バタートースト

朝食 24.3,2022

今日も1日中片付け。午後に一本打ち合わせ。今日はトトロの森の方へ散歩へ行った。なんだか毎朝の散歩が楽しい。

餃子

中華 23.3,2022

「何だか凄く疲れたから、今日は力になるものを食べよう。」そんな話を昼食時にして夜は餃子になった。周ちゃんは午後からミュージアムへ出かけた。朝から一日中片付け。疲れたな。梃子がトイレに慣れなくて朝と晩に散歩へ出た。

夕飯
ご飯
ワカメの味噌汁
うるめの酢味噌和え
焼き餃子
ピーマン入り麻婆春雨
納豆

引っ越し蕎麦

和食 22.3,2022

引っ越し屋さんが来たのは14時過ぎ。片付けが終わったのは13時50分。本当にギリギリだった。どうにかこうにか終わった。周ちゃんは昨晩に展示の撤収があって遅く帰宅したのだそう。低気圧の所為でしんどいって言ってた。先週末にうちの片付けを手伝ってくれたから、周ちゃんの片付けも朝から忙しそうだった。

東京を出たのは18時頃。何とか荷物は全てトラックに乗ったみたい。朝から降ってたみぞれ混じりの雨も止んでた。テコをカバンに入れて電車に乗った。何だか心がここに失いみたい。大好きだった部屋にお別れすらしてない。とにかく疲れた。

改札を出ると東京よりも冷たい風。全身がひんやりとして少し不安になった。本当にここで暮らしていけるんだろうか。真っ暗な海みたいに遠くの景色は何も見えない。タクシーに乗って新しい家まで向かう。何処に向かってるのかこの道が合ってるのかもわからない夜をただ走り続けた。降りると背がすらりとした男性が小さい荷物をトラックから運んでる。「よしみ!」周ちゃんだ。荷物を持ったまま駆け寄ってきた。「お疲れ様〜。」ぎゅっとハグをした。周ちゃんといるとアメリカにいる気分になる。姉の所で生活してる時みたいにハグは挨拶になる。それから全部が終わったのは21時過ぎ。へとへとだ。心底衰弱しきってる。とりあえずお風呂へ入ろう。身体の芯まで冷え切った身体を温めよう。慣れないお風呂に湯を溜めて一緒に入った。お腹空いたな。くらくらする。

お風呂から出て、蕎麦を茹でて、後は簡単なおかずを準備した。鯖缶インドカレー味というのにパクチーを乗せたものと、納豆と、ブロッコリーを茹でたもの。蕎麦は練り梅を乗せて梅そばにした。今日は何も考えられない。動物みたいにお腹だけを満たしてベッドへ入った。

鯖寿司

夕飯 21.3,2022

東京最後の日。ここ数日、友人にバイバイを言う度に寂しさが増していく一方で同時に次が始まっている気配に少しうきうきしてる。梃子は10時に商店街のペットサロンでいつもと同じカットをしてスッキリして帰宅。引っ越しの片付けを途中で終えて私も青山のサロンへ。編集の槙尾さんに紹介してもらってずっと行きたかったところ。東京最後の日にいつもと違う事をしたかった。ずっと伸ばしていた長い髪を昨年の秋、周ちゃんに出会う数日前に思い立ってショートにした。近所の美容師をしてるタマちゃんに教えてもらった女性の美容師さんに数ヶ月切ってもらっていたけど、何だか男の人に切ってもらいたくなって予約をした。

髪を切るのはいい。すごくスッキリするし、気分がいい。素敵な美容師さんだった。帰り道に槙尾さんに御礼のメッセージを送ると、興奮した感じの返答。私もそう思う。人生1のベストオブショートで賞。いつもと違う感じの自分でちょっと驚いた。東京最後の夜にぴったりな気分の良さ。渋谷まで歩いて田園都市線に乗って三茶で降りた。世田谷線に向かう途中で近所のタマちゃんに声をかけられた。「よしみちゃん?」後ろ姿がタマちゃんっぽいなぁって思って歩いてたけど、時間も早いし。だけど本当にタマちゃんだった。今日は早退したのだそう。タマちゃんとは離婚する直前に一緒に伊勢神宮へ行った。あの旅はすごく楽しかった。心身共に元気な今ならあの3倍は楽しめると思うけれど、あの時の精一杯ですごく楽しかった。一泊二日。一緒にお風呂に入って一緒に寝て一緒に参拝した。世界は夫婦だけだと思い込んでいた私に世界は広くて楽しくて優しくて温かいって事をみんなが教えてくれた旅。タマちゃん、旦那のADのしみるさん。しみるさんの後輩の芸術家の今む。

今日会えるなんて凄いな。計らったみたいに会えた。

帰りにサミットで鯖寿司を買った。片付けをして、お風呂に入って、ビール。Tverで大豆だとわ子がやってる。久しぶりだな。第一話だった。とわ子が田中さん、佐藤さん、中村さんって、三人の元夫の名前で呼ばれてるシーンを見て何だか可笑しくなった。編集の槙尾さんは私の事をきくちさんって言う。昼に掛かってきた引越し屋は菅原さんって言ってた。さっき髪を切ってもらったサロンでは熊谷さんって呼ばれて、タマちゃんはよしみちゃんって言う。離婚した時のアイデンティティの崩壊の酷さと言ったらそりゃ無かったけれど、もうどこにも所属しないって決めたら何だかとわ子の飄々としてる感じがすんなりとわかる気がした。

「明日天気悪いんだってね。」明日の引っ越しを心配したタマちゃんが世田谷線の中で言った。「うん。そうだね。けど、家に着けばいいよ。」そう、何だか最近どうでもいい。晴れてる方がずっといいけど、人生なんてそんなもんだ。何かに依存しなければ、大体何でも似たようなもの。菊地でも菅原でも熊谷でもよしみでも、私はいつだって私。誰かの何かになろうとするから苦しくなるだけであって、私でいれば何も困ることはない。失うのは辛いけど、変わるのも怖いけど、私があればどうにかなる。どうにだってなる。

今日タマちゃんに会えて良かった。

卵かけごはん

和食, 朝食 20.3,2022

朝からちょっと二日酔い。やっぱり飲みすぎた。ぼんやりしたまま引っ越しの片付けを始めた。合間に大学のオンライン説明会を受けて、最後の納品を二つ終えた。ようやく終わった。これで引っ越しの準備を気兼ねなく出来る。

午後はみっちゃんと線路沿いにあるクレープを食べに行く約束をしてる。「一回食べてみたいよね!」って話てから引っ越し前滑り込みのクレープ。結局、最初で最後のクレープ。二人揃ってバナナチョコクレープを頼んだ。クレープ屋の脇にあるテーブルでクレープを食べながらみっちゃんの彼氏の話を聞いた。こんな午後も今日で最後か。

それから商店街のベンチでコーヒーを飲んだ。みっちゃんの運気の話になってゲッターズさんの占いだと金の時計なのだそう。金の時計は12年に一度の運気の良さで仕事運と結婚運がいいとMOREのウェブに書いてあった。そのまま本屋へ行きみっちゃんはゲッターズさんの本を買った。周ちゃんも金の時計。私は金のインディアン。金の時計と金のインディアンは相性がすごくいい、結婚も仕事も相乗効果のような感じだとか。それに私は7年間の闇が明けると書いてあったけど結婚生活と同棲を合わせて8年。あれは闇だったんだろうか。闇だなんて言ったら笑い話。例えるならば炎が燃えたぎる地獄。じりじりと熱くて熱くてたまらなかったな。

みっちゃんに譲ると約束してたうちにある無印の棚をみっちゃん家に運んでバイバイした。「GWくらいに行くよ。」「埼玉で待ってるね!」楽しかったな。帰って夜まで片付けを続けた。

手巻き寿司

夕飯 19.3,2022

早朝に起きて納品作業。段々と目処が見えてきた。胸をほっと撫で下ろす。良かった。これなら終われそう。午後に散歩がてらオオゼキへ刺身と海苔を買いに行った。1年ちょっと前、この家に越してきて最初の来客は後藤さん。引っ越してから2週間くらいだった気がする。とりあえずで付けておいたサイズの異なるカーテンだとか生活がまだ馴染んでいない頃に遊びに来てくれた。今思い返せば、住んだ当初は怖かった。夜が来る度にドアの外の足に耳を傾け、夜中にマンションの前でタクシーから降りる誰かの音を聞いては心臓がバクバクした。それから1ヶ月後くらい、警察から最後の電話があって、もう新しい場所へ引っ越しましたと伝えて、何だかそこから少し落ち着いたように思う。夫から避難したのは事実だけど、別に夫の暴力から逃げてたわけじゃない。病の事を説明するのは難しい。だけど、警察にはそう映ってるみたいだった。引っ越して直ぐ、3ヶ月の経過観察も含めて通ってた心療内科を卒業し、体重もあっという間に元に戻っていった。この家に来てからは悪い事は何一つとして起こらなかったように思う。記憶は何度も私を襲い続けてたけれど、現実は温かく見守ってくれてたいた。”最初と最後に行かなきゃね。” 引っ越しが決まってから来た後藤さんからのメッセージ。何だかすごく嬉しかったな。そうして、引っ越しまであと3日。外は雨が急に降り出してる。傘を持った後藤さんが沢山のビールとスパークリングと苺を持っていつもの笑顔で遊びに来てくれた。

引っ越しの片付けも仕事もあったから今日は手巻き寿司。菜花の辛子和えと、蓮根のナンプラー炒め、なめこと揚げ麩の味噌汁を作った。乾杯をして、海苔を手に持った後藤さん。未だ食べてないのに「手巻き寿司楽しい〜。」って子供みたいに目をきらきらさせてる。ミオちゃんはよく後藤さんの事を「ゴッサンは、直ぐに人を信じちゃうから悪い男に引っかかるんだよ〜。」って冗談で言うけど、そりゃ悪そうな男も付いてきちゃうくらいその無邪気さが魅力的ってことだと思う。また一緒に手巻き寿司をしたいな。嬉しそうな顔が可愛かった。

私が東京を離れるのが寂しい寂しいって言うと、「この家で色々とひとりで生活を始めたから、そうゆうのもあるんでしょ。」って後藤さんが言った。そう、元夫との暮らしを捨て、新しい場所で暮らし始めたのはこの家が起点。菊地だった私を捨てて、家具を新しく買い直して、少しずつ少しずつ生活を整えてきた。夏になる頃には殺風景だった大きなベランダも植物園みたいになった。中でも夏のゴーヤカーテンの下で日向ぼっこするのがとびきり好きだった。ここからまた始まったんだ。沢山の思い出がある。東京で暮らして一番好きな家、一番好きな暮らしだったな。

後藤さん今日もありがとう。私の生活ありがとう。

おかゆ

和食 18.3,2022

夜中に目が覚めた。週末中に今抱えてる仕事は終わるんだろうか。ずっと緊張状態で何だか不安になってきた。頭がぐるぐると予定のあっちこっちを行き来してる。昨日ワタルさんとちょっとお茶したのが束の間のオアシスだったな。あと数日で引っ越しなのに胃もストレスで痛いし朝からずっとたまご粥。友達にだって全然会えてない。1ヶ月も前から引っ越しの準備をしてるのにな、東京生活最後のんびり楽しみたかった。椅子に張り付いたように朝から晩まで納品作業。本当に疲れた。明日の夜は後藤さんが来る。2月の頭に婚姻届にサインしてもらった以来。絶対に仕事も引っ越しの準備も終わらせなきゃ。心がどこにあるのかわからないくらいに忙しい。夜に変な夢を見てるけど朝になると覚えてない日が続いてる。

3月17日

Journal 17.3,2022

朝から西東京で撮影。急いで帰宅、素麺をさっと茹でて適当に食べて急いで役所へ。引っ越しシーズンだからか人でごった返してる。氏名変更の手続き、転出届を出して、税務署に行って納税地の変更届を出して、来月の日割りの家賃を入れて、郵便局で転居届を出して、八百屋でブロッコリーを買った。”終わったよー!” 近所に住むワタルさんにLINEした。”じゃあ、あのころで。” あのころは商店街にあるコーヒー専門の喫茶店。松陰神社には小洒落たカフェがいくつかあるけど、あまりそういう店には行かない。満場一致で待ち合わせはあのころになった。ワタルさんにはこの街を離れる前に結婚の報告を会って伝えたかったから、引っ越しの数日前ギリギリセーフで会えて本当に良かった。ワタルさんは苦そうなコーヒーを、私はカフェラテを頼んだ。「ワタルさん、ちょっと報告があって、私、結婚したの。」「えー!?早いねぇ。嬉しいよ。俺はよしみさんが結婚してくれて本当に嬉しいよ。」どうしてそんなに喜んでくれてるのかわからなかったけど、何だかそんなワタルさんを見て、私もすごく嬉しかった。

仕事の話とか、共通の友人の話、いつも教えてもらうワタルさんのライフハックの話を聞いた。あとはよく覚えてないけど色々話した。それから、私が周ちゃんと駅前でハグしてたのをサミットの帰り道に奥さんと見かけたらしくて、その話がすごく可笑しくて、声をあげて一緒に笑った。

「一人暮らしって最高じゃない?」「うん。こないだ久しぶりに塩釜に出張で行ってさ、最高だったよ。」「別に相手が嫌とか全然そんなんじゃないんだけど、一人暮らしって最高だよね。」「酒飲んでソファーで寝ても、ソファーで寝てたでしょって目で見られないで済むしね。」「一人暮らし、私大好きなんだよ。」「わかるわ〜。」喫茶店を出てスーパーまでの道のり、一人暮らしがどれだけ最高かって話をしてバイバイした。「次は埼玉でね!」

帰って夜まで仕事。今日も朝が早かったから神経がピリピリしてる。もう限界って所でお風呂に入った。湯船に浸かりながら周ちゃんに電話すると、周ちゃんも帰宅した所だった。こう会えない日々が続くのも悪くない。今日役所で貰った不動産へ提出する住民票の写しを写メで送ると「なんか、ぐっときたよ〜。」って。私の名前が熊谷になってる住民票。何度見ても誰のこと何だかさっぱりな感じ。「この人誰って感じだよね。」「あはは。」周ちゃんはちょっと嬉しそうだった。ご飯を食べてベッドへ寝転がって電話。ビデオ通話にしてみる。相変わらずのイケメン周ちゃん。今日文化庁に行った帰りに近くの喫茶店で大きなソフトクリームが乗ったコーヒーゼリーを食べたと写真を送ってくれた。喫茶店でイケメンがソフトクリームが乗ったコーヒーゼリー。もうワードを聞いてるだけで鼻血が出そう。そんな男を街角で見かけたら私どうなっちゃうんだろう。え、一体どんな風に周ちゃんはそのソフトクリームを食べたのかな。「周ちゃん、ソフトクリーム付きのコーヒーゼリーどんな風に食べたの?」「えー夜遅いけど佐藤君が持ってきたハーゲンダッツ食べようかな。」冷蔵庫からハーゲンダッツを持ってきて食べ始めた。なんで急にハーゲンダッツを食べ始めたんだろう。アイスクリームの食べ方なんて聞いてないよ。イケた男が喫茶店でソフトクリームをどんな風に愛でているのかを聞きたかっただけ。周ちゃんってやっぱり変わってる。学芸員やってるくらいだから相当に変わってると思う。キュレーターの高橋君からは歩く人類学者って言われてるくらい。だけど、そういう類の変わってるとはまた違う、何と表現したらいいのか。まぁ、美味しそうに食べてるからいいか。そんな周ちゃんを見てると私も気分が良くなるし。

明日も5時起き。もう寝よう。

3月16日

Journal 16.3,2022

朝からスタジオ撮影。疲れた。顔馴染みのメンバーだけど、疲れた。集中力が途切れるのと同時に自分の中の何かが磨耗していくのがわかる。時間より少し押して撮影が終わると編集の成田さんからの電話。恵比寿駅の前で数分立ち話をした。胃がキリキリする。一昨日くらいから忙しなさが背中に触れてくる度に痛みが増してゆく。嫌だなって思いながら話を続けた。

帰宅してソファーに倒れこむ。ああ、あっという間に今日も終わった。家具のやりとりも、家の契約のやりとりも、納品や仕事のメールも返さなきゃ。頭がぐるぐるとしている中で梃子を抱きしめとりあえず抱擁。「遅くなってゴメンね。散歩へ行こうね。」朝が早かったので今日の散歩は夕方。町内を小さく回って帰宅。夕方、成田さんと話した電話のことを所々思い返しては少し悲しくなる。メールをしようか迷ったけどやめた。

こないだ周ちゃんが寝る前にベッドで話てたことが今でも気になってる。「従兄弟の大学生が大学に行きたくないって、それで部屋に閉じこもってるみたいで。友達が嫌なんだそう。死にたいみたいなことも言ってるみたい。うちの親が色々と相談を受けてるみたいなんだけどさ、世界はもっともっと広いんだよ!って言ってあげたいんだよ。そんなに苦しむことはないよって。俺も大変な時期があったけれど、世界に出たら違かった。それを知って欲しいよ!!」真っ直ぐに私の目を見て語る周ちゃん。言ってる事はよくわかる。だけど、多分、それはもう苦しく無い人が言う言葉な気がする。

誰もが手がつけられないような苦しみってある。未来なんて事は考えられないくらいの地獄へどんどんと堕ちていく。今が苦しすぎて、痛すぎて、自分が持ってる力の全てがそれを救済するために使っているから心はずっと忙しくて、誰も知らない未来のこと、言うなら架空のファンタジーかもしれない何かを信じて大丈夫だなんて気分に浸れる余裕なんて無いくらいに苦しい。その強烈な今の痛みは本人にしかわからないし、その痛みの行く末だって誰にもわからない。人は幸せになるように出来てると信じてるけれど、そうじゃなくなる場合もある。だから、やっぱり今の話がいい。誰かの苦しみを知ることは難しいけど、ただ寄り添って信じてあげるとか、側にいて背中をさすってあげるみたいに、未来の話をするより手の温もりを衰弱していく身体を一瞬でも温めてあげた方がずっと今を幸せに出来るんじゃ無いかな。今の続きが未来なのだから。

心療内科に通ってた時に先生に言われた言葉を疲労が溜まってイライラした時なんかに時々思い出す。今日もちょっと思い出した。「心の水が枯渇してるんですよ。」過度なストレスがかさんでいくと、心の潤いがどんどん失っていく。そりゃ、それだけのストレスがかかっているのだから仕方ないことなのだそう。それで底にある岩が露わになっているようなもので、普段なら我慢できないような事もちょっとした事で何かが岩に当たる度に敏感に反応してしまう。苛々したり泣いたり怒ったり。それは別になんてことはなくて、そうゆうこと。枯渇してるだけ。

苦しいのは嫌だけど、苦しむことは悪く無いんじゃないかな。ああ、今日も果てしなく疲れた。朋子ちゃんがくれたお花が綺麗。ただとにかく綺麗。

ニコラス精養堂のエクレア

お菓子 14.3,2022

今日から引っ越しまで一週間。仕事も引越しの片付けも色々がぎゅうぎゅう状態で少し緊張してる。気温は22度、まるで初夏みたい。朝から黙々と仕事を進める。夕方頃に近所の朋子ちゃんからLINE。”よしみちゃん、おうちいる?” それから数十分後。玄関のドアを開けると、朋子ちゃんと子供達が花束を持って立ってた。朋子ちゃんのお花は本当に可愛い。そんな言い方しか出来ないけど、なんだかすごく可愛い。花の仕事をしてる朋子ちゃん。たぶん10年ちょっとの付き合いかな。昔は時々一緒に飲んでは朋子ちゃんはいつも顔を真っ赤にして帰宅していたのに、あっという間に子供が出来てお母さんになった。この街に引っ越してきてから肉屋でバッタリあったりもした。商店街のお気に入りの花屋は朋子ちゃんが教えてくれて、クリスマスが来る頃に朋子ちゃんのリースを本人には言わずにTHIS_で買ったりもした。明日のランチの約束が仕事で駄目になったけれど、ちょっとでも会えて嬉しかった。

お花と一緒にニコラス精養堂のエクレアも持ってきてくれた。時々パンは買いにいくけど、エクレアは初めて。なんて可愛んだろう。ささやかなプレゼントっていいな。朋子ちゃんって一緒にいるとなんだかいいなって思うことが昔からあった。特別な感じじゃなくて、自然に何だか思うこと。そして、今日もいいなって思った。

サミットの寿司

夕飯 13.3,2022

二日間朝から晩まで引っ越しの片付け。周ちゃんは結局、明日の早朝に所沢へ帰る事となった。もう今日は疲れたから寿司にしよう!サミットに寿司とお酒を買いに行って、冷蔵庫にあるもので夕飯。スーパーのお寿司だって食卓に上がれば楽しい。どうしてこんなに楽しいんだろうって思うけれど、楽しい。じゃんけんで先攻後攻を決めた。いつも周ちゃんが勝つけど今日は私が買った。「イカ!」「じゃあホタテ!」。

パンケーキ

Journal 12.3,2022

今日は引っ越しの片付け。男の人がいるとこんなに楽なんだ。引っ越し、あの人は何もしないでいつもどおりの毎日を過ごしてた。いつも何回も全部ひとりで手配して荷造りして運んで。おかげで、男がいなくてもどんなに重たい家具でも運べるし、業者にまけてもらって無理言ったり、業者みたいに色々を手配して、何でも全部ひとりでやれるようになった。「これ、よく組み立てたね。これ、よく運んだね。」周ちゃんが驚く度に過去の私が喜んだ。

ありがたいな。人生で何回引っ越しをしたんだろう。両手じゃ全然足りないくらいしたけど、今日は人生で一番楽で楽しい荷造りだった。

ひっぱりうどん

郷土料理, 即席ごはん 11.3,2022

タクシーが全然進まない。初めて運転手さんの名前が書いたカードに優良運転手というマークがついてるのを見た。全然優良じゃないじゃん。朝の環七と目黒通りのセット。どうしてこの道を選んだんだろう、もう20分も遅刻してる。到着すると久しぶりに代表の小池さんがいた。4年ぶりくらいに会ったかもしれない。最近逗子に引っ越したそうで、シティー派だと思ってた小池さんが一気に田舎へ。その暮らしは一体どんな風に田舎の場所へ収まっているのか聞いた。「埼玉のそっちの方も楽しそうですよね。情報交換しましょうよ。」流石だな。小池さんは農家さんと少しずつ仲良くなってるのだそう。私にそんなこと出来るかな。撮影が終わったのは昼過ぎ。お腹はぺこぺこ。だけど写真を撮っていると調子がいい気がする。忙しくて胃がキリキリしてたけれど、少し落ち着いた。

赤坂へ移動して駅前にあるエクシオールカフェでランチ。1時間くらいぼんやりして日記を書く。気持ちがいい午後。風がもう春だって言ってる。来週の撮影の打ち合わせをしに事務所へ。打ち合わせのついでに結婚の報告をするとCDの堀江さんは「えー!!!!」ってテレビみたいな反応。「本当に大丈夫なの?」とか、「いや、すごい決断だよ。」とか、色々な言葉を言ってた。堀江さんも二年前に再婚。昨年の秋、撮影帰りに家の付近まで車で送ってもらった時に堀江さんの離婚が大変なものだった事を始めて聞いて、私も少しだけ元夫のお酒や病気の話をして、また話しましょうねって約束した。それから一気に結婚となったから、理解が追いつかないのもわかる。それに私の離婚や結婚に想ったり感じることも多いんだろうなと思った。

松陰神社の駅を降りると、夕陽がびっくりするくらいに大きい。綺麗だな。自転車を降りて写真を撮ってるおばちゃん。夕陽が綺麗だねって話ている親子。多くの人が線路の向こうに光る夕陽を見てた。この街が本当に好き。大好きだ。さ、帰ろう。梃子が待ってる。

夜に打ち合わせを一本終えてしばらくすると周ちゃんがやってきた。「お帰りなさい。」「ただいま〜。」一緒にお風呂に入りながら今日の話をした。そして、夕飯のひっぱりうどんをひっぱりながらまた色々な話をした。

今あるものが好きだなと思う。この街も仕事も周りにいる人も。新しい場所での今とは全然違う暮らしは世界をどう変えていくんだろう。

3月10日

Journal 10.3,2022

引っ越しまで2週間。想像以上に色々がまずかった。仕事も引っ越しの準備も、なんだか引かない波みたいに押し寄せてきてばかりで既に溺れそう。どうしよう。

周ちゃんのお母さんはずっと笑ってた。15時に丸の内のアフタヌーンティーで待ち合わせ。小柄でふくよかなお母さん。私と同じ籍の人らしい。「初めまして、熊谷です。」お母さんの言葉に私も熊谷なんだけどな、と不思議な気持ちになった。お母さんってどこのお母さんも可愛いのかな。うちの母も可愛いけど、周ちゃんのお母さんも可愛い。ずっと笑ってる。お財布から周ちゃんと妹の写真が出てきてテーブルに並べ始めた。「こんなのどうしたの?母さん、恥ずかしいよ。」周ちゃんが困った顔で言った。一枚は私に見えないように隠して、一枚は「見せて見せて」とうるさい私に渡した。お母さんはにこにこ笑ってる。親になるっていいな。何だか少し羨ましかった。

お母さんは周ちゃんの子供の時や兄弟の話を始めた。事業が忙しかった時にお父さんの案で天井から紐で哺乳瓶を垂らしてお兄さんが自分でミルクを飲むように躾けた話は一番面白かった。「自分で飲みたい時に飲めるし良かったわよ。」って。なんてナイスアイデアなんだろうと関心すると、周ちゃんは「それ、今なら虐待になるからね!」と困った顔。「アメリカなんて直ぐに虐待ってなるから大変よ。」とお母さん。あっという間に一時間が経って私はカーテンを作りにウニコへ。周ちゃんとお母さんは仕事の打ち合わせで千葉へ出かけた。

「カーテンの見積はこちらです。」渡された見積書を開いてみる。え?!10万!!予算、6万くらいだったんだけどな。どうしよう。カーテンの候補は2つ。ひとつは、価格も見た目もスタンダードなカーテン。もう一つは、天然素材のリトアニアコットンのカーテン。まだらなグレーがなんとも素敵で明るい。だけど、10万。”周ちゃん。グレーの10万だって。どうしよう?” “うーん。” しばらくLINEのメッセージを交換した。帰って仕事もしたいし、電気とネットの電話もこれから来るし、明日も朝5時起きで仕事。時間と選択に迫られてイライラした。 “どうする?!” “迷うけど、気に入った方にしたいよね。” “うん!他の予算を調整しよう。オーダーしてくる!” “明るい方が素敵だったよね!!”すごくいいなって思った。素敵な方を選ぶ。そうだったな。

一つだけ前の家から持ってきたもので捨てないと決めたものがあった。「スーちゃん。ずっと丸いテーブルが欲しいって言ってたよね。好きな方を買った方がいいよ。」離婚する11ヶ月前。まだ元夫の病気もしっかり始まっていなければ、私達が夫婦だった時のこと。彼が言った言葉が好きだった。ダイニングテーブルの買い替えで、私が家計を気にしてそれなりの方のビンテージのテーブルを提案した時だった。もう何年もデンマークのビンテージの丸いテーブルが欲しかった。その3ヶ月前に行った北欧への新婚旅行でも、やっぱりデンマークの家具を揃えたいと相談していた。

あの頃の匂いがするものは皿一枚残らず捨てた。だけど、丸いテーブルは捨てない方がいい気がした。全てを否定しちゃいけないことくらいわかってる。嫌いになる方が楽なことも。だけど、全てを塗りつぶしたら私も消えて無くなる。悪いものだけじゃなくて、良いものも貰ってるのだから。彼に出会えて良かったなんて口が裂けても言えないし、あんな恐怖は二度と経験したくない。だけど、残そうと思った。

カーテンが届くのは25日。

シーフードグラタン

Journal 09.3,2022

編集のミオちゃんにメール。”19日、後藤さんが来るのだけどミオちゃんも来ない?” 引越しが再来週に決まった事も報告した。”怖くない?誰にも会えなくなって疎外されないといいんだけど。” “うん。結構怖いよ。” “シティーガールだもんね。” ミオちゃんこそ生粋のシティーガールだ。私はまだ千葉を挟んでるけど、ミオチャンは生まれも育ちも亀戸。私が東京の学校に行き始めた時に錦糸町や立石に住んでる友達によく冗談を言われた。「よしみはどこの山から来てるの?」って。本当は怖いよ。”すっごい田舎なんだよ。本当に大丈夫かな。もしダメだったら東京にマンション借りようと思ってる。”誰しもが「慣れるよ!大丈夫だよ!」と、かけてくれる言葉により一層と不安が積もっていく中で、ミオチャンの言葉になんだかとてもほっとした。

今夜はグラタン。先週末に器の和田さんで買ったスリップウェアのグラタン皿をおろした。火の通りが丁度良い塩梅の深さ。いつもちょっとだけ焼き加減が気になってたグラタン。お皿ってすごい。味が変わるんだな。可愛し、美味しくなるなんて、何だか得した気分。

ホワイトソース
バター80g
小麦粉 80g
牛乳 800g 温める

フライパンにバターを溶かして、小麦粉を入れてヘラで水分がなくなるまで混ぜる。牛乳を少しずつ、少しずつ、入れてはホイッパーでよくかき混ぜる。少しずつ少しずつ。なめらかなソースになるまで。

おでん

和食 08.3,2022

今夜はおでん。世田谷通り沿いにある練り物やの、や亀やに早い時間に買い出しに行った。もう一つ数百メートル先によね屋とゆうのがあるけど、どうゆうわけか私が行く日は閉まってる。だから今日も、や亀や。今日のおでんはいつもより少し丁寧に仕込んだ。おかずにルッコラのサラダと蛸と揚げなすのピリ辛和え、ホタテと豆苗の中華炒めを作る。近所のヘアメイクのみっちゃん。自称美術家でプロデューサーの今む。この3人の晩餐会も楽しいご近所会として定着してきた矢先に私の引越し。あと5年くらいは続けたかった。最近あったどうでもいい話とか、ちょっとしたニュースとか、みっちゃんの彼氏の悪口を聞いて、今むのすっとぼけた話をきいて、笑って夜が更ける。そうして私がそろそろ眠いとなり解散。結構、好きな夜だった。今日だって、本当に最高な夜だった。

「私はワンシーズンに2回行くよ。」みっちゃんが言った。「疲れてるの?俺は半年に1回かな。」と今む。「シーズンに1回は来てよ。季節のものを食べたり、餃子を巻こうよ。お願いだから遊びに来てよ。」友達が食卓を明るくしてくれた。帰る人が帰らなくなって、作った料理も捨てる一方で、食卓を照らすライトの外側が真っ暗になった頃、友人達がやってきてくれた。心から感謝してる。ただの飲み友達だった今むも、アシスタント友達だったみっちゃんも、いつしか親戚みたいな感じになった。すごく寂しい夜も、すごく虚しい夜も、彼等がいたから食卓だけは何とか灯を灯してくれてたように思う。そうして食べて、笑って、また明日がやってくる。そんな繰り返しを、とにかく続けて続けて今日がやってきた。どん底だってとにかく食べまくって、どんどん痩せていく身体があっても胃袋をパンパンにしてやった。もし、私みたいにどん底に落ちちゃった誰かを見つけたら、まずうちの食卓に来てって言おう。私が彼らに救ってもらったように、この食卓で誰かの胃袋を一瞬でもいいから一杯にしてあげたい。お腹が減ったらまた来てほしい。いつしかそれが血や肉や明日への希望に変わるはず。

寂しい。すごく寂しい。東京を離れたくない。
ちょっと泣きそうな夜だった。

和風クリームシチュー

洋食 07.3,2022

朝に納品を済ませて、午後は病院。ブライダルチェックを気軽に受けに行った筈だったのにいつの間にか不妊治療みたいな検査が始まっていた1ヶ月ちょっと。ようやく終わると思うとすごく嬉しかった。私が嫌なのは先生が嫌いだったこと。病院で決められてる小さなメモ帳みたいなノートを忘れると先生はイラっとした感じになるし、子供が欲しいのか迷ってるのに「急ぎましょう!」ばっかりだし、結局フーナーテストというセックスのタイミングをはかるものをやってみたけど検査自体失敗に終わったそうだし、お金もかかるし、毎度会う度に先生はうーんって感じで深刻に渋い顔をしているし、何だかとにかく楽しくない病院だった。注射が下手くそな年配の看護師のおばちゃんは「まぁまぁ年齢の事はあるけど、この感じなら大丈夫よ。」そんな掛け声の方がずっと気分が良かった。ああ、ようやく終わった。

「先生が嫌だったよ。」周ちゃんにぽろっとこぼすと、「まぁ、先生も色々と言われるだろうし、ちょっと過剰に慎重になるんじゃないかな。」って。けど、「あの先生といると私はどんどん不安な気持ちになるよ。」って伝えたら黙った。結局、身体を触られて、注射したり、何かよくわからない検査をするのは私自身だ。先生がリスクヘッジの為にあの感じだったとしても、正直私には関係がない。だって不安ばかりが募る一方で、全然楽しくなかったから。「ああいう場所だからね。」って周ちゃんは言ったけれど、ああいう場所とはどういう事だ!赤ちゃんが欲しいと思う気持ちは別にネガティブでも何でもないし、毎回どんよりした気持ちで受ける必要だってない。病院で不妊治療をする事がネガティブだと受け止めるのは、本人ではなく周りだなんておかしな話。そういう勝手な想像は嫌いだ。世の中は全てが自分の思い通りになんていくわけがないのだし、ただそれだけの事で幸福と不幸のどちらかにカテゴライズするなんて、無性に腹がたって怒った。周ちゃんは申し訳なさそうに「そうだね。」って言った。周ちゃんはいつも私がどんなに怒っても怒らない。

「周ちゃん、周ちゃんってどうして怒らないの?」
私は奴隷だった時代が長かった。家族は悪くないと決めてる。誰にも言えない苦しい奴隷時代があった。大人になり家を出て、結婚してから再来した別の奴隷ライフを受け入れたのと、過去の私は密接に関係してるのを知ってる。私は奴隷になる許容をしっかりと持ち備えていたから。

「前にもちょっと話したけど、。中学校の時に暴力とかイジメがあったんだよね。怒ったこともあったけど、怒ると想像以上に自分へのダメージも大きくて、そのうちに怒れなくなったんだよ、、。」しばらく周ちゃんは話し続けた。川底にあるヘドロみたいに触れられないものを救ってはその中をやみくもに探してるみたい。私には何も見えないよ。なんて言葉をかけていいのかわからなかったけど、周ちゃんは私に訴え続けてた。その痛みがどんな痛みなのか全く想像がつかなかった。

「周ちゃん、私は離婚してから怒るようになったんだよ。ずっと怖い人が苦手だったし、怒れなかったよ。ずっと言えなくて我慢してた。」だから。だからもう私は我慢しない。不当な扱いを受けたり、酷い事をされたり、なんだか本当は悲しくても、辛くても、苦しくても、それでも私さえ我慢すれば世界が回るならいいなんて事はない。私でも私以外でも同じ。そんな事しなくたって世界はよく回れる。自分も誰かも犠牲にしたくない。そんな現実はもう見たくない。絶対に見たくない。

夜だけがどんどん更けていく。「だから、俺はよしみを尊敬してるんだよ。何だか愛の告白みたいになってるね。よしみはいつだって今に向き合おうとしてる。俺もそうなりたいけど、だから、すごく尊敬してるんだよ。」なんだろう。周ちゃんの言葉がすんなりと聞こえてこない。

病院にちょっと早く着いて、近くのファミマに保険の引き落としで寄った。自動ドアが開いてファミマのチャイムが鳴る。あ、あれ。怖い。一瞬でそこは違う場所になった。元夫が最悪だった時間が一瞬でやってきた。すごく久しぶり。全身が硬直してる。あ、多分あれだ。昨日、引越しの荷物をまとめてる時に元夫の写真を見つけたからだ。ああ、やっちゃった。吐き気なのか目眩なのか、悪寒、圧迫、動悸。それを説明するのにピタリとハマる言葉が見つからない。とにかく曖昧に怖いとしか言えない。ここに居るだけなのに凄くどうしようもなく怖くなる。直ぐに思った。大丈夫だし、今は違う。ああ、あの過去は本当に苦しかったんだ。苦しみが完全に過去から来たんだってわかった。うん、もうあの場所じゃない。あれから、中目黒も祐天寺も行かなくなった。行きたい店があっても行かない。もう行かない。それでいい。怖いから行かない。

周ちゃんが怒れなくなった過去。怒れない。それでいいと思う。一生そのままでいいんじゃないかな。今日を生きるために見つけた答えがそれならそれが一番いい。逃げたいなら逃げて、見たくないなら目をつぶって、それで怖いとか苦しみが減るのなら、今日が今が笑えているのなら、最高だと思う。よくやった。それって、十分に強く生きているって事なんじゃ無いかなと思う。生きている事の望みって、お金でも愛でも頑張る事でもなくて、ただ今を安心して生きていられるかなんじゃないかな。周ちゃんはもう2度と怒らなくていい。私は怒りたいから怒ってるだけ。それぞれのやり方で今を安心して生きたらいいよ。

3月6日

Journal 06.3,2022

家の採寸に行った。所沢の駅を降りると遠くに山が見える。どこかの地方に来たみたい。頬を抜けてく冷たい風に少しドキドキした。小学校を上がってからずっと東京生活。学校も遊びも恋をするのも東京。東京生活が長すぎるようにも感じていたし、東京からいい加減でた方がいい気もしてた。だけど、この街を本当に好きになれるのかな。

不動産屋さんの車で新しい家まで向かう。田舎だな。駅を離れると小さい商店だとか美容院、後は家ばかり。この道を私はどんな想いで歩くんだろう。不安が募る。もう後ずさりは出来ないんだな。新しい生活は楽しみだけど、それが素敵かどうかも検討がまだつかない。何だか心がどこに行ったらいいのか迷ってるみたい。

周ちゃんは自転車で東所沢の家へ帰宅して、私は電車で世田谷へ帰った。来週にリビングのライトとカーテンを見に行こうと約束をした。後、周ちゃんのお母さんに初めて会う。

朝食

朝食 05.3,2022

朝の7時。梃子の病院へ走った。多分、最後の病院。開院と同時に入った病院は珈琲の匂いがした。いい匂い。待合室で朝の天気予報が流れてる。「最高気温は18度です。桜の開花が進むでしょう。」春らしい服を着たアナウンサーが話していた。未だ今週の疲れが全身に纏わりついてるけれど、何だか心が弾んでる。どうやら世界にはあっという間にまた春が来ようとしてるみたい。

帰ると周ちゃんがバナナジュースを作ってくれていた。「今日は18度だって!」「そうなんだ!天気が気持ちがいいものね。」病院で珈琲の香りがいい匂いだったと話すと、珈琲を入れてくれた。周ちゃんの淹れたお茶は苦い。だけど、珈琲はすごく丁度いい。私好みのデカフェのアメリカン。いつもいいバランス。お腹が満たされてベッドに横になるとあっという間に1時。周ちゃんも疲れてた様だった。こんな風に時間を無駄づかいしてしまうような土曜日って最高に好き。

午後は豪徳寺の器の和田さんに行きがてらカレーでも食べようとなった。初めてデートしたのは豪徳寺のold nepal。私が昔に行ったインドのLeh。鳥葬が見たくてチベットが色濃く残ると言われてる北インドへ旅をした。周ちゃんもチベットに興味がある。数年前にアーティストとフィールドワークの一環でネパールを旅した時にダルバートを知ったのだそう。そんな話から一緒にダルバートを食べようとなった。あの日レストランで何を話したか覚えてない。カレーを食べた後に和田さんへ行って、周ちゃんは和田さんと箕の話をしてた。それから豪徳寺で招き猫を買って、喫茶店を2軒ハシゴした。2軒目、上町のアンジェリーナのお気に入りの窓側の席で「僕と付き合ってくれませんか。それが難しいなら親友になって欲しい。」って不思議な告白をされて、すごく驚いたままに「はい。」って返事をした。帰り道に手を繋いだけれど、どうやって手って繋ぐのか忘れちゃって、私の手はまるでバービー人形みたいに温度のない感じだった気がする。何だかすごくすごく変な日だった。

当たり前のように私の夫になった周ちゃん。どこからがそうでどこからが違くなったのかその境目がよくわからないけれど、今は当たり前になってる。和田さんで買い物をして、オオゼキでシャケとかハーゲンダッツを買って帰宅。old nepalがランチ終了だったから不意に入ったブッダというネパールとインドカレーのお店で大盛りのカレーとお代わり無料のナンを2枚。驚くほど食べた。どうして今日はあんなに欲張ったんだろう。帰宅してから腹痛が酷くなってリビングでうずくまる。私が欲張ったのが悪いと文句ばっかり言ってると周ちゃんは笑ってた。しばらくするとキッチンで夕飯のちゃんちゃん焼きを作ってくれた。遠くに周ちゃんの足だけが見える。そんな時間だけがしばらく続いた。もう5時間も経ってるのにずっと痛い。本当に痛い。胃薬を飲んでも痛い。ずっと痛いのだけど、熱々のちゃんちゃん焼きは最高に美味しかった。

夕飯

夕飯 04.3,2022

朝から撮影。現場までのタクシーの中で色々な事を考えた。やめよう、今は考えないようにしよう。今日も長丁場。女性が多い現場。女っていうのは様々で可愛。男だって可愛くて胸をくすぐられるような事があるけれど、男のそれとは全然質が違う。あの人は美しいというのが大概にして女性を指すのと、花を美しいと言うのが同じ美しいという言葉を使うのには納得がいく。だって女性は華やかでそれぞれで、なんだかとっても鮮やか。だから見ていて目が楽しい。

3日前にした母へのメール。「家が決まったよ。戸建。賃貸だよ。免許取ろうと思って。」しばらくしてから返答。「えー信じらんない。パパも何考えてるんだかって言ってる。」1日は少し落ち込んだけれど、相変わらず未だに箱入り娘にさせたいんだろうか。家の外壁に突っ込んだ事故から10年。もう運転をさせたくないんだろう。呆れた。まぁいい。勝手に言って。私には周ちゃんがいるし関係ない。だけど、どうなんだろう。それでいいんだろうか。1度目の結婚を思い出した。あの時もそうだった。私には夫がいるからいい。それって、またアンバランスのあれじゃないか。そう、もしかして、私はもうどっぷりと心を預け用としてる。私の人生は私のものなのにひとりではなくふたりでバランスをとろうとしてる。どんなに愛したり、どんなに大切だとしても、嫌だ。絶対に嫌だ。嫌な筈なのに結婚の約束を交わしたら当たり前のようにまた同じ事をしようとしていた。嫌だ。あんな結婚は2度としたくない。どうしたら、どうすれば私はこれからもひとりでいられるんだろう。

あっという間に撮影を終えて帰宅。目が疲れすぎて吐き気がする。今夜は鍋と残り物のおかずをいくつか。夕飯を食べながら周ちゃんの仕事の話を聞いた。珍しく少し怒ってるようだった。3日ぶりに会う周ちゃん。嬉しい。

麻婆春雨

中華 01.3,2022

午前はデスクワーク。午後は近所のしみるさんと今むの展示を見にみどり荘へ。久しぶりのみどり荘。知り合いが何人か働いてる。ちょっと会えたら嬉しいなと思ったけれど、仕事中だろうし展示だけ見ることにした。

3Fのギャラリーからは小学校か何かの青いプールが見える。空も青い。もうすぐ春なんだな。風が温かくてわくわくした。今むはまた髪が伸びてた。会うたびに髪が伸びてく。何だかんだと世話になってる気がする。ただの遊び友達、彼女もいないし誘いやすい。ひとりで食べるには何だか勿体無いような料理を作った夜なんかに食卓を囲んでビールを飲んだりもした。

結構いい絵だった。毎晩飲み歩いてると聞いていたけれど、ちゃんと描いたんだなって感じで驚いた。誰かが頑張ってる姿は嬉しい。何だか自分のことのように嬉しくなる。展示をすると高揚する気持ちばかりが先行してしまうけれど、心は思っている以上に疲れる。「よく頑張った!!」先生や親みたいに褒めて帰ってきた。

しみるさんとバイバイして、Appleで修理に出してたノートパソコンを引き取りに行き、青山で予約してた夏のワンピースを取りに行った。久しぶりに青山ブックセンターへ寄ってみる。今日は全部をぐるりと回ろう。高校生の時によくよくやってた。図書館だとか、大型本屋をぐるりと回る。興味のあった心理学のコーナーもよく通った。見知らぬ言葉が沢山あって、すごくドキドキしたのを覚えてる。やっぱりもっと勉強したいな。

写真を撮る事や写真の仕事は大好きだけど、それだけで私の時間を埋めたいとは思わなくなった。それに、派手できらびやかで忙しなく移り変わる場所よりも自分の周りにある世界の方がずっと魅力的に見える。年齢関係なく友達なんてまさに面白いの宝庫だし、夫となった周ちゃんもまるで地球外生命体みたいに未知の生き物。本だって料理だって一生かけても終わらないくらいの量がまだまだ待ってる。

ずらりと遠くまで並ぶ本を前にもっと写真以外の事をやってみようと思った。人生なんてあっという間に終わっちゃうんだから、今だって昨年の春に亡くなった石井ちゃんが毎日にやってきては後悔を繰り返してるくらい。もっともっと話しておけば良かった。もっともっと遊んでおけば良かった。友達になってくれてありがとう、いつも優しくしてくれてありがとう。かけられなかった言葉でさえ沢山ある。後悔したってもう遅い。過去はただの過去になっちゃうみたいに、未来だってきっとただの未来なんじゃないか。だから、やってみよう。過去も未来も要らない。今が丁度よく好きかどうかでいいんじゃないか。

麻婆春雨 [栗原はるみさんのレシピ]
春雨 100g 熱湯で2、3分茹でて水気を切っておく
合挽肉 200g
長ネギ1/2、にんにく・生姜1片 みじん切り
—–
紹興酒 大さじ1
豆板醤 大さじ1
——
顆粒鶏がらスープ 小さじ1をカップ1の湯で溶いたもの
醤油 大さじ3
砂糖小さじ1
—–
花椒 砕いたもの、ごま油 適量

フライパンにみじん切りにした長ねぎなどを炒め、肉を入れて炒め、豆板醤を入れて炒めてから、紹興酒を入れる。鶏がらスープ、醤油、砂糖を入れて煮立ったら、春雨を入れて煮汁がすくなるなるまで少し煮る。仕上げにゴマ油を花椒を振る。

夕飯 28.2,2022

昼過ぎに動物病院から電話があった。「先日の腫瘍の件なのですが。」心はもう決まってた。ただ信じてるだけだったけれど、もう梃子は癌にはならない。そう決めてたから心は全く動揺してなかった。まさかって想いもこれっぽっちだって無かった。なんだかいつしか私って女は大概のことでは驚かなくなったし、昔のように頑張るのをやめたら強くなった気がする。母と周ちゃんに直ぐに連絡した。”梃子は癌じゃ無かったよ!”

夕方に朗報が入った。2年前に大失恋したゲイの友人に年下の恋人ができたのだとか。何だかすごく嬉しい。先週に籍を入れたことを報告して、きゃっきゃと話した。年末に会った時は大分痩せてた。今の人生を淡々と頑張ってる姿を見て、どうか幸せになって欲しいと小さく願ってバイバイしたけど、年を越して呆気なく彼氏が出来た。人生ってわからないもんだな。うきうきした夜を過ごしていたらデザイナーの藤原さんが結婚するよって話を村上美術のゆうや君から聞いた。私は藤原さんが大好きだけど、藤原さんの彼氏のしんちゃんのファンでもある。何だかハッピーが掛け算してしまって嬉しくて堪らない。あんなに素敵なカップル、私の人生でお見かけした事がない。藤原さんは笑い上戸でしんちゃんは口数が少ないのに優しくて面白い。嬉しい、本当に嬉しい。嬉しすぎる。

2月最後の日。ハッピーが溢れている1日だった。今夜は久しぶりに寄せ鍋をした。

スクランブルエッグ

朝食 27.2,2022

「スクランブルエッグ作るよ。」料理が私だけのものじゃなくなる日がくるなんて想像もしてなかった。朝陽の中で周ちゃんがキッチンに立ってる。男の人がキッチンに立つ姿って素敵だな。

「卵は何個?」「3個。」「わかった。」梃子が周ちゃんの足元に座ってる。美味しそうな匂いでもするのかな。私は昨日失敗したカレーの話を打ち明けて、豆乳で割ってスープにする事にした。何だかいい感じのスープが出来た。今日は新しい家の家具を見に行く。嬉しいな。

もう東京を出るまでは引っ越さない。たったの一年前に誓ったこと。東京は出るけど案外簡単に引っ越しを決めた。私は人生で何台ベッドを買ったんだろう。想像するだけでゾッとする。幸いこの家に越してきた時に買ったベッドは新しい家に持って行く事に決めた。後、ソファーも。恵比寿にあるパシフィックファニチャーで買った2シータのソファー。27万くらい。購入したのは8月の暑い日だった。毎日がくたくたで、姉にソファーを買った事を報告して、姉からは”いいじゃん”ってメールが返ってきた。あの頃の姉はいつもなんでも喜んで褒めてくれた。届いたのは11月。まもなく離婚した。どんな生活が待っているのか誰も知らない空白の時間に作られたソファー。今でも何だか宙に浮いてるような気がしていたし、新しい家には入らなそうだったから手放そうかなと考えていたけど持って行く事にした。周ちゃんはソファーが好きみたいだった。正確にはソファーとゆう場所に周ちゃんを囲んで暖を取るように私や梃子が集まるのが好きみたいだった。周ちゃんがソファーでする嬉しそうな顔だとか、そうゆう場所を大切にしたいってゆう気持ちが素敵だなと思う。「とりあえずソファーは持って行こう。」周ちゃんに言った。

誰かと住むっていうのは、こうして自分の意思が働かないものがどんどん家の中に点在していく。だけど、意外と心地よかったり、愛らしい日々を奏でてくれたりする。これは悲しいことだなんてもう思わないけれど、いつか失くなるものをまた私は作ろうとしてる。

ポークカレー

カレー 26.2,2022

週末だけど今日は周ちゃんには会わない。色々が溜まっているし、ひとりの時間が猛烈に欠けてる。このままだと、一ヶ月後にはカスカスで砂漠になってしまう。「週末はやりたい事があるから別々に過ごしたい。」金曜日に周ちゃんに言った。だけど、夜に新しい家の家財道具の打ち合わせをしたいとお願いした。

今日の全てが私の時間だと思うと最高。花粉の所為で外には出れないけれど、ベッドでデスクで思う存分に過ごした。時々、携帯をチェック。周ちゃん、何してるんだろう。天気がいいから自転車でフィールドワークにでも出てるんだろうな。うん、私は私の事をしよう。夕方に打ち合わせの時間を聞いても返答がない。あれ、おかしいな。もう19時を過ぎた。どうしたんだろう、いつもなら直ぐにメールがあるのにな。お風呂に入って、少し心配になってくる。もしかして自転車で事故を起こして死んじゃったとか?ああ、ダメだ。まただ。トラウマ全開だ。過去の痛みがあちこちに根付いたままだ。元夫は何度も何度も酷いことをしてきたけれど、周ちゃんは別の人間。それなのに今に過去の恐怖を重ねようとしてしまう。同じように私はまた不安になろうとしてるけれど、そんな必要は無いよ。もう大丈夫。大丈夫。

20時頃、周ちゃんからメールがあった。”今日は展示で都内をあちこちと回っていたよ。今は六本木。” じゃあ、うちに泊まったらとなった。一昨日に会ったばかりなのに心が弾む。私の夕飯はカレー。先週オオゼキで買った豚バラで周ちゃんにと漬けておいた塩豚。勿体無いからとカレーにしたけど、塩気の所為でしょっぱくなってしまった。美味しいけどしょっぱい。何とも悲しい感じ。だからそっと蓋をして、周ちゃんには少しだけ残った塩豚を茹でて、後は小松菜の中華炒め、昨日商店街で買ったクリームコロッケ、残りの豆のサラダ、ボイルしたブロッコリーとマヨ、豆腐と白菜の味噌汁を作った。何だか嬉しい。カレーが隠れていてもいい。空の冷蔵庫をひっくり返してご飯を作ってるだけなのに楽しい。梃子みたいにはしゃいだ。

私の時間が失くなる事をずっと恐れていたけれど、今でも私の時間が大事だけれど、どうにかそれを守りながら片手間でもいいから周ちゃんに会いたいと思うようになってきた。結婚して数日。後数週間の別居生活。少しそわそわしてる。大好きなひとり暮らし。新しい生活。心はどちらも欲してる。

チューリップ

Journal 24.2,2022

昨日の夕方、三茶で魚屋に寄ったついでにチューリップを2本買って帰った。「こないだ古物市で買った花瓶、難しいんだよね。」「たしかに難しそうだね。あの花瓶自体がチューリップみたいだもんね。」周ちゃんが言った。一昨日に白のチューリップを3本買って活けてみたけど何だか変。う〜ん。あと2本くらい加えたら可愛くなるかな。夜見た時は何だかしっくりこなかったけど、朝になったらいい感じだった。うん。素敵。

今日は所沢へ内見に行く。せっかく所沢まで行くのだし、色々物件見たいねって話ていたけど条件に合う物件がひとつしか無かった。週末に何か見つかるかな。たぶん。所沢に向かう電車で周ちゃんが呑気に「多摩湖でも見に行こうよ。」と言った。行かないって思った。たぶん朝に私がGoogle Mapでたまたま多摩湖を見て大騒ぎしたからだろう。風も強いし、さくっと家を見定めて帰宅したい。私達の条件は段々と固まってきたから話は早い。正確には私の条件。周ちゃん曰く生活を大切にしてみたいからよしみの意向に添いたいのだそう。私の条件、ただの我儘じゃないかな。一軒家、広いキッチン、庭、朝陽の入るベッドルーム、それぞれが南向きの書斎、ウォシュレット、光の入るバスルーム、外見が可愛、駐車場付、自然が近くにある、最寄り駅は大きな駅。そしてペット可。そんな物件どこに?だけど、私の言い分は割と正当だと思う点もある。だってせっかく引っ越すのに好きじゃない場所でなんて暮らしたくない。それに、周ちゃんは大好きだけど、あなたとなら何処でも生きていけるみたいな女にはもうなりたくない。私の好きを私の人生から失いたくない。

内見した家の近くにはヨーロッパのどこかみたいな風景の多摩湖がある。ここは昭和の時代に軽井沢みたいな避暑地にしようとしたのだとか。不動産の方が案内してくれた車の中でも聞いた。「高級住宅街だった名残がこの辺りにはあります。」住宅街のちょっと入ったところ。外観、白くて可愛。吹き抜け良し。リビング広い。システムキッチン良し。風呂暗くて悲しい。部屋は全部明るい。二階の角部屋は最高に可愛。内窓と出窓がバッチシ。昭和モダンな雰囲気が最高に好み。不動産に戻って見積書を頂いて店を出た。遅い朝ごはんからもう5時間は経ってる。さっきからずっと周ちゃんとお腹空いたねって目で話してる。不動産を出て、斜め向かいにあった餃子の王将に駆け込んだ。私は餃子ライスとビールを、周ちゃんはあんかけラーメンと餃子のセットを頼んだ。「とりあえず食べよう!」周ちゃんが言った。お皿の中を綺麗に完食して店を出て不動産で申込書を書いて帰宅した。全部があっという間だった。

結局話し合いは殆どしてない。私なんてビールを意気よい良く呑んじゃってレモンサワーまで頼んだからほろ酔い。そう、キュレーター仲間の高橋くん家も近かった。余りに偶然でちょっと怖いくらい。周ちゃんはそんな偶然も嬉しかったんだろうな。明日から月曜日だから今日はそれぞれの家に帰る事にした。帰宅してご飯にキムチをのせたものと朝の残りのほうれん草の味噌汁を温めて食べてお風呂に入って直ぐに寝ベッドへ。周ちゃんも疲れて早くに寝たのだそう。婚約から結婚、そして引っ越し。とにかく忙しかった。何だかほっとしてる。

行きの電車、あっという間に周ちゃんの肩で寝落ちしてた。気持ちよかった。すごく気持ちよかった。ただ触れてるだけで全身や色々がそこに上手に落ちていくのがわかった。段々とだけど私は梃子みたいに周ちゃんになついてきてる。一度失った背中がある。もうそんなものは私には必要ないと思ったけど同じ様にまた温もりを感じてる。もう二度と失いたくないと恐れちゃいけないんだ、またいつか失くなる日が来るのだから大切にしなきゃと毎日毎日ひつこく言い聞かせよう。大切にしたい。すごく。

手巻き寿司

和食 23.2,2022

最近の癖で今日も早く目が覚めた。時間はまだ5時前。目をつぶっても何だか寝れない。出かける前に色々とやりたい事がある。もう起きようかな。なんだか少し緊張してる。ただ指輪を取りに行って役所に婚姻届を出すだけなのに。

待ち合わせは11時に表参道ヒルズ。トイレに寄って化粧を直したから3分くらい遅れた。ちょっと変な気分。ワクワクしてるっていうか、何だかそわそわに近くて、だけど平然を装ってる感じ。指輪は想像通りでとっても可愛かった。周ちゃんの指を通ってゆく指輪をじっと見た。軽い感じで「いいね。」って声をかけた。やっぱり何だかそわそわは止まらない。

店を出て、明治神宮に参拝へ行く前にジャイロでお茶でもしていこうとなった。チャイのグラスを握る周ちゃんの指に指輪がある。変な感じ。”あの人、既婚者なんだ。そりゃイケメンでいい男そうだもの。早くに誰かに取られてるよね。” いい男を見つけた時に言うフレーズが頭をよぎる。周ちゃんも既婚者の仲間入りなんだ。何だか変な感じ。

周ちゃんは指輪が気になるようで、手をかざしたり、手を裏表返してみたり、指輪をしきりに見ていた。可愛いな。嬉しいんだろうな。本当に周ちゃんって可愛い。可愛すぎる。私は、あ、久しぶりって思ってしまった。この指にする指輪は1年ちょっとぶり。嬉しいような、ああ妻にまたなるのかというずしりとした重みがかかるような気も少し。ただ、もう意気込んでない。幸せになるぞ〜とか、頑張っていい家庭を作る!とか、そうゆうのは無い。全然実感はわかないけど、あっという間に周ちゃんと結婚をした。

夕飯
手巻き寿司
タコとワカメの酢の物
イカの塩辛
長芋のイカスミ炒め
ウドの味噌マヨ和え
ズッキーニとシラスのペペロンチーノ
納豆
酢飯
ほうれん草とお揚げの味噌汁

塩辛

Journal 22.2,2022

独身最後の日、いつもと同じように晩酌をした。今日は朝から渋谷のオーレで富山で昨年末に行ったシェフインレジデンスの打ち合わせ。料理家のフミエさんと編集の山若君。この三人での会話が本当に好き。ずっとケタケタ笑ってるフミエさんと、ボケてばっかりの山若くんに、突っ込んでばっかりの私。あっという間に時間ばかりが経ってしまう。話し合いはさくっと決まって、9月にZINEの北陸行商をしよう、そして温泉巡りをしようとなった。想像するだけでワクワクする。山の中にある混浴に入る為に買うトレッキング用のブーツ、水着、とノートに書いた。それから青山に移動して中華料理店のふーみんで久しぶりにデザイナーの中西君とランチしながらお喋りしたり、夕方にパリで瞳ちゃんとワインを飲んだり、中々いい日だった。空もずっと青くて夜まで気持ちがいい。

帰って家探しのことで周ちゃんとちょっと喧嘩っぽくなった。こんな感じで明日籍を入れるってどうなだろう。けど、私が家への拘りが強いのが原因なのはわかってる。周ちゃんは何だか疲れてる感じだった。1時間くらい家の話をだらだらとし、電話を切った。5分後にやっぱり顔を見て話そうとテレビ電話で掛け直した。「怒ってるよね。」「怒ってないよ。」家の話はやめて、別の色々な話をした。話の流れで私の悩みについても話した。ずっとずっと昔から纏わりついて離れてくれない問題。

「大好きな人、例えば周ちゃんとか、ふみえさんとか、身近にいる人、。本当に大好きで、大好きで、自分との境がバランス崩しちゃって、好きが自分を飛び越えちゃって、時々、、私をコントロール出来なくなるの。それで、傷つけたり我儘を言ったり、自分だかなんだかが混同しちゃって。だから、すごく練習してるんだけど。ゴメンね。」周ちゃんが何て想うかなんて考えずに打ち明けた。私の問題は対象への愛が過ぎると、普段なら優しく出来るような事も、想いやれるような事もぐちゃぐちゃになってしまう。周ちゃんはただでさえ彫りが深くて吸い込まれそうに茶色い瞳をきらきらさせていた。「いや、本当によしみを愛しているよ。初めから思っていたけど、伝えてるけど、よしみのそうゆう所が好きなんだよ。そうやっていつも色々を考えてる。」想像つかないような回答だった。人を困らせてしまう最悪な私の問題について話したのに、何だかすごく嬉しそうな周ちゃんに複雑な気分しかない。私は深刻に悩んでいるし、それがきっと原因のひとつになって離れた友人もいる。今話したのは、私が困ってる生きづらさの話だったのに。

私の悩みは解決はしていないけど、何だかあっという間に救われた。今だけかもしれないけど、この先、悲観的にならないで私を救えそうな気がした。時間は深夜の1時前、3時間くらい話たのかな。今日もよく話した。家の事は一旦保留となったけど、楽しかった。もう寝よう。

春菊と豚肉のワンタン

中華 21.2,2022

朝から撮影。久しぶりに会った編集の野村さんに籍を入れる事を報告した。付き合った当初、数日前にプロポーズされたと話したら「えー!?」って、酷く驚いてたけど、あれから3ヶ月。また結婚するなんてすごいと言ってた。そうだよね、そう思う。だけど、私は強いタイプじゃない。捨てられない思い出以外は捨てる。昔の彼氏に貰ったバッグを今でも当たり前のように持てるほど上手に強く生きていける女じゃない。「どうして?」って聞かれて、「修行です。」って答えた。修行って言葉が一番しっくり来る。苦しみや色々を総括してやりがいがあるって意味で結婚生活は楽しいと言えても、結婚は楽しいものじゃない。ただの楽しさで言ったら彼氏の方がずっと楽しい。

明日は何をしよう。独身最後の日。朝から打ち合わせ、Appleでパソコンの修理、中西くんとギャランティーの清算とランチ、その後は瞳ちゃんと買い物。予定が結構詰まってる。ダイニングテーブルの花も買いたいし、夜に乾燥させてるスルメイカを塩辛にしなくちゃいけない。夜はいつもの様にひとりで晩酌をして、酔っ払いながら梃子と色々な色々な話をしたい。

温野菜

Journal 19.2,2022

今日は朝一で周ちゃんと三茶の病院へ行く約束をしてる。3時半に目が覚めて、色々な事を考えた。新しい家の事、結婚の事、子供の事。気づいたら7時も終わる頃。急いで支度をしていたら周ちゃんが家にやってきた。昨晩は気分悪く電話を切った。周ちゃんは何も悪くないし、心配してくれてたのに、とにかくうんざりだった。家が決まらなかったのは別に誰も悪くないし、お互いの所為だと言えばそれぞれが悪かった。周ちゃんを責めないし、私自身も責めたくない。だけど、気持ちは伝えたいと思って、家の事も、子供の事も、今の気持ちを伝えたら、ただ電話をしてきた。何も言わずに、ただたわいも無い話だけを。わかる。それが優しさなのはわかった。だけど、全然嬉しく思えなかった。

「パンを持ってきたよ。朝ごはん食べた?」出発まで後10分なのに、何を言ってるんだろう。ちょっとイライラした。世田谷線に乗って三茶へ向かう。仕事の話をした。少し気持ちが楽になる。お互いに違う島の話をするっていい。それだけで離れられる気がした。周ちゃんが嫌いな訳じゃなくて、周ちゃんに甘えている自分が気持ち悪い。病院を出てモスバーガーでランチをしようとなった。「正直、私は子供が欲しいかよくわかってない。」「うん。俺も子供がいる生活もいいし、いない生活もいいなと思ってる。兄弟に子供がいるから、もう母も満足しているだろうし。だけど、子供を作っておけば良かったみたいな話も聞くから、後悔しないようにしないと。」私が嫌いな話をした。よく子供を持たなかった人が後になって後悔するからという話。それって本当にそうなんだろうか?ってよく思う。「周ちゃん、その話をよくする人いるけど、それって私嫌い。だってさ、子供がいない分、楽しい事いっぱいしてるでしょ。結局、どっちを選ぼうが楽しい筈だし、どっちを選んだって後悔するかもしれない。要は今が楽しければ、過去を後悔なんてしないよね。私は全く後悔してないよ。子供を若いうちに産んでおけば良かったなんて全く思わない。だって、子供がいたら出来ないことを今まで楽しんできたし。」

私はまだイライラしてる。午後はフミエさんの味噌作りに行った。フミエさんや瞳ちゃんに会ってすごく落ち着いた。それに、フミエさんの料理がやっぱり好きだなと思った。今日は味噌作りだけど、料理家というフミエさんが大好き。私とは正反対の星に住んでる。ただ、なんだか元気になれる。フミエさんは周ちゃんに豆をあげてた。氷見で会った時に2人はキッチンで豆の話で盛り上がっていた。心配はしてなかったけど、こんなにすんなりとフミエさんと仲良しになるなんてと驚いた。

家路に着いて、新しい椅子が届くから周ちゃんは留守番を、私はサミットへ行った。今夜は無水鍋で温野菜と豚キムチ、あとは豆腐とアボガドの醤油麹のせ、納豆とめかぶ、釜揚げしらすと大根おろし、ご飯。簡単に作れるものにした。周ちゃんはいつも野菜を切ってくれる。残りの調理を私がする。その間にそれぞれがお風呂に入る。これがルーティン。席についてワインをぐいっと飲んで聞いた。「私って我儘だよね。周ちゃんの過去の彼女で最低な我儘ってなに?」周ちゃんの過去の最低我儘話は、それは我儘ではなくて、心の病だと思った。本人は病だとは言わなかったし、それが何処まで愛だと思うかって難しいよねって話してたけれど、「それは、多分病だよ。」ってハッキリと言った。もうワインも何杯も呑んでいたから、言った。私もそうだけど、病院へ行って知った事。「周りの人、家族とか、恋人とか、そういう人が手に負えないってなったら病だと思われます。今日は旦那さんの事で困って病院へ来られたんですよね。」心療内科で精神保健福祉士の方に元夫の相談をしていた時に言われた。周ちゃんが彼女と別れた理由は我儘だったそう。その我儘は何を言ってるのかも不明で、真面目に対峙しようとしたけど、どんどんとエスカレートしていったのだとか。元夫がおかしいのは気づいていたけど、普通の時もあったし、友達だっているし、病気じゃ無い。ただちょっと調子が悪いだけ。だけど、違かった。私の我慢が彼の病を病じゃなくしていた。病気ってある日突然なるものじゃ無い。普通の人がなる。病気でも友達だっているし、仕事も出来たりもする。結構簡単に心の病は転がってるらしかった。普通に歩いて、普通に何かを食べて、普通にその辺に座ってる。別にそんなに特別な事じゃ無いんだってわかった。

昔の彼女の我儘話から、恋愛がいつも歪んでしまう私の友人の話、周ちゃんが過去に職場で上司の女性に振り回されて大変だった話、どうしてか人を傷つけてしまう女の話になった。話しているうちに、話を聞いているうちに、なんだかすごく周ちゃんが可哀想に思えてきた。どうして周ちゃんはいつも優しいんだろうって思っていたし、周ちゃんが嫌な顔をしているのを見たことがない。顔から表情が消えるのは何度か見たことがあるけれど、今朝もそう。それ以外はいつも優しい。いつも優しい。何だかな、何やってんだろう。私がイライラするから、今日も周ちゃんは優しかったんだ。帰りに先日仕事で腰をやっちゃったんだと話してた。キッチンで腰を抑えてるのを見て気づいた。今日ずっと痛かったんだ。

この人は我慢をする人だ。私が告白された時に「あなたには幸せになって貰いたいって思ったんだ。」って話をしていて、一体、この人は何言ってんだろう?って思ったけれど、わかった。周ちゃんは幸せになりたいんだ。

私に出会う前に別れた婚約者の話を聞いたことがあった。何だか淋しそうに見えた。きちんと愛し合っていたんだろうと感じたけど、周ちゃんは彼女の悪口なんて一つも言ってないけど、それは平等そうじゃなかった。私には私が抱える問題があるように、周ちゃんにも私の知れない問題を抱えてる。だけど、隣にいるのならば、我慢しないでと言ってもしちゃうんだろうけれど、我慢しなくてもいいのかもしれないって少しでも気づいて貰えたらいいなって思う。

周ちゃんが優しいのと、我慢してるのを感じるって事を伝えた。堂々と話すのは可哀想かなと思ったけれど、私が思っただけだからと軽く話した。周ちゃんは皿を洗いながら何も言わずに聞いてた。「周ちゃん、毎週日曜日は私の悪口を一つ言う日にしよう。人の悪口を言ってはいけないとか、笑顔でいなさいとか、人には優しくとかあるけど、そうじゃない時があっても良くて、嫌な顔したり、嫌な事を言ってもいいんだよ。」周ちゃんは考えてる。「えー!うーん。確かに。しないかな。」「人には良いところも悪いところもあるし、周ちゃんが気分が悪かろうが、嫌な顔をしようが、それと周ちゃんの良さはイコールしないよ。まずは、人の悪いところを探す練習をしよう。やり過ぎたら、ストップかけるから。」「えー。」

いつも笑っていないで欲しい。そんな事したら、いつか何かが切れちゃうと思う。怒ったり、苛々したり、八つ当たりしたりしていい。毎度は困るけれど、適度にやって貰わないと隣にいる私もきっとおかしくなる。晴れてばかりの毎日は心が枯れてしまう。