ポトフ

洋食 23.11,2023


夜、寝る前、周ちゃんに聞いた。「お互いのいいところを言い合うっていうのやらない?」夕方、コンビニへ行くときに聞いていたラジオのことだった。三子の魂尺までっていうのは、案外間違っていないという精神科医のラジオ。心理学の教科書でもその引用は時々目にする。要するに、人は変わらないよね、だから、出来ないことに目を向けるんじゃなくて、いいところを伸ばした方がコスパいいよねって話だった。

勉強していてもよく思う。昔、制作会社で広告の仕事でプログラミングみたいなことを少しやってた時も思った。スイスイと気持ちよく前に進めないのは、合ってないんだろうなぁって。逆に言えば、映像なんて全く勉強してないし、写真も仕事のやり方は学んだけど撮り方については完全に独学。友達や仕事の人を見ていても思う。私には絶対にこれ出来ないなって思うことを、彼、彼女らは、スイスイとやってる。もちろん、たくさん練習したり、好きだからとか、色々な理由はあるだろうけど、そもそも、好きになることは、大体できることとイコールしてることも多い。

じゃんけんして私が先行となった。「周ちゃんの優しいところ」「すごいざっくりだね。」「じゃあ、テコに優しいところ。次は周ちゃん。」、「よしみは、陽気なところ。もっとそれを外に出してもいいと思う。その陽気さが周りの空気をよくするよ」「え?私陽気?」「うん。踊ったりテコと騒いだりしてて楽しそうだよ」

「周ちゃんは穏やか。私もテコもとにかく安全に暮らせてるよ。穏やかって最高だよ。」「確かに。」「後、周ちゃんは人の良いところを見つけるのがうまい。それは相手を持ち上げてるわけじゃなくて、純粋に人に興味を抱いてるっていうのがわかるし、だから一緒に話してる人は楽しいと思う。」しばらくしりとりみたいに、テンポよくいいところを言い合って止めた。

それからしばらくして「最近の煩悩がやばいんだ」とメソメソしだした私は周ちゃんの膝に抱きついて寝た。試験前、煩悩がやばい。勉強から逃げようとしてる自分がいる。

ピザ

洋食 19.11,2023


今夜は息抜き。夕飯を食べながらマリオの映画を見た。家で映画を見るなんていつぶりだろう。周ちゃんと付き合ったばかりの時にノマドランドを見た時が最後かもしれない。こういうありふれた日々にある小さな出来事は最高にすきだ。

カレートースト

朝食 18.11,2023


週末は仕事と勉強。周ちゃんも家にいるらしかった。過去のデータを探していると、自分が今まで撮ってきた写真のこと、忘れていた日々のことを思い出したら、忘れちゃうのは勿体ない気がした。今週のレポートは社会心理学でテーマは離婚。社会的交換理論について書いてる。

夜、ベッドでこないだ見せた写真のことを、周ちゃんが「あれ、作品にしたら?」「あそこに持ってみてもらったら?」と言ってくれたけど、言葉を返せなかった。いつしか商業カメラマンになってしまった私は多くを失ってしまって、どこからどう引き返したらいいのかわからない。

「作家の道を少しでも通って来なかったら、今はきっともっとつまらない写真になってたと思うよ。」って言うと、「行ったり来たりしたらいいんじゃない?」と言ってた。そんな事、出来たらいいけど、同じように作品を撮っていた時に「仕事は出来ない」と言って、作家になった先輩や友人を知ってる。そして、彼等は今でもしっかりと作家として生きてる。彼等の活躍を街で見かけると嬉しくなる。けど、少しだけ虚しくなったりもする。

さ、勉強しよう。仕事しよう。

せり鍋

和食 16.11,2023


取材が終わってから、新しいライスプレスの事務所に椅子を取りに行き、編集の成田さんとランチしてコーヒーを飲んだ。久しぶりにゆっくりと話した気がする。昔の恋の話なんかをして楽しかった。

夜はせり鍋。

11月13日

Journal 13.11,2023

今日がいつでいつじゃないんだか、段々とわからなくなってくる。携帯は家の中でなくなったまま。仕事の用はだいたいメールかLINEだし、携帯なんて別に要らない。ときどき思い出したようにインスタを見て、へぇ〜とか、ほぉ〜って言って2、3分で閉じる。

段々と師走な感じだ。気持ちが焦ってくる。押入れからストーブをだしたついでにサンタクロースの人形をだした。

今年は久しぶりにアメリカの家族と過ごすことに決めたクリスマス。散々、ブーブー言われて、やっぱり行けないなんて言えなかったし、来年こそ大学の卒業間近で行けないかもしれない。

アメリカの家に行くのは何年ぶりだろう。最後に行ったのは1回目の結婚で家出した時だ。ある日突然に家を飛び出してアメリカへ逃げた。今、思い出しても笑っちゃうけど、馬鹿だったなぁと思う。

ダルバート

カレー 11.11,2023


久しぶりの周ちゃんのダルバート。週末にこうして料理を作ってくれるのは、本当にありがたい。試験まであと2週間。その後にレポート6本。そして、12月は結構しんどめの試験がひとつ。朝にワクチンを打ったからなのか午後はだるかった。

塩麹鍋

和食, 夕飯 10.11,2023


今日は周ちゃんがリモートだった。家事を手伝ってくれるし、テコもずっと周ちゃんの部屋にいてくれるからありがたい。今週提出予定のレポートがなんとか2本終えた。ステレオタイプと記憶のメカニズムについて。今月、来月、どうなっちゃうんだろうか。ここ数ヶ月のツケなのはわかってる。けど、体調もよくなってきたし、睡眠を削っちゃだめだと病院の先生に言われたけど、どうしたって睡眠時間を削るしかない。

久しぶりにスタイリストの雅さんからメールがあった。キリンの仕事を終えてからずっと会ってない。この1年、何回も「会おう」とメールしてる。春も夏もそんな約束をしていたのに、結局時間がなくて秋だ。最後に友達と気兼ねなく飲んだのはいつだろう。7月の試験後にあった後藤さんとミオちゃんかもしれない。

大学なんて入ったからこんな事になってるのだけど、仕事だってしなきゃいけない。身体のことも考えなきゃいけない。恵比寿で一瞬だけ会った田村さんが秋に大学を卒業したからと、今は開放感で一杯だと嬉しそうに話すのを見て、やっぱり頑張らなきゃ!と思った。それに、私の周りの仕事仲間を見ても思う。好きなことの為に頑張ってる姿は応援したくなるし、元気がでる。

来週かどこかで、夏に買った椅子をライスプレスに取りにいく。編集の成田さんも会うと、元気になるひとり。取りに行ったついでにお茶でもしましょうと先日に連絡をいれた。彼を見てると、人っていいなと純粋に思う。それに、私もいい人でありたいなって。心を勉強してからより一層、人に対してフラットになれるようになった一方で、人が出来ることの多さやその凄さみたいなものや、言葉だけでは語ることが難しいようなニュアンスみたいなものも、理解していくことが増えた。先日、角田さんの映像を一旦撮り終えたけれど、角田さんからは心の多くを学んだように思う。なんとも、その心の鮮やかさが素敵な方だった。

月末に石塚さんにワークショップのことで会うことになってる。お父さんを亡くされて大変だった筈だ。だけど、しっかりと歩いてる。久しぶりの石塚さん。優しい笑顔がみたい。なんだかんだとターニングポイントで会っている気がする。独立する時、離婚した時。そして今。doの仕事で撮影させていただいた以来だから1年ぶり。ライターの瞳ちゃんと石塚さんと3人でお茶をしながらケアの話を永遠にしたい。そんな日は、きっと、大学を最短で卒業したって再来年までやってこない。とりあえず、今日も今日のことをやろう。先をみたって不安になるだけだし、とにかく時間はポッケにいれて叩いても増えないから、どんどん食べるしかない。

11月5日

Journal 05.11,2023


今日は恵比寿で田村さんに会った。何年ぶりだろう。早朝から映像の編集をして、その合間に会った。ゆっくりと話したかったけれど、1時間だけお茶をして帰宅した。鈴木理作さんのワークショップで出会った田村さんは、あれから心理学の勉強を何年も続けていたのだそう。「私たち、好きなことが似てますね。」静かに言葉を選んで話してくれる、田村さんの話し方がやっぱり好きだなと思った。

田村さんは先日に大学を卒業して、今はナラティブセラピーの勉強をしてるのだとか。懐かしいし、話したいことが沢山あるのに、今日に限って咳が止まらなかった。また情報交換しましょうと言い、駅前で別れた。ハッセルで写真が撮りたいと言ってたけど、田村さんの写真は好きだから撮ってほしい。

とんぼ帰りで家に帰りまた夜まで映像の編集。終わったのは夜。そこからまた夜遅くまで試験勉強を始めた。なんだかんだと半年以上の時間をかけて作った映像の制作。ようやく終わったと思うと、なんだかとても気分がいい。映像はやっぱり大変な作業。とにかく時間がかかる。スチールとは比べものにならないくらい。だけど、悪いことばっかりじゃない。長い時間向き合っていると、想うことが多いし、考えることも多い。

苦労して育てた子供を扱ってるような感じかもしれない。だから、こうして終わってみて思うことは、やっぱりいい時間だったってこと。声をかけてくれた料理家の角田さんには感謝でいっぱいだ。それに、今回は周ちゃんにも色々と手伝ってもらったことも大きい。昔デザイナーの彼氏と一緒に仕事をした時は二度とやらないと思ったけれど、今回はとても楽しかった。周ちゃんの企画の考え方、進め方、アイデアの出し方、私の色々の汲み取り方、純粋に勉強になったし、仕事ってこうやって楽しむんだなって思った。

さあ、今日からまた思いっきり勉強しよう。あと、写真のポートフォリオも作らなきゃ。前進あるのみ。咳はまたぶり返してる。

寄せ鍋

Journal 04.11,2023

耳鼻科の薬がよく効いてる。日に日に体調がいい。だけど今日も時間がない。映像の編集、勉強、撮影データの現像。あっという間に夜。プールに行くはずだったけど、力尽きて行けなかった。

菊のお浸し

Journal 03.11,2023

誕生日に買った指輪が右手の中指にあることを目で確認する度に気分が少しあがる。昨日、撮影前に青山にできたばかりのsatomiの路面店で買った。

今年もあっという間にまた一つ歳をとってしまうんだろう。離婚を機に自分の人生を大切にしようと決め、毎年誕生日に買い始めた指輪は今年で3つ目。まだ、たったの3つ。

こんなに色々があったのにとも思うけれど、案外すんなり日々は流れてるし、ようやくスタート地点に立てたような気もする。石の上にも3年とゆうけど、地盤はしっかりとしてきた。

周ちゃんがお母さんに貰った菊をお浸しにしてくれた。

鰻重

Journal 02.11,2023


ひとりでワインでも飲もう。いや、けど咳が酷くてそれどころじゃないかな。とにかく仕事へ行こう。そう思って部屋を支度をしてると周ちゃんが部屋をノックした。

「俺はよしみが好きだから、一緒に誕生日を祝いたい。」そう言い放った周ちゃんに抱きしめられたら涙が溢れた。あれ、私って悲しかったんだっけ。胸はさらっとしてるのに、玉葱を切った時みたいに涙が勝手に頬をつたっていく。

「わかった。じゃあ18時に帰る。」「うん。」周ちゃんも私も仕事へ出かけた。我慢してた?いや、そういう感じじゃない。強がってるつもりもない。じゃあどうして泣いたんだろう。

夜は結婚記念日に行った鰻屋へ行った。鰻もそこそこ美味しいけど、この店で一番好きなのは、店の内装とBGMがないこと。高い天井。庭に広がる竹林。調度品はオーナーの趣味なのか、インテリアデザイナーのセンスなのか、古い民藝品が飾ってある。離れにあるトイレのお香の匂いもいい。洒落たスパイスだのハーブだのって匂いじゃなくて、シンプルに白檀の匂い。平日の夜は大体空いていて、今日も貸切状態だった。

昨日までの喧嘩が嘘みたいに、また平穏に戻った私たちは、白ワインを片手に沢山の鰻を食べた。今年の豊富は5つ。前は写真の話をよく聞いてきた周ちゃんだったけれど、最近は心理学の話を聞いてくる。私もだんだんと答えられるようになってきた。

11月1日

Journal 01.11,2023

なんだかやっぱり怒涛の10月を終えて11月。ぜんぜん息つく暇もないし、内科で処方してもらった薬が全然効かずに今日は朝から耳鼻科。先生は「ちょっとまずい」みたいな事を言って、たくさん薬を出してくれた。なんでこんなに忙しい時に体調が悪いんだと思うけれど、この色々は自分で選んだことだし、と、ここ最近はどう楽しむかの方が先決。ここから2月までは多分、本当にきっとやばい。だけど、ここをどうやるかで、大学の卒業も、仕事もかかっているような気がしてる。なんだろう、やばいのにわくわくしてる。

午後から1本撮影で千葉まで行った。久しぶりの乾さん。乾さんは私が結婚してた時に何度かご一緒していたから「きくち」だった私しか知らない。撮影したカレーを食べながら少しまえに転職したマガハの話をしてくれた。それから、「ずっとマガジンハウスの本読んでましたしね。」と言ってた。なんかいい言葉だなと思って聞いていた。私もそう。マガハと言えば、Oliveが一番の愛読書。だけど、マガハだけじゃない。雑誌がどういうわけかとにかく好きだった。毎月、毎月、何冊も買ったし、本屋に立ち読みしにいく時間も好きだった。渋谷のPARCOにあった地下の本屋なんて一時は毎日のように通った。

夜は周ちゃんとプールに行く予定だったけど、スーパー銭湯へ行った。なんとなく、一年の垢を落としたくなって、急遽提案して車で銭湯へ向かった。お風呂からあがってから、ここ数日気まずい周ちゃんに「この感じ、やめない?」と言うと、「頭ではわかってるけど、心が追いつかない」と返ってきた。どうやら私の言い方が悪いと主張しているけど、私にだって十分に言い分はある。けど、喧嘩なんてそんなもんだよなと思って、黙って聞くことにした。

明日は誕生日。誕生日前日にもめたり、もめごとを長引かせたり、面倒な女みたいなことをしないでくれと心の中で呟きながらも、いや、誰かの心のことを勝手に決めつけちゃいけないともう一人の自分が私に言い聞かせた。私は私で周ちゃんは周ちゃんだ。

それに、なんだか話を聞いていると、なるほどなと思うこともあった。周ちゃんは私を責めながら責められるのが苦手なんだと何度も言ってたけど、「私も責められるのは嫌いだし、周ちゃんは今私を責めてるよ。」と言いかけてはやめた。

子供の頃から威圧的な人や強い言葉を使う人が苦手で、そういう人から逃げるように生きてきた。理由はひとつ。小さい頃、散々姉に強く言われてきた。強迫的な言葉や態度、八つ当たり、無視。大好きな姉だったけれど、すごく怖かったのは大人になるまで続いていたし、今でもまだちょっと残っている。結局、その記憶がただ「怖い、怖い」と一人歩きをし続けてるだけなのかもしれない。周ちゃんにすごい剣幕で責められても、心は終始さらっとしていた。睨む周ちゃんから目をそらして気づいた。あ、私って、実を言うと怖い人に慣れてる。だって、数えきれないくらいにそういう経験をしてきてるんだもんなと冷静に考えていた。

帰りの車は黙ることにした。あなたにとっての今は今日しかないけど、私にだって同じ。だから、面倒な誕生日イブも面倒な誕生日も送りたくない。それだけ。私もわがままであなたもわがままなんだよな。けど、誰にとっても、今はハッピーであって欲しい。

10月22日

Journal 22.10,2023

結局、今日も咳であまりよく寝られなかった。「私が那須まで運転するから。」誰かといると、どんどん甘えていく、どんどん女みたいになっていく自分が最近嫌で仕方がなかった。「だって、よしみは昨日寝てないでしょ。薬も飲んでるし。」「大丈夫。」少し強がってるくらいの方が丁度いい。放っておいたって甘え出すのだし。

黒磯でざおーと落ち合って、チャウスでランチをして、私と周ちゃんは買い出しへ向かった。キャンプ場に着いたのは15時過ぎ。

1年ぶりに会ったざおうやガッちゃん、ことはちゃんは、昨年よりも一層に家族って感じだった。だけど、そう思ったら、私や周ちゃんもまた昨年よりずっと家族になってる気がした。

日をまたぐ前に寝袋に入って寝たけれど、結局、咳で寝たんだか寝てないんだかよくわからないままに朝が来て、朝方にひとりで散歩へ出かけた。辺りはまだ薄暗い。朝の空気を吸い込んだからか咳も止まった。まるで何かから開放されたかのように、辺りをどんどん歩き続けた。川へ行き、森林を歩き、また川辺へ。光の方へ。朝の方へとどんどん歩く。

帰りの車で周ちゃんとガッちゃんの話をした。「ガッちゃん。すてきだったね。剪定がおもしろいって話もよかったよね。」ガッちゃんは果物農家で働いてる。毎日畑へ出て、自然の中で働くことは大変なこともあるけど、それが楽しいって。話はいたってシンプルで清々しかった。

「なんか、自分の人生が恥ずかしいとまでは言わないけど、ガッちゃんの生き方とゆうか、。いい仕事だよね。」車を走らせる周ちゃんに言った。「うん。よしみもやってみたい?」「違う。そうゆう話じゃなくて。私もそうゆう人でありたいとゆうか、憧れたっていうか。」周ちゃんが大きく頷いて言った「人はどこかで諦めなきゃいけないんだよね。」「そう。」

周ちゃんは沢山の事を知ってる。博学だ。だけど、それがただ読んだだけの知ってるだけの生きてない言葉なことが多い気がして、そんな風にして食べ物の話をされると、無駄に腹がたつ。口先だけで情報をこねくり回して何が楽しいのだろうかと苛立つ。だけど、今日の言葉は余りにぴたりとはまっていた。

たぶん、周ちゃんは誰よりもずっと早く若い時に諦めることを知ったからかもしれない。家族の事で自分を犠牲にしなきゃいけなかった時間を送った日々がある。その時は、もう自分の人生は終わったと思った。と言ってたけど、今となってはいい経験だったとも言ってる。

私が諦めるようになったのは最近になってだ。離婚して、ああ、私は全てを失ったんだと思ったら、世界を受け入れるしかないのだとという事もわかった。「嫌だ」じゃなくて、そうなんだって。大体はもうどうにも出来ないことで出来ている世界に向かって、自分の思い通りに征服してやろうなんて思いながら生きるのは虚しい。だけど、そんな虚しさを沢山重ねて大人になっていくのだとも思う。夢はいい。だけど、夢は夢で、世界はだから世界だ。

いい時間だった。大切なものや大切にしたいこと、これから諦めていく世界のことを考えたりした。強くなろう。

10月18日

Journal 18.10,2023

咳が止まらない。周ちゃんは早朝に千葉へ向かった。まだ外は真っ暗で、わたしはもう一度ベッドへ潜った。最近は早朝の勉強はしてない。病院の先生に「寝なさい。」と言われたから。頑張ることは簡単だけど、頑張らないっていうのはちょっと難しい。月末まで忙しいのに、睡眠も削れない。完全に板挟み状態。

携帯なんて殆ど見ないのに、今日は一日中、周ちゃんから返ってこないメールを何度もチェックしてうんざりした。全部捨ててやろうかと思ったりもしたし、とにかく心が忙しくて苛々する。ここが東京なら、適当な夜の中に消えたい。公園でもどこでもいいから、冷えたビールを飲んで、全部なかったことにしたい。結婚も今も全部を全ての時間を。知らない人と話して二度と合わない人と笑ってバイバイして、また飲んで。

どうしたらこんなに真面目になってしまったものかと後悔するけど、あのまま適当に生きていたらと思うとゾッとする。気づけば、いい加減になれなくなる日がきて、思っている以上にかちこちになった。だから、せめて男くらいは適当に遊んでおくべきだったのに。滑り込むように結婚して、寂しくて1日中携帯がそばにある日が来るなんて。うざったいし疲れる。嫌な女。ダサい女。

星野源さんを聴きながら日記を書いてる。周ちゃんはまだ帰ってこない。昔、豪くんと一緒に住んでた時によく星野源を聞いてた。豪くんがかせきそーださんの事務所から帰ってくるまで。恵比寿の駅前のマンションで今は下の階に有名な火鍋屋がある。夜になると、よくベランダに座ってタバコを吸った。豪くんのことは朝から晩までとにかく大好きだった。

豪くんと数年前に会った時、どうして会ってくれたんだろうって思ったけれど、きっとちゃんとバイバイを言えなかったからだろう。いい男なのか、そうじゃないのかよくわからないけど、私は豪くんが考えてるほどあの日のことを想ってない。結局、サヨナラなんてそんなもんだし、だから、久しぶりに会おうだなんて言える。

周ちゃんとは恋愛せずに結婚したけど、もし、恋愛してたら結婚してなかったかもしれない。

夕飯

Journal 17.10,2023


周ちゃんとの久しぶりの夕飯。連日、周ちゃんは忙しくて帰りが遅い。昨日はたまたま私がいなかった。”夕飯はもう支度しない。” だの、なんだのって、酷いメールを沢山打ったくせに支度した。周ちゃんは、私も、終始よそよそしかった。「きのう何食べた?見てもいい?」「うん。」珍しくyoutubeなんかを流しながら黙々と食べた。

昨日は殆ど寝てない。寝れなかった。今夜は死んだように寝るかと思ったけど、周ちゃんの寝息が聞こえてもしばらく寝れなかった。少ししてから周ちゃんにくっついて寝た。

周ちゃんが仕事で帰りが遅くなると、このまま帰らないんじゃないかと思う。もしかしたら、女性と飲んでるんじゃないかなんて思う。前の夫は夫で、周ちゃんは周ちゃんだ。全然違うのに、そう思うことをやめられない。夜が長くなると不安になる症候群になってる。だけど、少し前では、もっと遅くまで遊んできてよと思っていた。

それに、。あんなに酷いことを言ったのは私だ。ある日、突然に爆弾を投下する女。よく耳にする話だし、女ってのはわからないよと言われる所以だろう。だけど、女である私も私のことがわからない。

10月14日

Journal 14.10,2023

“18時にラジオキッチンでお願いします。” 角田さんからメールが入ったのは午後。急いで読んでいた参考書をノートにまとめて、車でプールへ出かけた。最後に会ったのは夏の撮影。あれから何度もメールでやりとりをしているせいか、あまり久しぶりな感じがしなかった。

お店まで歩きながら話して、食事をしながら話した。角田さんはカボスサワーを私は冷えた白ワインを数杯おかわりして話は続いた。映像の話だったはずだけど、そもそもやっぱり角田さんとはいつも、物の原型、その物質みたいな話になる。わたしたちの全てはそもそも同じ成分で出来た仮面を被ったなにか。もうその上っ面みたいなのは面倒だし、そんなのはまたコロコロと季節みたいに変わるのだから、あなたの血は何色でそれがどこにどう通ってるのかの話をしましょうよ。みたいに、私には聞こえる。ちょっと変だけど、前の夫との会話に近い。夫としては最悪だったけれど、人間としてはとても魅力的な人だった。それは病気の特性の一つなのだけど、病が進行すると特に脳の回転が早くなったり、異常な動物的な嗅覚を現した。

プールで少し疲れた身体に染み渡るワインと角田さんの声。話を聞きながらぼんやりと思った。アートセラピーについて勉強しようか迷っていたけど、やっぱりやめて良かったって。これをやろうなんて決めるのはやめよう。不安だから答えを直ぐに見つけたくなって、身近なもので着地したがるのは人の性みたいなものなんじゃないか。けど、結局、こんなんじゃないと飽きるのは自分だ。せっかく、少し変わった業界で、角田さんのような素敵な大人に出会えるのだから、安心して泳いだらいいと思う。写真やって心理学やっての曖昧な先のなにかが、周ちゃんのよく言う、そのかけ合わせが面白いって場所にいつか出会える日が来るかもしれない。

帰りがけに角田さんと写真の話を少しした。こないだ撮った写真のことを褒めてくれた。別のライターさんと、いい写真だと話していたと言っていた。とても嬉しかったけれど、それ以上に、その写真や私の写真の撮り方について、ずばりと言い当てていて驚いた。

「私は、角田さんを見てたんです。」思わず言ってしまった。なんて事を言ってしまったんだと思ったけど、本当にそうだった。野菜が好きだ。20年くらいベジタリアンして体を壊すくらいに好きだ。vegan料理家の先生と本を作るくらいに好きだ。けど、畑に行くのは、角田さんを見たいからで、野菜を見に行っているというよりも、料理家の角田さんを追いかけて行った。角田さんが純粋に野菜が好きだと想う姿に胸を打たれたから。

自閉症スペクトラムは、人間的なコミュニケーション、人としての営みを働かせている機能に不具合がある脳の病。症状のひとつに、クレーン行動というのがある。それは、物を取りたい時に大人の手をもち、それをクレーンのように使って、物を取ろうとする行動。そこで見えている世界は、大人の手だけがぬぼっとあるらしく、人としての存在は見えない。手は温度のない、ただの物になる。仕事で料理を撮りまくっていると、時々似たように思うことがあった。皿だけがぬぼっと出てきて、一体これはどこからやってきたのか、誰が作ったのか見えない。ただ、流行ってるとか、人気だとかいうことだけが皿の上で光ってる。

料理写真を撮るのは好きだけど、そういう料理を撮ると寂しい気持ちになる。画面だけが、キマってる写真がどこまで語れるかなんて、正味1ヶ月が限界じゃないか、なんて意地悪く思ったりもする。昔のように、その頁を破いて壁に貼りたいなんて思う写真がすくなくなってしまったのはきっと、写真がただキマってるだけのものになったんじゃないかって。

駅に着くと、少し雨がふり始めていたけど歩いて帰った。楽しくて、少し飲みすぎた。だけど、よかった。まとまらない気持ちを日記に書いても結局まとまらない。四方八方から溢れていくだけ。それでいいや。

明日から忙しくなる。時間がぜんぜんない。

冷麺

夕飯 10.10,2023


周ちゃんがふるさと納税で購入した六盛の冷麺。この世で一番すきな冷麺であり、一番すきな拉麺。周ちゃんと出会った日に付き合って結婚の約束をして、入籍したのは3ヶ月後。入籍する2週間前くらいに行ったのが大分。周ちゃんの前職時代に住んでいた大分。周ちゃんが婚約者と別れて、人生を変えようと思ったところ。わたしにとっては縁もゆかりもない場所。

「婚約者です。」お世話になった民芸店で丁寧に紹介された。まだ、婚約者なんて名乗れるほど、周ちゃんのことは知らない。そう思いながら軽く会釈した。

周ちゃんに会わなかったらたぶん、大分には一生行かなかったかもしれない。後から聞くと、兄は将来大分に住みたいと考えているほどに大分が好きで、大分の知人から毎年かぼすを送って貰ってると言ってた。それでカボス胡椒を作って、わたしは毎年食べていた。なんて、人生とは自分の知らないところで、勝手にどうにか回っていたり、繋がっていたりするものらしい。

大分、少し特別な場所。柳家という旅館で入ったお風呂が忘れられない。夕陽の中で入る湯船はキラキラしていてとてもきれいだった。

10月9日

Journal 09.10,2023


周ちゃんは祝日だけど出勤。ちょっとありがたい。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと時間に追われてる中での家事は辛い。一人暮らしだった時、こんなに家事って辛かったっけ?と思うくらいに億劫だ。

周ちゃんを車で駅まで送ってから、夜まで勉強した。昨日のこと、吐き出したらスッキリしたというか、自分でもわからない気持ちを肯定してもらって楽になったというか、驚くほどにあっけらかんとしてる。離婚後によく人に言われたけど、落ちるのもすごいけど上がるのも早いって。心はそのギャップにヒリヒリするけれど、物語のひとつのページを閉じたかのように過去の事になってる。

出来ることなら、外国にでも引っ越せたら話が早いんだと思う。そこで写真を撮ってもいいし、撮らなくてもいい。今、全く異なるふたつが私の中に流れてる。今までの世界が嫌いなわけじゃないし、寧ろ大好きだった。だから、寂しかったんだろう。「過去に戻りたい?」周ちゃんの言葉に返答は早かった。「そうは思ってない。」あれは強がりだったのか、いや違う。過去には感謝してるし、大好きな人が沢山いる。それは事実で間違ってない。

とにかく今は前だけを見よう。全部を考え出すとキリがないから、”煩悩”って書いて紙を引き出しに入れた。わからないことは考えない。全部、煩悩のせいにしてしまえ。今までじゃないところへ行こう。やったことがない事をやってみよう。会ったことがない人に会おう。もっともっと勉強しよう。

寄せ鍋

夕飯 08.10,2023


朝は少し二日酔いで寝坊した。「マック行く?」寝起きの周ちゃんが言った。水でも飲んで直ぐに勉強を始めたかったけれど、梃子を連れてマックへ行くことにした。体調は日に日に良くなって夜も寝られるようになった。ここ数日は、体調のせいで夜に起きることが無くなった。

だけど、昨日の気持ちを引きずっているのか、その気持ちがなんなのかわからないままだ。車はどんどんマックへ向かっていく。周ちゃんには話さない。そう決めていたけど、湖の側にある公園に着いて、いつからなのかわからないけど、歩きながら話し始めた。「虚無感だね。」「あ、それ。それだ。虚無感。」失くした大切なものが戻ってきたような感じだった。そう。虚無感。それから、押し込めていた「寂しい。」が声と一緒に何度も何度もでてきた。ベンチに座ってエッグマックマフィンを齧りながら、大きな木々の間を歩きながら、何度も。

「それはさ、よしみが今、変化してるからだよ。俺はだけど、変化することはいいと思う。辛いだろうけれど、変化するってそういうことだから。これから、どんどん自分だけじゃなくて、周りの世界も変わっていくよ。いく場所も、会う人も。それは、とても楽しいことだよ。今まで会えなかったような人に会えるようになったり、そういう人と肩を並べて話ができるようになる。」

家に帰宅して、庭の掃除や家事を済ませて温泉にいく事にした。もう少し周ちゃんと話がしたかったから、遠くへ行きたかった。「いいよ。今日はプールじゃなくて温泉に行こう。」

山奥にある温泉に浸かってぼーっとした。三連休だったからか、温泉は脱衣所も露天までもぎゅうぎゅうで芋洗のようだったけれど、隅の方で目を瞑って湯に浸かった。行き詰まっていた色々のことは今日は全部忘れてしまおう。夜は鍋。何も考えずに寝た。深く深く落ちていくように寝た。

パンケーキ

朝食 07.10,2023


午後に銀座のトリコロールでリリさんとブライダル写真の打ち合わせ。私はエクレアと紅茶を、リリさんはエクレアとコーヒーを頼んだ。白いお皿に小さいエクレアが二つ。一つはチョコレートがかかってる。口に含むと、一瞬で実家にトリップしたようだった。母の作ってくれるシュークリームの味だ。ついでに姉や兄の顔も浮かんだ。それから、母が好きだった洋菓子の本のシュークリームの頁も。あの頁には、スワンのシュークリームが載っていて、いつだったか似たようなものを作ってもらったことがある。頁の中を泳ぐスワン。食べれるスワン。まだ色々な世界が分断されていない子供の私の頭の中は一体どうなっていたんだろうか。想像するだけでも楽しそうだし、あの頃の思い出と言えば、いい思い出しかない。

夜は編集の成田さんが予約してくれたダバインディアで大人数でご飯を食べた。カメラマンの太田さんとは写真の話がしたかったけど、結局全然話さなかった。神保町の駅前のロイホでパフェとワインを飲んで帰った。

帰りは参考書を持っていたけど勉強をしなかった。電車に揺られる身体。気持ちも同じように揺れ続けてる。夜中にこんな気持ちになるのは苦しかった。掴めそうで掴めなくて、だけどどうにもならなかった。

しらすとセロリのスパゲッティ

パスタ 06.10,2023


夜から周ちゃんの仕事の付き合いで寺田倉庫で開催されるMEET YOUR ART FESTIVALへ行った。別府プロジェクトでご一緒したアーティストの西田さんの誘いだそう。西田さんは金髪の陽気なおじちゃんって感じだったけど、すごい人らしい。11月は渋谷のハチ公でインスタレーションをするという話をしてた。私のことを色々と紹介してくれてたけど、少しでも作家として活動していたことがあるからだろうか。なんだか自分の不甲斐なさを感じてしまう。

会場で3年ぶりにIDEEの時のバイト仲間だったヒデオに会った。相変わらず可愛くて、少し心が癒された。それにビールをご馳走してくれた。帰りは駅ビルの中華を食べて帰った。

周ちゃんはやっぱりアートの業界の人で、私はそうじゃなくなった人。商業カメラマンは一過性の仕事。作ってもすぐになくなって、また作るの繰り返し。

せいろ蒸し

野菜 05.10,2023


ここ数日、メルカリで古い機材を沢山売ってる。新しいカメラがきたから、どんどん手放してる。何十万とするものを売ってしまうのは勿体ないかなと思う反面、使わないものを手元に置いておいても仕方がない。それに、新しいカメラにしたのだから、もっともっと映像も撮りたいし、スチールでも新しいことを始めたい。なんだか気持ちまで一掃されたみたいで気持ちがいい。

夜は遅い夕飯だった。周ちゃんは初出社から3日目。大分疲れが溜まっているようだったけれど、仕事の話をするのは楽しそうだった。少しアドバイスをしたら、どんどん話が膨らんで、勝手に私の友人の編集者も加えて一緒に仕事したいねとなった。薄々気づいてるけど、多分、私はプレイヤー体質じゃない。人の背中を押したり引っ張ったり持ち上げたりする方がずっと得意だと思う。

心理学で性格のことを勉強し始めてから、人がどうして悩むのかがだんだんとわかってきた気がする。心理学をベースにした性格診断なんかを受けてみても、大体どれも同じような結果が出るのも同じことだろう。自分に合う事というのは、スムーズに出来ること。それが、その人の性質であり、他人とは異なる能力であり才能となる。

だからって、才能を活かした方がいいとは思わない。一度きりの自分の人生だし、持って生まれた性質や、生まれた環境で備わった性質に振り回されなくたっていい。歌が下手でも歌手を目指したっていいし、なれなくたって楽しかったらそれでいい。下手には下手な人にしか見えない世界がある。だけど、才能を活かすと、人生が楽に生きれるし、誰かを幸せにしてあげられる回数も増える。

他愛もない普通の夜。何気なく話た食卓での話が、実現したらそれはそれで楽しい。

朝食

朝食 04.10,2023


結局5本目のレポートは出すのをやめた。あれやこれやと詰め込み過ぎて、後になってヒーヒー言うのは自分だ。それに、このバタバタの最中に月末にキャンプの約束をしたのもある。休みなんて取ってる時間はないはずなのに、やっちまったなと思ったけれど、きっとキャンプに行く頃にはもう絞った雑巾みたいになってるはず。息抜きにいいかもしれない。

来週からは映像の制作がしっかりと入ってくる。こんなに長い時間かけて企画を考えたのは初めてだ。仕事だけど、仕事とは言い切れない料理家の角田さんからの依頼。私が出来ることは何か、周ちゃんに聞いてもらって、何度も何度も話を重ねてコンセプトを作り上げた。仕事ならきっと答え合わせは簡単だったと思う。だけど、今回は、前提に角田さんとの関係を大切にしたい。丁寧に関わっていきたい。この気持ちが一番にあった。

ぼんやりと来週のことを考えながら、春までの勉強のスケジュールを立てた。それから撮影データーを送って、午後は試験勉強をした。夕方になる前に新宿に向かって、キタムラで機材の相談をしてから、ルミネの無印で勉強用の文房具を買った。そうこうしているうちに強い雨が降ってきて逃げるようにスタバに駆け込みティーラテを注文。夕方のスタバはなんだか落ち着かなかった。

丁度雨が小降りになってきた頃に六本木へ向かった。今夜は、ライターの柳澤さんと、リンネル編集部の藤本さんと吉野さんと4人でザリガニを食べる約束をしてる。スウェーデンでは、ザリガニ料理は夏の風物詩らしく、どこの家庭でも友人同士でも、夏の間に数回、ザリガニパーティをするのだそうだ。こないだ撮影に来たときに知り、じゃあ食べにこようとなった。10月の頭ならまだ食べれるらしい。

子供みたいに夢中に貪り、ベチャベチャになった手でワインを飲んだ。味は蟹みたいで、頭の部分は蟹味噌そのもの。お酒は二杯だけ飲んだけど、体調はむしろ良かった。きっと楽しかったんだろう。柳澤さんはいつものように沢山飲んで顔を赤くしていた。帰りがけに藤本さんが持ってきてくれた色校を見せて貰った。秋らしくて素敵なページのデザイン。雑誌って今よりも少し先の月の話となる。これからくる近未来のことを想像するのはわくわくする。来月の発売が楽しみ。

帰りは三つ先の駅に住む柳澤さんと本を売る話とか戦争の話とか、いろいろな話をした。駅を降りると夜はすっかり冷え込んでいたけど、秋の匂いが肌に触れると、思い出がどんどん身体に浸透していくみたいだった。最近、過去の記憶がどんどん塗り替えられていってる。悪いこともあるのは知ってるけど、夜は果てしなく夜でいい夜も沢山あった。夜中は大体タクシーで家まで帰る。

夜中の246だとか、山手通りが好きだった記憶はちゃんと残ってる。

鮪丼

和食 03.10,2023


1年半も田舎暮らしをすると、もういい加減に昔のようには行かないのだとわかってくる。最近は、現場には待ち合わせより早く到着するようになった。田舎は1本乗り遅れると大変なことになる。30分前に到着して朝のまだ今日が始まったばかりのロビーでレポートを書きながら待った。

今日は新しいカメラを持ってきた。使い方はまだ完璧じゃない。メインカメラを回しながら、途中でサブで使おうかな。軽い感じで考えていたけど、ちゃんと勉強してきたらよかった。前のカメラよりもずっと使いやすくてよかったのに、メニューボタンがどこにあるのかわからなくてモタモタした。

撮影が終わってから、編集の花沢さんと京橋の駅でさっとランチを済ませてバイバイ。駅前で鮪とA4の印画紙を買い、急いで帰宅した。息つく暇もなく書斎へ。途中、脱ぎ捨てた服を散らかしたまま、半分下着みたいな姿でレポート提出の準備を進める。間に合うのかな。間に合わせたい。今日起きたのは4時過ぎ。いい加減疲れてきた。目はかすむし、頭が働かない。声に出して何度もレポートに不備がないかチェックした。

急いで脱ぎ捨てた服をまた着て郵便局へ。16時50分。なんとか間に合った。帰宅すると周ちゃんからメールが入っていた。”今日はイベントで遅くなります。夕飯は先に食べていてください。” イベントって?” 周ちゃんが刺身が食べたいって言ってたから買ってきたのに。いつもなら、”わかった〜。” って返信できるのに”イベントって何?” と、突っかかるようなメールを戻した。もうこうなった時の私は完全にキレてる。スーパーへ直行してビールと缶チューハイを買った。お酒はしばらく断酒してる。病院の先生にお酒は控えて下さいと言われてるから。

周ちゃんにたまに「ビールを飲みたーい!」って言ってみると、苦笑いされる。ストレスで逆に病気になるよと思うけれど、ノンアルや炭酸水とかでどうにか我慢してきた。米を炊き、鮪のさくを切り、缶チューハイを一気に飲んだ。喉を流れてゆくアルコールはイライラも一緒に流してくれるようだったけれど、思ったほど美味しくなかった。全部飲み切らないうちにビールも開けて、やっぱり美味しくなくて捨てた。

馬鹿だな私は。だけど、なんだか嬉しかった。そう。私は馬鹿なんだった。今日は周ちゃんは帰りが遅いのだし、好きにしよう。お湯を沸かして日本茶を入れて、最近、ハマってる工藤静香さんのyoutubeを見た。工藤静香さんの何が好きかって笑顔がいい。犬みたいな顔になるから。

茄子のラザニア

Journal, 洋食 02.10,2023

周ちゃんの初出勤日。朝はなんだかソワソワしながら送り届けた。今夜はラザニアにしよう。冷凍庫にあった挽肉をキッチンに置いた。

朝の8時、朝陽がカーテンから差し込んで、テコはソファーで気持ちよさそうに寝てる。周ちゃんには申し訳ないけど、1人の朝がなんて最高なんだろうとミルク多めのカフェオレをすすった。ダイニングテーブルで日記を書いて、夕方までレポートをまとめた。明日は朝から撮影。レポートは17時までに出さなきゃいけないけど間に合うんだろうか。

ラザニアのミートソースはいつも通り甘め。砂糖を多めに入れると、少しひつこくなるけどコクがでていい。子供の頃に食べた味になる。

10月1日

Journal 01.10,2023

7月のハードな試験を終えてから駆け抜けるように暑い日々が過ぎ、念願だったバリでは青い海で泳ぎ、ようやくって感じで日常が帰ってきた気がした。ゆるゆるとクラゲのように何色だかどんな形だかわかんないようなままに夏は終わったけど、思ってた以上に人に会ったし、ストレスが溜まっていたんだろう、それなりにダラダラと過ごせた。そして、ホルモン治療に入らなかったことがきっと原因で体調はあまり良くなかった。そして、極め付けは細菌性胃腸炎。免疫力低下のせいで2週間近く苦しんだ。

人生において、こんなに体調が悪いことってあっただろうか。年齢の問題もあるかもしれないけど、生粋の健康オタクの私が、風邪だってまずひかない、昨年の健康診断がオールAだった私が、こんなにまで体調を崩すなんて。だけど、実際には身体のことよりも、前から降ってくる生きづらい日々にノックダウンされたのは心だ。

そして、体調不良の原因の一つが菜食だったからということもショックを受けた。否応なく、20年間続けたベジタリアンをやめた。肉食になったことで子供にピーマンや人参を騙し騙し食べさせるように、どうにかこうにかして肉を食べはじめた。これが思っていた以上に辛い。口にする度にうぇーと心で小さく叫ぶ。身体のためとは分かっていても、思っていないことをするというのはやっぱり苦しい。

今宵も肉をうぇーと思いながら食べていると、どんな話の流れからだったのか、周ちゃんが大学での勉強のことを褒めはじめた。夏は全然ダメだったし、体調も悪くてとにかく苦しかったと伝えると、「40歳を過ぎて大学へ行こうなんて思うだけですごいよ。」「え、思うだけで、勉強は全然できないよ。」「半年前はどうだった?」

半年前は4月。まだ大学に入学してほやほやだった。あの頃は、教科書を1日20頁くらい読まなきゃいけないのに、1頁読むのに1時間かかっていた。専門用語だけじゃない、普段聞いたこともないような日本語が山のようにやってきて、圧倒されっぱなしだった。出来る事と言えば、怯む身体をどうにかこうにか倒れないようにと踏ん張ることくらい。夏までの数ヶ月間の記憶がほとんどない。絶対に逃げない。全身の中でその言葉だけが山びこみたいにこだましていた。

周ちゃんは明日から新しい会社での仕事。学芸員という肩書では無くなるけれど、コミュニケーションデザインとか、アートと暮らし、地域、、。よくわからないけど楽しそうな仕事が始まる。今日一日、何度も「明日の支度しなきゃ。」と言ってた。緊張しているんだろう。周ちゃんのことだ、前日に支度を始めるなんてありえない。

「もっと自分を褒めてあげていいんだよ。」夕飯の最後に周ちゃんが言った言葉だ。周ちゃんは勉強の事となるといつもの1.25倍くらい目が真剣になる。今日もそうだった。それは周ちゃんが苦労してきたからだし、沢山勉強して、イレギュラーな道で学芸員になって、今度はずっとやりたかった仕事に就く。勉強が周ちゃんという人の人生を作ってきたからだろう。好きと消去法だけで生きてきた私とは大違いだ。

どうしてだろう、がむしゃらに走ることは出来るのに、自分を褒めてあげる?そんなの難しい。だけど、褒めてくれる人が隣にいるんだと思うと、今までとは違う感じがした。

頑張りたい。