チーズバナナバターパンケーキ

Journal 30.12,2021

朝食はパンケーキ。バタバタと食事をして、仕事。あっという間に昼が過ぎて出かける時間。今日は後藤さんと後藤さんの彼のマサくんと忘年会。忘年会の前に後藤さん家の近所にある銭湯に今年最後のサウナに入りに行った。年末は1年を振り返ってゆっくりと過ごしたかったけど、全然そんな時間が無い。錦糸町の街を歩きながら何だか頬を通る風に思い出した。ああ、昨年の今頃はすごく怖かったな。離婚届を出したのは12月4日。もう元夫はいないのに、だからもう酷い事も起きない筈なのに、毎日の何処かがひんやりとし続けた日々。あの背筋が凍る感じや、胸のざわつき。久しぶりに思い出した。私はきっとこれからまた色々を忘れる。何だか周ちゃんに沢山の我儘を言ってしまいそうな気がした。この生活がやってくるまでは本当に長い道のりだったけれど、今が始まったらあたり一面は今一色になる。忘れない方がいい。これから新しい日々がどんどん温かい場所になっても、周ちゃんへの感謝を忘れないようにしよう。

それに、結婚はするけど、他人のままにしておきたい。一つになりたいじゃなくて、側にいてくれたら嬉しい。そんな関係でいたい。上手くいくか分からないけれど、私は今のままで彼とは交わりたく無い。もう誰かを傷つけることも傷つけられることも、同じ鍋の中でごった混ぜになって不味い何かになる必要なんてない気がしてる。大切にしたい。だから、別々でいい。

後藤さんの家に着いたのは17時過ぎ。後藤さんは色々とご飯を作って待っててくれた。私はキムチと焼プリンを作って、後は蒲鉾を持って行った。乾杯はビール。目を見合わせて笑った。かける言葉が多すぎるから、お互いに笑うしか無かったんだと思う。エベレスト登頂から帰還した有志みたいに生きてる今に歓喜。そんな感じだった。生きてて良かった。本当に良かった。私達は生きてる。あんなに酷い事があっても、今は笑ってる。

マサくんはお父さんが交通事故に遭って今日は来れなくなったけど、オンラインで参加。何だか面白い感じの忘年会。後藤さんが1時間並んで買ってくれたというマグロとキムチの和え物は絶品だった。ワインも2本目。結構飲んでる。後藤さんは顔が真っ赤でマサくんに飲み過ぎだって笑われてた。幸せだな。本当に幸せ。ああ酔っ払ったな。

帰ってお風呂を出たところで周ちゃんと電話した。周ちゃんは今日からまたロードトリップが始まるんだそう。後藤さんにデニムを4本貰ったことや、プリンを焼いたこと、新年会は4人でしたいとか、はしゃいで話してたと思う。今日、後藤さんと過ごせて良かった。明日で今年が終わる。長い長い1年がようやく終わる。何だか今日は言葉が出て来ない。どんな気持ちがするのかも上手にわからない。ただ、嬉しい。

キムチとシャケご飯とキムチと豆乳のスープ

エスニック 29.12,2021

昨日のワインが少し残ってる。そんなに飲んでないのにな。ちょっと朝から辛い。何だかクリスマスが終わったくらいから少しだけ気持ちが滅入ってる。今年最後の撮影を終えて帰宅。明日後藤さんにあげるキムチを漬けて、残ってる仕事をただひたすら終わらせていった。だけど、結局年内に終わらないものが沢山ある。正月で間に合いそうなものはもう諦めよう。大掃除と年賀状を優先させよう。

周ちゃんとの事もモヤモヤしてる。プリマリタルカウンセリングの本で家族に関する話を読んで、一昨日の夜に周ちゃんにLINEで聞いた。本当に良かったんだろうか。やっぱり会って話すべきだったかもしれない。気軽に聞いたり話す内容じゃなかった。ちょっと後悔してる。内容は元の家族と新しい家族への心の切り替えについて。結婚をする上で大前提にある問題らしく、家族想いな人によく見られる問題なのだそう。それは、悪く言えば元の家族への執着で新しい家族へしっかりと自分を移行する決意や覚悟を持てない人に起こる。自分を形成するのに大きな影響を与えてくれた元の家族を卒業し、新しい家族をパートナーと作る。これが結婚っていうもの。何十年と心の拠り所としていた場所から二度と帰らないよと出掛けるようなもの。そりゃ簡単なわけがない。だけど、そこで自分の居場所を間違えると大きな問題に発展するケースが多いという話だった。周ちゃんは家族が仲良しで、特に妹とはよく連絡を取ってる。それはずっといい事だと思ってたけど、少し距離も近い様な気もしていた。”大切なものを三つあげて下さい。” この質問に対して、”元の家族”と言った場合、この問題に該当している場合が多いとの事。不意に質問した周ちゃんのLINEには “元の家族” と書いてあった。そして、やっぱりと思ってしまった。

すごく迷った。お互いに傷つくのが分かってて言うなんて嫌だ。だけど、これからを恐れて大切なものを犠牲にしたくない。私の結婚や離婚をケースに家族を作るという事がどういう事なのかと、私が経験した上で感じた家族という考えをしっかりと伝えた。周ちゃんの今の考えを否定したくないし、そのままでいいと思ってる。それは今の周ちゃんを好きになったから。だけど、周ちゃんが元の家族の場所に居続けたいのなら、私は周ちゃんとは結婚したくない。それなら私達はパートナーっていう形でいい。自分でも何を言ってんだろうと思ったけれど、この結婚はやめた方がいいかもしれないと小さく覚悟した。LINEが既読になってからしばらくして周ちゃんから返答があった。怒るかなって思ったけれど、怒ってなかった。未だ経験の無い事だけど、初めから家族になりたいと思ってたって。少しほっとした。だけど心にわだかまりが残ったままに今日を終えようとしてる。

“今日はロッキー山脈を越えてモアブに到着したよ。” 夕方に入ったLINE。”電話出来る?” 夜の23時くらい、モアブが朝の7時過ぎに寝起きの周ちゃんから電話があった。周ちゃんはどうだったかわからないけど、私はずっとぎこちないままに2時間くらい話てたと思う。いつもみたいにどうでもいい言葉も笑顔もあまり出てこない。頭の隅に考えている事とビデオに映る周ちゃんが同時進行で今にある。どうしていいのかわからないままに時間が過ぎた。「朝ごはん作らなきゃ。もう切るよ。」こっちは夜中の1時を過ぎていた。「周ちゃん!一つ伝えたい事がある。5分だけいい?」「うん。なあに。」周ちゃんのなあにって声がいつもすごく好きだなって思う。今も本当に大好きだなって思った。

「周ちゃんが行ってから最初はすごく楽しかったんだけど、行ってらっしゃーいって気分だったんだけど、未だ1週間しか経ってないのにすごく寂しい。どうしてなのか、もう大人だし色々と恋愛も経験してきたし、周ちゃんとはもっと上手に距離を縮めていこうと思ってたんだけど、頭で考えている事と気持ちが想う事が全然コントロール出来ないみたいで。何だかすごく困ってる。私、寂しいみたい。」私は一体何を言ってるんだろう。LINEでの事も話したかったけれど、口が勝手に今の気持ちを、寂しいって想いを伝えていた。これってなんなんだろう。いいとか悪いとか頭で考えることはもう完全に無視してる。

電話を始めてからの2時間くらい、私の心が閉じていたのを周ちゃんも気づいていたかもしれない。周ちゃんの顔からいつもの笑顔がどんどん溢れてきた。気づけば顔がくちゃくちゃになって笑ってる。「あのね、よしみは電話で話す時は好きだって言わないのに、電話切ってからメールで伝えてくるんだよ。」「私、友達とか誰でも好きって堂々と言えるよ。周ちゃんには恥ずかしいだけだよ。」「だけど、素直に伝えてくれたら嬉しいよ。」元夫にも、昔付き合っていた恋人達にも同じ様な事を言われた事がある。一番に大切な気持ちに限って上手に表現出来ないよね。どうして後から言うの?ってよく怒られた。ずっとその理由が分からなかったけどようやく分かった。どうして私は電話を切ってから周ちゃんに好きだと伝えてしまうんだろう。「それは個性なのだから!」とさっきは咄嗟に反論したけど、本当はきっと、怖い。それが私だから。今やってる表現もそう。写真を撮るとか文章を書くっていう間接的に気持ちを乗せてしまう癖は私の色々に繋がってる。もし、それをやめたら私が欠けてしまうんじゃないか。私は色々が下手くそなのはわかってる。だけど変えるのは怖いんだ。「周ちゃん。分かった。練習しよう。」夜中の2時、面と向かって好きだと言う練習をした。私達ってバカだなって思ったけど、何だかいい。周ちゃんは楽しんで付き合ってくれてる。私はどんどん私を捨てちゃえばいいし、私はどんどんまた別の私になればいい。離婚して名前や家族を失ってアイデンティティの崩壊が起きて、気付いたら半分の私が死んでた、その時に生きるのは守る事じゃなくて変化していく事なのかもしれないってわかった。だから、私は私に居座る必要はきっとない。

電話を切って今日はLINEしようと思わなかった。だってさっき好きだと散々言ったから。もう好きだと言う気持ちが何処かに消えてしまうくらいに練習した気がする。だけど、大好きならきっとまた勝手に湧いてくるよね。今日はもう寝よう。周ちゃん、ありがとう。

周ちゃんが帰国したらあの事を話そう。会ってからその時の気持ちで話したい。

ふみえさんのお粥とスーパーのアジフライ

夕飯 27.12,2021

気付いたらもう昼。ほんとに厭だ。イライラしてくる。苦しい。時間が無くて苦しい!ベッドルームが朝陽で一杯になる頃、この本だけは読ませてと私にお願いした。カウンセラーさんの本で、プリマリタルカウンセリング、日本語で言うと婚前カウンセリングについてよく書かれた本。アメリカでは一般的らしい。1時間くらい夢中になって読んだ。ああ、また心理学を勉強したい。掃除機で一瞬で吸引されてしまうみたいに本の中に落ちていった。時間に追われるように洗濯だの、昨日の撮影データの入れ替えだの、瞑想だのをしてたら時間が勝手に過ぎていく。ほんとに苦しい。

簡単な化粧とランチ用のパスタを作りながら映像データでパンパンになってしまったHDDの買い替えたりを同時にやって食べてダッシュでカメラバッグを片手に駅まで走る。もう厭だ。疲れた。ほんとに厭。寒いのも辛くてダブルアタックされてる。青くて澄んだ空も何だかひんやりしてて優しくない。そうして一本電車を乗り過ごした。ふみえさんのアトリエへ急ぐ。「お疲れ様〜。」ふみえさんが笑顔で迎えてくれる。いつも元気なふみえさんといると、私の感情が上を向いたり下を向いたり忙しなく浮遊するのがわかる。ふみえさんも氷見でのシェフインレジデンスから帰ってから猛烈に忙しい師走を駆け抜けてる。私と同じ状況なのに最近ハマってるキックボクシングにさっき行ってきたの!とご機嫌な様子。未だ私はもう厭だを心で連呼中。それにしたって嫌すぎる。もしかしたら、ホルモンバランスが崩れてるのかな。何だかおかしい。

フミエさんを見習おう!フミエさんの太陽みたいな笑顔に少し元気が出てきた。よし、今日はストライキ。もう仕事はしない。帰りにデパートでアディクションの口紅を買って帰ろう。三茶のスタバに寄って甘い物を食べながら年末の暇を持て余してるみたいな女をやろう。コーヒーとマフィンを買って二階奥の席につく。シーンとした店内は混み合ってる。遠くにややかっこ良さげな男の子を見つけた。ああ、周ちゃんに会いたい。デンバーに着いたと今朝連絡があったけど、あなたは今何処だい。コロラドに入ってから一切の連絡が無いじゃないか。何だか、電話って言う連絡網が途切れたら急に忘れてしまいそうな気持ちに襲われてる。周ちゃんって本当は夢なんじゃないか。当たり前な昨日が世界から急に消えてしまう事を私は見た事がある。だから、ここにいない周ちゃんを信じてない。あれは、世界で一番に愛していた男がナイフを持って刺してくるような現実だった。最高と最悪がミックスして、プラマイゼロじゃなくて、最高と最悪がただ身体を引きちぎるみたいに対極に存在して、むちゃくちゃ痛い。ちぎれてくれた方がずっといい。どっちかの気持ちになれたらどんなに楽なことか。

あれ、ものすごく痛かったな。周ちゃんの顔が見たい。動く周ちゃんを見たい。私の毎日はこのままだと完璧になってゆくよ。きっとストライキが明けたらまた直ぐに絶好調になる。そしたらどんどん周ちゃんがいない今日が日常になっちゃう。

夕飯はキノコのお味噌汁をささっと作って、フミエさんに頂いた自然食で作ったお粥とスーパーで買ったアジフライ。何だかニコチンパッチを張りながら喫煙してるみたいな気分。周ちゃんからLINEが入った!

ラーメン

Journal 26.12,2021

朝から代々木上原のカフェでヤスコチャンとプロダクトのスチールとムービーの撮影。終わって直ぐに浅草橋で編集成田さんと撮影。そしてお茶をしながら恋の話を散々して帰宅。成田さんにモテ期到来中。というわけで周ちゃんのトレンディなキスの仕方について伝授した。既に時間は20時を過ぎてる。仕事が日に日に溜まっていって繰越が繰越を呼んでる。まずい。だけど今日も楽しかったな。周ちゃんからデンバーに向かうと連絡が入った。

ホタテとねぎのドリア

Journal 25.12,2021

思いの外今日は二日酔いじゃなかった。23時半を過ぎる頃、もうすぐワインを飲みきりそうな所でハッとしてやめたのがきっと良かった。今日は昼くらいまでベッドにへばりついていようと決めてる。午後過ぎからまた仕事。だから、それまでは200%私の時間だ。何だか最近予定が詰まって良くない。楽しいのはいい事だけど、もっと暇でないと困る。最近、歩く速度が早い。人に当たる回数も増えたような。ちょっと時間の見直しが必要かな。暇を増やさなきゃ。忙しさは大事なものを見失ってしまうから危ない危ない。

今朝は周ちゃんとは電話はしなかった。代わりに夜のマンハッタンを歩いてる映像が送られてきた。周ちゃんの兄ちゃんはマンハッタンに住んでて、何か事業をしているらしい。奥さんは国連の何かで働いてると聞いた。どんな生活なんだろうか。周ちゃんと兄ちゃんは似てるらしいけど、兄ちゃんの写真をLINEで見た時に余りにイケメンで目が飛び出ちゃうかと思った。周ちゃんをトレンディーにした感じの兄ちゃん。私の携帯にしっかりと写真を保存してる。今夜は3人でディナーへ行くと言ってた。いいな。NYでトレンディーな兄ちゃんとディナー。私もむちゃくちゃお洒落してくっついて行きたい。想像するだけで鼻血が出そう。

今日は周ちゃんからは連絡が無い。何だかちょっとだけ寂しい。おかしなもので、一人が楽しくて大満喫しているのに、ふと寂しくなったりもする。24時間のうち3時間くらいかな。ふと思い出す。生身の周ちゃんに会えるのは来年の先の事。今日は氷見で撮影したフィルムの現像が上がってきた。その中に数カット周ちゃんが写ってた。コンタクトシートをデスクに貼ってみる。気分が上がるな。兄ちゃんのファンだけど、周ちゃんの方が100倍好き。昨日、LINEで周ちゃんが “会えなくて切ないね。” みたいな事を言ってて、切ないっていつの時代の感情だよ!って思ったけれど、今夜は晩酌していないからかな。私にも切なさがやってきたかもしれない。

帰ってきてとは思わない。私が行きたい。

ロゼ

夕飯 24.12,2021

朝一番で梃子の術後の経過診察で病院へ。炎症が起こってた。「気づきませんでした?」先生の言葉が胸に響く。ああ、何やってんだろう。毛が伸びきってるとはいえ、気づいてあげれなかった。もしかしたらまたお尻を何針か縫うかもしれないとの事。その10倍でもいいから私のお尻を縫って欲しい。もうこれ以上は手術をさせたくない。

帰って直ぐに納品を済ませて美容院へ走った。朝6時からNYの街を歩き回りながら、街並みを動画で見せてくれる周ちゃんと長電話したのが悪かった。いや、どうして私達が出会ったのか、それは運命なんかじゃなくって必然だ!みたいな話で私が熱く世界に起こる必然について語ったから悪い。そして私よりもずっとずっと熱い男だった周ちゃんに火をつけてしまったのも後悔してる。大興奮の周ちゃんはブルックリンまで歩きながら熱弁が止まらなかった。というわけでなんだかすごくバタバタしてる。よくわからない服をパパッと来て、午後のロケハン用にカメラをカバンにしまう。今日は久しぶりにカラーリングをする予定。周ちゃんにだって一ヶ月は会わないし、クリスマス以降は家に篭ろうと思ってる。誰に見せるわけでもないけど、美容院へ行ってこぎれいにするのも悪くない。いや、すっごくいい。 私がご機嫌でいる為に美容院。なんて贅沢なんだろう。最高。

いつもの美容院で髪をカットしてカラーリングして、いつもの様に美容院の隣のポストカード屋さんでポストカードを買った。アンニュイな感じで店を営む夫婦だろう女性や男性に挨拶をする。これが毎月のルーティン。今日は後藤さんに渡すクリスマスカードと、パリのまゆみちゃんにニューイヤー用のカードを買った。気まぐれでポイントカードも作って貰った。きっと明後日には捨てちゃうかもしれない。朝方、まゆみちゃんからメールが入ってた。”おめでとう!手紙読んだよ!” 一ヶ月前に送ったプロポーズされた!というびっくり仰天してる手紙がようやく届いたらしい。何だかすごく嬉しかった。表参道の駅でベーグルを買って上原へ。後藤さんのいるお店でヤスコちゃんと打ち合わせ。

駅を出て通りに出ると、窓の外からでも後藤さんが笑顔なのがわかる。本当にこの人の笑顔が好き。お昼の代わりにブラウニーと紅茶を頼んだ。後藤さんと色々とお喋りして、ヤスコちゃんと週末の撮影の打ち合わせをして店を出て下北沢でロケハン。夕陽が綺麗。空が綺麗。冬の淡い空ってどうしてこんなに綺麗なんだろう。光の加減だってすごく丁度いい。最高だな。帰り道にずっと空を見てた。

梅ヶ丘駅で降りてリカーなかますでロゼを一本。「今夜ひとりで呑む様にカジュアルなロゼをください。」「甘いの?フルーティー?さっぱり?」お店のおじさんはいつも丁寧に聞いてくれる。今日は2000円くらいのワインにした。イブだからかいつもより店は混み合ってた。最高だよね。美容院行って、好きな人に会って、ワインを買う。今日は酔っ払おう!朝にHPの問い合わせフォームから知らない方からメールを戴いた。日記読んでます。励みになりますって書いてあって、そこには酔っ払ってメールしてますって書いてあって、最高!って思った。いいよね。酔っ払ってメールするの。

私は酔っ払った人が怖くなってお酒を飲む人が少し苦手になっちゃったけれど、お酒は悪いもんじゃない。何だかすっごく素敵で粋な感じだった。だから、今夜は飲む。家はずっとクリスマスソングをしつこくかけてやろうと思う。そして、NYが朝になる頃、私はへべれけで周ちゃんからの電話に出る。きっとご機嫌で。

今朝、周ちゃんに話した。「なんかさ、こないだ気づいたんだよ。もしかして、今って人生で一番幸せかもしれないなって。」周ちゃんに出会ったから幸せっていうんじゃない。仕事だとか、人間関係だとか、家族とか、そして周ちゃんとの出会いも。ぜーんぶがいい。「えー!!本当に!!」周ちゃんはビックリしてた。「だってさ。生きてて、今より幸せな事ってあった?最低とか最高とか沢山あったけど、だってそうでしょ。」幸せになる為に毎日生きてる。今が一番じゃない理由なんて何処にもない。だって、毎日頑張ってるもの。毎日毎日、今が幸せになる為に、恋愛だけじゃない仕事も色々も全部頑張ってるもの、今が一番でいたい。もし、最低な事が起きても、そうじゃなくなるように頑張ってる。だってさ、生きるのって頑張ってることだよね。何もしなくたって、空気吸ってるだけで疲れる事あるもの。だから、今日が一番であって欲しい。

ラザニアのスパゲッティ

洋食 23.12,2021

朝から納品だとか、撮影データーのアタリを作ったりバタバタと午後が過ぎて行った。夕方は編集成田さんとお米の撮影。場所はライスプレス編集部。何処かの会社にお邪魔すると、会社っていいなぁってワクワクする。人の集まる場所って活気があっていい。

移動中にいつも受けてたカウンセラーさんのラジオを聴く事にした。「よしみさんの話をさせてくれない?」「勿論です!名前だとか何でも喋って頂いて構いませんよ。」ラジオの最後の方で私の話をしてた。ラジオから自分の話を聞くのは人生で二度目。不思議な気持ちで一杯。ドキドキしてるような、他人事のような変な感じ。絵に描いた様な最低なミュージュシャンにDVだとかモラハラを受けて、共依存状態の結婚生活から抜け出し離婚して新しい愛を見つけた!という劇的な話だった。私って共依存だったんだ。自分では共依存についてよく勉強したし、そうじゃないって思ってたけど、共依存っていう場所にカテゴライズされていた事に驚いた。けど、別にその事に関してはへーって聞いていた。それよりも、人の口から、ラジオから聴こえる一人の女の人生は怖いくらいに壮絶に見えた。そして誰かの為に必死に頑張っていた事が共依存となっていた現実に驚いた。人間って中から見た世界と、外から見る世界はこんなにも違うんだな。

成田さんはほんとに可愛。皆に愛されてるなぁって事務所での彼を見てるだけで温かい気持ちになる。私の知ってる限り皆が彼を好きだと思う。そして、私も。今日は編集長の稲田さんとインターンの女の子がいた。稲田さんは会う度に髪が伸びていく。「オカキ食べます?」久しぶりに会った稲田さんからの言葉。今日も中々なパス。絶対に毎度外さない。撮影中のパサパサした口の中にオカキを一つ放り込んだ。「日記、僕も登場してるそうで。読みますね。」ものすごく尊敬しているけど、また今日も稲田さんの魅力にじわじわと襲われる。

撮影を終えて渋谷駅までだらだらと歩く。明日はイブなんだよな。今年も一人のクリスマスと一人の正月を過ごす予定。大晦日と1日は家族や友人と過ごすけれど、後はずっと一人でいたい。とにかく、ここで一人暖をとりたい。年が明けたら、一旦中止にしてた日記をまとめて写真集を作りを再開しようと思う。他にもやりたい事が沢山ある。心理学の勉強も映像も、もっともっとやりたい。だけど、お金はかけたくない。だってやりたいだけだもの。本当にやりたいだけ。知りたいの撮りたいのだけ。本当にそれだけ。嗚呼、クリスマスが楽しみ。家族と恋人と夫とのクリスマスも気に入っていたけれど、一人のクリスマスって本当に最高なんだよな。周ちゃんの事だって大好きだけど、アメリカで過ごしててくれて有難い。私の一人きりの最高なクリスマス。考えるだけでワクワクしてきた。

ラザニアのスパゲッティー
茹でて余ったラザニアの麺
玉ねぎのみじん切り
ブラックオリーブ
焼いたこんかいわし
トマト缶
モッツアレラ
ヴァージンオリーブオイル

朝食

Journal 22.12,2021

ご飯を二杯お代わりしてから、周ちゃんは成田へ向かった。久しぶりに家に一人でいる。一人でいる時間が最高に好き。この家も最高に好き。梃子との生活も最高に好き。勿論、周ちゃんも最高に好きだけど、ここでの暮らしが大好きだ。またしばらく一人暮らしが始まる。寂しさ半分、嬉しさ半分。

夜中に姉と電話した。母の “結婚は反対!” この件について話したかった。「私も正直心配はあるよ。何でそんなに結婚を焦るの?って思った。だけど、二人で決めたことで、よしみがいいと思うならいいんじゃない。ママは無視していいよ。それに、よしみが恋愛が出来た事にあっぱれじゃんってママに言ったよ。いいじゃん!いい事だよ!!だから堂々としていいんだよ。」

2時間くらいずっと話してた。離婚して半年を過ぎた頃から、段々と日常が戻ってきた。1年経った今は最高に幸せで、多分、人生で一番楽しいかもしれない。そんな時に周ちゃんに出会った。だから、そう。姉が言うように堂々としていい。離婚した事も全く後悔してないし、恥じても無い。母を悲しませたくないとも思うけれど、母が望むのは私の幸せであって、母の希望を聞く事じゃない。私は私の人生を生きればいい。この家に引っ越して来て、どんなに不安だったか。怖くて怖くて堪らなかった。世田谷通りを走るバンを見るだけで胸がバクバクして、夜中に玄関の外で物音がするだけで元夫が来たんじゃ無いかと背筋が凍った。未だに深夜のタクシーのドアを閉める音がすると、毎晩聞いていたあの音だったなと思い出すけど、もう怖く無い。少しずつ少しずつだった。母は知らない。私の色々を知ってる様で、周ちゃんに出会うまでどれだけ長い道のりだったのか、この1年がまるで10年くらいの道のりだった事なんて知らない。ただ街角で遭って恋に落ちた様な出会いじゃ無い。私は周ちゃんが好きだけど、それ以上に周ちゃんに出会えた事で世界が変わったことが彼との結婚に繋がってると思う。周ちゃんは私の人生に必要な人。

やっぱり私達のタイミングで結婚しよう。私の幸せは私が決めたい。

朝食
ご飯
豆腐ときのこのお味噌汁
めかぶ
ロースハムとマヨ
昆布のナンプラー佃煮
納豆卵
梅干しとキムチ
柚子の味噌漬と柚子胡椒

晩酌

Journal 21.12,2021

朝はフミエさんの料理を撮りにアトリエへ。今日は野菜のちらし寿司。最高に美味しかったな。お土産に立派な柚子を戴いた。そのまま急いで帰宅して別の機材を持って人形町へ。今日の現場は編集成田さんと一緒。周ちゃんはアメリカにいる家族と今回のアメリカ旅行の打ち合わせをしてから、PCRを受ける為に神保町へ向かった。

撮影が終わってから近くで周ちゃんとお茶をしようとなった。朝、写真を撮りながらフミエさんに聞いてみた。「あの、母に結婚の事を言ったら、まだ早い。反対って言われちゃって。父も。もし、フミエさんならどうしますか?」「えー!!意外だったね!だけど、親心を想うとちょっとわかるな。だけど、私なら強行突破かな!」フミエさんらしい明答だった。もし、うちの姉だったとしても、完全に強行突破だろう。何なら取っ組み合いの喧嘩をして、啖呵切って出て行く姿がありありと想像出来る。だけど、私には出来ない。「周ちゃんに言った?」「周ちゃんには言えません。だって婚約破棄の事があるから。もし言ったら、明日からのアメリカがずっとどんよりですよ。」「私なら話すかな。だって二人の問題だし。これから結婚するんだもの!」

私が私の人生を苦しめたのは元夫ではなくて私自身だと思ってる。助けてと言えない代わりに、私なら出来ると、どんどん地獄に向かって自らの足で降りて行った。心療内科の先生に何度も言われた。「どうして助けを求めなかったんですか?」警察にも言われた。「彼の事じゃなくて、あなたの話をして下さい。」私は苦しいとか、悲しいとか、私が辛いから助けて欲しいと言えなかった。「フミエさん。私、周ちゃんに親のこと、言おうと思います!」

周ちゃんが近代美術館の民芸展の図録を見ながら嬉しそうに話をしてる。だけど、殆どが耳に入ってこない。言おうかな、いや今日はやっぱりやめようかな。アメリカへ行って数日してからがいいかな。どうしよう。いや、言おう。いや、やめよう。学芸員という仕事はお喋りっていうお仕事な気もしてる。とにかく楽しそうに図録とのお喋りが止まらない周ちゃん。私は皿の横にある添え物みたい。時間だけが勝手に過ぎていく。

「周ちゃん。あの、ちょっと話したい事があって。哀しまないで聞いて。」1時間くらいかけて話した。両親が結婚に対してネガティブである事や、思っている以上に離婚のトラウマの中にいた事。それが周ちゃんとは関係がないけど、私達の未来に関係してしまう事。それから、本当は不安だったけどふみえさんのお陰で話せた事、それから、私が何でも一人で解決する人生はもう終わりにしたいって事も。後、何だか反対された現実に腹立たしい気持ちもあって、とても今の私は苛々している事も話した。「私は周ちゃんと絶対に結婚すると決めたし、絶対に何があっても悲しませないから。周ちゃんを私は幸せにするから。マジで。」自分でも驚く位に闘争心に燃えていた。「よしみが逆境に強いとは聞いてたけど、これなんだね。何だか凄く驚いたよ!あなたって人は。」目を丸くして感心してる。ほんの数日前まで、結婚がどうか順調に出来ますようにと願うような気持ちだったけれど、今となっては祈るとかじゃない。結婚に対するどうにも出来なかったべったりとした不安は怒りが綺麗さっぱりと吹っ飛ばしてしまった。周ちゃんは想像しているよりもずっと哀しんで無い。私の不安がったり怒ったりしながら話すヘンテコな感情の様を見ながら、何だかどっしりとそこに座って耳を傾けてくれている感じだった。「話してくれて有難う。」嬉しそうに言った。

店を出るともう夜。駅まで一緒に歩いて、さっき撮影の後に成田さんに聞いた先日の恋の話をした。朝方に飲んだ帰り道、恋が始まりそうな予感の中で気になっている女の子と手を繋ぐ。聞いてるだけでキュンキュンする話だった。どうやって手を繋いだのかを成田さんに聞いた通りに教えると、ニンマリしてた。そして地下鉄へ降りる出口でハグとキスをして、私は電車で世田谷の我が家へ、周ちゃんは自転車で所沢まで帰って行った。21時を過ぎる頃、ビールを飲みながら湯豆腐をつついてる時だった。周ちゃんからのLINEが入る。”家の鍵がない。よしみの持ってる鍵は家にある?” いつも入れてるスヌーピーの財布の中を覗いた。「え!!周ちゃん、ないよ。」直ぐに電話した。二つある筈の鍵が同時に失くなっちゃうなんて。「それから、実は自転車で転んじゃって。血が出てる。」「どこから?」「顔とか。」

電話をしながら周ちゃんはドラッグストアへ行き、絆創膏を買った。店員に「大丈夫ですか?」と聞かれてる音がする。結構に擦りむいているんだろう。想像するだけで心配が膨らんでいった。「幸いパスポート一式はここにある。最悪このまま行くよ。」

何だか凄く申し訳ない気持ちで一杯だ。何度か思った。半同棲を初めてから、お互いにお互いの生活が乱れて来ている。それは新しい生活の始まりだから仕方無いと言えばそうだけど、もう少し時間も距離もゆとりを持てば良かった。周ちゃんは私が知っている以上に真面目で、びっくりするくらい抜けてる所がある。私の様に塩梅で加減する事が出来ない。まっしぐらに私との新しい生活や新しい色々に没頭してたんだろう。自転車で顔から転んで、家の鍵を二つ無くして、明日からアメリカ。だけど、私が恐れてるよりもずっと彼は生きる力のある男な気がした。大丈夫。命さえあれば、アメリカでもどこでも行ける。私がする事は心配じゃなくって信じる事かもしれない。もう心配は過去に捨てよう。前の結婚はいい加減にしてくれって程に心配ばかりが毎日やってきたけど、もう私には心配はご無用。

晩酌
湯豆腐
フミエさんに戴いた柚子で作ったポン酢
栗原はるみさんのハルミダレ
サミットで買ったレバーの惣菜

ラザニア

夕飯 20.12,2021

昨日、所沢の周ちゃん家でミュージアムのキュレーターの同僚達とピェンロー鍋をした。優秀な仲間だと日頃からよく話は聞いていたけど、想像以上に世界の違う場所に位置する人達だなぁと思った。周ちゃんもそうだけど、彼等はアートに関するプロフェッショナル。とにかく色々な事を熟知していて、ただただ感心する様な言葉くらいしか私からは出てこない。

同僚の高橋君は周ちゃんと歳も近いし、何だか風貌も少し似てる。そして、周ちゃんの色々を知ってるみたいで、周ちゃんが私に話さなかった恋の始まりにあった事を当たり前の様に教えてくれた。中には赤面してしまいそうな事もあったけれど、とにかく一つ残らず戴いて、明日にでもニヤニヤしながらテーブルに広げて愛でたいと思った。

それにしても、好きな男の友人だとか同僚に会うっていい。私の知らない周ちゃんっていう男に出会ってしまった。その人は想像以上にいい男で、時空を超えたどこかで同僚となってエレベーターで「お疲れ様、休憩にコーヒーでも飲まない?」なんて、内心ではドキドキしながらフレンドリーに声をかけてみたい。とにもかくにも、惚れ直した夜だった。

お陰様で私の恋に火が付き助走して母に伝えたLINEが事故となった。”新年明けて、ママパパに紹介したら結婚しようと思ってる。” 彼氏が出来た事ですら母にとっては衝撃的なニュースだったのに、大分すっ飛んだ報告をしてしまった。周ちゃんは油が馴染んだ茄子が好きだと聞いていた。だから今夜はラザニアに揚げた茄子を入れたら最高だろうと作ってみる。携帯がバイブしてる。ディスプレイには “パパ” と表示。19時半。絶対にもう晩酌が始まってる時間。一気に気分が落ち込んで行った。親が子供を心配するのは当たり前だと思う。だけど、私がようやく離婚の闇から抜け出せたのに、この1年の間、少しずつ少しずつ、本当に亀の一歩くらい小さなステップで前へ進んで出会った恋。あれだけ怖かった男性にまた触れられる日がやってきた。今でも周ちゃんっていう人がいつどこから降ってきたのか理解出来ないくらいに、世界が真っ逆さまにひっくり返った。だけど、父も母も喜んでいないんだ。あの二人はあの過去に留まったまま。

何も知らない風呂上がりの周ちゃんは満面の笑みでラザニアを頬張ってる。美味しい美味しいって、なんども美味しいと言って食べてた。この人を悲しませたくない。周ちゃんは好きだった女の両親に婚約を破棄された過去がある。その時の事を 、人生ってどんなに頑張ってもどうにもならないことがあるんだよねって笑いながら話していたけど、それは私には大抵想像が出来ない哀しみだよ。

不安がただ募る。

夕飯
茄子とミートソースのラザニア
シラスと蕪のオイル和え
柚子の味噌漬け
蕪の葉の台湾風
昆布のナンプラー佃煮
納豆
野菜の味噌汁
ご飯


湯葉鍋

Journal 17.12,2021

朝一番に鎌倉で撮影を終えて、午後はマリンバ奏者の千田くんのポートレートの撮影で渋谷へ。千田くんに会うのは2年ぶりくらい。嬉しいな。

千田くんは絵描きの野村さんに紹介して貰ってから仲良くなったけど、高校の親友ユウキの音楽学校の後輩だったという何とも縁を感じる出合いだった。久しぶりの千田くんは驚く程にスリム。「よしみさん、僕が痩せた理由知ってましたっけ?」千田くんは2年前、とんでもない彼氏に振られた失恋で20kg痩せたとの事。そのハードな哀しい失恋話をピザまんを食べながら聞いた。痩せすぎて病院を3軒回ったけど、結局ただの恋煩いだったのだそう。私は離婚と結婚の報告をした。「ああ、旦那さんと大変って言ってましたもんね。」全く覚えてない。コロナ前は平和だと思ってたけど、大変だったらしい。最近、たぶん、また記憶が消えていってる。あの頃の事を前の様にぱっと思い出せない。全く違う今日が過去の上にどんどん積み重なってゆくみたい。ずっとずっと下の方にあるから見えない。

久しぶりに色々とお喋りして、写真を撮って、マリンバを演奏して貰って、演奏させて貰って、何だかすごく楽しかった。

夜は藤原さんと藤原さんの彼氏のしんちゃん、周ちゃんの4人で湯葉鍋をした。村上美術のゆうやくんは仕事のトラブルか何かで来れなかった。しんちゃんには、ちょっと前に鎮座ドープネスさんの映像を撮らせて貰った時に大変お世話になった。改めて食卓を共にしてすっかりしんちゃんのファンになってしまった。しんちゃんは少し年上で昔俳優をやってたのだそう。その名残なのか、言葉だとか表情が独特。藤原さんの家族の食卓の事をあの食卓は眩しくてって話してたのがとても印象的で素敵な表現で何だかぐっと心に響いた。

二人は少しづつ、少しづつ、長い時間をかけて一緒に生きていく為の形を作ってる。何だか私と周ちゃんは本当にこれでいいのかなって不安になった。藤原さんは、私達の事を昔からの付き合いみたいで、出会ったばかりとは思えないって言ってたけど、嬉しいようなそうでも無いようなよくわからない気持ち。

周ちゃんは私を大切にしようとしてる。私もそうだけど、私達はどうして結婚するんだろう。理由は好きだからだとしても、好きだけど離婚した男もいた。ならば、私達はどうして一緒に生きたいんだろう。事実婚にするか、法的な結婚にするのか迷ってる。結婚って何なんだろう。どうして籍を入れたり入れなかったり、愛だけをただささやかに誓い合うだけじゃ駄目なんだろうか。ややこしい事をしてまで何を私達は望めばいいんだろう。

ハムエッグ

Journal 16.12,2021

朝から撮影だった。今日の現場は編集のアキチャンと一緒。一ヶ月ちょっと前、撮影が終わってランチをしてる時にアキチャンに気になる人がいるけど、まだちょっと誰かと恋をするのが怖い事を話した。「全然大丈夫だよ。」アキチャンのあの時の明るい表情をよく覚えてる。

友人だとか、誰か身の回りにいる大切な人の声は、時々大きく背中を押してくれる。アキチャンに結婚を報告すると喜んでくれた。

帰宅して周ちゃんにアキチャンの話をすると笑ってた。どうしてそんな話になったのかわからないけれど、もし、まだ過去に苦しんでるのなら力になりたいって言ってた。周ちゃんはもう過去に苦しむ事は無いんだろうか。聞いてもきっと未来の話しかしてくれないのはわかってる。だから、探らない。私も今だとか未来の話がしたい。

ちゃんちゃん焼き

Journal 15.12,2021

東京に帰ってから、また片耳が聞こえなくなった。だけど、周ちゃんが家に来てから、今朝も、耳からはいつもと同じ音が聞こえてる。そして、不思議なもので、一緒にいたいという気持ちは、いつしか離れたくないに変わってきている。

午前はデスクワークをして、午後に一本撮影があった。帰りの電車で編集の子から、彼氏がモラハラかもしれないんですって話を聞いた。モラハラ。私も、法的に言えばモラハラだった。妻の務めは、女の努めは、私に一択の人生を強いた。「俺はどっちでもいいから、離婚するかどうか好きにして。」久しぶりに帰宅した元夫からの言葉。そして、私達の最後。

「黙って。俺の好きにさせて。」どんなに酷い事があっても、彼の欲望は絶対的となり、それがミュージシャンとしての生き方として彼は肯定されてた。友人やファンが待ってるのだから、とにかく黙って。よく理由がわからなかったけど、私はただ家で帰りを待って、食事を作っていただけなのに、虐げられて行った。「言い返せないんです。」編集の子の言葉が全身を駆け巡る。わかる。正確に言うなら、言い返せさせてくれないんだよね。どんなに訴えても、そんな現実が間違ってる事がわかっていても、私の声は世界から当たり前の様に掻き消されていった。そして、それが愛だと愛だと愛だと、毎日の様に全身に纏わりついてきたら、いつしかそれが愛になってしまう。たった二人の出来事が私達の世界を作っていく。なぜだか、どうしてだか全然わからないのだけど、心に鋭利なものを当たり前の様に刺し続けられてるのに、自分が悪者になってる。そうして、言えなくなってゆく。全てが必然だった。

周ちゃんと食べる食卓は安心する。買い物にいき、何時間もかけて作った食事を、犬の食事の様に10分も経たずに貪られた皿の残りをつつくような事はもう無い。街でどんな女とすれ違ったら振り返るかなんて、どうでもいい話をしながら鍋の中をずっとつついていられる。

夕飯はちゃんちゃん焼だった。

ハヤシライス

夕飯 14.12,2021

母に車で駅まで送って貰った時に聞いた。「1月って忙しい?ちょっと紹介したい人がいるんだけど。」「BFだよ。結婚前提に付き合ってる。」「あらまぁ。どこの人?」「北海道出身だよ。」「良かった、関西だけは嫌。」

電車に乗ってから、母に周ちゃんの色々を改めてメールした。表参道でヤスコちゃんと打ち合わせしてから、病院へ。母から着信。あ、気にしてるんだろうな。”病院だから、終わったら電話する。”

「だって、アッちゃんやヤッチャンが兄弟としてよしみを想うのと、ママやパパが想うのは違うのよ。あんな経験しなくていい事なのに、ママとパパは、だから心配なのよ。相手がどんな人であろうと、立派だろうがいい人だろうが、きちんと相手を見たいの。」私が勝手に選んで勝手に不幸になったのに、母は父も、自分達を責めてるように聞こえた。

離婚の話をするのは久しぶりだった。姉とは何度も何十回、何百回としてきたけど、父は何も言わない。兄や母はあの過去を封印してるみたいだった。「ママ、あの人の名前はお願いだから出さないで。」私だけじゃない。私達家族が、あの離婚に今もトラウマを持ってる。家族の全員がきっと関西弁を聞くだけで胸の奥がちくちくと疼くんだと思う。もう二度とあんな出来事は起きる筈ない。もう私を苦しめる人は私達家族の前から去った筈なのに、今も尚、私も家族もあの過去に苦しんでる。

仕事を終えた周ちゃんが夜遅くに来た。母との話を話すかどうか一瞬迷ったけど、話すことにした。周ちゃんはぎゅっと私をハグして背中をさすってた。私達の苦しみを彼は今どう見ているんだろう。肩越しに夜の窓を見ながら目頭が熱くなった。そろそろ声も震えそう。だけど、泣くのをやめた。過去を偽ったり隠したくない。だけど、あの苦しみや恐怖の事は知らなくていい。

12月13日

Journal 13.12,2021

1週間のレジデンスが昨日に終わって、フミエさんは東京へ、山若くんは富山市内へと宿を後にした。私は周ちゃんと観光をしてから帰る事にした。一昨日から右耳がまた聞こえずらくなったけど、周ちゃんに会ったら聞こえるようになっていた。片耳が聞こえなくなると不便が多い。半分が海の中にいるみたいになるから何だかぼんやりするし、単純に誰かの声が聞こえずらくなる。耳が聞こえなくなるのは、ストレスと緊張から血流が悪くなるからだと母が言ってた。母も仕事が忙しいとなるのだそう。だけど、どうして周ちゃんに会っただけでそれが治るんだろう。固まった何かが氷だとかチョコレートが溶けるみたいに世界の半分の音が帰ってきた。出会って一ヶ月。私が思っている以上に私のどこかは周ちゃんを必要としてるのかもしれない。

12月11日

Journal 11.12,2021

夜中に夢にうなされて目が覚めた。元夫との地獄な毎日がリプレイする夢と、子供の頃からよく見る海に溺れる夢。この1年、元夫の名前は一切口に出さなかった。その言葉だけで、全身が凍りついてしまうから。「あの男」「元夫」「彼」みたいに、一切シルエットが見えない言葉で呼んでいたのに、昨晩、ベッドで目を閉じた後、何故か名前が不意に出てきた。「菊地くん」って。きっとそれが悪かったんだと思う。

怖くて目が覚めたけど、その数時間後にやってきた今日はさっさとそれを消してくれた。早朝に三人で海を走って、虹を見た。海から山にかけてかかる大きな虹。あんなに大きな虹は久しぶり。今日はそれぞれが忙しい日。明日のイベントの準備や、私は宿の撮影がある。それから昼過ぎに旧友の谷くんと会う約束もしてる。谷くんと会うのは6、7年ぶり。最後に会ったのは、茨木かどこかでお菓子工場の映像の撮影の時にディレクションをお願いした時。背が低くて派手な顔をした女の子と5年くらい付き合った後に結婚して平塚の方に家を買い、その直後に離婚した。二人に何が起きたかわからないけど、彼女はいつも色々が突然な子だったから、きっと離婚も突然だったんじゃないかなと思った。数カ月後、10年くらい働いていた会社を呆気なくやめて富山へ帰った。彼女の一人でも出来てるといいな。出来てることを願って会った。

「離婚した当初は、明日からどうやって生きていけばいいのかわからなくなってさ。」当時の私は「世界には女なんて一杯いるんだから大丈夫だよ〜。」なんて、どこにでもあるような言葉をかけたけど、離婚をしてからあの言葉がどんなに下らなかったのかわかった。だから、何だか申し訳ない気持ちだったし、少しでも幸せでいてほしいと願ってた。

「嘘でしょ。聞いてないよ。」
薬指のシルバーの指輪を見せる谷くん。ニンマリとしてる。コロナ禍と年下の女性と再婚したのだそう。あの谷くんが?いつもノンビリしてて、ぼんやりしてて、誰にでも優しいけど、なんだか頼りなくて、「優しくしすぎたから逃げられたんだよ。」共通の友人のたろちゃんんが言った言葉を私も頷いてしまったけど、その谷くんが結婚だなんて。

「本当にありがたいよ。すごく感謝してる。それに、今がすごく幸せだよ。」
谷くん、目から涙が溢れそうだった。谷くんってこんなにしっかりしてたっけ?こんなに堂々と幸せについて語るような男だったっけ?今日の谷くんは私が知っている中で1番カッコよかった。身内だけでやったという結婚式の写真を隅々まで見せて貰って、とにかく心から祝福した。

「あのね、私、離婚したんだよ。」
「えー!そうかぁ。よっちゃん大変だって言ってたもんね。」
「うん。でね、結婚するの。」
「えー!!」

次に来る時は旦那さんと新居に泊まりに行くねと約束した。谷くんに会えて良かった。谷くんは自分の事のように私の離婚についても結婚についても話を聞いてくれた。夜は恒例の温泉。今日は氷見の秘湯。日本でも5本の指に入るという秘湯なのだそう。山奥にぽつんとある。今にもお化けが出てきそうな廃墟風の温泉。男湯と女湯は藁一つだけで仕切られていた。フミエさんと今日は湯船に浸かりながら結婚生活について話した。いつもみたいに笑って話してるうちにあっという間にのぼせた。

夕飯は海鮮鍋とささやんが作ってくれたイカリング。あまりに美味しくて、みんなで何度も美味しいを連呼。ささやんはニコニコ嬉しそうだった。可愛いな。山若くんはイカリングを独り占めしたそうだったけど、最後の一つを貰ってすごく喜んでた。夕飯の後、山若くんと二人で口笛のリサイタルショーを皆に披露。笑いすぎてお腹がよじれすぎて盲腸になりそうになったけど、なんであんなに笑ったんだろう。曲は久保田利伸さんのLA・LA・LA LOVE SONG。練習には何時間も費やした。あの曲ってやっぱり名曲だな。

12月10日

Journal 10.12,2021

朝5時過ぎに起きて作業を始めようとテーブルに着くと、山若くんが部屋から出てきた。「おはよう。よしみさん、お風呂に行こうよ!」未だ半分寝てるような顔だった。真っ暗の中、海の遠くに赤オレンジ色の光が燃えるように光ってる。時間は6時を過ぎていたけど、夜の中を車で海岸沿いを真っ直ぐと走った。今向かってるのは海が見える露天風呂のある温泉。

お風呂から帰るとフミエさんがご飯を炊いててくれた。昨日の夕飯の残りのつみれ汁と炊きたてのご飯に卵をかけて卵かけご飯。昨日二人が喫茶店のママと仲良くなって貰ってきたハバネロ味噌も美味しかった。今日も天気が良さそう。これから私とフミエさんはナッチャンと一緒にイベントで使う野菜の収穫をしにヨロさんの畑へ向かう。山若くんは「お皿は僕が洗うからいいよ。」って支度で忙しない私達の為に後片付けをしてくれた。山若くんから出る言葉はたいがい尖ってるけど、山若くんって人の中身には優しさがたっぷり詰まってる。この旅でより一層に山若くんが好きになった。

カメラを二台ぶら下げて撮るのはすごく疲れる。天気が最高だし、畑も最高だけど、案の定酔った。時々、カメラのズシリとした重さだとか、慣れない変な体勢が続くと気持ち悪くなる。撮るのをやめてナッチャンと車の中で休憩した。ナッチャンはあと2週間で赤ちゃんが産まれる。色々と私達の為に動いてくれるけど、なるべく安静をとってる。車の中でイベントへの不安な気持ちとかを少し聞いた。こんなに大きなお腹をして、今に不安が無い方が不思議だと思う。出来るだけ何でもいいから役に立ちたいって思った。

畑の収穫の後はみつおの山へ行った。前回の時はみつおさんに会えなかったけど、今日はみつおさんと近所のお友達が顔を真っ赤にして畑の中の小屋で宴会をしている最中にお会い出来た。同じ日本でこんなに伸び伸びと自由に生きてる方がいるって思うと、都会の日々の中での不意に歪みそうになる出来事に出会っても無かったことに出来そうな気がした。びっくりするくらい大きな白菜とカブを頂いて、疲労が溜まってる私とフミエさんの甘い小麦が食べたいっていうリクエストでナッチャンお薦めの焼き菓子屋さんへ寄って貰って宿へ戻った。

ベッドルームに午後の光が差し込んでる。この時間のこの部屋が好き。午後は陽だまりの中で作業をしよう。いつしかベッドに転がって眠っていた。起きると山若くんが帰ってきたみたいで午前に買ったケーキをフミエさんと食べようとしてる所だった。「ケーキを開けたら起きてきたー!」って二人が笑ってた。私はアラームが鳴ったから起きたんだよって何故か一生懸命に弁明。寝起きのケーキ、すごく美味しかったな。フミエさんは1Fのキッチンへ戻った。私は作業へ戻って、山若くんも仕事を始めた。

“夕焼けが綺麗ですよ〜。” 笹やんからグループラインが入る。「山若くん!夕陽が綺麗だってよ!」カメラを二台持って屋上へ走った。なんて綺麗なんだろう。溜息だけがでた。今頃、みんなこの夕陽を見てるのかな。ナッチャン、フミエさんの顔が浮かんだ。私はこの人達が本当に好きだ。食卓を共にして同じ寝床で暮らしを共にする。宿を営む笹やんとナッチャン。滞在メンバーである料理家のフミエさん、編集者の山若くん、そして私。富山へ来る前は初めてのシェフインレジデンスでの共同生活だとか色々に少し不安だったけど、すっかりと気に入った。いや、どっぷりと愛してる。日常の中にはこんなにも色々な物が詰まってるんだって。

夕焼けが綺麗ですよって、すごく素敵な言葉だな。日々を愛で出した私はきっと東京へ帰ったら寂しさで一杯になるんだと思う。後2日。レジデンスの最終日は周ちゃんが東京からやってくる。

12月9日

Journal 09.12,2021

今日は朝からカタログの撮影。夕方に皆んなで合流して源泉掛け流しの温泉に行った。岩がゴツゴツした温泉。煙がもくもくとしていて、最高に気持ちがいい。いつもの通り私が一番最後に休憩所へ行くと、ぼーっとテレビを見る山若くんは完全に魂が抜かれてしまったみたいな顔だった。

シェフインレジデンス4日目。楽しいばっかりが一日をあっという間に満たしていく。

12月8日

Journal 08.12,2021

朝食は昨日山若君が買ってきてくれたパンと人参の葉っぱのサラダとバナナ。食後にコーヒー。それから、山若君に結婚の報告をした。会って直ぐに話したかったけど、何だかんだと3日経ってしまった。山若くんは周ちゃんと付き合った報告をした時に「そいつはSEXが絶対に変態だから!」と勝手に断言してたけど、その変態男と私は結婚をする。山若くんは思ったより驚いていなかった。「おめでとう。」え?なんで。優しすぎる声のトーンに絶対なにかあるに違いないと少し警戒したけど結局なにも無かった。8時過ぎまでダラダラと3人でお喋りをしてから温泉へ向かった。フミエさんも山若くんも大好きだ。3人で食べる朝食が楽しくて仕方が無い。食卓を囲んでコーヒーを啜ってるだけなのにどうしてこんなに楽しいんだろう。また明日も同じ食卓が囲めるんだと想像するだけで私の隅々が満たされてしまいそうになる。

午後は麹屋さんへ行って、その後にイベントの食材用に豆腐屋さんに行き、定食屋でラーメンとクリームコロッケという高校生が食べるようなランチを食べて、そのまま商店街を歩いた。商店街は半分以上やってない。その中にポツンと大きな魚屋さんがあった。小さくて可愛いお婆ちゃんが店番をしてる。夕飯の魚を見ていると、お婆ちゃんが話しかけてきた。旦那さんを亡くして、息子夫婦と一緒に魚屋を営んでいるのだそう。このビルに一人で住んでいて、ビルの屋上から見る立山連峰の景色を朝一番に見るのがとにかく幸せなんだとか。

温泉から帰って、私とフミエさんは宿のキッチンで笹やんとなっちゃんと四人で味噌びらきを始めた。越中味噌は麹の量が多い。塩分が強く、ベチャッとしたのも特徴。HOUSEHOLDで作った越中味噌以外に、近所の方が信頼してるという坂本麹屋さんのお味噌、なっちゃんがいつも食べてるという味噌、ヨロさんに頂いた3年と10年味噌の食べ比べをした。同じ越中味噌でもそれぞれに特徴がある。まさに研究してる感じで面白かった。

なっちゃんは笹やんが大好き。いつも、「笹やん大好きだよ。」って、みんなの前だって豪快に甘える姿が可愛くて仕方がない。なっちゃんの愛が大きくて、ただ傍観してる私達のハートにまで火がついてしまいそうになる。夕飯の支度をしてる時になっちゃんの知ってる愛の術を教えて欲しいってお願いしてみると、「好きって思った時は言い続けて下さい。」って。好きって言葉は沢山言ったら減っちゃうもんだと思ってた。それに、一杯言ったら勿体無い気もしてた。だけど、言い続けていいんだ。今日から私もそうしよう。なっちゃんは私にとっての愛の先生だから、なっちゃんの言う通りにしよう。周ちゃんが好きだって思ったら、好きだって言おう。愛ってきっとそういうものなのかもしれない。好きは感情なのだからコミュニケーションみたいにキャッチボールしなくてもいいんだ。溢れたら溢れっぱなし、別に止めなくてもいい。拭かなくてもいい。

夕飯は、商店街の何でも屋みたいなお店で買ってきた、べっこう、かぶらずし、魚屋で魚のすり身と頂いた大学芋、柚子の味噌漬け、菊芋の金平、ゆば、ホタルイカの沖漬け、海老と昆布の珍味とご飯とお味噌汁。今日も最高にハッピーな食卓だった。ありがとう。

12月7日

Journal 07.12,2021

今日から雨が続くらしい。朝食はフミエさんが沖縄で買ってきてくれた宗像堂のパン。そのまま食べても美味しいし、焼いても美味しかった。山若くんはスナックへ行くと張り切って出かけ、私とフミエさんはなっちゃんと一緒に車でのろさんの畑へ向かった。野菜を収穫しながら畑を案内してもらって、ご自宅で味噌を味見したりしながら色々な話を聞いた。のろさんは何度も「楽しい。」と言ってた。それに、ふみえさんのファンだったらしく、ふみえさんに会う今日をとても楽しみにしていたのだとか。午後は柿田水産へ行き、そこでも色々とお話を聞き、お父さんが作った味噌汁を頂いた。

何だかすごく疲れた。海がずっと撮りたいのだけど、海を静かに見たいのだけど、中々チャンスがやってこない。あっという間に夜だ。今夜は私とフミエさんと山若くんの三人だけの夕飯。ご飯はなっちゃんが炊いてきてくれた。今日の献立は、田作り、里芋の煮物、ホタルイカの沖漬け、アジのたたき、人参の茎やカブの葉の炒め物、人参の葉っぱのサラダ、なめこのお味噌汁、ご飯、ビール、日本酒。お腹がはちきれそう。

昨晩から周ちゃんのアパートには、数日後にアメリカの家族の所へ行くお母さんが滞在してる。周ちゃんから電話が来たのはお母さんとの夕飯が終わってから。電話を切ったのは12時過ぎ。結構長いこと電話をした。何だかすごく疲れた。ふみえさんと山若くんはとっくに寝てる。

「僕はあなたがどうしたら幸せになれるかをいつも考えてるんだよ?」
「そんな事、私だって考えてるよ。」

何だかアホくさい会話だった。周ちゃんは遠距離恋愛をしていた彼女と2年前に別れた。理由は婚約破棄。愛しているから別れを選んだと聞いたけど、今日は彼女の話をしていたと思う。だから、しばらく黙って聞くしか無かった。着火したのは私。「愛は時として物理的距離が特効薬になるんだよ。」投げた言葉の打ちどころが悪かった。わかってるよ。私だって、愛の為に別れたのだから。絶対に、絶対に離婚なんて選びたくなかったけど、愛していたから別れた。言い方を変えるのなら、私を愛してあげるために別れた。

あれから私は私の事ばかりを考えてる。自分の事をご機嫌にすることで精一杯だ。その一つの方法論として別居婚も考えていたほどだし。だって、まだわからないんだよ。周ちゃんを愛していきたいとは思ってるけれど、どう幸せにしたいかなんてわからない。

バナナトースト

朝食 06.12,2021

昨日、近所の温泉に寄った帰りにコンビニでバナナとチーズ、3枚入りの食パンを買った。フライパンにオリーブオイルを垂らして、食パンを焼いて、バナナのスライス、チーズを2枚乗せて両面を焼く。鍋でお湯を沸かして家から持ってきたほうじ茶を淹れた。

午前は中西くんと笹やんさんとナッチャンとzoomでパンフレットの打ち合わせ。午後はナッチャンと夕飯の買い出し。帰ってからお茶を淹れて、バナナマフィンを食べながら仕事のメールを片付けてると山若くんが石川から車で到着。「よしみさん、お風呂行かない?」ずっと曇っていた空が少し明けてきてる。「少しだけ撮影してくるから待ってて。」カメラを持って屋上へ登って街を撮って、海を撮りに出かけた。あっという間に雲がまた広がってく。ここの天気は気を抜くとすぐに変わってしまう。

今日は街の銭湯へ行く事にした。昨日とは打って変わってガラガラ。どうやらこっちは人気がないみたい。けれど、サウナが空いてて最高。お風呂から上がって着替えてると、今井美樹の昔の曲が流れてる。90年代の曲が何だか気持ちがいい。ああ、最高。ご機嫌で今にも踊り出しそうな気分。

宿に戻るとフミエさんが到着。フミエさんは沖縄出張からそのまま富山へ来た。みんなで鍋の準備を始めた。笹やんさんは魚介を捌くのが得意だとナッチャンに聞いてたけど、中々な手捌きで見惚れてしまう。イカやカワハギ、河豚をどんどんと捌いていく姿が何とも爽快。お腹はもうペコペコ。今夜は氷見の魚の鍋。

ベッドに入ってから、フミエさんに周ちゃんの事を報告した。後、ぞわぞわしてる事も。「わかるー!」結婚前のぞわぞわとか、中年の恋話で大いに盛り上がった。結婚が何なのかもちょっと話した。私の結婚はどうなるんだろう。周ちゃんと今夜は電話しなかった。出会って1ヶ月が経つ。そして、たったの1ヶ月で周ちゃんは私にとって大好きな人になった。1ヶ月前は周ちゃんがこの世界に生きてる事ですら知らなかったのに。

鍋焼き饂飩

郷土料理, Journal 05.12,2021

夕飯は宿の直ぐ側にある三木さんの饂飩屋さんに行った。笹やんさんとナッチャンが行きつけなんだそう。人生一くらいに最高の饂飩屋さんだったな。途中で出してくれたサワラの炙り焼きも、ちょっと飲んでみてと出された日本酒も美味しかった。あとデザートの林檎も食後のウィンナーコーヒーも最高だった。

周ちゃんから妹に結婚の事を話したよと報告が入り、私も兄にLINEしたのが朝の8時。新幹線に乗る頃には周ちゃんの色々を兄に話し終わり、ホッとして座席に座った。あれだけ私の離婚で苦労をかけた兄にどう結婚を切り出していいか迷っていたけど、喜んでくれて本当に良かった。調子に乗って姉にもLINE。”話がある。” メッセージを送ると直ぐに電話が掛かってきた。L.Aは夕方。「何か仕事で大きな事があったんでしょ?」「フランスの仕事が決まってフランスに住むとか?」「絶対に仕事だって事は分かってるんだよ!」私以上に私の事で悲しんだ姉。半径1m以内に男性が近づいてくる事も許さないだろうし、男性不信はもうこの先ずっと払拭出来ないと信じてる。ましてや結婚だなんて。電話を切ってから姉からLINEが入った。”嬉しくて泣いたよ。昨日はニコの友達と飲み明かして二日酔いなんだけど、今日も祝杯する!時間じゃない。ニコも出会って直ぐに結婚しようって言ったもの。カズとは10年一緒だったけど結婚しなかった。よしみが幸せならいいよ。”

夜、周ちゃんと電話して、ずっとモヤモヤした。何だか苛々もした。この気持ちって何だろう。周ちゃんの妹に話して、私の兄や姉に話して、兄とは東京で、姉とは正月にL.Aで会う約束をして、家族に結婚を報告したらぞわぞわしてきた。結婚については二人でずっと話していたのに、何だか結婚という形がどんどん私達の外壁みたいに組み立てられていく感じがして怖くなった。すごく会いたいのに気分が悪い。

電話を切って、ちょっと涙が出た。私、本当に結婚出来るのかな。結婚するのかな。パリのまゆみちゃんからLINEが入る。”オミクロンで帰国が難しいかも。” 悲しくて泣いたって内容だった。だけど、大好きなミュージュシャンの小袋 成彬さんに街で偶然会って、その後にまたレストランで会ってハグして貰ったっていう写真を嬉しそうに送ってくれて、何だか何でだろう気持ちが安らいだ。あ、分かった。私、不安なんだ。過去の結婚と同じ様な事を進めていくうちに、過去が今を邪魔する。元夫との思い出が所々やってきては去っていく。だけど、私が今しているのは周ちゃんとの結婚だ。

周ちゃんに不安だってLINEした。ひつこく周ちゃんには不安が無いのかを聞いた。周ちゃんも本当は不安だって。自分が病気になったり、仕事が出来なくなったりしたらどうしようって不安があるって。だけど、私が不安なのはそうゆうのじゃない。私が不安なのは、お互いを傷つけあってしまったり、優しく出来なくなってしまう日が来ないか。怖いのはそれだけ。もう二度とそんな日を見たくない。絶対に見たくない。

“楽しい事は二人分 悲しい事は半分という先人の教えに学ぼう。” 周ちゃんからのLINE。どうか、お願いだから話して欲しい。周ちゃんは問題があっても自分で解決したいって言うけど、教えて欲しい。私の悲しみですら見つけるのに困難なのに、誰かの苦しみだなんて簡単には見つからない。もう私だって全てを一人で抱えたく無い。だから、教えて欲しい。お互いのそれを半分ずつ交換したい。

色々な何かが、過去も今も未来もが混乱しながら進んでる。だけど、大丈夫。きっと大丈夫。

朝食

朝食 04.12,2021

今日こそ5時に起きよう!そう思って7時。昨晩も1時過ぎまで電話してしまった。急いで納品を終わらせて、新しい機材の準備やテスト作業。合間に支度。あ、機材が一つ足らないじゃん。パソコンに取り込むSSD変換ケーブルが無い。渋谷のビッグカメラに買いに走り、テスト作業を終わらせて、パッキング。今回は映像とスチールで合計3台のカメラを使うことに決めた。何とか色々を終わらせて、テコをリュックにいれて電車に飛び乗った。もう7時だ。眠いしお腹もペコペコ。疲れた。

怒涛な一週間があっという間に過ぎた。周ちゃんからは豊田市のギャラリーに行ったよとメールが入る。明日は朝起きたら次の行き先を決めるのだそう。一応パソコンも持ってきたから月曜日もちゃっかり旅先で仕事をするかもとの事。彼の行動力が本当に好きだなと思う。感情では無くて感覚を大切にしてる。

私も私に飲み込まれないで、前へ前へと前進出来る人になりたい。

汁なし麺

Journal 03.12,2021

出張の準備であっという間に夕方になった。汁なし麺をささっと食べて六本木へ。今日は編集のリリさんとのお仕事。食べ過ぎた。お腹がパンパンに張ってる。

スタジオに入ると沢山の人。あー嫌だな。この人数はキャパシティオーバーだ。前の撮影が押して、少し待ってから撮影が始まった。あっという間に終えて帰宅。帰り道はリリさんとずっとお喋りした。楽しかったな。本当にこういう時間が好き。何だか、最近すごく写真が楽しい。今までも大好きだったけど、もっともっと好きになった。夜の撮影は嫌いだったけど、夜の撮影も好きになった。ぼんやりと今日の余韻に浸りながら帰るのが心地いいって事も覚えた。

時間が私だけのものになったら、私のご機嫌がどんどん増殖していくのがわかる。本当にまた結婚しても大丈夫だろうか。周ちゃんが大好きだけど、家族も欲しいけど、私の時間はきちんと私の側にいてくれるだろうか。無理矢理にかさぶたを剥がすみたいに、治らない傷が日常になるような日は絶対に来ないって言えるのだろうか。

お風呂に入ってベッドルームへ向かう廊下で明日出す予定のゴミ袋を見て変なことを思い出した。私、あの人が部屋にしたオシッコを何回片付けたんだろう。こんな事、周ちゃんが聞いたらどう思うかな。嫌だ。元夫が酔っ払って部屋でオシッコをするのが癖になった時期があった。何度片付けたんだろう。テコの犬用のトイレシートは吸水力があるからよく吸い取ってくれた。嗚咽しながら深夜に一人で片付けて、手を洗って、冷たくなった身体でベッドへ入る。隣でジャケットを着たままの男が酒気を部屋中に撒き散らしながら大きなイビキをかいてる。

彼だって優しいところは沢山あった。だけど、いつからわからなくなっちゃったんだろう。朝起きて、甘えてくる彼にいつも安堵した。この人は変われる。僕は弱いからっていう口癖も彼の努力の様に見えたし、私が出来る事はたった一つ。「君の為に変わる。だから僕を信じて。」と言う彼の言葉を信じる事だけ。

愛っていうのは一体なんなんだろう。信じても叶わないし、頑張れば頑張るほどに孤独になってく。先週の金曜日に久しぶりにカウセリングを受けた。私の近況や変化した色々を聞いたカウンセラーさんがすごく驚いてた。「ラジオをやってるのだけど、良かったらよしみさんの話をしてもいい?」

その日は愛だとか、結婚についての話をした。色々な形があるよね。私のそれは何だろう。「結婚とは、相手も自分も幸せにするものでしょうか。」自信なさげに聞くと、カウンセラーさんが言った。「前にあなたが言ってた事ですね。」お互いを知り続ける。それが対話に繋がる。それには、自分も前を向く事。

周ちゃんといると、周ちゃんといる時間以外も楽しい。仕事も写真も楽しい。褒められたり、応援して貰うのも嬉しい。周ちゃんの仕事の話を聞くのも楽しいし、フィールドワークから帰って、嬉しそうに話す顔を見てるだけで陽だまりの中で全身が緩んじゃうような気持ちになる。だけど、沢山の時間を一緒に過ごしたいけど、私の時間も、写真も仕事も、友達との時間も、限りなく削りたくない。したい事も沢山あるし、デートに使う時間はきっと20%くらいが限界。だから、毎晩一緒に寝れて、朝晩の食卓を囲めたら、十二分に幸せな結婚になると思う。カウンセラーさんが言ってた私の言う結婚はそうゆう事なのかな。一年後、私達はどんな暮らしを送ってるんだろう。

目玉焼き丼

和食 02.12,2021

今日もヨドバシ。ここ数日色々と調べてたけど、結局、機材を一式揃えた。来月のクレジットの請求が恐ろしい。新宿から幡ヶ谷に移動。編集の浅井さんとflowへ行った。私の誕生日に渋谷で偶然会ったのが11月の初め。浅井さんの誕生日も数日後だと知って、蠍座会をしようと約束した。その時、蠍座と蟹座の相性が同じ水同士でいいと言うけど、男女に限っては実際のところそうでもないとか、むしろ牡羊座と相性がいいよって話を聞いた。そして、浅井さんが仲がいい制作会社の男性達は皆、牡羊座との事。「じゃあ、その牡羊座さんを紹介して下さい!」とお願いした。あれから1ヶ月。

「浅井さん。今日はちょっとご報告があります。」「???、結婚するの?」「えー!何で知ってるんですか!!」「えーーーーーー!マジで!!」浅井さんは自分の言った言葉にビックリ仰天して、二人で大笑い。今日は浅井さんに結婚観について色々と聞こうと決めてた。いつも伸び伸びと仕事をしてて、楽しそうで、親切で優しくて、ハードワークをこなしてるけど、家の文句だとか、旦那さんの悪口一つ聞いたことがない。どうしたら、そんなに楽しく結婚も自分の人生も楽しめるのか聞いてみたかった。お金の事、子供の事、仕事の事、色々な話を根掘り葉掘り聞いて、全部綺麗に答えてくれた。

何だかすごくお腹が一杯で満足してる。LINEを開くとメールがたくさん。近所の朋子ちゃんや、カメラマンの渉さんから。「よしみちゃん大丈夫?火事すごかったね。」え?慌てて電話すると、大火事がうちの裏らへんで起きていたとの事。既に消火活動は終わったみたいだけど、気が気がじゃなくなった。それから数十分後、急いで家に飛び帰った。テコ、大丈夫かな。怖がってないかな。電車の中でどんどん不安になっていく。”周ちゃん、うちの裏で家事が起きたの。” LINEを打った。

別に誰にもこの気持ちを言わなくても問題ない。だけど、わざとでもいいから甘えたかった。

夕飯

夕飯 01.12,2021

午前は請求書の作成とか事務作業。午後はヨドバシへ機材を買いに。その帰りに伊勢丹で新年用にhankypankyでパンツを買って、青山で周ちゃんにクリスマスプレゼントを買って、中西君の事務所へ行った。先週、周ちゃんが急にヒバの丸太を買ってくれた。クリスマスは日本にいないから先に渡して置きたいって。丸太を貰ったのは人生で初めて。翌日に立派な丸太が届いた。私は周ちゃんが好きなヤクのセーターにした。出会ってすぐの頃、チベットの方へ行く前って、本物のヤクに会いたいと切望しちゃうよね!って話が盛り上がって、その時の周ちゃんの顔が好きだから。

中西君とは来週の撮影の打ち合わせをして、ちょっとだけ近況報告をして帰宅。中西君に離婚を報告した時、結構親身にメールをくれた。今度ご飯を食べようって約束したけど、あっと言う間に1年くらい経ち、気づいたらまた冬。けど、元気そうで良かった。何となく報告した方がいい気がして「結婚するかも。」って伝えると驚いてた。私は多分恥じらってた。本当は「結婚しようと思うの。」なのに。私って本当にダサい。

夜中に目が覚めて周ちゃんと電話した。今日あった事。私ってダサいよねって話をすると笑ってた。周ちゃんは職場の既婚者の先輩方に色々と指南して貰ってるらしい。多分、私はまた失敗したらどうしようって気持ちが心のどこかにあるんだろう。そんな現実が来たら恥ずかしいって。婚約をして二度目の結婚の準備をしてる。失敗するかもしれないし、しないかもしれない。未来なんて未だ何処にも無いのに。「それってさ、こないだあなたが言ってた季節物じゃない?」周ちゃんが言った。そう、私もそう思った。事実婚か法的結婚なのか未だ決めてないけど、結婚は指輪が手元に来た日にしようって二人で決めてる。

「独身も残り2ヶ月くらいだね。周ちゃんは何か思う?」「独身に全く未練が無いよ。それよりもこれからの事ばっかり考えてる。それに既婚者だって思われた方が楽だよ。」一回目の結婚の時は独身が終わるのをカウントダウンしてた。ああ、人のものになるのか。名前が変わったり、指輪をつけたり。何だか全く違う世界に行ってしまうような気がしてたけど、案外世界は何処までも繋がってた。

この恋もそのうちに愛になる。愛になる前に感じておくことがきっと沢山ある。これは旬だものね。恥ずかしい事じゃない。正々堂々と恋をして、大切な友人達にもちゃんと報告していこう。

夕飯
春菊と若布の味噌汁
卵と納豆
しらすと野菜のペペロンチーノ
カツオのたたきと檸檬醤油
出し忘れたコロッケ

鯖のトマトスパゲッティー

洋食 30.11,2021

来週からの富山出張の準備で朝からバタバタしてる。何だかやる事が沢山。それに、月末だから請求書も出さなきゃ。だけど、とにかく今日は早く寝たい。全くもって矛盾してるけれど、まぁいい。いいのかな。

あっという間に陽が暮れて、予定通り早々に今日を終える準備。20時過ぎにはベッドで本と埋もれた。最高だな。周ちゃんから “ただいま〜。” とLINEが入る。そこから何となく電話を初めて、周ちゃんはご飯を作って、お風呂に入って、日課のぶらさがり健康器にぶらさがって、布団へ入った。私はずっとベッドのまま。今日はどんな仕事した?ランチは何食べた?とか、同僚の結婚生活がパーフェクト過ぎる、後輩が恋愛で悩んでるとか。たわいもない話をずっとずっと。作品とか文章の話になって、私が書いてる日記の話になった。日記は今は読まないでとお願いしてる。読むなら3年後にしてって。色々を話したくないわけじゃないけど、過去の話も少しは伝えてるけれど、もう少し時間が欲しい。

ずっと聞きたかった事を聞いてみた。「周ちゃんを写真に撮ってもいい?」ちょっと驚いて、しばらく言葉の意味を考えてるようだった。ゆっくりと「いいよ。」って。「何でも書いて、何でも撮って、好きなようにやってくれ。それがあなただから。」って。元夫は、僕の事を書かないで、僕の事を写真に撮らないでって口すっぱく言ってた。カメラを向けると顔を背けて、日記を書けば、夫の友人から日記を読んだ事を聞いたと怒られた。知らず知らずの内に縁取られた日々の中で試行錯誤して撮った写真や書いた文章はいつもフレーミングをちょっとずらす様な感じだったのかもしれないな。

電話を切ってから何だか沸々と嬉しさがこみ上げきて、”周ちゃん大好き!” とメールして寝た。減るもんじゃ無い。若い子みたいで恥ずかしい気もしたけど、私がこの想いを吐き出して誰が困る?答えは絶対にNOだと確信してる。いつしか消えて行く今日を今日のうちに思う存分にしたい。

朝食

パン 28.11,2021

半同棲3日目。先週から怖いくらいセックスしてる。「ちょっと多いよね。」周ちゃんが心配そうに言った。「こういうのは季節物だから。そのうち回数は減るし、いいんじゃ無い?だって、旬はその時に食べないと勿体無いじゃん。」私の回答が明答だった様で感心してた。周ちゃんは私の言葉をよく喜んでくれる。その喜びの内訳についてはよくわからないけど、目をキラキラさせてる周ちゃんを見るのは私も嬉しい。私達が出会ったのはマッチングアプリ。私は雑誌の企画で初めて、周ちゃんは同僚に展示の会期準備の忙しい最中に「仕事ばかりして、くさくさしてる場合じゃ無いですよ!」って、登録する事を勧められたのだそう。そして、数日後に私とマッチングした。「プロフィールの文章に惹かれたんだよ。文章にはその人が出てるから。」もう10回以上、そんな話を聞いた。

結局、今日もとにかく話し合った。それに、周ちゃんの同僚に教えてもらったふたり会議っていうアプリで、マネーリテラシー、コミュニケーション、ライフプラン、キャリア、色々な題材を元にずっと話を続けてる。何だか一緒に会社を設立するパートナーみたい。恥ずかしい話も沢山あるけど、経営の為ならば恥じらいよりも真意について話そう!そんな意気込み。何だか初めての体験がとにかく楽しい。

夕方から編集のリリさんの新居へ編集の成田さんと一緒に遊びに行った。ベッドの横に半年前に私が撮ったトウモロコシご飯の写真が飾ってある。リリさんが子供みたいにボロボロと涙を流した日の写真。昨日、彼氏が出来たんだそう。色々と話をしてくれたけど、とても素敵な彼だった。あの失恋があったから結ばれたんじゃ無いか、そんな気がした。女っていい生き物。失恋したって美しく生きちゃうんだよな。成田さんは少し気になってる子の話とか、仕事が忙しいって話しとか、色々を話してた。リリさんが二人が一緒に働いていた編集部の編集長から “リリ子を応援してる”ってメールを先日に戴いたって話をすると、成田さんの目には涙が溢れてた。何だか、そんな成田さんって人間が本当に大好きだって思う。こうして何年も一緒にいて、いつも会う成田さんじゃ無い成田さんを見つけるのが嬉しい。いつもの彼は誰もが認める元気ハツラツとした好青年だけど、こうして食卓を囲んだ時に見えるすごく繊細で、身体のあちこちに持ってる色々な感情に驚く。すごく素敵な光景だった。どうして今日カメラを持ってなかったんだろう。

家に帰ると部屋には誰も居ない。梃子はベッドで寝てる。周ちゃんがいない家は何だかすごく落ち着いた。やっぱり一人で暮らすのが好き。だけど、周ちゃんに会いたい。周ちゃんがもうたっぷりと好きだ。

夕方、家を出る前に周ちゃんに話をした。「私の色々が、例えば男性とハグをするとか、恋をするとか、セックスも。トラウマだった指輪をつけたいって思ったのも全て周ちゃんのお陰。もし、例えば周ちゃんが誰かを好きになる様な事があっても、それはすごく哀しいけど、周ちゃんにはもう十分に感謝してるから。」

この人は一体なんなんだろう、直感で結婚を選ぶなんて。プロポーズをしてくれた周ちゃんを信頼するよりも、まだ出会ったばかりの人に積もる不安だとか、私のトラウマが彼との距離をしばらく狭めてくれなかった。身の回りの友人等にそっと話をしたけど、出会って10日でプロポーズしてくる男に誰もがぶったまげて、心底心配してくれた。私も200%友人の言葉に同意だった。「結婚を決めたのは直感だよ。喫茶店であなたが話していた事が心にすごく響いて、それで、あなたを幸せにしたいって思ったんだよ。」彼の言うところの直感が私の人生を前へ前へと動かしていく。あっという間に巻き込まれてしまった様にも思う。夕方に何であんな事を伝えたのかわからないけど、彼が好きだけど、彼を私の物にしたいとは思いたくない。私の人生を変えてくれた。この現実がここにあるだけで、もう十分。こんなに沢山を貰ってしまって、これ以上の我儘は言えないよ。

朝食
オムレツチーズサンド
ソーセージとバターだけのサンド
カフェオレ
バナナとブルーベリーのスムージー

夕飯

夕飯 27.11,2021

半同棲開始2日目。ランチは周ちゃんの山形時代の友人が西調布の手紙舎のカフェで今週末だけランチを出してるから食べに行こうとなった。店に着くと、たいちくんという爽やかな男性と隣に小さくて可愛らしい女性が挨拶してくれた。二人は夫婦で少し前に結婚したのだそう。周ちゃんは私の事を婚約者ですと紹介したけど、未だ半生みたいな婚約者なのに周ちゃんの旧友にどんな顔をしたらいいんだろう。ちょっと変な気分。

周ちゃんはたいち君に「結婚の先輩として、色々教えて欲しい!」と言った。たいち君は照れながら奥さんとなりそめを話し始めた。”四国の方に勤務していた時に、仕事先の建築事務所で結婚についての話しになったんです。所長が「寝室は別に作って置くのがいいよ。」と若者達にアドバイスをしたのだけど、尊敬してる所長は奥さんと寝てると言う。どういう事だろう??そこから結婚について深く考えるようになって、自分にとってそれが誰なのかを想像してみたら数日後にぱっと今の奥さんの顔が浮かんだんです。それで、翌週に彼女が住む名古屋まで車を走らせて、結婚したいから付き合って欲しいと告白して、二年半後に結婚しました。彼女はすごいんですよ。デンマークに機織りを学びに行ったり、好きな料理を仕事にしたり、自分にはない色々を持っていて。友達としても憧れていたし、尊敬しています。今、三重の古民家で彼女が料理をするカフェを作ってるんですよ。”

何だか可笑しい。人って面白いよな。似たようなって言ったら失礼だけど、たいち君って人が周ちゃんの友達だってよくわかる。周ちゃんはたいち君の話をする時に「彼って本当にいい人過ぎて心配なんだよ!」と言ってたけど、周ちゃんもきっといい人なんだろうと思った。私達は婚約者となったけれど、周ちゃんの事を全然知らない。話は沢山聞いたけど、未だ何百ってあるパーツの一つに過ぎないんだと思う。そこには良いものだけじゃなくって、私とは合わないものもある。結婚して10年経っても初めて出会うようなものもきっとある。こうやって、彼を知るきっかけを世界に見つけるのは何だか楽しかった。

帰りの電車の中で事実婚と法的結婚についての話をした。ちょっと前に名字が変わってアイデンティティーが崩壊した事を話した時に周ちゃんは驚いていた。「僕が名字を変えてもいいよ。」とその時は言ったけど、そういう話じゃ無い。お互いにとっていい形にしたい。事実婚をネットで調べてるけど、もっともっと多面的に知りたい。沢山話し合って考えて決めたい。よくわからないまま、知らないままに、皆がそうだからっていうだけで法的結婚を選んで苦しんだ過去を今でも後悔してる。

夕方から撮影が一本入ってて、仕事に出かけた。北風が強くて寒い。仕事の時の写真ってどうとるんだっけ?昨日辺りから急に不安になった。緊張とかは無いけど、ただわからなかった。私の色々が今まで通りじゃない。いつもの様に撮ればいいんだけど、そのいつもが今の私から居なくなった。きっと失敗は無い筈。だけど、もう知ってる場所には着地しないよね。何処へ降りるかはわからないけど、多分、大丈夫。

夕飯の前に周ちゃんに、今日の撮影が本当は不安だったけど撮れたって報告すると、すごく喜んでた。家に帰って私の写真を見てくれる人がいる。それだけでこんなに嬉しいんだ。今日は何だかすごく気持ちが良かった。こんな風に飛んだ矢の様に撮ったのは久しぶりだったかもしれない。だけど、怖くなかったな。なんか、これってただの妄想なのか、何なのか。意思に近いのかな。帰る場所がある、私の話を聞いてくれる人がいる。それだけで自由に飛べる気がした。元夫を守る為にそんな苦しさから逃れる為に必死に撮ってきた写真はいつしか私だけの写真になって、もしかしたらこれからは、ただ世界を感じるだけの写真になりそうな気もした。何だか怖く無い。すごく、もう怖く無い。透明人間みたいな感じ。当たっても落ちても飛び降りても、私に牛乳をかけたら真っ白になって、ミルキーな匂いがプンプンするだけみたいな。

夕飯
ご飯
色々野菜の味噌汁
鯖の塩焼き
スペアリブと大根の台湾風
豆苗と挽肉の春巻き
糠漬けと赤蕪の酢漬けのお新香

手巻き寿司

Journal 26.11,2021

週末に大好きなNYのジュエリー作家のオーダ会を青山やってると知ったのは数日前。年に数回のオーダ会がこのタイミングだなんて何とも言えない。「見に行ってみる?」と、周ちゃん。結婚が初めての周ちゃん。2回目の私。指輪の前に立って、結婚がどんなものなのかを一緒に話が出来たらいいなって。目の前の景色を彼はどう感じるのかが知りたかった。

1回目の結婚の時は、私は恵比寿のジュエリーショップで指輪を、元夫はギターを結婚指輪の代わりに買った。その数ヶ月後にギターは家から姿を消し、1年後に二つ目の結婚指輪を買う事となった。お酒の色々や結婚を隠す元夫への怒りが爆発した時だった。新宿伊勢丹でSHIHARAの指輪を購入。結局、指輪は1週間で何処かに放置されて、私はその指輪を救済。右手に元夫の指輪を。左手に私の指輪を2つつけた。これが私達の愛の形。全て私が受容れたらいい。そう信じきっていた。

周ちゃんは薬指に色々なデザインの指輪をつけては外してを繰り返してる。学芸員という仕事だし、派手なのは避けたいとの事。黙々と選んでた。「周ちゃん、とりあえず一回ブレイクしない?」ジャイルの最上階のカフェで、私は抹茶ラテを周ちゃんはジンジャーエールを頼んだ。テラス席から見える秋の夕方の空は淡い青とサーモンピンクのグラデーションが重なって、ただのビルでさえ切なく見える。程良く賑わったテラスでは、ワインを傾けるカップルだとか、買い物帰りの女性とか、赤ちゃんを連れた女性が東京の空を見ながら気持ちよさそうにCOREDOビールを飲んでいた。
「周ちゃん、本当にいいの?」
「いいよ。だから買いに来たんじゃない。」
「周ちゃんは死なないよね?」

周ちゃんは私の変な質問にずっと笑ってた。そして、「今日の夕飯は手巻き寿司はどう?」と言った。誕生日に食べたいのは手巻き寿司がいいと聞いた事があった。彼にとって今日は特別な日なのかもな。だけど、そういうの、私は要らない。毎日が普通で、ただただ平凡で安全なだけでいい。今日が特別にならないで欲しい。もう大切なものを失うのは嫌。

「周ちゃん、お店に戻ろう。」指輪は2月半ばに出来上がる。