なんだけど、なんだか一人じゃない気がしてまた書く。

今日の現場は穏やかだったな。人って面白いなと思う。誰と一緒にいるかで見える世界が変わる。柳瀬さんの現場はコジコジワールド。ずっと笑顔でニコニコ笑ってる柳瀬さんを見ていると、こっちまでニコニコしてしまうし、ユルイ空気感がじんわりと現場を温めてく。私の知ってる限り、だいたいのおじさんはメロメロになる。それを見るのも結構すき。そうして、日本橋の街を歩きながら写真を撮り、柳瀬さんの新しい恋の話を聞いたりして、新宿で会期中の写真家の中野さんの展示へ向かった。

ギャラリーに入ると、写真家の広瀬さんの名前が記帳されていた。「広瀬さん、今どこですか?」「もう、電車だよ。」「すごい運命的なニアミスじゃないですか!」直ぐに電話を鳴らしたけど、声しか会えなかった。なんだかんだと30代前半から仲良くして貰ってる広瀬さん。今は子育てで忙しいみたいで、作家活動は少しお休みしているみたい。だけど、今が楽しいって言ってた。中々子供が出来なかったけど、ある時に急に出来たのだそう。「俺の年齢だと1%の確率だよ!」としきりに言ってた。あの時は全く妊娠の事を知らなかったから右から左だったけれど、今なら隅々まで溢す事なくしっかりと話せる。2周くらい周りギャラリーを出ると、シティーボーイです。って顔に書いて有りそうな感じの男の子が座ってた。「え?中野さん??」「ああ、お久しぶりです。」「嘘でしょ。全然違うじゃん!」中野さんは元自転車のなにかの選手だったけど、写真家になった。8☓10という大きな箱みたいなカメラを背負って秘境の温泉を撮る写真がとても力強くて、この人はただもんじゃない。と直ぐに好きになって、友達になった。何年か前のアートブックフェアでのこと。「だから、家の中の写真なんだ。じゃあ、この裸かは彼女ってこと?」「ちゃんと彼女に出していいか聞きました。」「偉いね。」中野さんは写真を撮る為に会社をやめてタクシーの運転手になったけど、コロナでしばらく会わなかったこの3年、恋に堕ち、同棲を始めた人生初の彼女と一緒にいる時間が惜しくて写真を撮るのをやめた。「絵なら、遠くに行かなくてもいいし。いつでも書けるし。あと、絵は自分の物に出来るから。だから欲しい物があっても、買わなくても満足するんです。色々と閉じ込めておけるというか。」なんだか、やっぱり中野さんが大好きだなと思う。最近、有名な美術館に作品が収蔵されたのに、今は恋がしたいから、写真はやめた。そして、彼女はスタイリストのアシスタントなのだとか。超ど真面目の中野さんがシティーボーイの成をしていた理由がようやくわかった。

人生ってそういうものでいい。恋だとか愛が一番でいい。広瀬さんも立派な写真家で、中野さんもだけど、ふたりして、写真の中でぐつぐつといい感じに煮込まれていたけど、潔く火を消した。

「なんていうか、すごく安心するんです。」携帯カバーの中に彼女と撮ったチェキの写真を見せてくれた。昨年の大晦日に過ごしたどこかの旅先での写真。中野さんにとって写真は見たことが無いものを撮る行為だったそうで、だけど絵は違うって。私は逆で、見たことが無い景色よりも、写真になにかを希望してるというか、祈りみたいなものを、きっと込めてる。普遍的なもので在ればあるほどに、重なった背景に胸が熱くなる。

面白かったな。すごく。それに、柳瀬さんの恋の話もだけど、なんだかいい日だった。兄から送られてきた黒豆の立派な枝豆を茹でて、枝豆だけを見て食べた。世界は愛や恋に包まれていたけど、周ちゃんとは昨日から喧嘩してる。好きになればなるほどに、相手に求める事が増える。自分の思い通りにしたいわけじゃないけど、より近づきたいと思えば思う程に、上手くいかなくなる。

ほくほくの枝豆。豆がとても大きかった。

ダルバート

カレー 15.10,2022

今夜はダルバート。周ちゃんの18番。白身魚とトマトのカレーとトマトのアチャール。私が知ってるダルバートの中で一番好きなダルバート。勿論、oldnepalのダルバートも、恵比寿のソルティーモードも美味しいけど、周ちゃんの作るダルバートはうちみたいで美味しい。妊娠してた時はこれでもかってくらい檸檬をかけて食べたけど、今日はほどほどにした。先週に左手の薬指を派手にやけどしてしまった。「手が痛いし薬を塗ったばかりだから檸檬をかけて。」とお願いしたけど、かけて貰ってる時に右手でかけれるじゃんと気づいた。

妊娠が終わってから、私達はなんだか急に夫婦らしくなったように思う。妊娠してる時はもう離婚したいと思うくらいに嫌になったけれど、私の体調もすっかり戻り普通の日々に戻ると、周ちゃんの事がもっと好きになっていた。前の好きとは少し違う。私と関係なくして、どうかあなたの人生が幸せであってねと願っていた筈だったのに、今はどうかこの日々の中からいなくならないでと想う。

朝、隣に梃子が寝ていて、その横に周ちゃんの顔が見えると、このままで、ここでもう十分だからと時間を止めたくなる。多分、梃子が最初に死ぬ。こないだ乳腺炎が見つかって、もしかしたらまた癌かもしれない。来月にセカンドオピニオンを受けるまで未だ手術を渋ってるけれど、乳腺炎が原因で思っているよりも早く死ぬかもしれない。周ちゃんだっていつか死ぬ。私だってそうだけど、私達がこうして一緒に同じベッドで過ごす時間が刻々と削られていくような気がして、胸が少し苦しくなる日が増えた。最近はもう写真は好きな仕事で、写真はなにかを表現するものじゃなくていいやと思うようになってきたけれど、それとは別に今を未来の私の為に記録したいと思うようになった。

望んでいたけど、望まなかった家族という形に、私達は日に日に形どられていく気がする。幸せだなとも感じるけれど、なんだか切なくて嫌になる。

10月13日

Journal 13.10,2022

のむらさんからメールがあった。シェフインレジデンスの件と、流産のこと。僕らは男だからよしみさんの気持ちがわからないけどって書いてあったけれど、男も女も同じだよとも思った。私だって、のむらさん側に数ヶ月前までいたのだもの。だって、私という女の身体はどうやら妊娠するらしいという事を頭では知ってはいたけど、それは知っていただけで、実際に本当にそうなんだか知らなかったから。妊娠して、妊娠が想像しているものと全く違うものであり、それが妊娠だという事らしくて、そこに命があるんだと知り、私も母という女の身体から産まれたんだと具体的に想像することが出来た。これは女の特権かもしれないけれど、男がいないと妊娠は出来ない。だからって、同性愛者なのむらさんがそれを経験出来ないわけでも無い気もした。だって私達自身がそうやって産まれたんだもの。もう記憶にはないけど、現実であり事実。だからというか、産まれてくることが、簡単そうですごく難しい事を妊娠という経験を経て知った事をメールで書いた。ここに生きているだけでどうやら奇跡らしいという事も。

“もう自分の中で整理できてるなら、やるだけですよ。” 夕方、渋谷だとか銀座を歩きながら映像の大場さんとLINEした。ここ数日、大場さんとLINEしてる。大場さんのパソコンが壊れたらしく、仕事を手伝うの手伝わないのって話の流れで私の仕事の話を相談した。なかなか厄介な仕事の話なのに、丁寧に長い時間をかけて聞いてくれた。そして、大場さんはクリエイティブに期待してないと言った。そこまで言い切れるなんて、とも思ったけれど、だけど、そうだよなとも思った。裏切られたと想う度に色々が疲れてしまうし、誰かを嫌いになることはすごく傷つく。大場さんの発する言葉は私と真逆だったけれど、まるで同じだ。そして、やっぱり大場さんという人が好きだなと思った。信じたい、そして傷つくのが嫌だからこそ、期待しないようにしてるんだろう。

仕事がすごく好きだし、一緒に仕事をしている人も好きになりたい。誰かだけが喜ぶことじゃなくて、きちんと強度のあるものを作り、作っているチームもしっかりと楽しむ。大場さんとの話で私が望むことがよくわかった。これから始まる新しい案件がある。自分の人生にとってきっと大きな経験のひとつになると思う。大切に丁寧にきちんと、想いを込めてしたいと改めて思った。今回の仕事を経て、大場さんと話して心からそうしようと誓った。

大場さんに相談できて良かったな。「だから、そんな仕事を請けるのが悪い。」と最後まで冷たい言葉をかけてくる大場さんの全てが大場さんの愛に聞こえる。

夕飯

Journal 11.10,2022

二週間ぶりの病院。あっという間だった。嘘みたいに時間が経った。休み明けだからか1時間待っても全く呼ばれる気配が無い。広い待合室でRiCEの最新号を読んだ。いつものように成田さんからのお手紙付き献本。届く度に少しワクワクする。もうずっと前にクリスマスは終えたのだけど、子供の頃みたいな感じ。自分宛てに届いたとっておきのギフトみたいに嬉しくなる。

よしもとばななさんのコラム。全身を撫でられる猫みたいな気分だった。つい2年前まで本を全く読まない私だったけど、ばななさんのうたかた/サンクチュアリだけは気に入って何度も読んだ。いつだったか年上のADの方に「もっとガツガツとレストランに出入りしてシェフと仲良くなったり、もっと流行りの食をチェックしたりした方がいいよ。」と説教された事があった。自分の不甲斐なさに心を少し痛めたりもしたけど、一番引っかかっていたのは、そういう事を望んでいなかったこと。料理を撮るのは好きだけど、自分の塩梅以上は要らない。求められたら仕事だから撮るけど、それで終わりでいい。頂点がいつも誰にとっても素晴らしいとは限らないし、私がそう言ってる。全然望んでない。それよりも、私の望む食卓やキッチンや料理がちゃんとある。ばななさんもコラムの中で、なんだか食に人並みに関心がなくて自分が情けなくなってしまう、だけど、自分には自分がいいと思う食べ方や食の好みがあるから仕方ない。それは変えられないものだからと書いてあった。そこまでいいレストランを予約もしないし、自分の食欲が満たされる程度の美味しさがあれば十分。寧ろそれでいいと。

本当のところ、みんなと同じ様に話題のレストランをチェックできない自分のことを今だって残念に思ってる。料理写真を撮ってるのに、全く世の食の流行りを知らない。普通ならば、料理写真家はグルメだったり、色々な美味しいレストランを知ってる。あそこのレストランが、あそこのシェフがみたいな話に仕事中になっても、見栄を張っても仕方がないし、堂々とちんぷんかんぷんだという顔をしてる。だから、なんだかすごく嬉しかった。それに今回のRiCEも、家での食卓。成田さんが考えてオファーしてくれた仕事。

術後の経過も良かった。口の悪い怖い先生じゃなくて、一番好きな優しい先生だった。「もし、赤ちゃん急ぐならば、次の生理から妊活初めて大丈夫ですよ。」先生は私の年齢に気を使って言ってくれてるようだった。だけど、きっと身体も順調って事なんだろうなと思った。とにかく再手術だとか、何か問題があるとか、そういう知らせじゃなくて良かった。ようやく呪縛が解けたような気分。もしくは、雪どけのような。

夕飯はなんだか男飯って感じだった。もう作るのも疲れていたから、周ちゃんがホルモンを買ってきてくれて、おひたしを作ってくれた。

夕飯
ご飯
大根と玉ねぎ、ニラの味噌汁
ホルモン炒め
撮影で作った失敗した春巻
小松菜のおひたし
納豆

晩酌

Journal 10.10,2022

今日は祝日。周ちゃんにお願いした。「また日曜日を始めたいの。」結婚する前からお願いしてる。日曜日。どうかお互いにとって自由な日でありたい。コーヒーは飲む?洗濯するね。庭の掃除しなきゃ。トイレットペーパーがもうすぐ切れるよ。夕飯はどうする?
結婚も家事も仕事も全部。私だってしない日。約束も勿論しない。空気みたいに揺られるだけ。お腹が空いたら食べて、疲れたら休む。森が見たければ森に行き、空を見たければ空だけを見る。本当は昨日が日曜日だけど、昨日は出来なかったから今日からまた始めようとなった。これは、二年前のカウンセリングで学んだことで、自分で自分をコントロールしない練習。私だけじゃなくて結婚も周ちゃんも、出来るだけ私達の何かを紡がないようにしたい。

周ちゃんは午後から福生に出かけて、私は自転車に乗って駅に行き、帰宅してお風呂に入りワインを飲みながら日記を書いた。カルディーのワイン、500円ちょっと。驚く程安い。夕飯は海老と白菜、卵白の餃子の餡が余っていたので、old nepalで買ったネパールの山椒を入れてお粥にした。こないだ食事をした後に奥さまがご飯と炊いたり、スープに入れても美味しいですよと教えてくれたのを思い出した。ネパールの山椒、ティムルは中国の花山椒とは違い、とても優しい。なんだかその優しい理由が少しわかる気がする。旦那さんのりょうさんが、ヒマラヤの景色の話をしてて、窓から見るヒマラヤの事を思い出した。どうして窓から見るとあんなに綺麗なんだろう。りょうさんの話はとても素敵な話だった。ぼんやりとあの日々の事を思い出す。空気が薄くて苦しかったな。だけど、空があんなに近いのは生きてて初めての体験だった。身体的にはかなりハードな旅だったし、もう二度と行くことはないかもしれないと思ったけれど、周ちゃんとならまた行ってみたい。結婚ノートにネパールでヒマラヤを見たいと書いた。

ひとり晩酌
白ワイン
海老と白菜、ティムルのお粥

夏に作った豆板醤と、那須のぴりっとちゃん(青唐辛子)の醤油漬け

水餃子

Journal 09.10,2022

昨晩帰りが遅かったから、今日は気持ちよく寝坊して、夕方からスーパーに買い出し。駅前がお祭で人がごった返す中、私は案の定、不機嫌となり、周ちゃんは祭りを興味深く動画で撮ってた。夕飯は周ちゃんが水餃子を作ってくれた。休日らしい休日。体調もずっといい。姉に話してからというもの、毎日が浮いてしまいそうなくらい楽になった。そして、周ちゃんにも話した。いつかの夜に、ベッドで。伝えたいことの3割くらいしか理解されていないようだったけれど、話したという現実は私を安心させてくれた。別にいい。だって痛みなんてものは共有できないのだから。肩を並べて聞いてくれただけでいい。生理ひとつにしたって説明出来ないのだし、子宮が痛いもPMSもだけど、その何十倍も辛いものだと伝えても、周ちゃんにとっては入り口も出口もさっぱりわからない場所の話だ。

水餃子を上げるタイミングを教えてという周ちゃんに「ぷっくりとなって、上がってくるからわかるよ。」と伝えた。ふたりでじっと鍋を覗き込んで、私は「いいね。いいねぇ〜。」と横から悶た声を出した。なんだか、ここ数日の私もふわっと茹で上がってきてる。身体の調子がいいのもそうだけど、心が脳が休んでいいと決めたお陰なのか、逆にどんどん元気になってる。楽しくて少し忙しいとさえ感じる。だから、「ゆっくり、ゆっくりね。」と声をかけてる。結局のところ、私を苦しめるのはいつだって私だ。どんなに最低な人や事に出会ってしまっても、私が大丈夫なら乗り切れたりする。

苦しいのは嫌だけど、苦しい事があると世界は変わる。躓いたり、何処かを痛めたりすると、生きようと必死になるからなのか、今が嫌だともがいて悲しんだりするからなのか、気づくと全然違う場所に落とされてたりする。小さい頃にオズの魔法使いのミュージカルを帝国劇場で見た。あの時代の母はミュージカルが流行っていたのか、よく子供向けの劇を見に行った。私のお気に入りはアニーだったけれど、季節が変わる度に綺麗なワンピースを着て色々な劇を見に行った。家がハリケーンで飛ばされてぽとりと何処かに落とされる。そこから色々がトリップしていくドロシー。西の魔女に東の魔女、そして北の魔女。銀色の靴をかかとで三回打つ度に世界が変わっていく。むちゃくちゃな話だなとも思うけれど、誰かの人生にも似たような事が起きているのかもしれないとも思う。毎日が毎日のままに続く人生の人なんてない。誰だって想像しないような人生を生きてる。驚くような出会いを重ねて今日がある。

「周ちゃんは、どうして私だったの?」いつものように梃子の散歩で聞いた。私の友人を紹介する度に聞いてる気がする。「ミサちゃんとかユウチャンみたいな子に出会ってたら、結婚した?」周ちゃんが私を選ぶ理由が全くわからない。どうして学芸員するような人が写真家としても有名でも無いような私と、たしかに面倒臭いくらいに拘りはあるけど、それだって完全に独自な何かだし、性格だって正直いい方じゃない。寧ろ、ワガママで直ぐに怒るし、大人な振る舞いだって出来なければ、いい友人達のお陰でなんとか人生を楽しめたり、色々を上手に出来るような気持ちになったりしてるくらい。仕事だってわかってるのに上手に出来ない。真剣になりすぎて誰かを傷つける事も沢山あるし、怖がりすぎて失敗ばかりする。周ちゃんの事にしたって、何度も何度も傷つけてしまうし、傷つけてしまった事をいつも後悔してる。

「よしみさ、もうこの話、1万回くらいしてるよ。」「今日の件について云うならば3回だよ。」ねえ、私の事を好きと言って。私のいいところを聞かせて。そんな事は全く聞いてない。本当に周ちゃんが私と一緒にいる意味がわからなくないから聞いてる。だって、私の友達はすごく素敵だし、私の友達以外だって世の中には、きっと周ちゃんの周りには素敵な人が沢山いるはずだ。「どんな事があっても、自分で考えていこうとするところがいいってもう何度も伝えてるよね。」いつもと同じ答えを周ちゃんは言ったけど、そんなものは誰だってそうだと思った。どんな人でも、今日より明日。明日よりその次が幸せでありたいと思うから生きてる。私は周ちゃんの返答に未来みたいなものを求めてるんだろうか。周ちゃんの答えを聞く度にがっかりしてる。

今日はいい日だった。久しぶりに少しお酒を飲んだし、少し酔っ払って気持ちよく寝た。そして、結局のところ、周ちゃんは誰だって良かったんじゃないかとも思う。私もそうだったから。ただ、安全に安心して暮らしたかった。

パンケーキ

朝食 06.10,2022

今週も周ちゃんは忙しい。先週から始まった展示のプレス対応で朝は早く出かけて、夜も遅い。お陰で私はひとりの時間を満喫してる。

寒い午後、ネットで北海道行の航空券とホテルを探した。雨はずっと止まない。リビングがあまりに寒くて屋根裏から引っ張りだしてきたホットカーペットが温かくて気持ちがいい。

一昨日の夜に周ちゃんに話した。「来週の西表島はもう無理だし、西表島の秘祭に行けないならアイヌに行きたいの。」私から出た言葉に拍子抜けした顔をしてる周ちゃん。話を進めるうちに、だんだんと瞳が大きくなってゆくのがわかった。リゾート地とか、リゾートホテルが厭なこと。バックパッカーの旅みたいに、土地を歩いたり、ただ景色を見たり、その土地の人が食べるご飯を食べたい。旅っていうより、暮らすみたいにそこに居たい。きっと、昨日からの無理はしないと決めたことも手伝ってる。今は頑張りたくない。私のままでいたい。だから、どうか好きな場所で、好きなタイミングで息を吸ったり吐いたり、歩いたり休んだり、ただただ腰を据えて眠りにつきたい。私の小さな願いを伝えた。現地で別行動でもいいからとも付け加えた。周ちゃんは貧乏性だから、絞りだすくらいに全てを欲しがる。私は無駄遣いが得意だから、欲しい分以外のものは捨てても要らない。だから、きっとそれがいい。

本当のことは言わないで「私はゆっくりしたいから。」と言ったら、頷いてた。

トマトのチキン煮込み

洋食 04.10,2022

今日は新しい絨毯が届いた。人生初のビンテージ絨毯。たまたま週末に後藤さんと新宿のNewmanでポップアップしている所を通り過ぎて出会った。「よしみ、こういうのは出会いだからね。」店員さんが奥から持ってきてくれた大きな絨毯。2m×3m。うちのリビングに入るかな。次の日に周ちゃんともう一度見に行って何時間も迷って購入を決めた。なんだか夢みたい。椅子もテーブルも、一生ものだからとお金をかけてきたけど、絨毯はどうしても踏み入ることが出来なかった世界。なんだか、もう人生の半分くらい願いが叶ってしまったような気分。

昨日にスイッチをパチンと切ってからというもの、ぐっと色々が楽になった。体調は少しお腹が痛いくらいで、健康そのもの。午後に少し映像の仕事をしたけど、思った以上にボリュームがあって体調が悪くなった。だから言わんこっちゃない。だけど、楽しいから大丈夫な気がしてる。

夕方に編集の浅井さんからこないだのサッポロビールの仕事の御礼のメッセージが入った。今度、こっちに遊びにきたいとのこと、それから少し前に聞いたプロジェクトの話、良かったら写真を使わせて貰えないか?っていう相談だった。一つ返事でメールを返した。すごく嬉しい。

今年は本当に目まぐるしく色々が変化してる。再婚して、田舎暮らしを初めて、車の免許を取り、妊娠、そして流産。自分の人生じゃないみたい。1年前の今日の私が聞いたら倒れると思う。周ちゃんと出会ってから未だ1年経ってない。もし、周ちゃんの企画した郷土料理の展示に行かなかったら、私達はデートすらしてなかったかもしれない。周ちゃんはイケメンでシングルだったし、東京のイケイケな美術館のキュレーターに猛プッシュを受けていたし、きっと、私とデートするのも忘れてただろう。私だって同じく。あの頃、よくデートに誘ってくれた30代前半の背の低い男と付き合っていたかもしれないし、ちょっと気になってた東京から田舎に移り住んだ建築の仕事をしてる人とデートしてただろう。多分、きっと。

周ちゃんに出会う前日、渋谷でバッタリ会った浅井さんに電動歯ブラシを貰った。そして、浅井さんがよく出入りしてるデザイン事務所のメンズを紹介してくださいね!とお願いしてバイバイした。人生って本当に不思議だなと思う。大体が思い通りにいかないけど、思い通りになんてしない方がいいのかもしれない。どうにかなるから大丈夫。姉の言葉の通りだ。リハビリ1日目にして、既にすごい回復を感じているし、頑張るのをやめたら楽しい。

夕飯
チキンのトマト煮込み
カブのクリームスープ
ポテトフライ
大根と柿のなます
納豆

栗ご飯

和食 03.10,2022

今日から月曜日。手術をしてから明日で1週間。色々を始めるには丁度いい。先週もその前も、これからの事を色々と考えていたけど、あまり上手くは進めなかったから、今日がきっとスタートダッシュの日だ。身体もどんどん回復して、もう殆ど100%に近いくらい。お酒も美味しく飲めるようになった。だけど、どうしてだろう。なんだかいつものように頑張れない。気持ちが焦るばっかりで、色々がついてきてない。例えば、心とか。

“電話してもいい?” L.Aは日曜日の夜。姉からLINEが入った。”いいよ。5分後に連絡するね。” 仕事のメールを送ってから電話をかけると、いつものようにご機嫌な夜を過ごしてるようだった。多分、少し呑んでるんだろう。年末はアメリカで皆で過ごそうと話していたけど、L.A行のチケットが驚くほど高い事や、最近L.Aでは朝食にコーヒーを飲みにいくだけで20$はするから大変だとか、コロナの影響で起きているおかしな状況について話をした。それから、私の身体の話や、周ちゃんに相談しようかずっと迷っている事を話した。

「あのさ、考えない。いいのいいの、今は考えないでいいんだから。10ヶ月で人間を作り上げようと猛スピードで変化し始めていたものが、ピタっと止まってしまったのだから、身体もホルモンも脳も心も、今までのようにコネクトしなくなってしまうのは仕方ないことだよ。普通に戻そうと頭ではわかってはいても、振り回された身体やホルモンは必死なんだから、。今はとにかく考えない。考えて、頑張ってもなにも変わらないから。やっても意味ない。一生のうちの数週間、数ヶ月だけだよ。大丈夫。元に戻る日が来るから。」

最近、SNSを見るだけで落ち込んでしまうことも話した。こないだ、韓国人の女性作家の本にも書いてあった。人の幸せを見て、自分の幸せを量るのはおかしいって。旅先の最高シチュエーションにいる自撮り写真をする人、何処かの有名なレストランの食事を美食家のような評価をする人、モデルみたいに自分の服装についてレビューする人、などなど。「私って、幸せでしょ。」と言ってるように見える投稿。韓国人作家の言うように、他人の幸せを見て、私、何が幸せなんだろう。そして、どうして、自分がまるで足りない存在かのように感じてしまうんだろう。インスタが辛いと思うようになってしまった。

「やめなやめなよ。インスタなんて。あんなもん見るもんじゃないよ。自分と比べたって何の意味も無いんだから。それから、周ちゃんに甘えていいんじゃない?少しくらい甘えさせてもらいないよ。」自立してたい、頑張らなきゃ。仕事早く復帰しなきゃ。もっともっと、あれもこれも。だって一人で乗り越えてきたから。大丈夫、。呪文のように言い聞かせてきた言葉は私をどんどん苦しめていったのかもしれない。

姉が言うように、今の私は完全にコネクトしてない。仕事は普通に出来るけど、それ以上の事が多分出来ないんだと思う。作品を作らなきゃとか、新しい仕事をする為のポートフォリオを作り直すとか、今持っている以上の物、シャッターを押す以外のことがきっと出来ない。それに、どういうわけか自分が駄目な人間かのように感じてしまう。理由は全くわからないのだけど、そう感じる。好きなこともやりたいことも知ってるのに、今以上を求めてしまうし、今以上にならないと駄目だと信じてる。恐ろしいくらいに。

「あっちゃんに言われたこと紙に書いて張っておくよ。」「OK、風通しのいいところにしてね。水場はやめてくださいね。」「わかりました。先生。」冗談を言い合って電話を切った。妊娠中にもし流産したらやろうと書き留めていたメモ。あの時は、流産が怖かったけれど、いきなりやってきた妊娠が続くのも怖かった。だから、どっちに転んでもいいようにと、未来にやることリストを書いたのに、今はそれも出来ない。だけど、なんだかすごくほっとした。電話を切って、明るい午後の部屋の中で少しだけ涙が出そうになった。私、気づかなかったけど、辛かったんだ。

今日からやること。家の模様替え。ぼーっとする。一人になる。何もしない。読書。何もしない。散歩する。頑張ったりしない。SNSは見ない。考えない。旅に出る。庭の掃除。写真は撮ってもいい。友達とのお喋りもいい。とにかく楽しいことだけ。何もしない。以上だそう。コピー用紙に書いて冷蔵庫に貼った。ここなら明るいし、風通しもいいしね。週末になったら周ちゃんに話そう。わかって貰えるかな。どう説明したらいいんだろう。人生をサボってると思われないかな。

9月25日

我が家の味 25.9,2022

昨日までの台風が嘘みたいに晴れた。一昨日に見た夢はイタリアンレストランで家族だとか友人とわいわい食事をしている夢。自宅での安静を言い渡されてから1週間以上が経過。そして台風が重なり、心身共にストレスが爆発しそうな私にとって、それが例え夢だとしても最高な気分で、あの夢以降、家族や友人と過ごす時間が私には栄養素の一つのように大事なんだという事がわかったし、もう今にも息が耐えてしまいそうなくらいに苦しい事もしっかりと理解した。今週末は数カ月ぶりに後藤さんに会える。その次の週はユウチャンとミサちゃんに会える。

久しぶりの遠出は裏山の向こうにある湖へピクニック。「あれ?今日は仕事じゃないの?」「え?今日は日曜日だよ?」完全に曜日感覚を失ってる。正確にはきっと幾つか間の日がぽこぽこと抜け落ちてしまってるんじゃないかと思う。「じゃあさ、ピクニック行かない?テコも一緒に。本も持って!」早速冷蔵庫にあるもので簡単なお弁当を作った。余った食材で料理をするだけでも楽しくて仕方が無い。お弁当、よく作ったな。20代に付き合っていたBFは司法浪人で私達のデートはいつも図書館。あちこちの図書館へお弁当を持って行った思い出がある。時々、息抜きに彼の車で海やラブホへ行った。だけど、何一つ不満は無かった。BFが勉強している間、私は隣で気に入った料理本を借りてきてレシピをノートにひたすら書き写してた。お弁当の時間は特に楽しみでお腹をペコペコにしてから食べる。それだけのデート。楽しかったな。そして、元夫にも毎日のようにお弁当を作った。ついでに私のも作って、一緒に食べたりした。「今日のお弁当は何?」って聞かれるのが嬉しかったのを覚えてる。たまにオムライスなんかを作ったけど、カレーピラフとか餃子弁当は特に喜ばれた。

お弁当って何でこんなに楽しいんだろう。大した物を作ってるわけじゃないのに、お弁当箱に詰めただけで楽しくなる。20代の時に姉に貰ったアメリカっぽいピンクの象の弁当箱、工房アイザワのランチボックス。こちらも10年選手。ゴムパッキンを一度も変える事なく使い続けてる。お気に入りの弁当箱達。周ちゃんは勿論そんな事は知らない。「好きなお弁当のおかずって何?」「えーなにかな。うちの母さんのは野菜炒めだったからな。腹持ちがいい弁当だったよ。ご飯の上に海苔が乗ってて、その上に野菜炒め、そしてまたご飯と海苔。いつもだよ。」いつもよりも嬉しそうに食べる周ちゃん。何だか私まで嬉しくなった。お弁当ってやっぱり楽しい。

弁当
ベトナム風揚げ春巻き
マサラの南瓜サラダ
ウィンナー
厚焼き玉子
蒟蒻の炒り煮
牛蒡の金平
梅干しのおにぎりと塩むすび
温かい日本茶

餃子

中華 18.9,2022

台風で今日はずっと変な天気だった。この週末、キャンプとか、BBQとか、イベントとか、きっとみんな色々と予定してただろうに。楽しい日が雨になってしまうと考えるとなんだか可愛そうで仕方が無かった。

私は今日も一日パジャマ。髪もボサボサ。ノートパソコンと本とスマホ。退屈な一日をどうにかこうにか嘘でもいいから満たしてくれる物たちを持ってソファーに寝転がった。今夜は餃子。豚とキャベツの餃子と、海老と豚の餃子。栗原はるみさんのレシピで餡に紹興酒をたっぷりと入れる。食べる度にふわっと薫る紹興酒。最高だったな。

ネパールカレー

カレー 17.9,2022


今夜はゆうちゃんとみさちゃん、みさちゃんの彼と周ちゃんの4人でオールドネパールで食事をする約束をしてたのに、私の体調不良が理由で日程を変更してもらった。何週間も前から楽しみにしてたのに。周ちゃんは本まで買って予習してた。初めてのデート以来のオールドネパール。

友達に会いたい。ここ一ヶ月、ろくに会ってない。話し相手はずっと梃子だし、もう枯れてしまいそう。10月になったらきっと大丈夫。体調もきっと良くなる。

今夜は周ちゃんがオールドネパールの本のレシピにあるカレーを作ってくれた。



アボガドトースト

お気に入り, 朝食 15.9,2022

「朝は何がいい?」私がキッチンに立てなくなってから三日目。シェフは周ちゃんとなった。病院からは絶対安静にとしか言われてないけれど、姉からは「料理なんてもってのほか!」と怒られた。「トーストして、アボガドのマッシュをのせて、上からカボスを絞りたいな。」「バターは?」「要らない。」「わかったよ。」

私のいつものアボガドトーストは、アボガドはマヨネーズ多めで、檸檬をさっと絞る。周ちゃんシェフはマヨネーズ少なめ。なるほどね。では、カボスは多めにかけてみよう。この組み合わせが想像以上に美味しくて唸りながらペロッと平らげた。

日々の中で時々、驚く程に美味しいレシピを見つけてしまうことがある。今日はそんなレシピに出会えた日。万歳。

夕飯

夕飯 09.9,2022

昨日の撮影での事を成田さんと互いにLINEした。こんなに嬉しくて楽しかったのは私ひとりだけなのかと思っていたけど、なんだ、成田さんもそうだったの!と、さらに嬉しさは膨らんでこみ上げてくるみたいだった。一日たった今日もまだ楽しい気分が続いてる。写真、やっぱりやっていて良かった。とにかく今日は嬉しかった。夕飯は昨日、ワタルさんに貰った野菜を使った。久しぶりに沢山料理をした気がする。

夕飯
海老と豚と香菜のワンタン
マッシュルームと今夏に作ったドライトマトのアヒージョ
檸檬とヤクナムのトウモロコシ炒めご飯
パプリカのサラダ
オクラのボイルとマヨ
納豆
庭の茄子の麹和え
トマトと生姜と茸の味噌汁



9月8日

Journal 08.9,2022

朝に少し吐き気がして、昼になれば治る。そんな数日が続いてる。今朝も朝食はあまり食べられなかった。朝から雨の予報だけど、東京に来れば来るほどに空が明るくなっていった。なんだか、今日はいい日になりそう。今日の編集は成田さん。映像は大場さん。大好きな二人と、ライターは柿本さんとういう女性だった。柿本さんの事は事前に成田さんからとても素敵な年上の女性の方ですと聞いていたけど、あっという間に好きになった。話し方も仕事の進め方も、とても心地がいい大人の女性。

「読者さんは、これ、出来ますか?」料理家のワタルさんが料理する手を止めて言った。ワタルさんがそう言う度に嬉しくなった。少し前のレシピ撮影の現場で配合がおかしい料理があった。そこそこ大きなプロジェクトだったから、とにかく現場はかつかつ。料理家も編集者も望んでしたわけじゃない事はわかってるけど、撮影は中断されなかった。レタッチでどうにかごまかされる料理、この料理は誰に届くんだろうか。あの日の事を思い出した。とても虚しかった日のこと。

ワタルさんの質問に対して丁寧に答えるライターの柿本さんや共に意見を重ねる編集の成田さん。側にいる大場さんも映像を撮りながら輪の中で話してる。平和や安全と同じで色々は当たり前なようで当たり前じゃない。小さくて見過ごしてしまいそうな優しさを、皆で拾い上げていくみたいだった。そして、それは綺麗に前へ前へと有機的に回転していくように見えた。それぞれがそれぞれの役割を全うしていくみたいに。撮影を始めて数時間で今日の現場がとても好きになって、当たり前の大切な事をきちんと伝えようとするワタルさんの料理をしっかりと私も撮りたいと思った。そして沢山の人に広まってほしい。この料理を作った人もそれを食べた人にも。

「自分の所に来た野菜がどう作られてるのか知りたかったんです。それを知れば知るほどに農家さんがどんなに大変な思いをして作っているのか。草むしりを手伝うだけでも色々な事を考えさせられるんですよ。」ワタルさんの素材への知識と圧倒的な愛情の深さ。撮影中の読者へのこともそうだけど、全て同じ。いつだって私達はひとりじゃない。料理を届ける相手もいれば、料理を提供する為に素材を作ってくれる生産者もいる。沢山の人の中に料理人としての自分が存在している事。日本各地、様々な場所を訪ねて、実際に畑に出て、農家さんの仕事を手伝う。そういう事を繰り返していくうちに自分の料理がようやく見えてきたとも言ってた。キッチンで立ってるだけじゃ見えない。きっとそんな感じだったのかな。少しわかる気がした。ベランダでハーブを取ってきては絵に書いたような料理が出来上がっていく。なんて綺麗なんだろう。シャッターを切りながら、皆の歓声を何度も聞いた。作られたばかりのとても美しい料理。そして、それは食べればなくなり、胃袋を満たし全身をじんわりと温めてゆく。やっぱり料理って楽しい。本当に最高なこと。

挨拶を交わすのを忘れちゃうくらい軽快に話し始めるカナちゃん。彼女も若きエース、料理家。今日の被写体のもうひとり。事前に頂いてた今日の献立を見る限り、大体、こんな感じかなと想像が出来てたけど、その中身は初体験のものばかり。料理が好きだけど、料理ってやっぱり楽しい。美味しいのもっともっと根源。生きた食材を自分の手で調理する時のわくわくした気持ちや、それがどんどん料理として一つの形になっていく時の胸の高まりだとか、側で見ていて色々な感情が沸々と湧き上がるようだった。それに、彼女がお金を稼ぐことよりも、何処まで生活水準を下げて自分の好きなことが出来るかという事に挑戦した時期があるという話も面白かった。それは貧しくなることを意味してるわけじゃなくて、美味しいものが食べられなくなることでもなくて、とても楽しかったと話していた。郊外に引っ越した理由もその一つだとか。美味しいごはんとワイン、そして仲間がいればお金がなくても楽しめるし、自分が望むものをきちんと得れたのだそう。笑顔で話すカナちゃん。ワタルさんよりもさらに若い。

一日があっという間に終わり、十分過ぎるほどに今日が満たされているのに、成田さんとも全然話していないし、大場さんや、柿本さんとも色々話したかったし、若きエースの二人とも話したい。まだ食べたい。美味しい食後の別腹のデザートみたいに、あの場所でずっと満たされていたかった。

朝食

朝食 07.9,2022

昨日撮影で貰ったおにぎりを朝ご飯に蒸し器で炊いた。ダイニングテーブルには数日前にペイントした名刺が乾かしてあるからここ数日は和室のちゃぶ台で食事をしてる。ちゃぶ台でおにぎり。なんだか特別に美味しい気がして、何度も目を見合わせて美味しいねと言った。私の体調の悪さが少し落ち着いてるからか、今日は平穏。

9月4日

Journal 04.9,2022

今日は昼からしみるさんといまむが遊びに来てくれた。なんだか世田谷の時みたいで懐かしい。みんなで集まって、食卓を囲んだり、お喋りしたり、楽しかったな。いつしかいまむは彼女と別れて、しみるさんは結婚して、もうすぐ子供が産まれる。埼玉の暮らしで失ったものと言えば、友人達との時間だけど、みんなにそれぞれの時間が流れてもまたこうして他愛も無いお喋りが出来るだけで幸せな気もした。

いまむは結婚のお祝いにとバーミュキュラのフライパンをくれた。私と周ちゃんからは、誕生日プレゼントに先日の那須出張で見つけた周ちゃん曰く超レアらしいお面をあげた。那須で見つけた時に、Googleで検索してもその実態が明確にわからない事に「やっぱりGoogleには皆が知ってる事しかないよね。」と言い、学芸員としての血が騒いだのか子供みたいに興奮していた周ちゃん。お面はニンマリととした顔で笑っていて、なんだかいい顔だった。それは、春の個展が終わってから元気が出ないと嘆いていたいまむにぴったりな気がしたし、超レアなら尚更、周ちゃんも酷く興奮しているし、広い民芸店の一角で見つけた事も、なんだか宝探しみたいで良かった。しみるさんには犬の張り子を先日の御礼と、安産を願って渡した。犬には昔から安産祈願や家庭円満の意味があるらしい。

それから、4人で食卓に座って私の新しい名刺のペインティングをした。前回の名刺のテーマは地味。誰にも気づかれないような、誰だかわからなくなってしまような名刺。さらっとした名刺にして欲しいとお願いして作って貰った。フォントはAesopのロゴデザインでも使われているもの。色は何色かわからない暖色にしてもらった。あの時は離婚して直ぐの頃で、元夫の名字をもう使いたくないと改名に迫られて、友人達の公募により結局一番シンプルだったyoshimiに決めた。好み的に言えば平仮名、そして明朝が良かったけれど、少しでも地味にしたかったから、英語の方にした。とにかく1ミリだって傷つきたくなかった頃のこと。フリーランスで働いているのに、どうか、私の事を構わないで下さい。そんな想いが込められていた。今となっては、過去の私らしい名刺。

新しい名刺は、東京の住所の記載を抜いたものを作らなければならなかった理由があって作ったけど、最近の色々も手伝って、もっと私らしい感じの名刺にしようと思った。明るくて楽しい感じの。少し前の苦い仕事の経験を考えても、ああいう写真は出来れば撮りたくない。誰かみたいになる必要もないし、有名とか偉くならなくてもいい。髪の毛を派手な色にしたり、フォトグラファーですからみたいな感じも、もう見るのだって疲れた。きっとそういうのが大事な時代があったんだと思う。だけど、もう変わってきてるのだから、東京を抜け出したように、さっさとドロップアウトしようと思った。

郊外の田舎暮らしを始めて、驚く事ばかりだったけれど、なにより胸に響いたのは野菜のこと。私が今まで食べていたのは、一体なんだったんだろう?採れたての野菜は同じ物とは思えないくらいに美味しかったし、全部が100円。東京で買っていた野菜と殆ど値段は変わらないのに味は格別に違う。世田谷で時々買っていた有機野菜はカレーも作れないような量で千円くらい。そして、本当に美味しいかどうかはよくわからなかった。ただ、安全だよっていう言葉だけを信じて買っていたように思う。地産地消やフードマイレージ。今までだって出来るだけそうしようと心がけていたけど、ようやくその意味がわかった。だって、美味しくて、楽しい。日に日に赤くなるトマトも、早朝に梃子の散歩に出かけて畑仕事をしてるおじちゃんと挨拶を交わすのも楽しい。畑を覗いては次にやってくる野菜を待ち遠しく思うのも楽しい。地産地消でもフードマイレージでも、試みっていうのは、自分にも還元されることを意味していたんだなって。誰かの為、何かの為にやることは素晴らしいことだけれど、その支点には自分がいないと楽しくない。だって、私が生きている世界なのだから。

「食卓みたいな感じが良くて。」私の意図を汲んでデザインしてくれたのは今回もしみるさん。表面は箔押しで色なしで名前を入れて貰った。庭の茄子や近所で採れた玉ねぎ、それからスーパーで買ったビーツなどでベジタブルダイを作って、箔押し部分にペイント。ペイントで名前が表現できるようになってる。ペインティングも食卓を囲むようにわいわいとやりたかったから、しみるさん、いまむ、周ちゃんの四人で描いた。それぞれが好きなように自由に。いまむは「俺は描かないよ。」と言ってたけど、みんなが楽しんで描いている様子を見てやり始めた。「楽しいでしょ。」と聞くと、「だって、よしみちゃんに失敗したら怒られると思ったんだもん。」と言い、何枚も何枚も描いていた。確かに私はいまむに直ぐに怒るけれど、絵くらいで怒るだろうか。いや、怒るかもしれない。いまむは絵描きだからか、なんだかすごく情緒的な感じのものを描いてて、これは人に渡してもよいものかと思う程だったけど、まぁいいかとなった。

みんなで楽しみたい。誰か一人が、誰かが失敗して、誰かだけが。そういうのは好きじゃないし、やりたくない。食卓と同じ。楽しくお喋りしながら、お腹を一緒に満たそう。そういう仕事がしたいなと思う。昼からしくしくとお腹が痛んだけど、いい日だった。やっぱり友達は大切だし、彼らとは何だかんだと10年くらい仲良くやってる。いつもありがとう。周ちゃんもありがとう。

カレー

カレー 01.9,2022

今日も朝から体調がいい。午後、書道家に転身した山田さんが遊びに来た。3週間後にパリで展示があるらしく、パリのまゆみちゃんの事をLINEのビデオ通話で紹介した。「ハロ〜ちゃみちゃん。」「ちゃみ〜!」半年とか1年ぶりのまゆみちゃんはすっかりパリの女。小花柄の黒いワンピースに眉毛よりずっと短い前髪。ビデオに映る白い壁の部屋はヨーロッパそのもので、いつもの様に子供っぽく笑うまゆみちゃんじゃないし、簡単に結いた髪もその首元もやっぱりパリ。文通で色々は聞いてるけど、私が知っているよりもずっと素敵な恋をしてるんだろう。山田さん交えて色々な話をした。それから、私達の愛称が互いにちゃみだって事も後に付け加えて説明した。ややこしい話だけど、愛称でもあり、lovelyとかHi!!みたいな挨拶にも使う。何かに由来してる訳でもないし、全く謎めいた言葉だけど、ここ何年も二人とも気に入っているし、やめる気もない。「へぇ。面白いですねぇ。」真面目な顔をして山田さんが言った。

山田さんは一緒に仕事をしていた時とは別人みたい。昔、大学生バイトでIDEEで働いてた時に10くらい年が離れた白井ちゃんの事を思い出した。いつも声が小さくて、「ねぇ、よしみ。どうしよう。もう嫌だ〜。」って仕事中に半べそかいてたのに、バイトをやめて数カ月後にパリで会った時はまるで別人だった。「白井ちゃん、なんだか人が変わったみたいだね!」「私ね、なんでだか、パリにいると生き生きするの。」パリのあちこちのチーズ屋さんに連れていってくれて、流暢に楽しそうに話すフランス語。見てるこっちまでわくわくした。そして、二十歳そこそこの私にチーズとバターというのはただの添え物ではなくて、メインディッシュになることも教えてくれた。

パリのまゆみちゃんとバイバイして、夕立が終わり夜になった所で山田さんも帰宅。時間は18時過ぎ。急いで夕飯の支度を始めた。山田さんのお母さんが育てたとゆうジャガイモを貰ったので昼に火にかけておいたチキンスープに入れてカレーを作って、ゴーヤのサラダ、茹でておいたビーツをスライスしてビネガーをかけた。

「今日ね、山田さんってゆうお姉さんが来たんだけど、書道家に転身してさ。」「へぇ。下の名前は?」「山田しおりさん。」「これ?」携帯でささっと検索して画面を見せてくれた。「素敵だねぇ。」周ちゃんは学芸員だからか、山田さんの作品にとても関心を持ってるようだった。「家に一枚欲しいね。」「そうだね。すごくいいね。」「ヨーロッパでうける理由がわかるよね。」「うん。炭の濃淡がいい。」山田さんはこのままヨーロッパでの活動が盛んになって、白井ちゃんや、まゆみちゃんみたいにパリに行ってしまう気がした。そしたら、まゆみちゃんに会いに行くときに山田さんにも会って、三人でお洒落なレストランでワインでも飲みたいなと思った。

朝カレー

カレー 21.8,2022

「昨晩、夜中に “楽しいね〜。” って寝言を言いながら笑っていたよ。」朝に周ちゃんに聞いた。よっぽど合宿が楽しかったのか。だけど、朝食にカレーを食べて二度寝をした時は悪夢で目を覚ました。やっぱりと思ってしばらく扇風機の前でぼーっと風に当たりながら考えた。私達の家はマンションの一室になっていて、今と同じ田舎暮らし。上の階に先輩が住んでいて、ある日、先輩が勝手に大家さんと一緒に私達の部屋の一室をリノベーションして住んでいた。その先輩は若い時によく遊びに誘ってくれて、とても良くしてくれる方で、歳が離れていた大人だったし、いつでも笑顔で応えていたように思う。嫌なことなんて殆ど無かったけど、一度だけBFと別れた時にメールで怒られた事をきっかけに距離を置くようになった。正確には無視されるようになったのかもしれない。暑い夏の日だった。太陽がいつものようにギラギラと夏を始めた朝に長文のメールが何度も携帯を鳴らして、胸がドキドキして怖くてよくわからなかったけど謝罪した。先輩は勘違いしているようだったけど、弁明しようとは思わなかった。私達ふたりの事だから。夢の中の私が、”ああ、もう嫌だ!” と、どうにも出来ない夢の中の現実にぎゅうっと締め付けられたところで目が覚めた。

下らない夢だった。それに、大して怖い夢でもない。だけど、そういう気持ちを思い出した。大きな圧力に押し付けられそうになる感じ。嫌だという気持ちはしっかりとあるのに、それを吐き出せないとき。私は違うと思っているし、それは良くないとわかってるのに、私が私を押さえつける。すごく嫌なのに。絶対に嫌なのに。これはきっと私の心の癖なんだと思う。完全に離婚のトラウマからやってきてる。

少しして起きた周ちゃんに、さっきの夢の話しだとか、昨日話した山若くんとの事を聞いて貰った。「俺は、よしみが作っていたの、凄く良かったと思ったよ。」私の作ったものが変更になったことを気にしてたんだろうか。山若くんは編集長だから意図に従わないと。私の想いに気づいたんだろうか。「今の面白い話しだね。」周ちゃんは嬉しい時に私の頭を撫でる。あまり綺麗じゃないと思う話を、私は別に綺麗ばかりじゃなくていいやと思って話しをすると、喜んでくれる。「行動パターンだよね?」「まぁ、その一つだよね。」「いいとか悪いとかじゃなくて。心理学勉強してるっていうのもあると思うんだけど、なんだか客観的に見ちゃって。」「うん。そうだね。」「嫌な奴だよね。私。」「いや、すごく面白い話しだったよ。悪い話しはしてないよ。話してくれて有難う。」

周ちゃんが出かけてからも、しばらくずっと胸がつかえていた。外の空気が吸いたくて駅前の本屋に欲しかった心理学の本を買いに出かけた。ついでに薬局に行ったり、スーパーで魚を買ったり。だけど、頭はずっと夢や山若くんとの話を考え続けた。このわだかまりは一体何なんだろう。山若くんのアドバイス。それが私の景色と異なってる事をありありと感じてる。けど、それは悪いことじゃない。それに、私が見たくない景色の話が面白くなかったとしても、それが凄いみたいに話されても、それをやってみたらとか、彼女や有名な写真家まで例えにだして話されても嫌なものは嫌だ。ただ、山若くんが悪いって事とは全然違う。

帰宅してからフミエさんにメールを入れた。”フミエさん。今回の作品って皆んなのものだけど、フミエさんらしさが出ているかどうかって、考えてもいいと思っています。編集意図に沿ってもいいし、沿わなくてもいいし。私自身、考えるべきだと思ったので、気になったのでお伝えしました。もし、必要があれば、私の写真を使って下さい。” “よしみちゃん。ありがとう。私も実は今日考えてたの。”

自分らしさってなんだろうと考えたり、誰かに合わせなきゃと自分を隠してみたり、あっちに行ったりこっちにきたりと忙しく考えて嫌になるときがある。別に好きでこんな風に考えてるわけじゃないのに、こんな事を感じてしまう自分が悪いような気さえしてくる。私は写真を撮るのだから、ああでなきゃ。こうでなきゃ。みたいな余計な事も勝手に色々を手伝ってきたりして。だけど、違う気がした。大事なことは、誰が、自分がじゃなくて、みんなで一緒に対話できるような場所があるかどうか。食卓と一緒。目の前にあるご馳走を分け合って食べる。勝手に檸檬をかけたり、好きだからと独り占めしたり、食べ方が間違ってると指摘したり、そんな事をしたら誰かは気持ちがいいかもしれないけど、誰かは楽しくなくなる。美味しいねって、それぞれがそれぞれの感覚で心やお腹を満たせれば、一緒に幸せになれる。

ここ最近、もう日記はやめようかなって思ってたけど、やっぱり書く事にした。私が嫌なことを考えてしまっても、今朝みたいに周ちゃんがいいよって言ってくれて嬉しかったし、山若くんが、夕飯を撮っていたら「イートニューミーやっとる!」と叫んでて、なんだか嬉しかった。合宿、楽しかった。色々な事を考えた。

西瓜

朝食 20.8,2022

昨日の夜が遅かったからすっかり寝坊。7時くらいにみんなで裏山に散歩へ行った。もうすぐ夏も終わりなのかな。山の中は少しひんやりしてた。帰宅して山若くんは温泉に行き、フミエさんと周ちゃんと私は山若くんが買ってきてくれた西瓜を食べた。周ちゃんは私が一つを食べ終わる前に3つくらい食べていたけど西瓜が好きだってことを初めて知った。それから、フミエさんは周ちゃんに聞きたかったという日本の豆文化について教えて貰い、私は書斎で写真の整理をした。

「お腹空いたな。何か食べる?ご飯かパンかひやむぎか。」帰ってきた山若くんに聞くと「ご飯!オランダ煮できる?」とのこと。昨晩も作ったオランダ煮。山若くんがよくお婆ちゃんに作って貰ったという石川県の郷土料理。昨晩に初めて作ったけど、揚げ浸しと似ている甘辛い味付け。こないだ那須で買ってきた米を研ぎ水に浸して、夕飯の残りのスペアリブと冬瓜の塩煮にゴボウや人参を入れて味噌汁にして、茄子のオランダ煮を今日は甘めに作って、あとは適当に梅干しとからっきょうとかを準備した。フミエさんと周ちゃんはずっと豆の話しをしてる。

「山若くん、ちょっと聞きたいんだけど。写真のレイアウト迷ってて。写真を組むのはすごく好きなんだけど、組んじゃうんだよね。言ってる意味わかる?」「え?どういうこと?」「うーんと、組で写真をコントロールしちゃうっていうか。」「ああ、写真の意図を作ったらいいんじゃない?」「うーん。そうなんだけどね。」「あのさ、例えばなんだけど、あれ、なんで俺ここにいるんだろう?って思うような事って無い?」「どういう意味?」「例えば、清澄白河に展示を見に行ったんだけど、そこで仲良くなった人がいて、うちでも展示やってるっていうからついて言ったら、なんかすごい狭い路地みたいな所にある部屋に連れていかれて、ドアをあけたら、明らかに怪しそうな入れ墨いっぱいの男の人がいてマリファナ吸いながら皆んなで作品を見るっていう場所で。」「え?それは、怖いねぇ。それってさ、若い時にしてたバックパッカーでの旅とかで遭遇しそうな状況。仲良くなった外人の家の実家に遊びに行ってそのままご飯をご馳走になるみたいなのでしょ。」「昔じゃなくて最近は無いの?」「えー?うーん。あるかなぁ。周ちゃんとの出会いがそうかな。」「えー。違うよ。それは面白くないよ。じゃあさ、例えば、ナナちゃんで言うと、こないだ仕事の人とご飯たべて、そのまま事務所に行く予定だったのだけど、たまたま出会ったタイ人と仲良くなってお家に言って、小さなマンションの一室にものすごい数のタイ人が住んでて、もの凄い辛いカレーを食べて帰ってきたんだけど、そういう感じ!」「うんうん。言ってることはわかるけど。最近はあるかなぁ。」それから、今やってるアレックスソスの展示の話し始めた。ソスの展示の中で1時間弱の映像作品があって、アメリカを横断しながら出会った人にちいて行き写真を撮るというドキュメンタリーなのだそうだけど、すごくいいよって。そういう事なのだそう。

山若くんはきっと、私に意図しないような出会いをレイアウトを組む時の参考にしてとアドバイスしたかったのだろうと直ぐに気づいたけど、期待に応えられるような返答が出来なかった。それに、それは一つの行動パターンに過ぎないよね、なんて事も言えなかった。山若くんはヒッピーや反社会的、社会不適合っていうキーワードに弱い。そこに強い憧れがあるんだろうなというのがよくわかる。その彼女のナナちゃんはいつも山若くんと一緒にいる所を見かけるし、行動パターンはおのずと似てくるだろう。だけど、。私はもうそういう世界は見たくない。前に元夫の友人が夫の事をアンダーグラウンドで面白いと言ってたけど、現実はコーラみたいに喉だけを刺激して去ってくれるようなものじゃない。身体が切り裂けるような痛みだったり、ゴールのない洞窟みたいな。もう、二度と見たくないし、二度と知りたくない。ぜんぜん面白くないしカッコよくもない。あそこは、ただの地獄。

一生懸命に説明してくれるのは嬉しかったけど、曖昧で凄いねとか、そうだねって優しそうな言葉でしか返せなかった。元夫と一緒だった時に、結局、悪そうな事をしたり、奇抜なことを好む人こそ程、地獄にはおちないよねって何度も意地悪く思った。実際に堕ちる人は勝手に堕ちていく。駄目だと言ってもあっという間に堕ちる。

目の前に起きる事がまるで運命かのように見えるような事もある。ただ雨が降っただけなのに、そこに虹がかかっただけなのに、この出会いは運命だとか導かれたとか。だけど、大体、殆どが自分の意思や目的でここにいるし、何処かへ行く。なんとなくでも、たまたまでも、選んでる。山若くんが言ったような話は映画みたいで面白そうな匂いがぷんぷんするけど、お父さんとお母さんがある日突然に街角で出会って稲妻が走ったように恋に落ちなくても、排卵日にセックスして精子が卵子に辿り着けば赤ちゃんが出来るのが現実であって、お互いが望んで好んで求めて出来た一つの結果だ。偶然や必然的なものが存在しないとは思わないけど、その可能性を膨らませているのは神様でもアンダーグラウンドな世界でもなくて自分自身なんじゃないかなと思う。