麻婆春雨

中華 15.6,2022

朝からどんよりしてる雲。早く夏がきたらいいのに。午後過ぎまでデスクワーク。今日も仕事の話を友人達とした。愚痴になるのは嫌だから、彼女なら彼ならどうしたかな。友人達の声に心を癒しながら、クリエイティブの仕事だとか、仕事における信頼関係ってなんだろうと模索した。今までが恵まれすぎていたと言えば、そうだったのかもしれない。いつも恋の話しかしない編集の加藤さんとは今度ゆっくり話そう!と約束した。なんだかこういう流れも面白い。色々を考えるきっかけになったし、もしかしたら良かったのかもしれないとも思った。この1週間で確実に私の中で新しい何かがむくむくと芽生えてる。それに、その仕事から離れることでずっと後回しにしていたことに力を注げるようになったことも手伝って、私のなにかはどんどん加速し始めた。そして昨日お会いした編集者さんとの出会い。背筋がしゃんとしてる。

なんだかこの感覚ってアシスタント時代みたい。早朝の待ち合わせに遅刻しないようにとアラームは3つくらいセットして、今日の師匠の機材はどんなで、また海に入るのか、また山の中へ入るのか、どうにもロケバスの空気感が馴染めなくて、いつもロケバスじゃありませんようにとベッドの中で祈り、前夜は緊張で軽く氷ついていた。師匠は大好きだったけれど、毎回が最期みたいな気持ちだったと思う。そこには何一つ委ねてなかった。

何が好きで写真を撮ってきたのか、それが段々と師匠の時とは変わるのは自然なことだと思う。だけど、すごく今、わくわくしてる。あの頃の緊張を思い出したら、私の行き先が少し間違っていたような気もした。これから撮る予定のふみえさんとの新しい映像の話も、自分の作品についても、展示もしたいし、やってみたい仕事もある。

今夜は麻婆春雨。周ちゃんのリクエスト。食卓ってやっぱり面白い。一緒に生活を始めて3ヶ月ちょっと。しっかりと私達の食卓になってきてる。麻婆春雨は私達の定番メニューになって、そこにはピーマンが入るようになった。レシピは栗原はるみさんのものがベース。春雨は細いのもいいけど、OKストアで売ってる安くて太い春雨がいい。それから、「春雨が食べたいな。」って言われると嬉しい。

麻婆春雨
ひき肉 200g
春雨 100g、茹でておく
にんにく・生姜 大さじ1、みじん切り
ピーマン 2つ、ニラ1束くらい、荒く小さく
ねぎ 1/2本、みじん切り
紹興酒、豆板醤 大さじ1〜2
醤油・甜菜糖 大さじ1くらい
鶏ガラスープ カップ1[鶏がらスープの素小さじ1を湯でといたもの]
ごま油
花椒

フライパンににんにく、生姜とニンニク、ひき肉、ねぎを順々に炒めて、豆板醤を入れる。豆板醤に火が通ったら紹興酒をいれる。鶏ガラスープ、春雨、醤油と甜菜糖を入れる。火が通ってきたら、ピーマンとニラを入れて、さらに水分をとばしていく。

6月13日

Journal 13.6,2022

朝からバタバタとポートフォリオのプリントをまとめて、急いでバスに乗った。打ち合わせは昼過ぎから。ふみえさんとの待ち合わせに10分遅れて現地に到着。ギリギリセーフだった。これだから田舎は嫌だ。2時間も早く家を出たのにな。

前に書籍の色校で来たことがあったビルだった。今っぽいオフィスからは東京がよく見える。当たり前のように住んでた街なのに、東京にいる方が今でも安心するのに、私の家はもうここじゃない。心が東京にシールみたいに張り付こうとしてるのがわかる。話は意図せぬ感じでトントンと進んだ。ふみえさんは背筋を伸ばして話を続けてる。やっぱりふみえさんって人が好きだし憧れる女性だなと思った。たくましくてかっこいい。ふみえさんがNYや東京でバリバリとテレビの仕事をしていたのがわかる。

担当の編集者の女性は偶然というか夢みたいというか、憧れの写真家の方とチームを組んで撮影されてる編集者さんだった。こんな事ってあるんだろうか。例えるならビヨンセと一緒にツアーを回ってるプロデューサーとテーブルを囲んでるみたいなもの。こんなにどきどきしてるのは久しぶり。心臓が飛び出そう。夢の夢の夢みたいな出会い。地球の裏側の砂漠に寝そべって星の数を数えるとか、アラスカでエキスモーと一緒にアザラシーの血を飲む方がずっと簡単。望んでも会えないような方に会ってしまった。もう今日があるだけで十分だなとも思った。心が弾んでる裏側でこないだの仕事の事がずっともやもやとした。写真が好きだけど、写真を撮ることに自信を失くしてる。最高と最悪が私の心の中を半分ずついるみたい。

パンケーキ

パン 12.6,2022

帰ってからずっと体が重くて、胃の調子が悪くてご飯もろくに食べられない。それに、ちょっと嫌なことがあって元気がない。離婚をしてから、あんなに最悪なことがあったから、これから先の人生はそんなに傷つかないだろうと思ったけれど、わりと簡単に傷ついたりするみたいだった。痛みでいったら100分の1くらいでも胸は少しキリキリしてる。瞳ちゃんに聞いてもらって少し楽になった。「よしみちゃん、気にしないでいいよ。」友人の言葉は想像よりずっとずっと効き目がある。再来週は前の家の近所友達と青山のeatripで夕飯をしようと約束をした。こういう時は無性に友達に会いたい。周ちゃんもずっと心配してくれてる。

夕方、池袋でNYに住んでる周ちゃんのお兄さんに挨拶の為に会った。これから仕事でハワイに行くのだそう。周ちゃんとは真逆というか、うちの姉みたいにどっぷりアメリカ人な感じだった。急いで家に帰ってふみえさんと本の打ち合わせ。今日は周ちゃんに企画書の添削をしてもらった。胃がずんと痛くて打ち合わせ中も座ってるのが辛いくらいだったけど、前へ進むことは私の糧になる。やっぱりふみえさんの写真を撮ってきて本当に良かったと思ったし、周ちゃんは思っている以上にこのプロジェクトに魅力を感じてくれてるようだった。もっともっと優しい人になりたい。少し前に仕事の事で困って電話してきてくれた編集の成田さんのことを思い出した。あの時私は彼を慰めてたけど、周りで頑張ってる人の姿は私の勇気になる。

ラーメン

Journal 31.5,2022

朝から雨。昨日より10度も気温が低い。多分、周ちゃんは低気圧でダウンしちゃうんだろうな。低気圧であんなに辛そうな人、今まで見たことがない。日中、授業の合間に美容ライターの長田さんのラジオで低気圧のダウンはまるでPMSだという話を聞いた。そりゃ辛い訳だよ。頭痛だけじゃなくて、気持ちのダウン。軽い鬱状態を示してるってこと。PMSは酷い人だと死にたくなる症状も出るほどだし、それはPMDDという鬱病の一種でもある。大丈夫かな。雨が強くなる度に気になった。

技能練習の授業を2回連続で受けて旅館に帰宅。今日の無線講習。車内がクーラーでガンガンだった。どう消していいのかわからないし、先生からは一方的にコースの指示がくるだけ。冷えきった身体、首も肩も慣れない運転でガチガチ。お風呂に入ろう。背筋がゾクゾクする。部屋に戻って横になったらいつの間にか寝ていた。

夕方過ぎに目を覚ました。すごくスッキリしてる。ノートパソコンで納品作業をし始めると旅館のおばちゃんから内線。「熊谷さん、夕飯まだ来ないの?」「今行きます!」慌てて食事場へ行った。「今日はラーメンだから。」おばちゃんはカセットコンロでグツグツと鍋に入ったスープを温めてる。おばちゃん、スープは煮詰めちゃ駄目だよと思った。今日もやっぱり旅館のご飯はしょっぱくて中々な味。昼の弁当も。準備して貰うのはとても有り難いけど、驚くほどに不味い。なんてことのないお浸しでも絶妙な味がするし、ご飯は毎回粒が見えないくらいぐちゃぐちゃ。うちのご飯が食べたい。そして、お腹一杯になってご機嫌で寝たい。

「私にどきどきしないでしょ。」今夜の周ちゃんは想像よりずっと低気圧のダメージを受けてなかった。「え?なにそれ。だって、ほうれい線伸ばしながら電話してる人にどきどきしないでしょ〜。」「そうじゃなくて、私達はどきどきが始まる前に付き合って結婚したでしょ。どきどきしたかったなと思って。」「え〜難しい質問だよ。」周ちゃんと離れて1週間。今更になって私は恋をしてると思う。テレビ電話に映る端正な目や鼻、綺麗な眉。綺麗に灼けた肌。周ちゃんを見る度に顔が少しゆるむ。授業中、何度も周ちゃんを思い出しては、先生が周ちゃんだったらどうしようと妄想しては小さく胸を高鳴らせてる。それから、周ちゃんの前の婚約者が大学の先生だった事も一緒に思い出して少しだけ嫌な気分になってやめる。なんて下らない考えだろうと思うけれど、好きな男の好きだった女は嫌い。わたしよりもずっと素敵な気がしてしまう。立派なアーティストだったと聞いてるけど、絶対に美人で賢くて私のように騒がしくない。きっと周ちゃんはその才能にも惚れ込んでいたんじゃないか。大学でその人を見かける度に、数え切れないくらいどきどきしたんだろう。

周ちゃんに出会って7ヶ月。結婚して3ヶ月ちょっと。今さらだけど、福島に来てから私は周ちゃんに恋をし始めた。順序がばらばらだけどこれは恋。周ちゃんに会いたい。

Journal 28.5,2022

合宿2日目。変な夜だった。話したいような話したくないような。周ちゃんは私を嫌いになってしまったんじゃないか。そんな気がしてならない。「低気圧の影響でまだ少し体調が良くないよ。だけど、今日は結構勉強できたよ。」顔がおかしい。調子が悪い時の周ちゃんの顔は糊で貼りつけたみたいな顔になる。そこには温度が一切消えていて、紙ぺら一枚みたい。真ん中をびりっと破いたら、うずくまった周ちゃんが隠れている気がする。だから、それ以上は触れられない。

電波が悪いみたいで話が途切れ途切れになった。何度も周ちゃんから「ちょっと聞こえなかったよ。」と言われて、同じ話を何度もした。「途中少し聞こえなかったかも。」しばらく黙った。別に聞こえても聞こえなくてもいい。ただ、生活が上手くいってないことや、梃子のことで不安になった気持ちだとか、丁度色々が重なったタイミングの状況について、それは私達の問題じゃないからと伝えたかっただけ。田舎暮らしを始めたのは私達の問題だけど、私が不具合を起こしているのは私達の問題じゃない。そこは私が解決するところだ。周ちゃんは十分に助けてくれてる。こうして、家を空ける度に梃子の面倒を見てくれたり、仕事で帰りが遅い時はご飯を作ってくれたり。十二分な程に頑張ってくれてる。私の問題。

1時間半くらい、よく繋がらない電話を続けた。会って話したい。私の感情が溢れる度に周ちゃんは私を嫌いになっていく気がしてならない。周ちゃんの笑顔が失くなったのは、本当に低気圧のせいなのか、私のせいなのかわからない。私は気持ちを素手で掴んでしまう。周ちゃんはそれを壊れ物かのようにそっと扱う。私達は似ているようで全然違かった。

チーズ卵サンド

パン 26.5,2022

昨晩、撮影から帰宅すると日中に梃子が吐いたと周ちゃんに聞いた。夜ご飯もほとんど口にしない。まるで枯れかけた花みたいにくたっとして、夜中もずっと調子が悪そうだった。朝の6時半過ぎ。リビングにいると二階から寝起きの周ちゃんの声。「梃子が吐いたよ!」急いで二階へ上がると血の吐いたあとがあちこちに散らばってる。嘘でしょ。梃子は表情を変えずにただ座ってる。「これ、血だよ。」「え?」急いでシーツを洗って、動物保険の24時間対応の連絡先に電話。「朝一番で病院へ行ってください。」レントゲンをとったり、エコーをしたり、吐き気どめの注射をして帰宅。帰ったのは昼前だった。梃子の顔色は朝よりもどんどん良くなってる。

福島に着いたのは18時半。東京へ行くよりもずっと近く感じた。とにかく、埼玉の今の家は不便で不快な気分になる。昼にgoogleで田舎暮らしについて調べてみると一つのブログを見つけた。代々木上原に住んでいた男性がコンビニまで一時間という田舎へ移り住んだ生活の話。田舎という場所は不便、だけどそれを不快にするかどうかは生活次第とのこと。面白い話だった。目的は不便かどうかじゃなくて、暮らしにとって不快か快適か。確かに東京に住んでいたって、不快な場所はあった。中目黒に住んでいたマンションなんて史上最悪の不快な暮らしだった。山手通りの影響で空気は汚いし、家と家の間は狭くてぎゅっと詰まったような感じで窓を開けると直ぐに誰かの家。家の直ぐ裏は通り魔が出る場所があったり、雨が降る度に目黒川は鼻をつまみたくなる臭さ。駅前にはキャバクラのキャッチのお兄さんがいつも立っていて、夜遅くまでやってる飲み屋も多い。お洒落な街だという側面よりも、息苦しさの方が勝ってた。

周ちゃんにここ数日、不満をたっぷりと吐き出してる。タクシーで東京を走る度に世田谷の家に帰りたいと悲しくなった。田舎暮らしはどうしてこんなに不便で不快なのか、朝のラッシュだって最悪だし、駅のホームで人は無言でぶつかってきて、無言で去って行く。GOでタクシーを呼んでも全然捕まらないし、バスが行ってしまえば次のバスは20分後。東京から家まで2時間とちょっと。重い機材を持って、8時間以上の撮影で消耗した身体を運ぶにはあまりに辛すぎる。全く楽しくない。”こんな生活続けられないよ。” 昨日の帰り道で周ちゃんに酷いメールを送ってしまった。そして、梃子の吐血。なんだか、最悪とは言わないけど、全てはこの田舎のせいだと勝手に決めつけてる自分がいる。

まだ帰らない周ちゃん。梃子が倒れていたらどうするんだろう。怒りをぶつけたい気持ちを抑えて8時半になった頃に周ちゃんが帰宅。テコの映像が送られてきた。ほっとした。私、何やってるんだろう。平然を装って、”ありがとう。”とメールしたけど、モヤモヤは止まらない。なんだか、もう嫌だ。こんな事なら一人で生きていた方がずっとマシ。私のワガママや甘えは壊れた蛇口から出続ける水みたいになってる。

変えなきゃ。生活を暮らしを変えなきゃ。前の暮らしが大好きだったとしても、あの暮らしを終えたのは私だ。大好きな世田谷の家。あんなに素敵な家にはもう二度と出会えないと思う。だけど、今度は違う形の素敵な暮らしにしなきゃ。始まったばかりのトライアンドエラーエラーエラーな田舎暮らし。あのまま東京にいたら、私はきっと東京しか知らずに東京で死んでいっただろう。それも悪くないかもしれないけど、重い腰をあげてようやく東京を出たのだから、もっともっと遠くへ、知らない場所へ、知らない生活を知らない暮らしを体験してみるのはそう悪くないはず。L.Aの姉にいつも言われてた。「よしみ、東京好きだよね。日本人っぽくてダサい。」

姉の言葉には一切反論は無かった。私の視野が狭い事はアメリカに行く度に感じていたし、東京へ帰ればそれが一層に狭まることも知ってた。せっかく周ちゃんのお陰で東京を出たのだから、私が変わらなきゃ。東京は好きな街だった。

海鮮丼

和食 23.5,2022

今夜は海鮮丼。帰宅した周ちゃんは機嫌がいい。「かわいい子にでも会った?」って聞いたら嫌な顔をしてた。今週に立教大学で講義する資料をまとめてるらしいのだけど、いい感じに出来たから機嫌が良いのだそう。

ブルーベリートーストと、納豆トースト

パン 21.5,2022

朝から雨。午後はスノーショベリングの中村さんにちょっとタトゥーの取材したい子がいるんだけど、よしみちゃんいい?って紹介を受けた子に会う筈だったけれど、中村さんが午後から地方へ行くらしくてリスケとなった。夕方からはナナと渋谷で待ち合わせしてる。2年ぶりのナナ。午後過ぎまで仕事をして電車で向かった。途中、池袋の花屋で紫陽花の花束を買った。ナナみたいな色の花。

お店には少しだけ遅れて着いて、ナナはやっぱり先に着いてた。生ビールと鯛の刺身とホタルイカの沖漬けを頼んで、まず離婚をした事を簡単に話した。「うん。別れた方がいいって思ってたし、言おうと思ってたよ。」「え?そうなの?!」「うん。だって暴力とか良くないじゃん。」「え?私そんな事言ってた??」「うん。少しだけど言ってた。」「へぇー。」なんか他人事みたいに聞こえたけど、心配してくれてた事がすごく嬉しかった。それから、ナナが彼女と養子縁組で結婚する話を詳しくきいた。あとは犬の話とか、ナナの作品の話とか。ナナはナナだったけれど、ナナじゃないみたいに、犬の真似をして戯けたり、彼女の話を嬉しそうにしたり、左手薬指にあるシルバーの指輪がなんだかすごく、なんだかとても幸せな気分にしてくれた。こんなに笑う子だったっけ。

それから、ナナの彼女は壮絶な過去の出来事があって、心の病があることも聞いた。「そういうとこ、行った?」「うん。」ナナは私の足らない言葉を汲み取るが上手くて、周ちゃんに似てる。人が何を言おうとしているのか、言葉だけじゃなくて感覚的に直ぐに相手の言葉を見つけてくる。「コントロールできてるうちは大丈夫だと思う。ナナの問題ではないのだけど、傷ついちゃうよね。少しずつ、少しずつだよ。」「うん。後から彼女は謝ってくるよ。」「うん。えらいね。二人で話し合う時間を毎月大事にしてるなら、少しずつ。」「うん。だけど、毎月が怖いよ。」「うん。そうだよね。だけど、そんなに苦しい事過去があったのに、少しずつ前に進んでいるのはすごいことだよ。」PMSや低気圧でホルモンバランスが崩れると病気が発症するらしい。だけど、いつ、どんな状況で悪魔がやってくるのかがわかってれば、それは悪魔だってわかる。彼女の全てじゃない。本人が前を向いているならば、隣で一緒に前を見れるのならば、辛抱してみるのもいいと思う。今のナナならきっと、あの子と別れたナナなら大丈夫。もう全てを背負うのをやめて、彼女に出会って結婚を決めたナナだから。

今日のナナはすごく無邪気だった。年下なのに大人みたいなナナじゃない。今度、家へ遊びに行くねって約束して渋谷駅で別れたと思う。ナナの彼女に会いたいし、周ちゃんの事も紹介したい。酷く飲みすぎて、帰宅したのは夜中。どうやって帰ったのか覚えてないけど、酷い吐き気だけが今も残ってる。周ちゃんは夜中の間ずっと「大丈夫?」を繰り返して、リビングで蹲る私は「大丈夫だから、ごめんね。」を何度も何度も返した。私もナナと同じだ。背負うのをやめたら、頑張るのをやめたら、周ちゃんに出逢った。多分呑みすぎたのは、新しいナナの笑顔をずっと見てたかったから。周ちゃんごめんね。

ピンクの薔薇

Journal 20.5,2022

あ、打ち合わせ!気づいたのは9時50分。呑気にソファーでインスタ見ながら紅茶を飲んでいた。急いで支度をして書斎に向かう。今日は新しい仕事の打ち合わせ。コロナ前にあった連載は気持ちいいくらいきれいサッパリ全てが打ち切りとなった。なんだか今年から新しい風が吹いてる気がしてる。春に始まったキリンの仕事もそう。年単位のプロジェクトが始まる。またこうしてチームでの仕事が出来ることがすごく嬉しい。会社勤めは私には難しかったけれど、チームでの仕事は性に合ってる。久しぶりに会う現場にもスタッフにもどんどん愛着が湧いていくし、その楽しみはどんどんと膨らんでゆく。

今回の仕事は今までとはちょっと違うお仕事だった。コロナが始まってから、撮るだけじゃない仕事も増えた。考えたり、提案したり。撮影以外の仕事。今回もそんな感じのお仕事の依頼。食に纏わるプロが集まったメンバー。「ワカナさん、私で大丈夫?」打ち合わせの途中に何度も聞いた。メンバーの中には何人か知ってる顔もあった。

2年前、まだ離婚なんて選べなかった時に、まだ元夫が病気だなんて認められなかった時に、私達夫婦がやっぱり普通じゃない事やモラハラという言葉をナッチャンの話で知った。ナッチャンはデザイナーのちあきちゃんが連れてきてくれた子。一緒にうちでご飯を食べて、シングルだと聞いて勝手に作本さんを紹介したりして。背が高くてすらっと伸びた手足。街角で通り過ぎた時に、あ、綺麗なお姉さんって、辺りの空気がさらっとするような感じの子。離婚する頃、過度なストレスと目まぐるしく変わってゆく元夫が起こす色々な酷い現実が受け止められなくて夏が終わる頃には鬱が発症。わりと早い段階でストレスの軽減と共に病は治っていったけれど一部の友人を除いて殆ど誰とも連絡を取らなくなった。ナッチャンに最後に連絡したのは離婚の報告。それがきっと最後。「よしみちゃん、離婚して、今がすっごく楽しいよ!」初めて会ったときにナッチャンが言った言葉を何度も思い出した。いつか私にもそんな日が本当に来るんだろうか。朝から晩まで苦しくて、次の日が来ても朝から晩まで苦しい。そんな日がずっとずっと続いているのに、本当に?私はこの地獄から夫の色々から本当に抜け出せる?本当に終わる?何も酷いことがない今日が、ただお喋りしたり、ただ食べたり、ただ普通の、何も考えないで、目から涙がこぼれないで、歯の奥を食いしばらないで、胸が潰れるような事が起こらない今日が私にも本当に戻ってくるの?

人生っておかしい。世界で一番愛している人生を捨てたら私は死んじゃったけれど、命があればいつでも生き返ってこれるし、過去にいた友人にも会える。離婚を機に沢山の人と縁を切った。元夫と関係する人は全員と会わないことに決めて、元夫の影が見える場所には近づかない。「私たちのことを助けて」とお願いした人もいたけど、もう会いたくないから会うのはやめた。愛の為にと信じて我慢して嫌な人に会うのはやめた。きっと私は必要以上に色々を失ったと思うけれど、あの時間にあった元夫と関係のない色々までまとめて捨ててしまったけれど、こうやってまた会える友人だっている。

ナッチャンに打ち合わせで会ったら結婚を報告しよう。

手巻き寿司

夕飯 19.5,2022

今日は周ちゃんの誕生日。朝は久しぶりに山へ行った。ここ数日の晴れでぬかっていた足場も良くなって、緑もまたぐんと伸びた。午前は青山の美容院へ行って、そのあとに渋谷に新しく出来たショータさんのお店、麻婆豆腐のかかんでみんなでランチ。久しぶりのフジモン、瞳ちゃん、じゅりえちゃん。フジモンにはなんだかんだとずっと会えてなくて、年賀状に “話したいことがあるよ!”と書いたけれど、ようやく報告出来た。「よしみさんどうやって結婚したんですか?」じゅりえちゃんが言った。「2回目のデートで付き合って、それから3日後に結婚して欲しいとなって、それで、まだまだ離婚へのトラウマがあったし、結婚とかよくわからなかったんだけど、2週間後くらいにたまたま大好きなNYのジュエリーデザイナーのポップアップをしてて、それでマリッジリングをオーダーしたの。それから親にあったりして3ヶ月くらいで籍を入れたよ。」「えー?!」「けど、色々な話、二人の話だけじゃなくて、人生とか結婚とか、結婚制度とか、本当に色々な話をしたのだけど、私はこう生きたいとか。色々な話を沢山したんだよ。」簡単に端折って話したけど、あの時のスピードはどうにもこうにも誰にも上手く話せない。想いとか願いだけが毎日を勝手に突き動かして行った。もう傷つきたくない、だから幸せになろう。それだけ。結婚したいとか、この人を手に入れたいみたいな気持ちは一切無かった。

新しいお店はヨーロッパにあるオシャレなチャイニーズレストランを連想させるお店で、東京にはあまりない感じのセンスがいい内装だった。フジモンもショータさんも独特のセンスがある。二人が夫婦になった理由は、二人と別々にいてもわかる。人はたまたまに出会うんじゃなくて、選んで出会ってる。それは惹かれ合う理由の一つと言っても過言じゃないと思う。だって、同じ世界を見るために似たレンズを持っていた方が楽しいから。人間って楽しいことが楽しむことが好きな生き物だから。二人が似ているのは独特のセンスと誰にでもオープンなマインド。それはとても広域にわたるものだから、他の友人を探しても二人にとても共通してるもの。フジモンが結婚のお祝いにスープカップをくれて、ショータさんは帰りに麻婆豆腐をくれた。二人らしい軽やかな愛情。ショータさんと仕事の話をするといつも周りがちゃんと楽しめてるかっていう話になるし、フジモンは何てことのない日に小さなプレゼントをくれる。二人は夫婦だけど、私にとっては別々の人で、だけど似てる。同じ家から来たんじゃなくて、同じ家に帰ることがわかる。

「誕生日は何が食べたい?」付き合った当初に周ちゃんに聞いたのは昨年の11月。半年後の今日が本当に訪れるのかも知らなかったのに、当たり前のように手巻き寿司を食べてる。帰りに新宿の高野フルーツパーラーで買った苺のケーキの上に綺麗に5本のローソクを並べて、当たり前のように、まるでシナリオをなぞるようにふっと一息で周ちゃんが消した。41歳の抱負を聞くと感慨深く答えていたけれど、殆どがあまり聞こえてこなかった。古市で買った赤い花瓶にピンク色の薔薇が煌々と光に照らされてる。ただただ、やっぱり当たり前のような顔して照らされてる。夕方帰宅すると玄関に大きな花束。宛名は周ちゃんのお母さん。「今日は周ちゃんが活けたら。」「大丈夫?変になるかもよ。」「いいよ。好きなように活けて。」大きな花束は大小さまざまな形の花瓶に少しずつ活けられていく。帰宅したばかりで白いシャツにパンツ一丁の周ちゃんが一生懸命に活けてる。どれも少し長すぎる背丈で花瓶からニョキっと突き出していて、それはすごく不格好で愛らしくて可笑しかった。家のあちこちに置かれた花は明日からまた当たり前のように咲き続けて、そして終わるんだと思うとすごく何だか幸せだなと思った。

カリフラワーのアンチョビバジルソース和え

つまみ 18.5,2022

久しぶりに朝から天気がいい。山へひとりで朝の散歩。帰って直ぐに起きてきた周ちゃんと梃子と散歩へ。無人販売所へ向かった。太陽が背中を触ってるみたいで気持ちがいい。後ろから朝陽が同じ方向へ向かって朝や私達をを照らしてる。「おはようございます〜。」今日は販売所のおばちゃんと軽トラから野菜を下ろしてるおじちゃん。「カリフラワー二百円だよ。」今日は大豊作。簡易で作られた棚の殆どが沢山の様々な野菜に埋め尽くされてる。「あ!空豆。あ、春菊。」ここの春菊を食べてから春菊へのイメージがガラリと変わった。春菊はただ苦いだけじゃなかった。みずみずしくて甘くてほんのりと苦い。例えるなら、サンドイッチみたいに色々な味が一つになった野菜だった。今日はほうれん草、赤いサラダ大根、カリフラワー、空豆、新玉の赤玉葱を買った。とにかく心が弾んでる。「今夜は空豆を焼いて、カリフラワーは生のまま食べようよ!」昼を過ぎる頃に遅れた生理がきた。なんだ、やっぱりPMSだったのかもしれない。久しぶりのPMS。気持ちの落ち込みはあったけれどトラウマは全くなかった。

夜に後藤さんに電話をした。来週末うちに遊びに来る約束をしていたけど、急遽合宿で免許を取ることになって日程を変更して欲しかったのと、急な変更のお願いを謝りたかったから。なんだかんだと一時間くらい話した。後藤さんはマサくんとうまくいってることや、人って想い合わないと駄目なんだねって話をしてた。過去にいた愛していた人と、今隣にいる人を比べてしまう。離婚して1年以上経ったのに、まだ元夫の事を思い出してしまう自分が嫌だったけれど、後藤さんも同じように過去と現実を行ったり来たりしてるんだって知ったらなんだか安心した。別に比べたいわけじゃないのに、比べてしまう。

カリフラワーのアンチョビバジルソース和え
生のカリフラワーを一口サイズにカット
アンチョビソース [アンチョビ、オリーブオイル、バジル、ニンニクをミキサーにかけたもの]
生クリーム 大さじ1
ホワイトビネガー 大さじ1
材料をボールで混ぜ合わせ混ぜ合わせる。

パンケーキ

Journal 17.5,2022

4時くらいにパッと目が覚めて部屋で作業を始めた。なんだかもやもやする。気持ちが落ち着かなくて時間ばかりが追いかけてくるみたい。それに今日はいつもよりもずっと身体がどんどん冷えていく。6時過ぎ、梃子が周ちゃんを起こした。「ごめんね。周ちゃん。」「大丈夫だよ。」「お腹が好きすぎて気持ちが悪いよ。パンケーキが食べたい。」「うん。じゃあ、俺が焼くよ。」最近ハマってるパンケーキ。今日はちょっとスペシャルだった。チョコレートシロップと蜂蜜を交互にかけて、パンケーキを切る手とパンケーキを食べる口は忙しく一緒に動いて、あっという間に完食。「ああ、お腹一杯。」お腹は一旦満たされたけれど不安がまだ続いてる。直ぐに部屋に戻って納品作業をした。周ちゃんは仕事へ出かけて、コーヒーを入れ直してまた仕事。不安は未だ続いてる。spotifyでいつもなら聞かない感じのアユルベーダーのラジオを流しながら作業を淡々と終わらせた。不安はやっぱり続いてる。

午後は茅ヶ崎で一本取材。うちから茅ヶ崎だなんて小旅行じゃなくて、ちょっとした旅行だ。電車で2時間半。殆どが居眠りしたり、目を閉じたりした。不安はまだ電車と一緒に移動した。昔もよくあった。不安になってしまう日。気づいたら無くなってた。不安な日は話したくない。だけど、1度目の結婚をしてから無くなったような気もする。だけど、それはそれで、また別の、私のじゃない大きな不安がやってきた。やっぱりPMSなのだろうか。それとも更年期?30代から始まる人もいるって言われてる。どちらにせよ、ホルモンバランスが原因な気はしてる。

現場で久しぶりになおきさんに会った。あまりに突然でビックリして、ビックリしすぎて不安がそのまま飛んでいった。撮影はさっと終わって、さっと帰った。帰りに少しお喋りをしてなんだかすごく楽しかった。料理家さんの取材だったからか、フミエさんとの料理本の事だとか、フミエさんって素敵だよなとか、なんだか頭の中に色々がぐるぐると回った。フミエさんとお喋りがしたい。

麻婆春雨

お気に入り, 中華 16.5,2022

最近、毎日が毎日の連続みたいで調子が出ない。あっという間に夜がやってきて、あっという間にまた今日がくる。どうしたんだろうか。まるでPMSみたい。先月は2回生理が来て、今月はまだ来ない。先週は糠漬けの古漬けのせいで1週間くらいお腹の調子が悪かった。それ以外は良好。なはずなのに、やっぱり何だかしっくりとこない。

麻婆春雨
春雨 湯がいておく
ひき肉 200gほど
ニンニク・生姜 大さじ1くらいの量をみじん切り
ピーマン 2個 ざく切り
ネギ 1/2本 みじん切り
[ 調味料 ]
ごま油
豆板醤 お好み
鶏ガラスープの素 小さじ1をカップ1の湯で溶いておく
醤油 大さじ1〜2
砂糖 小さじ1〜2
ホワジャオ 包丁で細かく刻む

フライパンに油をひいて、ニンニク、生姜を入れて香りをだしたら、肉を入れて放置。肉汁が出て火が通ったら、ネギ、ピーマンを入れて火を通す。端で豆板醤を炒めて全体を絡める。鶏がらスープ、醤油、砂糖を入れて煮立たせる。春雨を入れて火を通す。ごま油をひとまわし。皿に盛ってからホワジャオをかける。

しらすトースト

朝食 13.5,2022

今朝はしらすトーストと、こないだの残りのカレースープ。撮影の日は周ちゃんが朝食を作ってくれるのがルーティンとなってる。周ちゃんのしらすトーストは丁寧で美味しい。しらすの置き方は均一だし、チーズやマヨネーズも丁寧に隅まできれいに塗られてる。私のとは大違い。だけど、実は私はいびつを好んでる。成り行きのある自然な感じ、例えば出過ぎてしまったマヨネーズとか、塗り忘れてるのか面倒だから塗らなかったのか、余白を残されたようなトーストの端っこなんかに愛を感じたりする。ロボットにお願いしたら上手にやってくれそうなものはタイプじゃない。だけど、周ちゃんのは特別。トーストの隅まできちっとしているのは周ちゃんらしい。

青山のスタジオで撮影を終えて急いでタクシーに乗って駅に向かった。池袋で行きたい眼鏡屋がある。どうゆうわけか疲れていても買い物はしたいし出来る。お店を二往復くらいしてから店員さんと色々と話をした。幾つか気になっていたブランドがあったけれど、結局またayameにした。4本目のayame。そして、今回こそ黒いフレームにしようと決めていたのにブラウン。でもとっても気に入ってる。眼鏡を新調するって、美容院へ行くみたいな気分。まるで新しい人生が始まるような気持ちになる。

パンケーキ

朝食 12.5,2022

朝食に周ちゃんがパンケーキを焼いてくれた。黒磯で一緒に仕事をしたワカナさんから連絡があって先日の映像の仕事が決まったとのこと。嬉しい!それから、久しぶりに高木さんから料理の仕事が入った。引っ越す間際にギャランティーの事で断った仕事がある。交通費や移動費が東京で暮らしていた時のようにはいかない事を心配してしまったことが理由だけど、なんだか胸に引っかかってたから嬉しかった。

引っ越してから、より一層に心理学を勉強したいと思ったり、もう作品は作らなくてもいいんじゃないかと、今は新しい生活や家庭の中で生きていく事だけで十分なのかもしれないっていう気持ちになったり、だけどやっぱり、すごく料理が撮りたかった。フミエさんとの本づくりのリサーチで本屋に通ってはいるけど、前のように左上から右下まで片っ端まで舐めるように本を漁らなくなった。闇雲に頑張るのはもういいんじゃ無い?って気持ちとか、いい歳だし今更やってもさとか、もう十分かもよ?っていうよくわからない自分への言い訳がましい諦めとか、なんだろう。毎日や新しい生活に甘えていく自分がいた。そうじゃなくて、きっとこの生活はこれから私を支えてくれるはず。もう、夜中のタクシーに怯えなくていいし、ベッドサイドにあるデジタル時計の数字だけがどんどん増えていくのを数えなくていい。朝は綺麗にやってきて、行ってきますを聞いてくれる人がいて、今にも泣き出してしまいそうな気持ちを押し殺しながらシャッターをきらなくていい。もう、私は自由なんだった。急いで家に帰らなくてもいい。急いでスーパーに寄って帰ってご飯を作らなくてもいい。ポッケの中で鳴り続ける電話を無視しなくてもいい。右を向いても左を向いても何処にいても自由なんだ。

夜は自転車でスーパー銭湯へ行って、帰りに山田うどんに寄って帰った。早く車が欲しい。

朝のポークカレー

Journal 11.5,2022

「卵は?」「いる〜。」カレーをもった茶碗に生卵を落とした。私の方の茶碗は黄身が割れて茶碗の下へと垂れ落ちてゆく。カレーの次の日はカレー。これは私のルール。何度か言い続けて朝にカレーを出したら、周ちゃんも「朝はカレーだね。」って言うようになった。今日は数日ぶりに裏山に散歩へでた。森の朝はやっぱり深々としてる。すぅーっと全身が吸い込まれていくみたい。ああ、気持ちがいい。

昼は黙々と仕事。時々、新しい携帯でインスタとかLINEを見た。新しい携帯の操作がまだよくわからない。音が鳴るたびに気になって見てしまう。午後は駅前に睫毛パーマをかけに行って、ママの誕生日プレゼントを買って、OKストアで買い物をして帰宅。こないだ派手に自転車で転んでから少し自転車が怖い。左足のすねには青とか紫とか黄色とかマーブル模様みたいな大きな痣がずっとある。右足はその前の週に自転車置き場で強くサドルが皮膚に食い込んで血が出てかさぶたになった傷もまだある。東京で生活していた時は自転車が大好きだったのに、この街での自転車はなんだか好きじゃない。道路はボコボコしていて走りづらいし、駐輪場がとにかく停めずらくて、絶対に誰かの自転車に身体のどこかがぶつかる。もう、なんだよ。なんだか帰りは少し落ち込んだ。東京での暮らし、こっちにきて初めて松陰神社のあの家が恋しくて少し寂しくなった。

裏山は大好きだけど、この街は好きになれるんだろうか。お気に入りの喫茶店やカフェはgoogle mapを何度見たって見つからないし、好みのパンやスィーツを買える店も無い。家だって前の方がずっとずっと住みやすかった。それに、新しすぎる感じの内装は正直好みじゃない。食材を買うのもすごく不便で、野菜は最高だけど、それ以外のものは駅前に行かないとない。歩いて7分の所にあるスーパーは買って納豆だとかお酒。肉も魚も心が踊らないものばかり。上町のオオゼキみたいに全国から集められた季節の色々な野菜や魚や肉や調味料を思い立った時に買える店が近所にある事はすごく貴重なんだって事に今更気づいた。当たり前にあった東京での生活は十分過ぎるほどに物に溢れてて、右を向いても左を向いても私の欲望は満たされてたみたい。

帰って庭の野菜に水をあげて、みっちゃんに昨年もらった蜜柑のお酒を飲んだ。飲みながら夕飯の支度をして、お風呂にはいって、請求書の整理をした。夕飯は素麺。今夜も少し遅く帰宅した周ちゃんは満面の笑みでご飯を食べてる。「今日は元気が無い。」と伝えたけど何も聞いてこなかった。少しだけ飲みすぎた。早々にベッドへ入って抱き合って寝た。ここにあるのは、裏山と採りたての野菜。あとは、愛くらい。L.Aの姉の所に住むように暮らしていた数週間の事を思い出した。あの場所もここと少し似てる。だけど、すごく楽しかった。生活を変えたい。せっかくの田舎暮らし、東京を想って生活するなんていや。

ポークカレー

カレー 10.5,2022

今日はポークカレー。おかずはレタスのサラダ、胡瓜とチキンの台湾風和え物、納豆、大根のおしんこと、ぬか漬け。レタスのサラダは最近むちゃくちゃハマっていて、近所の畑で採れたてのものが手に入ると、塩とオリーブオイル、塩と海苔と胡麻油とか、シンプルな味付けにして半玉くらいペロッと二人で食べる。少しいつもより遅く帰宅した周ちゃん。「家庭の匂いがする〜。」って嬉しそうに何度も言ってたけど、ここは私たちの家庭だよ。

食卓

Journal 09.5,2022

朝は東京で取材が一本。2年ぶりの編集の田中さん。名前が変わった事とか、元気だった?とか色々な話をした。それから、クライアント先の担当の子が産休に入ったとの朗報も聞いた。びっくりしすぎて嬉しくて胸がドキドキした。最近いいニュースばかりを耳にしてる。L.Aのアミちゃんはお父さんが亡くなった事を新しい携帯のニュースで知ったけど、再婚をしていることも知った。もう10年くらい前、ヘレナと一緒によく写真を撮らせてもらってた下の娘がコロナが起きる少し前に病気で他界して、だから、だからというか心から良かったと思ったし嬉しかった。あと、女の子のカップルの友人が養子縁組をして結婚をするし、それに、友人が結婚を決めて、夜には成田さんから “彼女が出来ました!”との報告。「周ちゃん!成田さん彼女が出来たって!!!」ベッドで開いたLINEからの朗報を周ちゃんに伝えると目を丸くして喜んでる。「最近、周りが愛で溢れてるんだよ。すごいよ!すごくない?」「本当だね。それってよしみのが伝染してるんじゃない?」「それは申し訳ないくらいないよ。私からは何も溢れてない。」「だって、よしみだって周りの友人に彼氏が出来た時に俺と出会ったわけでしょ。」「えー。確かに、行動を起こすキッカケにはなったね。だけど、そんなめっそうもない。違うよ。」ただ言えることは、みんなはみんなの人生を今を愛してるってことだ。嬉しいとか楽しいと思う気持ちがここにあって、私の友人たちの場所にもそういう気持ちがふわふわと泳いでいるんだとひとり勝手に感じるだけで胸がじんわりとした。

先日、リリさんといつもの通りで成田さんがどれだけ素晴らしい子かっていう話をした。これはもうルーティーンみたいなもので、だけど心から互いに成田さんへの愛を話した。成田さんへの愛情がたっぷりの私達だからこそ、この朗報に乾杯したい。ハートを沢山いれて “おめでとう。” ってメッセージを返した。早く成田さんの新しい彼女とみんなで一緒にわいわいと食卓を囲みたい。食べる音や笑い声だとか引っ切り無しに美味しい時間が食卓の上で鳴り続ける夜。きっといい夜。いや、絶対に素敵な夜。もしかしたら少し飲み過ぎてしまうかもしれない。ああ、恋しいや。まだ来ない食卓が恋しい。

トマトとモッツアレラのスパゲッティー

洋食 08.5,2022

朝から二日酔い。昨晩そんなに飲んでないのに身体が重い。電話を切ってから直ぐに寝たと思う。時間は深夜12時ちょっと過ぎ。結婚についてリリさんと話した。結婚だけじゃなくて、どうパートナーと生きていくかみたいなことも。隣にいた周ちゃんはリスクヘッジの話をしてた。私は相手じゃなくて自分を信じていけば、どんなことがあろうときっと後悔はないと思うし、不安なのはお互いに一緒だからみたいな話をした。もし、万が一、彼が他の誰かを愛してしまうような日がきても、それは苦しいけれど、もしかしたら自分の愛が足らなかったのかもしれないし、彼の人生にとって大切な人に出会ってしまったのかもしれない。もしくは、ただの馬鹿。どれをとっても理解がいく。

リリさんは途中なんども目を赤くしながら話を続けた。自分の言葉で私に伝える気持ちの色々は、きちんとしっかりと答えは決まっているようだったし、私が知っている大半のリリさんよりも、ずっとずっとまたひとつ強くなったようだった。いつだったか忘れたけど、出会ってそんなに時間が経ってなかったと思う。撮影の後に入ったタリーズで急にポロポロと泣き出した。それから、私は何度もリリさんの涙を知ってる。直ぐに泣いてしまう彼女はとても魅力的に見えたし、それでいいと思った。歳が10こ以上離れてるリリさん。20代の彼女にはこれからきっと沢山の出来事が起きる。流せるのならどんどん悲しみは流していけばいいし、弱くあることは決して悪く無い。それに、強くなんてならなくても、いつかはそうなっていく。人生に慣れてしまう日がいつかくるから。

昼を過ぎてもずっと気だるい。天気も肌寒くてどんよりしてる。心から幸せになって欲しいと思った。それに、今のリリさんならきっと幸せになっていく気がした。私の知っている限り、幸せって突然降ってくるようなものじゃない。毎日のその先にきちんと繋がってるもの。だから、今日想うことがあるとしたら、大丈夫。涙がいつかの今日をびちょびちょにしたとしても、大丈夫。

オムレツサンド

朝食 05.5,2022

私みたいに怒るフリをする周ちゃん、すごく不恰好ですごくブサイクだった。すこし怖くも見えた。周ちゃんの目には私があんな風に映ってるんだと思ったら哀しくて恥ずかしくて言い訳の為にずっと拗ねていたいような、もうこのままそんなブサイクな人になってしまえばいいやと自分に嘘をつきたくなるような、エスカレーターに乗りながら頭が猛スピードで混乱した。本当にいや。すごく嫌だ。

一昨日にトイレに水没した携帯。結局、今日になっても電源はうまくつかず、駅前の楽天モバイルで新しい携帯の契約をしに出かけた。昨日、店へ行ったとき、店員さんが契約に関する持ち物を丁寧に教えてくれたけれど、そこに楽天IDは無かった。いざ今日契約をしようと行くとまず楽天IDがないと出来ないと言う。もしくは新規で作りますとのこと。楽天銀行も楽天クレジットも持っているのに、どうしてまた別のIDを作らなきゃいけないんだろう。直ぐに自転車で帰宅して三度目の楽天モバイルショップへ。店では怒らなかったけど、契約が終わり店を出たあとに私の堪忍袋の尾が切れ始めた。

怒るってゆう感情を止めるのはよくないと思う。喜んだりわくわくしたりと同じ、様々な感情と一緒に肩を並べている仲間でいい。今回だって、店員さんが事前に教えてくれたら夏みたいに暑い日差しの下を自転車で急勾配な坂を上がったり下がったりハァハァと登らずに済んだ。そりゃ怒りたくもなるよ。だけど、。あんな周ちゃん。声を荒げたり、否定的な話し方、そして意地悪い顔をした周ちゃん。あんな顔、いや。だけど、周ちゃんは私のそんな顔をきっと見てたんだろう。なんて醜いんだろう。周ちゃんはふざけて私の怒る真似をしたのだろうけれど、そんなのは全く冗談なんかには見えなかった。だって、それは周ちゃんであり私なのだから。

私の内側と、私の内側を外側から見る景色。それは似ているようで全然違う。私達が同じ景色を見る時間が増えれば増えるほどに同じものに感じるような錯覚に陥ってしまう。本当は全然違うし、全然わからないのに。側にいるのに寂しい。手を伸ばしたところに背中があるのに寂しい。そんな気持ちになった過去がある。あの時の元夫と私はあまりに近くてあまりに遠いい場所にいたのかもしれない。私達は愛し合っていたんじゃなくて、きっと私は愛して欲しかった。

失うことを恐れるよりも、どうか私の隣にいる間は笑っていてほしいと思えば、もうあんな醜い私にはならないですむ。きっと。

マグロ丼とワイン

和食 04.5,2022

いつもの通り4時半に起きて作業。今日は周ちゃんとピクニック。昨日の残り物の塩豚と大根の煮物に味噌をいれてスープジャーに入れた。後は残ったファラフェル、夜に茹でておいたゆで卵、それから周ちゃんが朝に握ってくれたこぶしみたいなおにぎりと温かいをお茶を持って9時ちょっと前に家を出た。雨の所為でまだ土はところどころがぬかってる。周ちゃんは何度も大きな声深呼吸を両手を広げた。「屋久島とまでは行かないけど、屋久島を思い出す景色だよ。」「へぇ。屋久島、行った事がないよ。」「九州最高峰の山があって、そもそも屋久島自体が噴火によって出来たところだからね。」「へぇ。」周ちゃんと話しているといつのまにか学芸員が登場する。そのうちに話は私の右耳から左耳へと流れでてゆく。ああ、気持ちがいい。声のさえずりも周ちゃんの声と同じように音楽みたいに聞こえる。なんて穏やかな休日なんだろう。だけど、最近ちょっとだけ怖くなる。こんな穏やかな日常で大丈夫なんだろうか。また、日常が襲われるような事が起きるんじゃないか。ただ電車に乗っているだけで、ただ家でご飯を作ってるだけで、ただ誰かの帰りを待っているだけで、夜中が悪魔になるような日常はもう本当にやってこないんだろうか。幸福になったり不幸になるのは権利でも資格でもないのに、安心で穏やかな生活を送るわたしの日常がある事にときどき不安になる。周ちゃんが自転車で出かける度に「ヘルメットをかぶって。」とひつこく言うのは祈りみたいなものなんだと思う。ある日突然に大切なものが壊れてしまいそうで怖い。事故で死んじゃうなんて事は簡単には起こらないとは思うけれど、絶対にないことなんてないから。

「周ちゃんデートしようよ。」「えーこれってデートじゃないの?」家までの帰り道、夏みたいな太陽がじりじりと暑くてマスクが少し苦しい。「お弁当持ってピクニックってデートだよ〜。」「うーん。確かに。けどさお洒落してないよ。」いつもの散歩の格好。レギンスに大きなシャツを羽織って泥だらけになってもいいようにと履き潰したアシックスのスニーカー。これでデートは嫌だ。「よしみはどんなデートがしたいの?」「舞台見て、ディナー行って、夜の街を歩きたい!大人でしょ。」「いいねぇ。じゃあ、ホテルに泊まろうか。それでホテルの朝食なんか食べて帰ろうよ。」「えー!それはエロいよ。」二人で笑いあった。履き潰したスニーカーじゃなくて、底がまだ綺麗な時々しか履かないようなサンダルを履きたい。少し色の濃いリップをつけてグラスにつく口紅を気にしながら食事をしたい。いつもよりも丁寧に話したりいつもよりも丁寧に隣を歩きたい。いつかはどちらかが先に死んでしまうのだろうけれど、あと何回も何十回もデートしてから死にたい。

ファラフェル

エスニック 03.5,2022

朝起きてしばらく書斎で作業。7時過ぎにパジャマの上にスウェットを着て梃子と周ちゃんと朝の散歩へ出かけた。今朝の山は昨日の雨でぬかるんでて歩きづらいし、いつもよりも冷んやりしてる。だけど、みずみずしくて気持ちがいい。全部が洗い流されたみたい。

「今日は色々と作業をしようと思うよ。」「うん。わかった。俺は都内の美術館へ行くよ。」周ちゃんが出かけたのは10時頃。休みの日に家で一人でいるのは結婚してから初めて。何だかわくわくした。色々と溜まってる作業がある。フミエさんと山若くんとの氷見のプロジェクトの作品をだとか、フミエさんの作るからだにいいご飯の料理本を出す為に出版社への営業用のポートフォリオもまだ途中、それに私の写真集の日記や写真のデーターの整理も。請求書もやらなきゃ。色々が山の様に溜まってる。

「周ちゃんと一緒にいる時間は好きだし、新しい生活には満足してる。だけど、私の時間をどう作っていいのか。ずっと考えてる。」昨日、郵便局の帰りに寄った駅前のインドカレー屋さんで話した。すごくしょっぱいカレー。塩とカレーが別々に入ってるみたいにしょっぱかった。「うん。そうだね。」周ちゃんは仕事一本の生活を結婚を機に変えた。朝から夜中まで仕事をして、休日も調査の為に自転車でフィールドワークに出る。展示が始まる前には食事の時間も忘れて仕事をするから5kgぐらい体重が落ちてしまうのだとか。私とは真逆の生活。私は私、仕事、生活が一律。寝ないで仕事はしないし、生活の為に仕事を減らしたりもしないし、私の時間もしっかりと取りたい。全部がバランスよく足並みを揃えていないとダメ。全く違う環境の全く違う生き方の二人が一緒に暮らそうというのだから、アンバランスになるのは当たり前の事なんだけど、結婚生活が始まって1ヶ月ちょっと。中々その答えは見つからなかった。

黙々と作業を進める。昼が過ぎて午後がやってきて、夕方の冷たい風が吹き始めた頃にふと寂しくなった。”周ちゃん、いつ帰る?” PCからメールを打った。携帯電話は朝トイレに水没してからずっと真っ暗い画面のまま。”6時半には着くよ。” “わかった。お風呂入れておくね!” 残ってる作業を急いで進めた。一人っきりの家。最高だったな。周ちゃんが帰ってくる、 冷蔵庫に数日前に茹でた豆がどっさりと残ってる。今夜はファラフェルにしよう。

ファラフェル
フミエさんにいただいた青大豆を一晩水に浸して茹でたもの

ニンニクの摩り下ろし
クミン
揚げるようの小麦粉
揚げ油

水餃子

中華 01.5,2022

「今夜はもうちゃちゃっと冷蔵庫にあるものにしよう。」料理が面倒になる夜は週に1度か2度やってくる。だけど結局あれやこれやと冷蔵庫の色々を並べているうちに食卓は賑やかになってゆく。「今夜も立派になっちゃったね。」周ちゃんが言った。

みっちゃんが昼頃に帰ってから駅前におつかいに行って、そのままインドカレーを食べて帰った。帰りがけに雨が降ってきてずぶ濡れ。温かいお茶を飲んで温まってからベッドへ入って簡単なセックスをして裸のまま寝た。周ちゃんとは出会ってあっという間に結婚してしまったけれど、周ちゃんが今でも彼氏だったらと憧れる事がある。こうして二人以外の時間を過ごすと尚更に思う。結婚したからと言って周ちゃんは私の物じゃないけれど、いつサヨナラをしてもいい関係の男がいるのは自由だし魅力的。そして相手も同じ様に自由な筈なのにひとり時々寂しさを覚えたりして不安になりながらもバイバイしてまた会う。そんな日々を重ねてみたかった。夜の奥渋なんかをほろ酔いで肩を並べて歩いたり、帰ってしまう背中を、見知らぬ洋服を見知らぬ靴を履いている姿をもっともっと知りたかった。ああ、この人を私の物にしたい。いや、やっぱり要らない。そんな欲望を抱いたり捨てたりを繰りかえしたりしたかった。

水餃子をつつきながら、みっちゃんと昨晩に話した恋の話を続けた。「結婚は別にいいもんじゃないし、結婚はしなくてもいいし。ごめんね。新婚なのにこんな事言って。結婚は魅力的では無いって話ね。周ちゃんの事は大好きだよ。」「うん。わかるよ。」「結婚に憧れる気持ちはわかるけど、私だって憧れて結婚したし。だから結婚がしたくてするのもいいのだけど、、。離婚はさ。大変でしょ。」「…。うん。よしみが言うと染みる言葉だね。」「そうかな。」結婚も離婚も、どちらでなくても、一直線上の自分の人生の上に立ってるのは同じ。結婚に憧れるのは子供の時にいつか素敵な恋がしたいと夢見た気持ちと似ている気がする。同世代の独身の友人達は子供が欲しいとか結婚がしたいとか同じセリフをもう何年も続けて、しまいにはいつかの彼氏の話ばかりしてるけれど、夢よりも現実の方がずっとずっと楽しい事も薄々気づいているとも思う。結婚してもしなくても離婚しても、結局どれも大差ないよ。要するに楽しければ。楽しめれば。

餃子

中華 30.4,2022

家を出たのは9時40分過ぎ。途中で右折しちゃいけない所で周ちゃんが右折しちゃったみたいで角の通りではっていた警察に捕まった。罰金7000円。”みっちゃん。ごめんね、周ちゃんが違反で捕まっちゃって少し遅れるよ。” 着いたのは10時半過ぎ。ミュージアムの前で緑色のチェックのワンピースを着たみっちゃんが待っていた。そうして周ちゃんのアテンドでミュージアムを回ってから東村山の美味しい饂飩屋さんへ向かった。地元の人がいく古汚くて美味しそうな饂飩屋さん。この辺りでは人気らしく、店の活気に注文するのも食べるのも何だか忙しなくて、カウンター横のみっちゃんと「美味しいね!」って顔を何度も見合わせてはまた饂飩をすすった。それからジョイフルへ行って夏野菜の苗を買ったり、温泉に立ち寄ってから多摩湖を散歩したり。GWらしいGWをキラキラと木々の中を車で走りぬけた。「ああ、気持ちがいい。」最高な午後。最高の休日。あっという間に私は埼玉の人になって、近所に住んでたみっちゃんは東京からのお客様となったGW初め。

夕飯は昨日から炊いてた鶏のスープに、朝に買った採りたてレタスのサラダ、青梗菜の醤油麹炒め、焼き餃子、奈々子の家で前に食べて美味しかった海老の中華ソースがけ、フミエさんに頂いた青大豆を炊いたもの、ジョイフルの中の地元野菜で買った立派な大根をおろしたものを作った。朝採れのレタスはレタスじゃないみたいにパリパリで、食べる前に手で割いてるのがすごく気持ちよくて、食べて美味しいのもそうだけど、手の感触に残るパリパリが食べてるパリパリとシンクロしてへんな気分。みっちゃんは何度も「こんな美味しいレタス東京にはないよ。」とむしゃむしゃと、周ちゃんも私も三人で馬みたいにレタスをむしゃむしゃと食べた。ああ、楽しい。食卓ってどうしてこんなに楽しいんだろう。だからやっぱり食卓が好き。大好き。

午後、昨晩にエビのレシピを聞いた奈々子から “私も結婚をするよ。”ってメールが入った。私の離婚と結婚の事をすごく驚いてたけど、私もすごく驚いた。それに、すごく嬉しい。 “ご飯でもしよう。” 予定がすんなりとあって月末に会う約束をした。奈々子のパートナーから奈々子から別れを告げられたと連絡がきたのが2年前。その頃に一度、新橋あたりで二人だけで会って少し話をした以来。元夫の病は始まっていたけれど、またいつものアレだと思っていた私に離婚の気配なんて全く無かった。たったの2年。私達の時はあそこで止まっているのだろうけど、現実はものすごい勢いで進んでる。エビの中華ソースがけは奈々子が一人で借りた二人の新居だという家で食べたもの。あの夜もすごくいい夜で美味しくて奈々子は飲みすぎた事をパートナーに少し怒られてた。最近飲みすぎてるとも聞いた。あの時、奈々子はきっと一人で悩んでたんだと思う。今はどんな人を愛してどんな毎日を過ごしているんだろう。まだあの家に住んでるんだろうか。エビの中華ソースがけ。今夜は少し失敗しちゃったから、会った時にまた作り方を聞こう。

夕飯

夕飯 29.4,2022

朝はゆっくりと起きてダラダラと過ごした。昼頃、駅前のOKストアに明日の買い出しをしようと外に出ると雨がポツポツ。あーあ。帰りにインドカレーでも食べて帰ろうなんて話してたのにな。「どうする?」「うーん。近所の饂飩屋に電話してみるよ。」こんな事を考えるのは良くないって思うけど、前の旦那さんはそんな事してくれなかった。「行けば何とかなるよ。」とか、「スーちゃん電話してよ。」って言った。私は電話が苦手だからよっぽどじゃないと電話しない方を選んだ。だってずっと頑張るのは疲れるから。家から歩いて5分。店らしからぬ感じの店。こんな場所?住宅街の中に砂利の駐車場、店内は綺麗そうだけど入りたいとはあまり思わないかも。「いらっしゃいませ。さっき電話してくれた方?」年配の女性の方が席へと案内してくれた。隣は60代の夫婦、その隣も同じ世代の夫婦がお酒を飲んでいた。何だかいい感じの店。お昼から日本酒と板わさなんか食べたくなる。

周ちゃんは蕎麦と天丼のセット、私は野菜の天麩羅饂飩にした。天麩羅は長い間苦手な食べ物だったけれど、こないだ周ちゃんと高橋くんとサボテンを買いに行った時にすごい久しぶりに食べたら美味しくて食べれる事がわかった。それにしたってなんて美味しいんだろう。手打ちの形が不揃いの饂飩。つるつると口の中に綺麗に入っていく饂飩も好きだけど、不揃いってどうしてこんなに魅力的なのかな。ざるからどんどん失くなっていく饂飩、少し寂しかった。あっという間に食べ終わって、雨がしとしとと降っている中を傘を並べて歩いて帰った。美味しくて機嫌が良かったのかな、鼻歌を歌う私に周ちゃんが笑いながら言った。「お腹が一杯って歌だね。」「え、うん。そうだよ。」私、そんな鼻歌歌うんだ。歌とか歌うんだ。どっちがどうとかじゃないけど、誰といるかで私って変わるんだ。同じ私なのに私は頑張るのをやめたら変わった。鼻歌を歌うのをいつも聞いている方だったのに。

帰ってお茶をしたらすごく眠くなって、周ちゃんと梃子とみんなでベッドで昼寝をした。雨はどんどん強くなっていく。気持ちがいい。またぐんと気温が下がったけれど、それもいい。ひとりでそっと起きて書斎でお茶をすすりながらマユミちゃんからの手紙をもう一度読み返した。最近、藤井風さんっていうミュージュシャンが気になってるらしく、Taylorのshake it offっていう曲のカバーがすごくいいよって書いてある。youtubeで流しながらまた手紙の続きを読んだ。こんな風に音楽を聴くのはすごく久しぶり。女の子が誰になんて言われようと私は私らしく生きていくっていう曲。音楽ってやっぱりいい。少しだけ泣きそうになった。音楽は離婚してから聞かなくなったけれど、音楽が悪くない事くらいわかってる。嫌なのは元夫が歌を歌ってたっていう私の思い出。音楽の力みたいなのを感じるのが怖かったんだと思う。そしてそれをまた感じてしまったら戻されてしまう気がして避けてた。だけど、聞けた。そして、すごく良かった。

マユミちゃんは離婚の色々が落ち着いてきた頃に少しだけ離婚の事を話して、生活を立て直し始めるのと同時に文通も始まった。だからか一人勝手にこの文通が私の生活をちょっと見守っていてくれてるような感じがしてる。それに、たったの数ヶ月でも、この1年でも、お互いの生活がガラリと変わって、送ってくるポストカードも、送るレターセットも、その時々で色々と思い出が詰まってる。また今年もこれからも文通を続けよう。この文通がやっぱり好き。それから、日記の写真集を作るのをやめようかなって考えていたけど、なんだかもういいやって想う気持ちも考え直そうと思った。本当に作りたいのかどうか、本当が何かわからないけれど少し考えてみよう。パリで生きるマユミちゃんを想うと私も頑張たい。写真集を作ることがそれに値するかはわからないけど、このまま今にお腹を満たすだけで今日が終わるのは何かをやり残してるみたい。苦しかった事は未来になっても苦しいけれど、だからってそれを忘れようとするのも違う。生きることに少し余裕が出てきたらか、今だけじゃなくても、今や過去を行ったり来たりしてみるのもいいのかもしれない。いつか死んじゃうのだし、そうやって色々を忘れちゃうのだから。

しそトースト

Journal 28.4,2022

四時半過ぎに起きて支度。周ちゃんんも梃子も直ぐに起きてきた。周ちゃんが朝食をさっと作ってくれた。紫蘇のトースト、一昨日の残り物のハヤシライスをお湯で薄めたスープ、それからいつものバナナジュース。スタジオに着いたのは8時。家に着いたのは20時過ぎ。今日もよく働いた。いい1日だったな。周ちゃんはGW前の仕事で色々と忙しいみたいで帰ってきてからもずっとスマホで仕事をしてた。昼のお弁当は鰻だった。

麺線

Journal 28.4,2022

梃子の病院から帰宅したのは18時前。ポストにごっそりと郵便物が入っていた。あ、パリのマユミちゃんからだ!パリにあるようなカフェの絵が描いてあるポストカードと深い緑色の封筒。タイムラグで2通まとめてきたんだ。昼に作った麺線がよっぽど美味しかったのか、周ちゃんは夜も麺がいいって言ったから夕飯は拉麺を一緒に作った。私は美味しいサーモンか美味しい鰻が食べたかったけど、どう考えても今からは買えないから想像だけして諦めた。明日は四時半起き。ベッドに入ったのは20時半頃。周ちゃんはいつも通り難しい本を読んでる。私はマユミちゃんへ手紙を読んで返信を書いた。戦争が始まって中々手紙が送れない時期が続いていたからなんだかすごく新鮮な感じがする。マユミちゃんの手紙には日々のパリでの暮らしが日付ごとに記してあった。手紙の中には数ヶ月前の私の話も書いてあって、自分のことなのに誰かの話みたい。たったの数ヶ月でお互いにまた色々が変わった。そうしてもう春は過ぎようとしてる。”日本の桜がみたい。” 4月のいつかの手紙の一文。マユミちゃんはもう何年日本に帰ってないんだろう。会いたいな。遠いいのに近い、だけど遠くにいるマユミちゃん。今年こそ会えるかな。

返信手紙に引っ越しはようやく落ち着いたけれど私の生活がまだ上手く言ってないことを書いた。上手くいってないっていうか、一人の暮らしのようには暮らせないことが少し苦しいんだと思う。どうやったって時間が足らない。梃子との時間だって減ってる。日記をゆっくりと書く時間だとか、英語の勉強も、あと作品を作る時間も。色々。瞑想とか朝の散歩も出来てない。一人の晩酌も無くなった。だけど、周ちゃんとの時間を選んだのは私だし、一緒にいる時間も惜しいくらいに過ぎていく。